仮面転生者ΑGITΩ 〜人類審査のオーヴァーロード〜 作:ただのファンだよ。
まだの方は前話からどうぞ。
とある日。
それはオカルト研究部が駒王学園のプールを掃除。一年間の汚れを落として掃除の報酬として一足早いプール開きを楽しんでいた頃の事。
グレモリー眷属兼オカルト研究部1の紳士の木場*1が泳げないアーシア(“ あーしあ ”ゼッケンスク水)と小猫(スク水白帽)に簡易的に、そして最大限接触を控えて指導してイッセーがその光景を歯軋りしながら睨み。
イッセーに好意を抱いているリアスがオイル塗りを頼み、だらけきった顔で無駄に念入りに紅髪の女悪魔の柔肌を堪能して。リアスの更なる
今まで無縁だった水着に苦戦していたゼノヴィアも合流して元教会の戦士としてのポテンシャルとフィジカルを発揮した見事な泳ぎで『
イッセー達はオカルト研究部独占プールを堪能していた。
一人上の空気味であった朱乃を除いて。
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「………あつぅ」
オカルト研究部がプールを満喫していた頃。
陽射し照らしつける日中にて津上 翔介は街中を歩いていた。両腕には自前の
夏の訪れを感じる時期となり、つい数日前までは感じなかった暑さに苛まれていた。
「わふっ」
「ガウガウッ!」
翔介の足元には双頭の小型犬程度の大きさのミニ超越生命体が互いの頭同士でじゃれあっていた。元は地獄を住処としていたケルベロス種の変異体故か地上の、それも本格的な夏にも成っていない程度の暑さなど意にも介していない。
人が居ない事を確認してから出現。というよりはこの小型犬の存在感──超越生命に他の人間が無意識に近付かない様にしていた。当然ΑGITΩである翔介には超越生命の影響はないが。
だが、
「わうわう……! わんっ!」
「ん? おい! 行ってしまった」
元魔物の超越生命体は何かを察知したのか、ぱたぱたと小さな脚からは信じられない猛スピードでどこかへと走り去ってしまった。
「……? どうしたんだ?」
「───スミマセン」
小型犬の姿をした超越生命体『オースラス・プロケッロースス』が去って行った方へ目を向けていると背後から声がした。
「…ッ!」
驚愕するより早く死角に位置取る相手を視認する。ΑGITΩ以前の超能力者として気配察知に秀でた翔介が気付かなかった相手だ。カチリ、と彼の中のスイッチが代わり向き直る。
そこに居たのは──
「……Oh、驚かせてしまいまシタか。申し訳ありまセン」
薄めの金色の髪と日本人とは明確に異なる顔立ちをした成人済み男がスマホを片手に立っていた。
男は謝罪の言葉と表情を露わにして、翔介から少し距離が離れた位置に立っていた。
「ーーー、あ、いや。こちらこそすみません」
「Sorry、突然声を掛けたのハこちらなのデスから」
ネイティブな英語と日本人じゃないにしては十分話せている程度の発音と日本語。そしてその容姿から外国人だと一目でわかる。
「ワタシ、道に迷ってしまって。どうか教えてもらえませんでショウか?」
「……なるほど。わかりました、目的地はどこですか?」
「thank you! エット…ここデス」
外国人の男から持っていたスマホを見せられる。画面にはマップアプリが広げられており、目的地と判断出来る赤いピンが立っていた。
「ここは……ああ、ここならこの道を進んで三つ目の十字路をーーー」
幸いな事に翔介にでも馴染みのある店……というか先程行ってたスーパーの場所を示していた。
「thanks。ありがとうございマス」
「いえ、それでは」
何事もなく翔介は男性と別れる。
振り返る事なく、やがて翔介が道を曲がって二人は互いの姿が見えなくなる。
「なるホド、カレが
男は小さく笑みを浮かべて立ち去る。
この男が、今すぐ何か行動を起こす事はない。けれど、この男と翔介との因縁は今この瞬間より結ばれ───そしてΑGITΩの…人類の未来を決める分岐点の先駆けとなる。
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魔王サーゼクス・ルシファー。
グレモリー家に産まれ、家の特徴である深紅の髪と滅びの魔力を色濃く宿した悪魔を逸枠した
「初めましてかな、キミの事は報告を受けているよ」
「………」
サーゼクスの側には彼の伴侶であり右腕、『
「突然の来訪に警戒させてしまったのならお詫びしよう。確かに満足に報告する事もなく訪れてしまったのはこちらの落ち度だ。……グレイフィア、下がってくれ」
「ですがサーゼクス様…!」
