仮面転生者ΑGITΩ 〜人類審査のオーヴァーロード〜   作:ただのファンだよ。

17 / 40
本日二話目の投稿です。
未読の方は前話からどうぞ。





連合 Blake the Holy sword

 

 

 

「えー、迷える子羊にお恵みを~」

「憐れな私たちにお慈悲をぉぉ……!」

「ええぇ」

 

 困惑した声を漏らす翔介。

 休日、今回はアーシアと一緒ではなく一人で町を歩いていたら白いローブに身を包んだ不審者が二人居た。一人は一切の感情が込められていない無機質な声で、もう一人は悲壮感をたっぷり詰め込んだ悲嘆の叫びで。正反対の二人だが、共通点がいくつか。

 二人共、そこそこ強い力を秘めたナニカを所持している。そして、この二人の気配自体は翔介に覚えがあった。昨日、更に一昨日と学園にやってきた外来の者。リアス・グレモリー達との接触にて──1度は戦闘に至った様だが──全員無事だった為に干渉する事はなかった二人だ。

 

「………」

 

 じっ、と離れた所から二人を見つめる。種族は人間。だが二人に染み付いたイヤに感じる程の清涼感、以前出会ったばかりの頃のアーシアに有った気配(ニオイ)。信仰───或いは“ 天使 ”のソレ。

 アーシアの言っていた教会の人間だろうか? なら無闇に関係を持つべきではないな、と判断した翔介は二人を無視する一般人に紛れる様に通過した。

 

「………」

「ゼノヴィア? どうしたの?」

「……いや、気のせいだろう」

「だったら貴女も路銀集めに集中してよ、このままじゃ今日の宿どころか食べ物一つ買えないのよ!」

「むっ、それは君が───」

「なっ! なんて事を言う───」

「ーーー!!」

「ーーー!?」

 

 なんか喧嘩し始めたぞアイツら。

 

 

 

 

 

■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪

 

 

 

 動き難い神父服に修道女服に身を包み、夜の駒王町を歩く。

 隣には同じくコスプレ衣装を着込んだ仲間達。木場、小猫ちゃん、グレモリー眷属ではなく部長の友人で生徒会長の眷属の(さじ) 元士郎(げんしろう)。それと俺こと兵藤 一誠の4人。

 俺達の目的は教会から奪われた聖剣を所持し、駒王町を徘徊しているクソ神父のフリード・セルゼンを誘き寄せる事。フリードはこの町で夜な夜な神父狩りをしているという情報を掴み、ゼノヴィアとイリナの二人───()()()使()()()()()()()()()()()により合同の聖剣破壊作戦を遂行中だった。

 教会の使者である二人の目的は堕天使に聖剣を渡さない事、木場の目的は聖剣を破壊する事。フリードが持っている聖剣を木場が破壊して、二人は最低限聖剣の核である破片だけ回収出来れば良い。互いに妥協さえすれば目的は一致する、ということで俺達駒王町の悪魔と教会の使者は一時的な同盟を結んだんだ! ………俺達グレモリー眷属は部長、匙は生徒会長に内緒で。

 

「……はぁ、このままだと今日も収穫はなしか?」

 

 匙が少しだけ疲労した様子で呟く。

 『偽聖職者でフリード誘き寄せ作戦』を開始してから数日が経過した。学業、そして表の部活動(匙は生徒会として活動)を終えてから部長や朱乃さん、それにアーシアには内緒で集まり町中を歩き周る。なるべく人気のない所を選んで、且つフリードの襲撃に常に警戒しつつ。最初は兎も角、数日と続くと流石に精神的に疲労が溜まる。言葉に疲れを滲ませている匙は勿論、普段無口な小猫ちゃんや先頭を歩く木場の背中からも僅かに焦燥感の様な雰囲気を感じる。

 

「……!」

「……裕斗先輩」

 

 急に歩みを止めた木場、続けて小猫ちゃんも何かを感じ取ったみたいで。そして最後に俺と匙が感じた。

 これは……殺気!?

