仮面転生者ΑGITΩ 〜人類審査のオーヴァーロード〜   作:ただのファンだよ。

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漫画版(Heroes)クウガのアギト見てたら書きたくなったんや。




超越学園のライダーキック 〜目覚めろ、そのΑGITΩ(アギト)!!〜
目覚めろ! その物語!!


 

 

 

 朝日が昇り、小鳥が囀り、目覚まし時計が起床時間を告げた───瞬間に粉砕される。布団から飛び出た右拳により撃ち抜かれた目覚まし時計は変形し、内部の部品をばら撒きながら壁にぶつかり地に落ちる。

 なんと無様な姿か。

 

「………」

 

 もぞもぞと布団内で蠢き、やがて布団が捲られ中にいた殺時計犯である男の姿が露わになる。が、未だに眠気に頭が支配されているのか、かくりかくりと意識が船を漕いでいる。

 数分の時間を経て意識がはっきりしてきた青年は、壁際の故時計に目が移り、頭を抱えた。

 

 

 

「ふぅ〜〜あぁぁ……」

 

 大きな欠伸を浮かべ、右手に今は亡き友を入れた袋をぶら下げながら二階の自室から出て一階のリビングに向かう。

 寝癖か、或いは天然性かあちらこちらに癖のある赤みの強い茶髪をガシガシと掻き、顔付きは決して悪くはないが眠気に満ちた目付きが醸し出すだらしなさが打ち消している。

 男はその後も何度か欠伸をしながらキッチンに立ち、朝食の準備を始める。昨晩に作った味噌汁の残りを温めると、卵を解き、刻みネギとソーセージ、更に調味料を入れてフライパンで焼く。外はふんわり、中は半熟でとろりとしたオムレツを作り皿に移す。

 

「おっはよぉーう!! んん〜、いい匂い♪」

 

 朝食の匂いに釣られてスーツに身を包んだ女性がリビングへ降りてくる。

 

「おはよう姉さん。今ご飯をよそうから」

「はーい!」

 

 青年の言葉に嬉しそうに表情を綻ばせた女性───青年の姉は椅子に座るとニコニコと楽しそうに青年を見つめる。

 

「今日の朝ごはんはなんですか〜?」

「オムレツライス」

「……オムライス?」

「オムレツ・ライス」

 

 青年が机の上にご飯、味噌汁、そしてオムレツを並べる。

 青年の姉は青年の作ったオムレツを興味深そうに眺め、やがて考えるのをやめて「いただきまぁす!」と言ってからオムレツに箸を伸ばして一口。

 

「ん! 美味しい!」

「それはよかった」

 

 青年も姉と同じ様に椅子に座り朝食を食べ始める。

 本当に美味しそうに青年の作った朝食を食べる姉と、黙々とけれど眠そうに箸を進める青年。

 

「ご馳走様! ああ〜美味しかったぁ。しあわせぇ」

「ん」

 

 やがて二人が朝食を終えると青年が二人分の食器を持って立ち上がる。

 すると、

 

『……翔一、いけません。食後の挨拶を忘れています』

 

 頭の中に声が聞こえた。青年より幾つか上くらいの男性の声だ。

 青年は一瞬ぴたりと身を固めたがすぐに歩みを再開して台所に食器を入れて水を掛け、そのまま浸ける。

 

『翔一、食後の挨拶は戴いた食材や作ってくれた相手に対する感謝を表す言葉です。現に貴方の姉である彼女は貴方に向けて感謝を言葉にしました。それに今回貴方は食後だけでなく食前の挨拶もしていない』

 

 うるせぇ。と青年が心の中で呟くと、小さく溜め息を吐いてから頭の中の声に返答する。

 

(すみません、次から気を付けます。それと翔一(しょういち)じゃなくて翔介(しょうすけ)です)

『おや? ふふ、そうですか。わかってもらえたのなら何よりです。それでは早く支度を終えて今日も学びを受けに行きましょう翔一』

(はい。……あと翔介です)

『学校、子供に知恵を与え等しく学ぶ機会を与える施設。やはり興味深い制度ですね』

 

 頭の中でぶつぶつと呟く声に青年の目が死ぬ。

 この神様、こんなキャラだっけ? なんて考えながら仕事に向かう姉に声を掛けてから自室の鞄を取りに向かう青年。

 

 

 

