仮面転生者ΑGITΩ 〜人類審査のオーヴァーロード〜   作:ただのファンだよ。

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新仮面ライダーSPIRITS読み始めました。
仮面ライダーZX(ゼクロス)カッコイイですね。
推しは義経さんです。

VS.フェニックス眷属戦は大幅カットして後半戦をお送りします。前半戦は原作と殆ど同じ流れですので。




抗戦

 

 

 

「ドラゴン……ショットぉ!!」

「そんな…! きゃあああああ!?!?」

 

 赤い光が地面を抉りながら突き進み、射線上に居た女悪魔が呑み込まれて連れ去られる。赤い光は自身の終着点にて最期に一際大きな花火で飾る。

 

『ライザー・フェニックス様の戦車(ルーク)1名、脱落(リタイア)です』

「……っし!!」

 

 赤い光を放った主は決戦のフィールド全体に届くアナウンスによってガッツポーズを決めて喜びを示す。

 緑の極彩色に染められた偽りの空の下、建物等の細部まで完璧に再現された学園そのものの模造品(レプリカ)を舞台に譲れない主張の元行われた『レーティング・ゲーム』が現在進行形で繰り広げられていた。

 

「やったね、イッセー君」

「……やりますね」

「へへ、おう、小猫ちゃん。それに木場」

 

 兵藤 一誠───イッセーは仲間の塔城 小猫と木場 裕斗の二人からの賞賛に笑いながら親指を立てた拳(サムズアップ)で答える。

 

「これで残りのフェニックス眷属は(キング)女王(クイーン)()()()()()()

「……比べてこちらは()()()()()()()

「このまま誰一人欠けることなくライザーの野朗をぶっ飛ばしてやろうぜ!」

 

 森林エリアにて木々の中で姿を隠したイッセー、小猫、木場の三人は僅かな休憩を挟みながら談笑していた。

 状況はグレモリー眷属がかなりの優勢と言えるだろう。連戦を重ねた事で前線の眷属達は疲労を重ねているが全員が戦闘続行可能。対してフェニックス眷属は二人、ライザー・フェニックスとその側近である『女王(クイーン)』であるユーベルーナの二人だ。しかもユーベルーナに至ってた現在グレモリー眷属の『女王(クイーン)』姫島 朱乃と交戦中だとリアスから通信があった。

 

「それじゃあ木場、朱乃さんの方は頼んだぜ」

「……頑張ってください裕斗先輩」

「うん、任せておいてよ。…そっちも頑張ってね」

「おう」

「はい」

 

 三人は二手に───イッセーと小猫は自拠点から離れ、ライザーを直接討ちに出向くリアスとアーシアに合流。そして現在ユーベルーナと魔法による空中戦を繰り広げている朱乃の元に三人の中で一番空中戦を熟せる木場が援護に向かう事なった。

 

 

 

 

 

「部長!」

「イッセーさん! 小猫ちゃん! 無事でよかったです、治療しますね」

「イッセー、大活躍だったじゃない。…良くやったわね」

「ぶ、部長〜」

「ふふ、小猫も頑張ってくれたわね」

「はい」

 

 ライザーが拠点とする、本校舎前にて合流したイッセー、小猫、リアス、アーシアの四人。リアスはイッセーと小猫の健闘を称賛の言葉を掛ける。

 イッセーはリアスの言葉に涙を流して喜び、小猫も普段無表情を僅かに変えて微笑みを浮かべる。

 

「……皆、準備はいいわね」

「「「はい!」」」

「往くわよ! 不死鳥(フェニックス)を消し飛ばしてあげましょう!!」

 

 リアスの号令に意気揚々と敵拠点に乗り込もうした直前、彼らの後方にてカッ! と眩い閃光が瞬き、遅れて爆発音が続けて数回鳴る。

 咄嗟にイッセーが振り返ると金色の稲妻が迸り、何もない空間が突如として爆発を起こして空間を彩る。

 目を凝らして視れば僅かにだが人影が三つ慌ただしく飛び交っている。

 

「朱乃さん……木場……」

 

 イッセーが心配を含んだ声音で二人の名を呼ぶ。ニ対一の状況、有利なのは二人の筈だと分かっていても心の何処かで僅かながらも二人の敗北する可能性を疑ってしまっている。

 

「心配ないわイッセー」

「部長…」

 