 

「上だ!?」

 

 匙が叫び、俺達全員が上を見上げる。

 

「ヒィィーーッハァーー!! 神父サマ御一行発見ー!」

 

 聖剣を携えたフリードが空から落ちてきてそのまま聖剣を振り下ろしてきた。

 慌てて回避しようとする俺と匙、それに小猫ちゃんとは別に木場はいつの間にか握っていた魔剣で防いだ。刃同士がぶつかり引き裂く様な金属音が響く。

 

「フリード!」

「おやぁ…? その声はぁぁ、いつぞやのツンツン頭の悪魔君ではごぉぉぜぇませんかァァ? クソみたいなトカゲパゥワ〜高まってるゥ?」

 

 相変わらず言動がムカつく奴だ!

 フリードは木場と数回切り結び、木場の魔剣を打ち砕いてから剣を振るう。が、切り裂いたのは木場の着ていた神父服のみで、直前に後ろに退がった木場には当たっていなかった。乱暴に神父服を脱ぎ捨てた木場の手に再び魔剣を生み出される。

 俺達も神父服を脱ぎ捨て、制服姿になって木場に並ぶ様に位置取る。俺の左腕に神器(セイクリッド・ギア)を発動させ、小猫ちゃんも愛用のグローブを装着している。

 そして匙は、

 

「へへ、じゃあ俺の力───神器(セイクリッド・ギア)の御披露目と行くか!」

 

 匙の手元、手の甲に黒いデフォルトされた様なトカゲの顔らしき物が装着される。アレが匙の神器(セイクリッド・ギア)か…?

 

「いくぜ……っ! 伸びろ、ラインよ!」

 

 バシュッ、と匙の神器(セイクリッド・ギア)から一本の触手が伸びる。トカゲ頭の神器(セイクリッド・ギア)から発射された舌の様な……匙曰く『ライン』はフリードを一直線に狙う。

 

「きえぇぇ〜! 気色悪りぃ〜!!」

 

 迫る(ライン)を聖剣で払い除けようとするが、するりと聖剣の刃を躱してフリードの右足に結び付く。

 フリードは聖剣を叩き付ける様に振るうが匙の神器(セイクリッド・ギア)(ライン)は切れる事なくフリードの足に絡まったままだった。

 

「そいつは簡単には切れないぜ。木場ぁ! 今の内に存分にやっちまえ!!」

 

 フリードの身動きは封じられた!

 やるじゃねぇか匙!

 

「ありがとう! フリード、覚悟っ!」

「確かにこれは骨が折れそうですなぁ。オマエも殺す☆ 他のクソ悪魔もKO☆RO☆SU♡ 全員斬バラバンにしなきゃいけないのがツレェ所ですわぁ、覚悟はいいかい? オレちゃんは出来てる♡」

 

 足を止められたというのにフリードはいまだに余裕を持った様子で木場と斬り合う。自慢のスピードを活かして高速戦闘を仕掛けている木場が有利な筈なのに戦いは互角に見えた。

 

「おほ〜、殺気をビンビンに感じますなぁ〜! もしや下の剣もカッチカチですかな? でも残念〜」

 

 破砕音。木場が握る魔剣の刀身が木っ端微塵に成る。

 

「──ッッ」

「チミの魔剣や下の剣よりオレちゃんの聖剣の方がギンギンなんですわぁー!! あ、それとオレちゃんの下の剣ももッッッのすんごい名刀ですよ。何人の女を泣かせてきまちたからねぇ〜」

 

 前後に腰を振った下品な動きをするフリード。……ッ、嘗め腐ってやがる!! 目の前の木場は勿論、俺や匙に下ネタが苦手な小猫ちゃんまでも表情が険しいものに変わっている。

 それに、わかっちゃいたけどやっぱり聖剣の力は強力みたいだ。木場の魔剣があんなあっさり砕かれるなんて。

 

『Boost!』

「これで四回目。木場! 譲渡するか?」

「まだやれるよ!」

 

 俺のサポートを拒否して木場が再び仕掛ける。

 ……っ、自分自身の力だけでエクスカリバーに勝ちたいっていう気持ちはわからなくはないけど俺達を頼ってくれよ木場。

 

「ハァ!」

「おやおや? お仲間くんの助けは要らないんのかい? 君一人がいくら頑張っても無駄だと思うけどなッ!」

「くっ、嘗めるなぁっ!!」

「無駄だった言ったんでしょがい!!」

「ぐわぁ!?」

 

 ! マズイ!?