 改めて紹介しよう。

 青年───彼の名前は『津上(ツガミ) 翔介(ショウスケ)』。此処とは異なる世界で生き、そして死んで此方の世界に流れ着いた転生者である。

 そして彼の頭の中で聴こえる声の主は名を『オーヴァロード/テオス』。

 彼の身体に宿る転生前の世界にて放送されていたテレビ番組『仮面ライダーアギト』の黒幕とも呼べる存在で、その正体は【闇の力】、無から有を産み、世界を創り上げた人智を超越した正真正銘の『神』である。……今では翔介の行儀の悪さを改めさせる声だけの存在と化していて見る影もないが。キャラ崩壊もいいとこである。

 

『さぁ、行きましょう翔一』

(翔介です)

 

 テオスに急かされて家を出る。

 今日もいつも通りの一日が始まろうとしていた、そんな一幕であった。

 

 

 

 

 時と場所は移る。

 溟い夜の帷に覆われた町外れの廃施設にソレは居た。なんて事はない()()()()()。もはや襤褸布と変わりない衣服に身を包み、露出した左腕に獣の刺青を入れた逆立った髪の痩せこけた男。この廃棄された施設を根城とする怪物。

 名を覚える必要はない、正体を知る必要もない。施設そのものに人を惹き寄せる術を施し、夜中でも出歩く不良や一晩の宿を求める浮浪者を誘いてはその肉を喰らい腹を満たすだけの、そんな外道だ。

 今晩も、怪物の前に一人の青年が現れる。

 

「ケヒヒ、ダメだよォ。こんな時間に出歩いちゃ、ヤベーイ怪物に襲われちゃうよォ〜、まぁ、今回の事を反省して来世で活かしてくれ!」

「……」

『低俗で不快ですね。速やかに終わらせるとしましょう』

「そうですね」

「んわぁ?」

 

 テオスの──他者には聞こえない──声に返事をする青年改め翔介の下腹部に其れは現れた。

 光が集まり形取る様に、彼の身体から浮かび上がる様に現れたソレは所謂ベルトだ。バックル部分の中心に金色の宝玉が埋め込まれ、両側部にボタンスイッチの付いたサイドバックルが備えられたベルト。

 

『目覚めなさい、その魂。ΑGITΩ(アギト)よ』

「───変身…!」

「うお、眩しっ」

 

 翔介がベルトの左右両方に装着されたサイドバックルのスイッチを同時に叩く様に押す。

 翔介の腰に出現したベルト───オルタリングのバックル部分中央に嵌め込まれた金色の宝玉【賢者の石】が眩い閃光を放ち翔介の全身を染める。

 

「な、なんだその姿…? お前、何をした?」

「………」

 

 光が消えて姿を現したのは異形の戦士であった。

 身体は黒を基色とした強化皮膚へと変化し、上半身に身を守る為の強化外骨格(パワーシェルアーマー)を纏っている。当然身体だけでなく頭部にも変化は現れる。人の其れとはかけ離れた赤い複眼に口元を覆う銀色に輝くマスクの様な口部装甲(クラッシャー)、天を突く様に聳える金色の双角は異形の戦士にとって感覚器官などの役割を持つクロスホーン。

 気配は人間(ヒト)のソレだ。化け物が散々食い物にしてきたのと何ら変わりはない。だが存在感が段違いだった。明確に人の気配を放っておきながらその格、或いは質は『龍』の様に強く(おお)きい。

 

 “人龍”とも云うべきその姿は、間違えようのない。

 【仮面ライダーアギト】そのものだった。

 

 呆然とアギトと化した翔介を見つめる化け物に向けて足を進める。そこで化け物は我に返り───()()()()()()()()

 アギトに背を向けて走り出し廃施設の割れた窓へ飛び込んだ。化け物は根城にしていた廃施設の事を知り尽くしてる。何が何処に繋がっているのか、何処からなら撒きやすいか、何処なら死角になっているのか全てが手に取る様に判る。翔介が唯の人間ではないと理解した化け物は翔介が自身を追う刺客なのか、それとも単に偶然居合わせた()()()()()なのかは不明だが不用意に危険を冒す事はないという狡猾さを有していた。

 化け物にとって獲物とは弱者、何の力も持たない唯の人間なのだ。

 

「折角いい感じの場所だがしょうがねぇなァ、ヤツから逃げたらこんな場所からさっさとオサラバだなァ…」

 

