仮面転生者ΑGITΩ 〜人類審査のオーヴァーロード〜   作:ただのファンだよ。

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本日二話目の投稿です。
まだの方は前話からどうぞ。





答えろッ! その告白?

 

 

 

 ───世界が、輝いて見える…!

 

 夜空に浮かぶ星々の様に、宝石宝物が詰まった宝箱の様な。

 今まで知り得なかったモノ、知ろうとしなかったモノに改めて目を向ける。以前はなんてことのないと感じていたものが、全く別のナニカを感じさせる。

 良い物、悪い物、珍しい物、ありふれた物。見ようともしなかった一面が全て新鮮で、知る度に心が躍る。(ゼノヴィア)という人間(オンナ)が彩られていく様に感じた。

 

「ハアァァ!」

 

 聖大剣デュランダルを一振り、横に大薙ぎ。()()()()()()()()を両断する。

 

「……っ、はぁ」

 

 ずしん、とデュランダルの切先を地面に下ろして息を吐く。

 太陽が姿を現す時間帯の早朝に私はリアス部長から与えられた拠点──マンションから出て近くにある広場にて朝の修練をこなしていた。

 リアス部長を同じく主とし、私の先達の転生悪魔のキバ(木場) ユート(裕斗)も使っているという人払いの術が施された場で、ここでなら表世界の人間に見られるとマズい聖大剣(デュランダル)も存分に振るう事が出来る。

 

「しっ、ハッ、ふぅ……ハアァ!」

 

 縦に、横に、袈裟に、重く(おお)きなデュランダルでは細かな剣技は扱えず、強大な聖の波動を抑え切れない私では振り回すばかりになる。先代ならばその様な無様を晒す事はないのだろうが、今の私にはとても“ デュランダルの担い手 ”を名乗れる程の技量は持ち合わせていない。

 だからこうして地道に修練を重ねる。神の刃───教会の戦士としてではなく「ゼノヴィア」という一個人の強さを得る為に。

 デュランダルの柄を両手で握り、構える。

 瞼を閉じて、敵の虚像を空想する。

 イメージされるのは先日交戦した堕天使の幹部コカビエル。

 奴は、先代を識っている様だった。そして先代のデュランダル使いは常軌を逸していると言っていた。

 

「……」

 

 その通りだと思う。

 先代は伝説だ。()()()()()だ。歴代のデュランダルの使い手の中でも最強だと称されていた歴戦の猛者だ。今代のデュランダル使いである私が追うべき、そして超えるべき存在だ。叶うのなら直接先代の元へ赴き、教えを乞いたいが悪魔へと転生してしまったこの身ではそれも叶わない。

 故にイメージする。コカビエルは先代と今代(わたし)を重ねていた。コカビエルと斬り結んだあの剣戟から、コカビエルが意識する先代の動きを切り抜く。コカビエルを斬り伏せた時、先代の残滓も断ち切れる筈だから。

 

「ッッ! はああああっ!!」

 

 天へ掲げ、振り下ろした一太刀。僅かに光波を振り撒く一撃が、大地に触れて爆ぜた。クレーターが出来た、裂け目の様な罅が無数に走っている。聖剣の波動を制御出来ていない故に刻まれた未熟な証。真にデュランダルを扱えているのなら、刻まれているのは“ 円 ”ではなく“ 線 ”だっただろうから。

 

「精が出るね」

「はぁ……はぁ……木場か」

 

 修練を積む私の元へ訪れる人影──リアス・グレモリーに仕える眷属で私の先達でもある転生悪魔『木場 ユート』。…あ、いや、裕斗(ゆうと)か。この国の発音はまだ少し難しい。悪魔に転生した駒の機能の言葉の意味は伝わるのは幸いだった。

 

「毎日欠かさず、すごい熱意だ。僕も見習わないとね」

「ふっ、私には目標があるからな…!」

「“ 歴代最強のデュランダル使い ”だったね」

 

 そう、キバの言った“ 最強 ”の称号を得る事。

 それが私の目標の一つだ。

 最大の目標は上級悪魔となって「彼」を私の眷属に迎える事、次に「彼」の伴侶となって添い遂げる事、この二つだ。

 だがそれ以外にも目標は多々ある。「彼」が教えてくれた、私が生きる目的探し。その為にも様々な事に手を伸ばす。好きな事も、得意な事も、苦手な事も。美味しいものが食べたい、この手でナニカを作りたい、教会に居た頃は無縁だったオシャレだってしたい。

 最強もその一つ。欲張りだと、強欲だと、傲慢だと言う者もいるかも知れないが、今や私は悪魔なのだ。それくらいが丁度いいとリアス部長も言ってくれた。

 

「あはは、でも今日のところは切り上げてそろそろ学園に行く準備をした方がいいよ」

「む、もうそんな時間なのか。いつもすまない」

 

 木場が修練に入れ込んで時間を忘れた私に呼び掛けてくれる。もう既に何度も繰り返された事だ。駒王学園に入学して早々に私は一度無断欠席しまった事があり、それ以降私はこうして木場の世話になっている。正直申し訳なく思っている。