 フリードが振り上げた聖剣が聖なるオーラを纏い、素早く振り下ろす。木場は瞬時に防御の為に堅牢な魔剣を創造して盾代わりにするも、意図も容易く砕かれ木場が怯む。

 

「お命頂戴! ハイッ! 首チョンパー!!」

 

 フリードの横薙ぎの斬撃が木場の首を狙う。木場は直前の振り下ろしの影響で対応出来ない。このままじゃ木場がやられるっ!?

 

「ッッ、させるかよぉ!!」

『Explosion!!』

 

 俺は倍化の蓄積をやめて一気に解放した、全身にドラゴンの力が駆け巡り勢い良く跳躍した。

 

「およ!?」

「イッセー…君…?」

 

 俺の行動にフリードが、そして木場が意識を向けてくる。

 俺は神器(セイクリッド・ギア)の力を右足に集める。足裏に炎の様なオーラが発生し、空中にて身構え飛び蹴りを放つ。

 

「おォォりゃぁぁあああ!!!」

 

【 ブ ー ス ト キ ッ ク 】

 

 『ドラゴン・ショット』に次ぐ俺の必殺技の『ブーストキック』。

 それが、

 

「ぐぅっ」

 

 ───()()()()()()()

 そして、

 

『Transfer!!』

 

 赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の譲渡能力発動を告げる音声が発せられ、赤いオーラが俺から木場に流れていく。

 木場は蹴り飛ばされた衝撃でフリードの聖剣の標的から外され、代わりに俺に迫るが。

 

「なんのっ!!」

「なぁにぃ!?」

 

 聖剣の刃は俺の悪魔じゃなく龍の左腕の籠手に弾かれる。

 へっ、俺の左腕なら聖剣の斬撃を防御出来る事はゼノヴィアとの試合で確認済みだぜ!!

 

「木場ぁ!! お前には俺達が付いてるって事、忘れんなよぉぉぉ!!」

「イッセー君……。───ああ、そうだっね!」

 

 俺の言葉に木場は以前の様なイケメンに似合う笑みを浮かべて全身にオーラを漲らせた。スゲェ神器(セイクリッド・ギア)のパワーを感じるぜ!

 

「やっちまえ、木場ぁぁぁぁ!!!!」

魔剣(ソォッド)…ッ創造(バァァス)ぅぅ!!

 

 木場の声に呼応して神器(セイクリッド・ギア)が発動し、周囲一帯が剣山に変わった。道路から壁面から電柱から、炎や冷気に電撃など多種多様な魔剣の刃が出現した。

 

「クソがァァ!! あのクソドラゴン神器使いには弾かれるし気持ち悪いベロは取れねぇし、なんなんだよテメェらはああああ!!?!」

 

 フリードは聖剣から聖なるオーラを迸らせながら四方八方から迫る魔剣の切先を次々と破壊している。

 

「チィィィ! オレ様の聖剣は天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)ぃぃ! 速度なら誰にも負けねぇんだよォォオ!!!」

 

 フリードの聖剣が輝きを増した。その瞬間フリードの動きが加速した。

 ウソだろ…? くそっ、俺にはアイツの剣が全く見えねぇ。フリードの剣が見えないのは俺だけじゃないらしく小猫ちゃんや匙も目を見開いたり、汗を垂らして驚いている。

 

「ハァァァ!」

「死にやがれぇぇ!!」

 

 木場だけだ。俺の譲渡で強化された木場だけだ、フリードのスピードについて行けるのは……!