「こちらの不手際で彼が動く手間になったんだ、ならばこちらから敵意や害意がない事を示す必要がある」
「………」
「グレイフィア」
「っ、わかりました」
渋々、といった様子で銀髪の女悪魔は主人の前から退き、彼の一歩半離れた後方に立つ。
「どうだろう、これでこちらからキミやこの町に悪事を働く気はないと納得してはもらえないだろうか」
「……一応は、そちらの言葉を信じる」
「感謝する」
「それで、何の目的で現れた?」
「単刀直入だね。ああ、いや、失礼。目的……目的か」
暫く、口内で言葉を転がすサーゼクス。次に吐く言葉について慎重に吟味してから。
「妹の授業参観があってね」
「……は?」
キリッと元より極めて整った顔立ちを決めて、真剣な声音で言い放った。
真面目な顔と声でありながら余りにもふざけた内容にアギトは困惑の音を洩らし、今も真剣な雰囲気を醸しだすサーゼクスの背後でグレイフィアが呆れた様子で嘆息した。
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「もぉぉーー!? お兄様のバカァァ!!」
授業参観に四人の魔王の筆頭が現れ、これでもかと応援(小声)してくる。手には最高級ビデオカメラを持参して。しかも顔、声、雰囲気と全てが優れた美丈夫の登場にクラスの女子や他生徒の参観に訪れた主婦の視線を一身に受けている。目立って目立ってしょうがない。
ただでさえ年頃の乙女がこの様な羞恥プレイに耐え、授業が終わって昼休み。逃げる様に教室を離れたリアスが愛しのイッセーと癒しのアーシアが居る教室に向かい、扉を開ければ其処には何故か先に着いていた兄が想い人の両親と談笑していた。
普段はお姉様と呼ばれる彼女も堪らず年齢相応の少女の面を露わにして半ば拉致同然にイッセーとアーシアを連れ出して部室へ駆け込んだ。
余談ではあるが、この時のリアスらしからぬ行動がギャップ萌えとして受けて彼女の人気を著しく引き上げた事は言うまでもない。
「はいこれ、新しいレシピ」
ああ、うん。なんて、言えば……そうだ、まずは「ありがとう」って、
「大丈夫」
…っ。言葉に詰まる。
「翔介はお父さんの事が大好きだもんね。実の父親相手に緊張しちゃうく・ら・い♪」
……うるさい。姉さんからすれば只の父親でも俺からすれば違うんだ。
父さんの存在は、言葉では言い表せない。
カミサマの遣い、アンノウンと呼ばれ獣のモチーフとなった超越生命体の
俺が“
今の父さんには
「翔介?」
…! いけない。今は態々授業参観の為に来てくれた家族と向き合おう。
あ、あの…えっと、きょ、きょう、ウチで!
「そうだ! 折角だし久しぶりに一緒に料理、しよっか!」
あ、……う、うん。
「腕、落ちてないよね? 先生が弟子の腕前、見てあげよう」
お願いしま、す。あー、先生
「いい
………今のつまらないよ父さん。
「え?」
謎の男
道に迷って意味深なこと独り言言って去って行った謎の男。
リアス・グレモリー
シスコン魔王サマ血の繋がった兄妹。
高校生にもなって授業参観に魔王+両親がビデオカメラ持参でやってくるという試練を無事乗り越えたオカルト研究部の慈悲深い部長。去年まで
所詮『奪われたことがない者』には失った者の気持ちはわからない。……そこが喪失を知る彼らにとって安心出来る要素の可能性はあるが。
兵藤 一誠
今話で出番ないメンバーその1。
授業参観では英語の授業で紙粘土を捏ねて(?)ありのままの表現(???)として愛すべきリアス部長のセクシーフィギュアを創り出した(?????)
そういう英会話もあるらしい。
……どういう事なの?
アーシア・アルジェント
今話で出番ないメンバーその2。
イッセーと同クラスの為、英会話(粘土)として可愛らしいデフォルメ「らーすけ」君を作った。
自室のお菓子の空き箱の隣に置いた。
ゼノヴィア
今話で出番ないメンバーその3。
アーシア同様イッセーと同クラスなのでえーかいわした。「彼」を作ろうとしたがどうしても顔だけが上手くいかずモザイクもどきになる。「彼」の顔は鮮明に思い浮かべる事が出来るのにどうして…どうして…?
仕方なくデュランダルに路線変更した。
その他の今話で出番ないメンバー
知らね。
津上父
嘗て『仮面ライダーアギト』だった人。
本名は……言わなくてもわかるでしょうから省略。
現在はΑGITΩの力を失った普通の人間。
失ったというよりは手放したの方が正しい。
相変わらずギャグセンスは皆無。
津上 翔介
実父とまともに会話出来ない系オリ主。
尚家族関係は良好なものとする。
因みにゼノヴィアが紙粘土でオリ主の顔を作らなかったのはΑGITΩ(及びマラーク)の認識阻害能力の影響。