仮面転生者ΑGITΩ 〜人類審査のオーヴァーロード〜   作:ただのファンだよ。

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本日二話目の投稿です。
未読の方は前話からどうぞ。







使者 Brave Saint

 

 

 

 何故、主はΑGITΩを憎むのか…?

 

───それはΑGITΩが善や悪では計りきれない罪の権化である為だ。完全であった原初の人間が、神の別れ身の一つから光を奪った。そして純白の人間に黒い汚点(かげ)が産まれた。

 人が罪を重ね、悪虐をなし、邪なモノに魅入られるのは人間の中に、その魂にヒトには過ぎたチカラ───ΑGITΩの因子(タネ)が眠っているからだ。故に天上の主は我々に試練を課す、苦難と重責による試練の中でΑGITΩの因子(タネ)を根絶させた者のみが主の使者達に掬い上げられ楽園に至れる。

 

 凡そ二十年前。現代まで続くΑGITΩに蝕まれた人類に哀れみを懐いた神により、原初に創造なされた始祖天使によりΑGITΩの因子を色濃く宿した人間を直接救う(■す)という救済が行われた。現代にて我々を導くヒトの形をした天使達は悪魔や堕天使などの他の勢力を抑え込む為に総動員し、日本の地上から去った。

 たが愚かにもΑGITΩの因子を芽吹かせた罪人の手により多くの始祖天使が葬られ、仕舞いには神の指示により天上に帰還なされた。我々───教会の人間は怒り狂った。何故主の御意志に背く? 何故主の御手を跳ね退ける! 何故己が間違っている事に気付かない!?

 始祖天使が地上から去った時より、彼らの声を聴いた者は居ない。偉大なる熾天使の長ですらだ。神は失望なされた、始祖天使は沈黙なされた。───ならば今度は我々(ニンゲン)の手で我ら(ΑGITΩ)の罪を拭わなければならない。我々自身の刃で背徳者なるΑGITΩを裁く事で我々の信仰を示すのだ!!

 故にΑGITΩは滅ぼさねばならぬ。

 例外は無い。友であろうと、家族であろうと、恩師であろうと、人の愛より、神の愛の方がより重く幸福であるが故に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ああ、チクショウ。どうしていつもそうなんだ…!どいつも、こいつも、彼女に押し付けやがるッ!

 何が罪だ、何が背徳だ、何が間違いだ! なんでお前らが否定できる! お前らが何を知っている! どんな目に遭って、どんな思いをして、どれだけ想っているかわかんのか!!

 “ あの人 ”は此処に居ない、“ あの人 ”は信じて預けてくれてるんだ。だったら俺達が守らなくちゃいけない。(イッセー)じゃあの娘(アーシア)の救世主には成れない、でも仲間(おれたち)なら護ってあげられる!!

 リアス部長が立ち上がり、朱乃さんが目を細める、小猫ちゃんがいつでも動ける様に身構えている。グレモリーは慈愛と情の深い悪魔、俺達(グレモリー眷属)は仲間を見捨てない!

 

「表出ろ、ぶっ飛ばしてやる」

「……いいだろう。今代の赤龍帝がどれだけの脅威か測るのに丁度良い機会だ」

 

「───僕も混ぜて貰えるかい?」

 

 いつの間にか扉に背を預けていた木場が、鋭い目付きに溟い光を灯して其処に立っていた。

 

 

 

 

 

 

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 事の始まりは、二人の()()()使()()がこの町の管理者である部長の元に訪ねてきた事だって。

 

「………」

「やっほー、イッセーくん♪」

 

 青い髪に一筋の緑のメッシュが入った仏頂面の女と、栗毛を長髪をツインテールに結んだにこやかに笑って俺に手を振る……幼馴染だった女の子。二人共、白いローブで身体を隠して顔だけを露わにしている。

 二人は正門から堂々と学園関係者の悪魔と接触し、部長に面談を申し出た。部長は二人の面談に応え、こうして話し合う場を設けた。今、俺達は長机を挟んで向かい合うソファにそれぞれ分かれて対面している。教会からの使者二人で一つのソファに座り、此方は部長のみがソファに座って俺達リアス・グレモリー眷属は部長の後ろに控えている。

 

「今回は会談を受けていただき感謝する。私の名はゼノヴィア

紫藤イリナよ」

 

 青髪の娘がゼノヴィア。栗毛の女の子がイリナ。

 

「知っているでしょうけどこの町の管理者、リアス・グレモリーよ」

 

 部長の言葉にゼノヴィアは小さく肩をすくめ、イリナは変わらずニコニコと笑みを浮かべてる。

 

「それで、貴女達の様な神に仕える信徒が私達悪魔相手に直接会いたい……だなんてどういった要件なのかしら?」

 

 余裕を持って訊ねる部長にイリナが応えた。

 