 そんなイッセーにリアスは心配はいらないと声を掛ける。堂々と前だけを見るリアスの横顔からは絶大な信頼が伺える。

 

「朱乃は私の『女王(クイーン)』よ、それに裕斗も付いてる。なら負ける筈がないじゃない。すぐに決着を付けて私達に加勢してくれるわ。いえ、寧ろ朱乃達よりも先に私達がライザーを倒してこのレーティングゲームを終わらせてやりましょう」

「………はい!!」

 

 リアスの言葉に今度こそイッセーは迷いを振り切り打倒ライザーにと乗り込もうした。

 

「……ほう?」

 

───その寸前、

 

「言ってくれるじゃないか……リアス!!」

 

 不意に放たれた紅蓮に彩られた炎海によって薙ぎ払われた。

 

「……くっ!」

「うぐぅ…っ」

『リアス・グレモリー様の戦車(ルーク)僧侶(ビショップ)脱落(リタイア)です」

 

 開戦を告げる一撃は敵陣営より放たれ、その一撃によりグレモリー陣営は二人を落とされた。

 VS.ライザー戦は最悪な展開から幕を上げた。

 

 

 

 

 

「消し飛びなさい!!」

 

 リアスの手に赤黒い魔力が迸る。彼女の───グレモリー家が有する触れたモノを問答無用で消滅させる“ 滅びの魔力 ”を灯した右手で擲つ様に解き放った。

 恐ろしい紅髪の女悪魔の邪気が生命───誕生と再生を司る火の鳥の一族たる魔人の頭を喰らい付き、咬み千切る。頭部を失い断面に火を燻らせる魔人。だが、両腕を組んだまま首元の火が燃え上がり失われた頭部を何の損傷も残さないまま新品同然の完全な状態で復元した。

 

「ふふ、認めようリアス。お前達を嘗めていた。レーティングゲームの公式戦は愚か、練習紛いの模擬戦すらした事がない有象無象の連中だと高を括っていた。だが、実際にレーティングゲームを始めてみたらどうだ? たったの十日でお前達は俺の眷属の殆どを打ち倒した。それもそちら側の陣営を欠かす事なく。見事だ、大したものだよリアス」

「ふん、悠長に話し始めて余裕ねライザー。それとも既に勝ったつもり?」

「───そうだ」

「ッッ! ふざけないで!? 私達はまだ負けてはいないわ!!」

 

 勝利宣言を告げるライザーにリアスを憤り再び滅びの魔力を叩き付ける。今度は質、量を最大まで高めたリアス・グレモリーの全身全霊の魔力放出だ。リアスの放った滅びの魔力はライザーの全身を呑み込んで余りある質量。

 けれど、

 

「無駄だ」

「!?」

 

 滅びの魔力が通過し、何もない空間に焔が集う。辺りで燻っていた炎、突如として発火した炎、それらが渦を描く様にリアスの目の前で一点に集結して等身大の炎塊となり、炎の中から無傷のライザー・フェニックスが再誕する。

 

「リアス、お前には俺には勝てない致命的な要因がある」

「何、個人の強さだとでも言うつもり!!」

「違う」

「…っ」

 

 ライザーの発言にリアスは食ってかかる。「自分達では束になってもライザー1人に及ばない」とでも言いたいのか、と眷属達に対する侮辱に激昂し猛り狂う。そんなリアスにライザーは真摯な目を向ける。

 其処には、決してリアスの眷属達を蔑む感情は無かった。寧ろ感嘆した様な感情すら窺い知れた。

 

()()()()()()

「……なんですって?」

()()()()()()()()()()()。それが全てだ」

「だから、それがなんだって言うの! フェニックスの不死性なら弱点はあるわ、再生出来ない程にダメージを与えれば…!」

経験だよ

 

 ライザーはリアスに向けて言い放つ。

 

「レーティングゲームだけじゃない。実戦、戦略、危機的状況の打開策、有効的な状態を活用する発想力、目紛しく変わる戦況に随時対処する応用力。全てだ、戦いにおいて必要な経験がお前には何一つとして備わっていない」

「………」

 

 絶句するリアスにライザーを組んでいた両腕の片方、右腕を解いて人差し指を立てる。

 

「一つ。ユーベルーナ……相手の女王(クイーン)の対処を始めは1人だけに任せ、後に送った増援も1人だけ。───馬鹿にするのもいい加減にしろ…!