 そうして背後から迫る影すらない事を物陰から確認した化け物は警戒を解いて悠々自適に裏口の一つを開けて、

 

「………は?」

「………」

 

 ベンチに座って化け物を待っていたのだろうアギトと目が合った。

 

「……クソッ!」

 

 化け物は扉を閉めて再度逃げ出した。

 別の裏口から出ようと扉を開け───てる途中ですぐ隣の壁を背に凭れてアギトが立っていた為即座に扉を手放し施設内に逃げ込んだ。

 二階の窓から飛び出そうと脚を掛けた時───アギトが地上からコチラを見上げている事に気付いて飛び出すのをやめた。

 ヤツの様子を伺おうと屋上に出れば外に設置された階段からカツンカツン、と登ってくる足音が聴こえ直後に(きびす)を返した。

 

 出 ら れ な い !

 

「くそっ! くそォ……!?」

 

 逃 げ ら れ な い !

 

「ヒィ…ッ、ヒィィ…!」

 

 逃 が さ な い ! !

 

 

 

 

「   」

 

 ガタガタと震え、頭を抱えて身を縮こまらせていた化け物は漸く気付いた。生きて此処を出るには外で待ち構えているヤツを殺すしかないのだと。

 

「ヤって、ヤル」

 

 結局は力だ。強い方が生きて、弱い方が死ぬ。

 

「ころす……殺してやるぅぅ……!」

 

 ()()()()()()()()()()()

 立ち上がり、迷う事なく一点へと足を進める。閉じられた扉に手を掛け、開く。するとやはりヤツが居た。異形の戦士が唯々立ってコチラを見ている。感情を読み取らせない仮面だが赤い複眼から向けられる視線がまるで「漸く戦う気になったか」と語りかけてくる気がしている。

 

「ジィィ…ッ! ウゥゥゥッ!!」

 

 化け物の目に既に正気は失われ、在るのは殺意と狂気───そして生への執着だけである。生き物の本能、理性の奥底に封じられていた獣性が露わになる。

 

「ウグゥぅぅ…! アガァァァア!!!」

 

 ケダモノの咆哮。ソレに応じてか化け物の姿が変化する。

 肉体が膨張して筋肉質と化し、更に黄土色に所々斑点模様のある毛が覆う、手足の指が鋭利な鉤爪状へと変わり、顔の骨格が人からまるでネコ科の物へと変形した。逆立った髪も左右に集中してまるで獣の耳の様に成った。化け物は姿形すら怪人へと変身を遂げた正真正銘のバケモノと成り果てた。

 ソレはまるで人型の豹、元から襤褸布だった衣服は更に破けてスカーフやマフラーの様な布切れと化す。

 

「………」

 

 異形の戦士であるアギトも化け物の変化にぴくりと僅かながらに反応を示した。

 

(……あれってジャガーローd)

『───違います」

(いや、どっからどう見てもジャガーロードなんですけど)

『いえ、その様な筈がありません。アレは低俗な悪魔の中の一匹です、それも純粋な悪魔ですらない半端な転生体。アレが使徒(マラーク)な訳がありません。私が創った使徒(マラーク)があの様な名状し難い程に醜いなんて事はあり得ません。ええ、誓って言いましょう。あり得ません。

わ か り ま し た か ?

(アッハイ)

 

 テオスに圧力を掛けられ強制的に話を切り上げられた翔介は意識をジャガーロー『翔一?』───豹怪人へと移した。

 ……あ、翔介です。

 

「ヴヴゥゥ……!」

「………」

「ガアァァァ!!」

 

 唸り声から咆哮を上げてアギトへ飛び掛かる豹怪人。その速度は並の野生動物を遥かに上回る俊敏性で、一度の跳躍でアギトまでの十数メートルの距離を詰める脚力は常識離れしている。腕を振り上げ鉤爪の伸びた鋭指をアギトに向けて振るう。アギトは軽々と後方へ跳んで躱すが空振る鋭指がコンクリート地面に突き刺さり、そのまま10センチを超える爪痕を刻む。地面から指を離した後も頭を低くし、牙を剥き出しにして唸る豹怪人が続けて仕掛けた。俊敏な動きで尚且つ錯乱させる様にジグザグに駆けて接近すると再び鋭指を今度は横薙ぎに振るう。迫る鋭指を屈む事で頭上を通過するのを察すると無防備な腹部に拳を一撃入れ、堪らず踏鞴を踏んで後退する豹怪人の横腹に蹴りを入れる。