 

「気にしなくてもいいよ。キミが強くなる分には部長も好ましく思っている筈だからね。……ただ」

「………うん?」

「格好には気を遣った方がいいね」

「…? ……」

 

 木場の言葉を聞いて私は自身の姿を確認する。

 部長から運動に適した動きやすい衣服として教えられたスポーツウェアのシャツとパンツ。サイズを碌に確かめずに購入してしまい、胸に押し上げられて腹部が露見しているが捨てるのは勿体無いのと人払いがされているから他者の目には触れないからと着用しているシャツと、本来なら下にインナーを履くべきだが知らなかったので下着の上に直接履いたハーフパンツ。*1

 身体を動かした事で体温が上がり、心地の良い早朝の冷たい風が合わさって身体からは湯気が立ち、汗でスポーツウェアが張り付いている。

 

「僕は兎も角、イッセー君みたいな人にはキミの姿は目に毒だよ」

「……キバ先輩」

「『木場』でいいよ」

 

 キバ先ぱ……いや、キバはそう言ってくれた。

 

「そうか。…ならキバ、君にひとつ聞きたい事がある」

「なんだい?」

「君から見て、私は()()…かな?」

「…………え?」

「……」

「え、えぇっと……」

 

 「目に毒」だとキバは言った。

 だとすれば今の私は男にとって───「彼」にとっても魅力的な女性に見えるのだろうか?

 男好きする体付きだとは思っている。教会に居た頃から胸も尻も周りの女性達と比べても大きかった。中には私と同等、或いはそれ以上の人もいたが……それだって一部の者で大半は私よりは小さかった。現に駒王学園の同クラスでは赤龍帝──ヒョウドウ イッセーや彼と仲の良い男子生徒二人*2から舐めまわす様な視線を都度向けられている。クラスメイトの女子からも羨ましいといった言葉をよく受ける。恐らくだが、私の身体は他者からして優れて見える…筈だ。

 

 だが……「彼」からはそういう目を向けられなかった。

 

「……えっと、ゼノヴィアさん。それは……どういう…」

「…? 言葉通りの意味だが」

「……っ」

 

 「彼」と出会った時。私の格好は誰の目から見ても普通ではなかった筈だ。

 所々破けた教会の戦士に支給される戦闘服。身体の活動の妨げにならない様に各々の体格にフィットし、尚且つ負傷した際に肉体への能力低下を抑える為に僅かに締め付けを……窮屈に感じるサイズで製作されていた。

 損傷のない状態ですら男性からは……特にイッセーから強くは……“ そういう目 ”で私を見ていたのに更に損傷していた状態であっても「彼」の目に不浄な感情は含まれていなかった。

 私は……「彼」からして魅力のある女には見えていなかったのだろうか。

 

「……あの、その……いや」

「どうなんだ…?」

 

 キバは駒王学園の多数の女子生徒達から好意的な態度を示されていた。簡単にいうとモテていた。キバならば私が優れた女か見分ける事にも長けているだろう。

 

「教えてくれ! 私は……私は君からどうなんだ!?」

「…! ……っ。……ああ。キミはとっても魅力的な女性だと思うよ」

「……!!」

 

 そうか。

 キバが言うのなら自信を持ってもいいのだろう。

 

「だけど僕はキミの気持ちには応えられ──」

「そうか! 感謝する!! よしっ、ならば心置きなく『彼』に向き合えるな!」

「なぃ。…………え?」

 

 ふふん。

 ならば後は「彼」を見つけだせれば告白、もしも私が「彼」の好みとは異なっていたとしても諦めずに猛攻を仕掛ければいい。キリュウ*3も「恋は強い者が勝つ、押して押して押し倒せ」と言っていた。

 

「え? ……え? ……???」

「さて! 朝の鍛錬は終わりだ。早く学園に行く準備をしないと、お先に失礼するぞキバ」

「あ、うん」

 

 まずはシャワーを浴びて汗を流さないと。

 「彼」を見つけられた時に汗臭い女だとは思われたくないからな。

 

 

 

 

 

 

 

 ゼノヴィアが去った広場にて、置いてけぼりにされた一人の少年が己の勘違いを察し乾いた笑みを浮かべた後に重い溜め息を吐いた。

 

 

 

 

*1
乳カーテンと生脚

*2
松田と元浜

*3
桐生 藍華






ゼノヴィア。
脳筋世間知らず探究心盛り盛りスタイル抜群将来の夢「お嫁さん」系ヒロイン。
彼女視点では男は「彼♡」、「仲間」、「敵」の三種類しかないし根が素直で誰にでも分け隔てなく接するので勘違いさせる系ガールと化している。モブ's(((絶対俺の事好きだって…!)))
なお当人の矢印は名も知らない男に向いている。罪深い…。

木場 裕斗。
記念すべき勘違い系男子一号となったイケメン騎士クン。
なんか女子達からは高嶺の花扱いされて好意を向けられる事に茶飯事でも想いを伝えられた事は少なさそうなイメージ(偏見)
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