「……ッッ」

 

 ぶわっ、とリアスに圧するライザーの怒気。全身に身の毛がよだつ様な悪寒がリアスを苛む。

 そして、

 

『リアス・グレモリー様の女王(クイーン)騎士(ナイト)脱落(リタイア)しました』

「なっ!?」

 

 無情にもグレモリー陣営にとって最悪を報せるアナウンスが拡がる。

 

「聞いたかリアス。確かにお前の女王(クイーン)騎士(ナイト)は強い。ユーベルーナ相手に良く戦ったと褒めてやろう。だが、ユーベルーナは俺の女王(クイーン)、つまりは俺の右腕、お前達の相手でNo.2の実力者だ」

「……ライザー様、只今戻りました」

「………ふん、随分とやられたな」

「申し訳ありません、想定よりも強く苦戦してしまいました。ですが、十分戦闘可能です、加勢いたしましょうか?」

「くっ…!」

()()()()

「なっ!?」

「承知致しました」

 

 衣服や肌などに魔力による火傷や切り傷を付けたユーベルーナはライザーの指示に従って後方へ、ライザー達の戦場より少し離れた地点から見守っている。

 

「……馬鹿に…っしているの……!」

 

 屈辱に震えるリアスを見て、ライザーを溜息を一つ吐いて見下す。

 

「まだ、そんな事を言っているのか? 状況を省みろ、戦力差は同じくニ対ニ、けれど全快同然の俺と傷を負ったが戦闘可能なユーベルーナ。対して? …お前達は? 俺にマトモなダメージも与えられないお前に何処に居るのかもわからない小僧。いくら凄まじい神器(セイクリッド・ギア)───神滅具(ロンギヌス)であり、時間を重ねる度に自身の力を倍にする赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の保有者といえど元がカスみたいな実力しかない雑魚。結果など火を見るより明らかだろう。だから言ったんだ、“ 馬鹿にするな ”と。俺を相手取る前に総出でユーベルーナを倒しておけば赤龍帝の小僧以外で時間を稼ぎ、その間に神器(セイクリッド・ギア)の力で力を増す事が出来た」

「!!」

 

 ライザーのリアスには思い付かなかった作戦にリアスが衝撃を受ける。自身の失敗を指摘し、より勝率の高い作戦を告げる。

 

「わかるか、リアス? お前はグレモリー家の、悪魔界の名門貴族の次期当主なんだぞ、お前の肩にはお前が想像しているよりもずっと重い責任が覆い被さっているんだ!! 自身の我儘でどうのこうの言って赦される立場じゃないんだ!!!」

「ひっ」

 

 ライザーの怒声にリアスが引き攣った悲鳴を上げた。

 完全にライザーの威圧感に呑まれてしまっている。

 

「純血悪魔を存続させ、これからの悪魔業界を引っ張っていく人材を求められている。その中にお前と、お前が産んだ子供、その更に子孫が含まれている。お前の身体だけが目的だと思っていたのか! 魔王の妹だからと其れらが免除されるとでも思っているのかッ!! 甘えるな! 貴族としての責任を軽んじるんじゃない!!」

「……っ……ッ…ぅ、ぅ…」

 

 完全にライザーに怯えている。今までに見た事のない態度、貴族として、悪魔の一族を繁栄させる者としての責任感と覚悟の差を叩き付けられリアスの心を折れ掛かっている。

 まだ、投了せずに紙一重で保ってられるのは、

 

「ふっっざけんなぁー!!?!?」

『Boost!』

 

 彼の存在があってこそだろう。

 

「イッセー…!」

「部長、お待たせしました!」

「……ふん」

 

 イッセーの登場でリアスは安堵した様な表情を浮かべる。其れを見たライザーは悟る。恐らく本人は気付いていない無意識によるモノだろうが、リアスはこの赤龍帝の小僧に縋っている。実力も、策略も、覚悟すら劣っていると知ってしまったリアス・グレモリーにはこの男しか頼れるモノが無いのだと。

 つまり、この男を───兵藤 一誠を完膚なきまでに叩きのめせばリアス・グレモリーの心は完全にライザー・フェニックスに屈服し、以後歯向かう事の無い従順な女と成るだろう。

