大変長らくお待たせいたしました。
「この火山ガスについて私が立てた仮説は、このガスは火山由来のものでは無いということです。ここら一帯ではとてもあの媚薬とも思われるガスの元になるような物がありません」
なるほど。どうやらエイヤフィヤトラさんが言うには、この火山ガスは天然由来のものでは無いと。
「では、人為的なものなのか?」
「人為的...と言いますか、そこら辺はまだよく分からないんです」
そりゃそうだ。いくら天然由来ではないとはいえ、そこからいきなり人為的なものというのは突飛すぎるだろう。
「加えて言えば、このガスは理性を削る効果があるようですね。火山の中にいるオリジムシは特に異常な行動はしていませんでした」
オリジムシの理性なぞ元々存在しない。だからもし火山の中でオリジムシが大量に繁殖を行っていたのならこのガスによる性欲上昇のサインだったのだが、特に異常はなかったようだ。故にエイヤフィヤトラさんはガスは理性に作用するものだと考えたらしい。
「...どうするの?僕、一応仕事終わったんだけど。帰っていい?」
「ダメに決まってんだろ。おら、お前も一緒に火山に入るんだよ」
「ヤダよ!暑いもん!なんかよく分かんないオリジムシいっぱいいるし!あっ、引っ張らないで!髪抜けちゃうってば!」
「お前エイヤフィヤトラさんに行かせて自分は帰るつもりかよ!」
「え?...エリジウムさん、帰っちゃうんですか?」
「喜んで行かせていただきます」
「おいコラ」
おいコラ(大事なことなので2回言いました)。
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「あ゛っ゛づ い 」
「そりゃ火山の中だからな。あちぃわ」
とりあえずエリジウムも引きずって火山に連れてきた。熱い。暑いじゃなくて熱いわ。
ロドス開発の耐熱剤が無ければ死んでたな。間違いなく。
「皆さん。どうですか?ロドスの試薬の調子は」
「暑いけどないよりは全然マシなんだろ?助かるぜ」
「うんうん。これがないと僕たち死んでたね」
「それはよかったです!」
さて、先に行けば行くほど、熱くなるのはもちろんの事、段々とガスの濃度も濃くなっているとのことなので、一応男性陣もガスマスクをつけることにした。
別に理性を削るだけならつける必要ないと思うけどね。さすがにエイヤフィヤトラさんに欲情するほど俺の性癖はねじ曲がってない。
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「エイヤさん。あれじゃないですか?」
「まぁどう見たってあれでしょうね」
「...ここまで分かりやすいと最早清々しいな」
「皆さん、なにかみつけたんでs...あぁ、多分あれが原因でしょうね」
満場一致だ。それもそのはず、今俺たちの目の前にいるのはなんだかよくわからん機械がごちゃごちゃと取り付けられたポンペイだ。
黒曜石に齧り付いては煙突のような機械からガスが吹き出している。
「思いっきり人工だね」
「...あの機械のロゴ、カジミエーシュの企業じゃないっすか、旦那」
「...私は何もしていない。責任はない」
「あの、一応戦闘の準備だけお願いします!ちょっと観察してみましょう」
観察といっても岩陰に隠れて、動向を見守るだけの簡単なお仕事だ。
ポンペイ自体に特段変わった動きはない。しかし、ポンペイの特性である体から溢れ出す溶岩がそのままガスに切り替わっているようだ。
「...とりあえず周りを注視しましょう。絶対に近くに何か、あるいは誰かいるはずです」
「うん、僕もその案に賛成かな。...はい、これでいつでも僕に連絡できるよ。別れて探そうか。僕は向こうに行ってみるよ」
「...私は向こうを探索してみよう」
「じゃあ俺はこっちだな。...お互い無事で戻ろう」
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そうして別れた一行。カゲロウはなにか手がかりを探して歩いていると、小さくだが揺れを感じた。
「ん?」
その揺れはすぐに収まった。特に気にする必要も無いだろうとまた歩みを進めると、そこにカゲロウは驚くべきものを見た。
「おいおいおい...。マジかよ...」
そこに居たのはポンペイである。なんてことはない普通のポンペイ。先ほど見たあの改造されたポンペイとは別の個体だろう。同じ場所にポンペイが2体もいるとは...。どこの密林だよ()。
「え?あれ?やばくね?なんかこっち来てね?」
先程の改造ポンペイが通常ポンペイに向かって来ている。後ろからエリジウムやムリ伯父が着いてきているが、止めてくれ(懇願)。何が起こるか分かったもんじゃない。
「ちょっと!ヤバいって!攻撃攻撃!!」
「え!?なんでもう一体いるの!?」
この2...頭?匹?はお互いに威嚇しあっている。
...ん?威嚇?これホントに威嚇か?なんかすごい距離近くね?なんか膨らんだりしてる気がするんだが?