「教会が保管していた六本の聖剣エクスカリバー。その内の三本が堕天使によって奪われました」

 

 驚く俺達を他所にイリナに代わってゼノヴィアが続ける。

 

「我々はその堕天使がこの町に潜伏しているという情報を掴んだ。私達は奪われた聖剣奪還の為に遣わされた教会の戦士だ」

「………それで? 私達への要求は何かしら? 協力の申し出なら望んだ答えは得られないと思うわよ」

「まさか。今回の事件は我々、教会と堕天使の問題だ。故に貴女達には今回起こる事に一切の不介入を貫いてほしい。仮に堕天使と結託されたら面倒だからね」

「………」

 

 うおっ、部長から一瞬だけ怒気の様なのが発せられた。俺にも伝わったんだ当然へ感じ取った筈なのにゼノヴィアやイリナからは特に動揺した様子はない。

 

「結構な物言いじゃない。私達が、堕天使と手を組むと?」

「教会の手から聖剣が離れるというのは貴女達悪魔にとって得しかないじゃないか。利害の一致、というものだよ」

 

 部長が押し黙った。ヤベェ、本格的にキレかけてる…!?

 

「もしも、そうもしもだ。貴女達が既に堕天使と協力関係にあるのだとすれば……私達は貴女を斬り、完全に消滅させる。例え、魔王の妹だとしても、ね」

「へぇ、そこまで調べていたのなら私から言う事は一つだけ、私が堕天使と手を組むことはあり得ないわ、悪魔の世界の高貴なる者として魔王様の顔に泥を塗る様な事は赦されない」

「その言葉が聞けただけで来た甲斐があるというものだよ」

 

 腹の探り合いは終わったのか緊張していた空気感が僅かに緩まった。

 すると部長は呆れた様な様子で使者に向けて言い放った。

 

「それにしても、たかだか三本の聖剣の為に悪魔と戦争を始める気? 正気の沙汰とは思えないわね」

「それが上の、延いては主の意向さ。なら私達は従うだけだよ、それに我々からすれば悪魔は常に討伐対象だ、戦争ならいつ起きても構わない心構えがある」

「あらそう? それは楽しみね」

 

 部長とゼノヴィアがクスリと微笑んだ。

 こ、怖ぇ〜。話の内容が物騒すぎる。

 

「ああ、それと一応聞かせてもらいたいのだけれど。今回の騒動の首謀者を」

「……そうだな、確かに伝えておかなけばフェアではないね。教会から聖剣を強奪したのは『神の子を見張る者(グリゴリ)』の幹部、『コカビエル』だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 話に決着が付き、ゼノヴィアとイリナの二人が席を立った。

 

 ()()()()()()()()()()()。余計な事なんか言わずにさっさと立ち去ってくれればアーシアが悲しむ事はなかったんだ。

 なのに……奴らは……!

 

 

「───そこに居るのはアーシア・アルジェントではないか?」

 

 

「………え?」

 

 突然、話しかけられたアーシアはまさか声を掛けられるとは思っていなかったのか困惑した様子で答えた。

 

「え…っと、その、……はい」

「あ、ホント」

「これは、驚いたな。まさかこの様な場所で出会うとはね」

 

 イヤな予感がした。それ以上口にするなと、言いそうになった。後になって思えば、あの時言うべきだったんだ。

 

「教会の()()()、イヤ、()()()

「──」

 

 ショックを受けた様にアーシアが俯いた。

 

「教会を追放された挙げ句に悪魔と成ったとは落ちる所まで堕ちたか」

「……あ、あの、わ、わた、し…っ」

「そういえば、噂に聞いたのだが。この町にはΑGITΩが居るそうだな」

「!?」

 

 びくり、とアーシアの身体が震えた。制服のスカートの裾を両手で握る指に力を込めて震える身体を誤魔化している。アーシアは必死に、動揺を隠そうとしていた。

 

「まさか、その反応は」

 

 だけどゼノヴィアにはアーシアの抵抗など通じず、逆にアーシアの行動から察した。

 

「………ハァ、失望───といっていいのか、今の心情を表せる言葉を私は持ち得ない。まさか、教会の人間が悪魔と成っただけでなくアギトとまで関係を持っていたとはな」

「え、ウソでしょ?」

 

 ゼノヴィアの言葉にイリナが信じられない様なもの見る目をアーシアに向けている。

 

「……っ、ッッ、……!」

 

 つー、と俯いたアーシアの頬を水滴が流れる。

 ───ッ!! コイツ、アーシアを泣かしやがった!?