 悪魔界の貴族内では古い価値観が今も続いている。即ち()()()()。男が表舞台に立ち、その伴侶である女は夫たる上位者(おとこ)を立てる装飾品であり、主人(おとこ)に使われる*1道具であると。

 悪魔の社交界にも何度も参加しているライザーにもその気があった。そんな風に画策するライザーに、ライザーの内心など知らずにイッセーは言い放つ。

 

「さっきから聞いてれば勝手な事ばっか言いやがって!! 部長は! リアス・グレモリーはお前の道具じゃないんだぞ!! 部長がどんな風に学園で過ごして、何が好きで、日々何考えて、どんな想いを抱いているか()()()()()()()()()()()()()()()お前の事情だけを押し付けるんじゃねぇ!!」

「!!」

「………」

「部長も言ってただろ! “ 自分の結婚する相手は自分で決める ”って、お前は最初から部長の相手に含まれていねぇんだよ!!」

 

 イッセーの主張にリアスは感極まった様に両手で口元を覆う。目尻に水滴を溜めてイッセーを見る目に熱が灯る。

 逆にライザーの目は極めて冷たいモノだった。

 

それがどうした?

「……は?」

「リアスの想い? リアスの好み? リアスの望み? ───そんなモノに何の意味がある」

「──ッ!! テメェ……!!」

「貴族として産まれたのならその責任を果たせ、自由婚など貴族の女として産まれた以上望む事がそもそもの間違いだ! 恨むなら生まれた時から責任を背負う事になった自身の産まれを恨め! 個人の理想など地位の無い市民や人間にでも食わせておけ!!」

「ッッ!? ライザァァアああアぁアァァあア!?!!」

Explosion(エクスプロージョン)!!』

 

 赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)から機械的な効果音が鳴り、その能力を起動させる。積み重ねた回数の『倍化』が解き放たれイッセーの全能力(ステータス)を底上げする。

 

───その数、なんと()()()

 

 其れは単純に素の能力×12という訳ではない。素の能力の倍(×2)の倍(×2)の倍(×2)の倍(×2)の倍(×2)の倍(×2)の倍(×2)の倍(×2)の倍(×2)の倍(×2)の倍(×2)の倍(×2)

 此れ即ち、イッセーは本来の4096倍の力を時間制限付きだが手に入れたのだ。

 

「がっ!?」

「オオォォ……!!」

 

 ライザーの腹部にタックルを仕掛け、そのまま空間の天井に衝突した。

 今のイッセーには地面を力一杯蹴った跳躍だけで大砲超えの威力を引き出せるのだ。

 激突した衝撃でイッセーとライザーが離れれば、イッセーは蝙蝠の其れに似た悪魔の羽を、ライザーは火の鳥(フェニックス)特有の噴き上がる炎の翼で飛翔する。

 

「おおぉりゃぁぁあ!!」

「…チィッ!! 侮るなよ下級悪魔風情がぁぁ!!」

「ぐぶっ」

 

 羽を使って慣れないながらもライザーに向かい真っ直ぐ飛行して右拳による弾道跳びパンチをライザーは右目を中心に顔面に受け、抉られた様に消し飛ぶ───が、ものともせずに反撃のボディブローをイッセーの鳩尾に突き刺し、拳を振り切って殴り飛ばす。

 山形(やまなり)の曲線状に大きく吹っ飛び、反対側の旧校舎端の屋根を打ち砕いて地面に墜落した勢い余って滑る。

 

「うっ……ぐぅ…っ」

「イッセぇぇ!?」

「ッッ!?」

「墳ッッ!」

 

 拳を受けた鳩尾、旧校舎にぶつけた背中、石や砂の地面を滑った擦り傷等の痛みに呻いていると上空から半分悲鳴の様なイッセーの身を案じるリアスの声に即座にその場を離脱、直後にライザーに火炎攻撃が地面を炙った。

 火炎を浴びた地面が赤熱化し、マグマの様にどろりと融解している。つー、と冷や汗が流れるも、即座に立ち上がり身構えるイッセー。

 

(なんだよアレ!? あんなのマトモに受けたら最悪…死ぬ? ッッ! 怯むな兵藤 一誠!俺がやらなきゃいけないんだ、木場や小猫ちゃん、朱乃さんやアーシアの代わりに!!)