 

「ぐぎぃぃ…」

 

 蹴りを受けた横腹を押さえながら距離を取った豹怪人が歯軋りをし、狂った瞳に更なる怒りと憎悪を灯してアギトに襲い掛かる。

 アギトの頭部目掛けて突き出した五指。だがアギトは手首を掴んで軌道を変え、更に引っ張る事で豹怪人の体幹を崩して引き寄せ反撃の肘打ちを豹怪人の鼻っ柱に打ち込む。肘の打撃で仰反った豹怪人だが負けじと今度は拳を放つ。豹怪人の拳を首を傾けるだけで躱したアギトがコンパクトながらも一瞬の加速による鋭いアッパーを豹怪人の顎へ吸い寄せられるかの様に叩き込む。

 格闘による接近戦では完全にアギトが豹怪人を上回っている。豹怪人に少しでも理性が残っていれば距離を取って俊敏性を武器に立ち回っていただろうが唯でさえ先回りされ続けたストレスで正気を失い、殴られれば殴られる程、ダメージを負えば負う程怒りを募らせる豹怪人に無理な話だった。

 

「ジヤ゛ア゛ァぁァァぁ!!」

 

 豹怪人が引っ掻き、指突、拳等の連続攻撃を放ってくる。余りの速度に二本しかない筈の腕が何本も在る様に幻視(みせ)る程だ。

 

「……!」

 

 だが無意味だ。*1

 豹怪人の無数の攻撃よりもアギトの一発のパンチの方が速く正確で、槍衾の様に複数見える腕の隙間を縫って顔面に見舞わせる。

 

「ぐがぁぁ……!?」

 

 アギトのパンチの衝撃で豹怪人も堪らず倒れ込む。が、即座に両手を地面に這わせ、下半身を持ち上げ膝を丸めてから両腕で大地を押し出し、更には足を伸ばした勢いで跳び上がり不意打ち気味にアギトへ飛び掛かる。

 鋭指を広げて口を開き、爪と牙をアギトの肉体へと突き立て様とするがアギトは(のが)れる処か逆に身を乗り出し豹怪人の頭を両手で左右から鷲掴みにし、突き上げた膝へと叩き付けた。それも一度ではない、二度、三度と重ねて。最後には頭を掴んだまま大回転を始め、三周目にて漸く豹怪人を手放して放り投げる。

 

『さぁ、アギト。トドメを刺しましょう』

(わかりました)

「はぁぁ…!」

 

 びたん、と地面に落下する豹怪人。積み重なったダメージで膝が震えてロクに立ち上がれすら出来ない豹怪人にアギトが大技を仕掛けるべく構えた。すると頭部にある金の角が一対から三対六枚へと展開される。ソレはまるで大いなる天使が自身の翼を広げるが如く。

 次に変化が起きたのはアギトの足元の地面に金色に煌めく紋章が浮かび上がる。ソレは雄々しき大地の鼓動、壮大なる生命の波動。大自然のエネルギーが神から所有権を簒奪し得し覚醒者により操縦され自身の身体へ流し込む。渦を描いた紋章の光が両脚から体内へと巡り、そして満たされ、一点へと集束する。

 

「───はぁっ!!

 

 ぐっと足に力を込め、地面を蹴って跳び上がる。なんとか立ち上がる事が精一杯の豹怪人に向けて大力が迸る右足を向けて飛び蹴りを放つ。回避は勿論防御すら許されず必殺の一撃が標的の胸へと撃ち込まれた。

 

【 ラ イ ダ ー キ ッ ク 】

 

「■■■■■■っー!?!?!」

 

 声にならない絶叫を上げて吹っ飛び地面を転がる豹怪人を尻目に残心を取り。胸を掻き毟り苦しみ悶える豹怪人から視線を横へとズラし、背を向けたその瞬間爆発が起こる。熱波と閃光がアギトの背中を照らし残ったのは焼け焦げた跡だけ。豹怪人は欠片も残さず消え去ってしまった。

 

『帰りましょう翔一。此処ですべき事は終えました』

「……はい。あと翔介です」

 

 

 

*1
(^U^)

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