「あ、そういえばポンペイって爆発します!皆さん!身を隠してください!」
「早く言えやそういうのは!!」
エイヤフィヤトラにツッコミを入れながら障害物を探すも何も無い。
とりあえず遠くに走っていると、後ろからはものすごい熱気が襲ってきた。
「あっつ!」
「まずいです...。あの2匹が同時に爆発でもしたら...」
するとカゲロウの頭の上を影が横切った。
その影はカゲロウの後ろに着地すると、心地の良い声で歌い始めた。
「〜〜〜♪」
するとどうだろう。たちまちの間に2匹のポンペイは凍りつき、辺りは涼しいと思えるほどに氷漬けになった。
その影はくるりと振り向くと、
「...久しいな。ロドス」
「アンタ最高だ。フロストノヴァ」
フードを取るとぴょこんと耳が飛び出し、ガスマスク越しだが、その声が過去に激闘を繰り広げたフロストノヴァであることは容易に判別できた。
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「我々スノーデビルはとりあえずシエスタの民の救助に当たっている。医療の心得はないからな。そこら辺は君たちに任せたい」
との事だ。なんともまぁ有能な隊長である。
それに比べてドクターときたら...今頃残業してんだろうなぁ...。
だけど今はそんなことを言っている場合じゃねぇな。
「毒ガスって抜けるの?」
「抜けると言いますか、まずは新鮮な空気を吸うのが1番です。この大運動会用に大量の酸素があるはずですから、それを使いましょう」
「僕としても賛成なんだけど、大丈夫なの?コイツら溶けてまた動き出したりしない?」
「お前はあの場にいなかったからそんなことが言えるんだな」
そんなやり取りをしていると、突如殺気を感じた。
歴戦の勇士であるロドスの戦士やフロストノヴァはバックステップで身をかわし、殺気の出処を探ると、目の前には大きなクレーターができていた。
「...あっ(察し)...」
今、この状況でクレーターを生み出せる人間は居ない。ポンペイも凍っていて動かない。
つまるところ、第三者の仕業というわけだ。
...まぁ、そういうことですよ。
「あはっ、やっと見つけたよカゲロウ!」
「私を弄んだまま逃げるなんて許さないから」
モスティマとフィアメッタである。
先程のクレーターもフィアメッタの榴弾によるものだろう。
カゲロウはダッシュで逃げ出した。自分の身はもちろん、周りの人間にも危害が加わると面倒なことになるからだ。エリジウムやムリ伯父はその意志を汲むと、すぐにシエスタへの道を走り出した。
「おやぁ?どうして逃げるんだいカゲロウ。君の方から誘っておいてそれはないんじゃないかな」
「俺は別に誘ってなんかねぇからな!?お前らが勝手に着いてきたんだろうが!?」
「私の裸見ておいて生きて帰れると思ってるのかしら?」
「見てねぇよ!」
そんな言葉の応酬をしていると、また目の前にクレーターができた。
半身で確認したが、フィアメッタの榴弾ではないらしい。となると...。
「隊長!?」
「うふふ...♡ 見つけた...」
目が虚ろすぎる!?ハイライトどこ?ここ?
えっ、じゃあちょっと待ってここに隊長がいるってことはよ。
「もちろん私もいるよ!」
「ジェニィィィィィイイ!!」
目の前に旗が降ってきた。そんでもって多分今まで見た中で1番デカいクレーターができてる。
「絶対逃がさないから!止まってよ!」
あっやばい追いつかれるって。...アガッ!?
俺はジェニーの手刀を受け、一撃で意識を刈り取られた。
「...」
「...よいしょっ。...んふっ。大好き...」
マジで本当に長らくお待たせしてしまい申し訳ございません。
これからはもうちょい頑張るのでユルシテ....ユルシテ...