「ふん。流石に俺の、フェニックスの灼熱の炎がどれ程危険かはわからない程鈍くはない様だな」

「うるっせぇ! テメェのチンケな炎で焼かれるかよォォ!!」

 

 地面を蹴って殴り掛かるイッセー。

 右拳で頬を殴り、左フックを横腹に、再度右拳で顔面を殴打してから勢い任せに回転、左裏拳で同じ箇所を追打。そのまま勢いの乗った赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を纏う右拳の叩き付ける。

 旧校舎に突っ込み、衝撃で崩れた木材や瓦礫にライザーが覆い隠される。が、直後に豪火により瓦礫が焼かれて消し飛ばされ、続けてイッセー目掛けて火炎が放射される。

 迫る火炎放射を横っ飛びに躱し、地面に伏せるだなんて致命的な隙を晒す訳にいかないと受け身を取って前転、伸ばした手に触れた木片───角材*2を視界に入れた瞬間に掴み取り、槍投げの様にライザーに投げ付けた。神器(セイクリッド・ギア)の能力で肉体派の最上級悪魔級の超人的身体能力に到達しているイッセーが投げた角材はライザーの視力でも捉える事が出来ず右肩に突き刺さり旧校舎へと縫い付けた。

 

「チッ、こんな物…」

「ドラゴォォン……」

「!? キサ」

 

 左腕を突き出し、掌の中に赤い球体が形成されている。大きさは凡そピンポン玉程。それはイッセーの体内を流れる魔力を放出し固めた物。見るからに頼りないサイズの姿だがその実、内包している魔力量はとんでもない。元より保有している魔力量が少なく、魔力を扱う才能も欠如しているイッセーには力一杯解き放ち、有るだけ込めるなんて単純な扱いしか出来ない。故にこの極小の魔力玉にも一息で込められただけの魔力がフルで詰まっている。

 其れを赤い龍の腕で覆われた右腕を出来る限り振り被って、

 

「ショッッ……トオォォ!!!」

 

 ───殴り付けた。

 打ち出された魔力玉は右拳から離れた直後に、その殻を破り全貌が露わになった。

 

「うわっ!?」

「キャッ!!」

「なにィィ!?!」

 

 解き放たれた赤龍帝の魔力、その真の姿は人一人丸ごと呑み込める───なんてチャチなモノでは断じてない。

 直径、約17メートル。大玉なんて陳腐な呼び方は出来ない、まさに龍の息吹(ブレス)の如き巨砲が発射され、放ったイッセー、更には離れた場所から見守っていたリアスにまで発射されただけの余波に襲われ、木端の様に吹き飛ぶ。

 

「ぐ、ぐおおおおおおお!?!?!」

「ら、ライザー様ぁ! ッッあああああ!?!?」

 

 当然発射先のライザーにもとんでもない厚が掛かり、絶叫を残して赤い爆裂の中心点と化す。ユーベルーナがライザーの身を案じて助け出そうとするが魔力の波動により結界を張ったが、それでも余波に敵わず吹き飛ばされた。

 

 

 

 

『ライザー様の女王(クイーン)脱落(リタイア)です』

 

「……ッッ、うぅ、ごほっげほっ!」

 

 旧校舎が、更には新校舎ですら余波に晒され倒壊し、更地となったフィールドでイッセーがアナウンスの音に意識を取り戻し、咽せながらもなんとか起き上がる。気を失ってる間に神器(セイクリッド・ギア)も解除されたのだろう右腕が普通の腕に戻っていた。

 辺りを見渡せば離れた地点でリアスも意識を取り戻したのだろう頭を押さえながらも上半身を起き上がらせていた。

 

「ぶ、部長。や、やりましたよ。俺、勝ちました……!」

 

 ふらつく脚で立ち上がり、リアスの元へと向かおうとする。リアスもイッセーに気付いたのだろう。慈しむ様な目を向け、

 

「───イッセー」

 

 直後に、驚愕に、目を見開き、

 

「───後ろ!!!」

 

 叫んだ。

 

「え?」

 

───おの…れぇ…ッ、クソ…ガキぃぃ……!?