 叫び出しそうになる俺を小猫ちゃんが止めた。咄嗟に小猫ちゃんに目を向ければ、其処には下唇を噛み締めながら怒りを堪えている様子の小猫ちゃんがいた。……そうだ、小猫ちゃんもアーシアとは仲が良かった。楽しそうに笑うアーシアに小猫ちゃんも微笑みを向けて、大好物のお菓子を分け合っていた。

 小猫ちゃんも耐え難い怒りを抱えているそれでも我慢しているんだ。悪魔と教会、その関係に、膠着状態となっている現状を変えてしまうかもしれない故に。

 

「君は、我々にとって恥だ。主だって信徒が君の様な売女が聖女と呼ばれていた事に我慢ならない筈だ」

 

 黙れよ。

 

「あろう事かアギトを相手に。それならまだ其処らの人間を相手に腰を振っていた方がまだ許せたさ」

 

 黙れ…!

 

「今この場でクビを晒すといいアーシア・アルジェント。せめてもの慈悲だ、ΑGITΩにより穢されたその身体を私が斬ってやろう」

 

 ッッ、黙りやが──。

 

「謝ってください!!」

「……なに?」

 

 部長も、朱乃さんも、小猫ちゃんも、当然俺もアーシアに目を向けた。初めてだった、アーシアが声を荒げたのは。キッと涙を流す瞳でゼノヴィアを睨み付けてアーシアが叫んだ。

 

「あの人を、ッッアギト(シ■ー■■)さんを侮辱した事を今すぐに謝ってください!!」

「なにを」

「あの人は私を救ってくれました! 私を友達だと言ってくれました!! 私の為に戦ってくれました!!! あの人は───()()()()()()!! だから私の声に応えてくれたんです! 祈っても応えてくれなかった主とは違って!?」

「───貴様、主を侮辱するのか」

「先に侮辱したのはアナタの方です! 主が私達に言葉を授けてくださいましたか!? 主が私達の祈りに応えてくださいましたか!! 主は、私達の事など見てはおられないんです……っ!!」

「ーーっ!」

 

 アーシアの訴えにゼノヴィアの我慢が限界を迎えた。白いローブを脱ぎ捨て、術式が施された布に覆われ威光を封じられていた聖剣が露見する。其れは、広く、重く、剣と呼ぶには些か厚みのある大剣だった。

 

「よく吠えた、魔女アーシア・アルジェント。ならばこのエクスカリバーが一振り、破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)に斬り捨てられる覚悟は出来ているのだろうな!」

「……っ、…!」

 

 抜かれた聖剣、その聖の波動に晒され、身体を炙られる様な痛みと本能が訴える悪寒に苛まれる。たが、それでもアーシアは強く、決して屈するものかと崩れそうな脚で踏ん張り、ゼノヴィアを睨み返す。

 

「───そこまでよ」

 

 ゼノヴィアが聖剣の柄に両手を添え、振り上げようとする直前に紅髪の女主人によって制止させる。ぴたりと硬直し、言葉はなく目だけをリアス・グレモリーに向ける。

 

「貴女達が先程言っていた言葉と今為そうとしている行動はつり合っている様には見えないのだけれど? それとも私達(あくま)を敵に回すつもりなのかしら?」

 

 優雅にソファから立ち上がり、凛とした態度でアーシアを庇う様にゼノヴィアの前へ。

 

「アーシアは私の可愛い眷属。それに手を出す事の意味が使者として送られた貴女ならわかると思っているのだけれど、実際は……どうなのかしら?」

「………ふぅ、確かにアナタの言う通りだ。謝罪しよう、少し頭に血が昇っていた様だ」

「おい」

 

 口にした言葉とは裏腹に一切悪怯れる様子はないゼノヴィアに俺が声を掛ける。ゼノヴィアは俺に視線を向けるが、それだけで何も言葉にはしない。

 

「部長にもそうだけどアーシアにも謝れよ」

「イッセーさん……」

「断る」

「なっ!?」

 

 俺の要求を切り捨てるゼノヴィア。ゼノヴィアはリアス部長に目を向けて、

 

「失礼する」

 

 この場から立ち去ろうとするゼノヴィアの前に立ち塞がる。ゼノヴィアは目を細め、攻める様な視線を向けてくる。

 だからなんだ…!

 

「待ちやがれ…!」

「イッセー、お止めなさ──」

 

 部長が止めようとする声を心の中で謝りながら無視して言い放つ。

 

「表出ろ、ぶっ飛ばしてやる」

「いいだろう。今代の赤龍帝がどれだけの脅威か測るのに丁度良い機会だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アーシア・アルジェント
最愛の人を馬鹿にされてブチギレ系シスター悪魔っ娘。
ただ後になって一人になった時、翔介と関係を持った(詳細はわかってはいない)事を妄想してによによしていたのは秘密。
おい、案外したたかだぞこの娘。

ゼノヴィア&紫藤 イリナ
こんな描写しつつも読者から反感を抱かれないか心配な二人組。
マジですまぬ、全部終われば好感度上げてみせるから許してクレメンス。
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