 

「奥義ィ…!」

「!! させるかっ」

 

 フリードが両手で聖剣を握る。刀身にオーラを纏わせ青白い光に覆われる。木場がフリードの技を阻止しようと仕掛ける。

 が、

 

「回転斬りィィ!!!!!」

 

 フリードの剣技が繰り出された。奥義と呼ぶには余りにも簡易な、剣を構えて回転するだけの技。だけど、アイツの持つ剣はその回転するだけの技を必殺技に昇格させられる力が在った。

 聖なるオーラによる剣気が全方位に解き放たれ、波紋の様に広がる。フリードに向かっていた木場だけじゃない、俺達にまで届く聖剣の斬撃波が迫る。

 

「ーーー!」

「  」

 

 逃げようにも間に合わない、俺達悪魔にとって致命傷となる聖剣の剣気が目前に迫るその時だ。俺達の横を通過して前に出る人影が一つ。

 

「破ァー!!」

 

 フリードの聖剣の剣気が、()()()()()()()()()()打ち消された。

 勢い余って地面を叩き割った大きな聖剣を振り上げ、肩に担ぐその人物は青い髪の少女───ゼノヴィアだ。

 

「大丈夫? イッセー君」

 

 イリナも続けて現れる。

 

「フリード・セルゼン。叛逆の徒よ、神の名の下に断罪してくれる!」

「………ふぅむ、もしかして、いや、もしかしなくてもオレ様……大ピンチ?」

 

 幾らフリードが聖剣を所持しているといってもアイツは一人、こちらは六人。しかもその内二人はアイツと同じく聖剣を持っている。フリードは袋の鼠、俺は勝利を確信していた。

 

「何をしているのだ、フリード」

 

 第三者が声と共に影から現れる。

 それは神父服を着た恰幅が良い初老の男だった。

 

「バルパーのじいさん!?」

 

 ……! バルパーだって!? それってゼノヴィアとイリナの二人と共同戦線を結んだ時に聞いた『パルパー・ガリレイ』の事か! 木場が復讐心を抱く原因である聖剣計画の首謀者で木場の仲間達を処分したっていう。

 

「バルパー・ガリレイ。“ 皆殺しの大司祭 ”まで此処に居たのか……丁度良い! 二人まとめて斬り伏せてやる!」

「おいおい…っ、流石にマズイぜバルパーのじいさん! ここは撤退すべきっしょ!」

「ふむ、致し方あるまい。()()()()()()使()()()()()()()()

「あいよ!!」

 

 バルパーの指示を聴くなりフリードは自身の神父服の前を開いて広がる。広げられた神父服の内側にはフリードが握っている聖剣とは別に二本、聖剣が備わっていた。

 アイツはその内の一本を手に取ると大きく翳した。

 

「さあさあ! 惑えや迷えクソ共が、夢に踊って幻に狂ってちょ〜よ!」

「させるものか!」

「───夢幻の聖剣(エクスカリバー・ナイトメア)!」

 

 ゼノヴィアの聖剣がフリードを捉え、斬り裂いた!

 と、思ったら斬られたフリードの身体が薄れて消えた。な、何が起きたんだ? よく見たらバルパーの姿も見えなくなっている……!?

 

「アレは夢幻の聖剣『エクスカリバー・ナイトメア』。幻覚を発生させる能力を持ったエクスカリバーの一本よ」

 

 困惑している俺にイリナが説明してくれる。

 幻覚ってマジかよ。……って事はフリードとバルパーの二人にまんまと逃げられたって事か!?

 

「くっ、まだそう遠くまで行ってはない筈! 追うぞ、イリナ!」

「あ、うん。わかったわ! じゃあねイッセー君♪」

 

 俺が声を掛けるより早くゼノヴィアとイリナの二人が駆け出した。木場も二人の後を追う。

 

「木場まで! ああ、もうっ、何なんだよ!」

「ええ、私も同意見よ」

 

 全身が硬直する。背後からとても憶えのある声が……具体的に言うと敬愛している綺麗な紅髪と素晴らしいおっぱいを持った素敵なご主人様の声が聞こえ、ゆっくりと振り返れば

 

「それで、説明してくれるかしらイッセー……?」

「ヒエッ」

 

 険しい表情をしたリアス部長。それと匙の主人でもある会長様の姿が其処に在られた。

 俺と匙が顔を見合わせた。俺達の顔は酷く青ざめていた。

 

 




兵藤 一誠
この後めっちゃオシオキ(尻叩き)された。

リアス・グレモリー
この後めっちゃオシオキ(尻叩き)した。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。