 

「ガッ!?」

 

 背後から聞こえる掠れた怨霊の様な声に反射的に振り返り、直後に首を鷲掴みにされ持ち上げられる。

 イッセーの足が地面から離れて宙に浮く。

 

「あ…が……ぐ…ぅ……」

「はぁ……はぁ……、今のは…流石に、ダメかと……思ったぞ」

 

 ()()()()()。再生が追いついておらず身体のあちこちに炎を燻らせ片腕しかない、けれどイッセーの首を掴み持ち上げられる程度には余力を残したライザーが其処に立っていた。あの魔力の攻撃を受けて、尚彼は耐え抜いた。全身全霊で炎を威力の削減と自身の防禦に回し。再生し切れない程のダメージを負っても彼は敗北しなかった。

 それが結果で、それが全てだ。

 

(そん、な。……コイツ、ま…だ……く、そ。…い…き……が)

「赤龍帝……兵藤、一誠。貴様は……危険、な…存在……だ。此処で殺し、て………やる…!」

「ま、待って! お願いライザー、待ってぇ!!」

 

 炎は再生に回している為、腕に力を入れてイッセーの首をへし折ろうとするライザーにリアスが懇願する。脚に力が入らないのかイモムシの様に地面を這いながらもライザーとイッセーの元へ向かおうとしている。

 ライザーはそんなリアスに片方を未だ再生中の目を向ける。

 

「ぶ……ちょ…う…」

「お、お願い。お願い…します…、命だけはイッセーの命だけは助けて…ください」

 

 伏せる姿勢のまま、額を地面に擦り付けて懇願するリアス。

 ライザーは誇りを捨てて乞い願うリアスの姿に、イッセーを手放した。

 

「がはっ、……ごほぉがほぉ……オエッ」

「イッセー!」

「動くな」

「ガッ」

 

 ライザーの手より解放されて地面に横たわるイッセーに寄ろうとするリアスにイッセーを頭を踏み付ける事で制止させる。

 

「リアス、この小僧を助けたいか?」

「……い、イッセー」

「どうなんだ?」

「………は、はい」

「なら、頼む者としての態度と礼儀があるんじゃないか? ───立て、そして俺の元まで来い」

「…え? そ、そんな」

 

 脚に力が入らない今のリアスには無茶な命令。けれどライザーはヤレと言う。

 

「どうした? 言っておくが、今の状態でもこんな下級悪魔を殺す事など訳ないぞ」

「ひっ、やります! だからイッセーを」

「ぶ…ちょ、う。やめて…くだ、さ…い」

「お前は黙ってろ!」

「ぐ…あああ……!」

「イッセー!? やめてライザー!!」

「お前次第だ」

「ッッ」

 

 両手で地面に触れ、自身の身体を起き上がらせようと力を入れるリアス。必死だろう、歯を食いしばり、全身がぷるぷると震え、額に脂汗を浮かべながらも全力でライザーの指示を完うしようとする。

 イッセーは悔しさから涙を浮かべる。守ろうとした人が、主が───女性が逆に自身を守る為に必死になっている。普段は誇り高く、威風堂々として凛とした美しい人が、見る影もない程無様になりながら。

 

「ちく……しょう……」

 

 イッセーの恨み言をライザーは聞かなかった事にし、リアスが震えながらも立ち上がる事に成功するとイッセーの頭から足を離して、イッセーを蹴り上げ仰向けにする。

 

「そこで見ていろ。諦めが付く様に…な」

 

 ライザーは敢えてイッセーの意識を残した状態で放置し、リアスが自身の元まで来るのを待った。

 1分か、10分か、或いは1時間以上か。時間を掛けてライザーの目の前まで進んだリアスの顎を完全に復活した状態のライザーが右手で掴み取り、視線を合わせる。

 

「さぁ、リアス。後はもう、言わなくてもわかるだろう? 全てを自分の口から告げるんだ」

「………っ」

「どうした? まだ躊躇うのか───コイツがどうなってもいいのか?」

「待って! 言う、言うわ!!」

 

 口を閉じるリアスにライザーはイッセーに向かって左腕を向け、掌に炎を灯らせるとリアスが止めに入る。

 

「……ごめん、なさい……イッセー。不甲斐無い私の為によく頑張ってくれたわ。“ ありがとう ”って、皆にも伝えてくれるかしら」

 

 やがて観念した様にリアスは言葉を紡ぎだす。

 

「私の負け、よ。投了(リザイン)……します。どうか、貴方の伴侶と…してください……っ」

「部長……ッ」

 

 敗北、そしてライザーとの結婚を承諾宣言。

 こうしてライザーとの……グレモリー眷属の初レーティング・ゲームはこうして終わった。

 

「……く……ょ…ぅ……!」

 

 ポワ、ポワ、と泡の様な光が視界内に映る。それは自身の身体から発せられていた。レーティング・ゲームの終結による転移の光だ。

 段々と視界内を光の泡が埋め尽くしていく。

 

「ち……く……しょ……う…!」

 

 足や手の先から段々と転移が始まり、繋がっているのに別の場所にある様な不思議な感覚がする。

 

「ちく……しょう……!」

 

 両腕、そして下半身が既に転移を終え、胸から上だけがフォールドに残る。それもすぐに終わる。リアスとライザーは既に転移を終えてフォールドに居ない。イッセーだけだ、今この場に居るのはイッセー只一人だ。

 

「畜ッ生ぉぉお!!!」

 

 イッセーの叫びは誰の元へも届く事なく、誰も居ないフォールドと共に破棄された。

 

 

 

 

 

 

 

───「そこで見ていろ。諦めが付く様に…な」

 

 誰が、諦めるか…!!

 

───「“ ありがとう ”って、皆にも伝えてくれるかしら」

 

 部長、その言葉は部長の口から皆に言ってください。

 

───「畜ッ生ぉぉお!!!」

 

 嗚呼、そうだよ。まだ、終わってねぇ!

 部長、ほんの少しだけ耐えてください。

 

 

───俺が、助けに往きます!!

*1
性的な発散や子孫を残すという意

*2
屋根に激突した際に飛び散った物だと思われる




戦績
イッセー:騎士1、戦車1、兵士2
小猫:戦車1
裕斗:騎士1、兵士3
朱乃:僧侶1
リアス:0(司令塔に徹していた為)
アーシア:0(リアスと同伴)


兵藤 一誠
原作と同じくレーティング・ゲーム記念すべき初戦を敗北で終えた系H ERO。
実は原作と違い洋服破壊(ドレス・ブレイク)を習得していなかったりする。
理由としてはアーシアが練習に付き合ってくれなかった+戦士としての理想像が無くてエロい妄想により身に付けた技だが今SSではアギトという理想像があるのでそもそも発想すら至らなかったていうのがある。割合としては3:7くらい。
ただし、その分神器(セイクリッド・ギア)の扱いが上達し、原作より倍化状態を維持出来る時間が大幅に上昇した。
原作で倍化三回(素の8倍)で上級悪魔クラスってレイナーレ言ってたけど、合宿の裕斗きゅんとの模擬戦やと予め十二回分の倍化をして翻弄されてたし魔力攻撃も軽々と躱されてたけど上級悪魔もピンキリなのかな? それともレイナーレが見誤ってただけ?どっちでもいいや、我しーらない(無限龍並感)

リアス・グレモリー
二巻編のヒロイン(曇らせ要員)。ちゃんとハッピーエンド用意してっから見とけよ見とけよ。
曇らせからのハッピーエンドはやっぱり、最高やな! これが一番良く脳内にキマるんだよ、ウヒヒヒヒ(愉悦顔)

愉快なグレモリー眷属達。
特に記す事……ナシ!(無情)
三巻編ではちゃんと書くから。前々から何度かHSDDの二次創作投稿してるけど毎回二巻編だけモチベが上がらなくて行き詰まる。二巻編をしっかり(?)書いたのって今回が初な気がする。

ライザー・フェニックス
ぼくがかんがえたいちばんきぞく?なひよこへあー系ライザー。
原作だと純血悪魔がどうとかを建前に完全にリアスの身体目的のクズ男。髪型ヒヨコでファッションセンスがホスト、しかも女好きのクズ男。オマケに他人が羨むからってだけで実の妹を眷属入りさせるとかコイツどんだけ業重ねるんだマジで。豪火だけに(激うまギャグ)
ただ、後の巻だとイッセー似の熱血漢になったり、不死生を無効化された妹が攻撃された時は相手が尊敬している人物だとしても本気でブチ切れたり根っこの所は憎めないキャラだったりする………のかな?
今SSでは貴族である事の責務を全うする事に執心してたりする。但し自身の目的の為なら他者の意思など知ったこっちゃないなんて感じの迷惑貴族に。作者の古い貴族への偏見に原作ライザー君を加えた様なキャラクターと成りました。
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