仮面転生者ΑGITΩ 〜人類審査のオーヴァーロード〜   作:ただのファンだよ。

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誘われてッ! その裏側で!!

 

 

 

 

「お、どうやら始まったようだぜい」

「にゃぁ、やっとかにゃ」

 

 駒王学園にて和平会談が行われ、それに不満を持つ者達が起こした襲撃(テロ)。それを駒王町内でありながら離れた箇所から眺めていた一組の男女。

 猿顔の男と猫耳の美女。

 

「じゃあウチの“ 大将 ”の指示通りに」

「にゃん♪ 誘き寄せ作戦開始にゃん」

 

 二人を中心に魔の力が広がる。この町の管理者や三勢力のトップは駒王学園を覆う結界により外界から隔絶されて外の様子を探り得ない。仮に探る事が出来たとしても襲撃者達への対応でそれどころではないだろう。よって二人を止める存在は居ない。

 波状に広がる存在感、威圧感。小虫が身を潜め、犬や猫に鳥といった小動物は即座に逃げだし、人々は理由のわからない恐怖を感じて我が家に閉じ籠る。

 

 

 

 

 

 

 

■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▪▫

 

 

 

「……、これは…」

「んん? どうしたの翔介?」

「……醤油が切れそうだから買ってくるよ」

「え? 今? 明日でいいじゃない」

「今じゃないとダメなんだよ」

「……? いいけど、気をつけなさいよ」

「うん。行ってくるよ」

 

 

 

 

 

 

 

■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▪▫

 

 

 

「───お? どうやら釣れた様だぜい」

「やっと…? 待ちくたびれて…にゃ〜*1、寝ちゃうところだったにゃん」

 

 駒王町を見渡せる広場。

 明かりが消えて身を潜め、生き物の気配が消失した町並みを見下ろしていた二体の魔人の元へ()()()()()()()()()

 

「……」

 

 何者か……などもはや言うまでもないだろう。

 ───ΑGITΩだ。

 

「へぇ〜……」

「……にゃふ」

 

 二体の魔人が笑みを浮かべる。

 猿顔の男は獰猛な。

 猫耳の女は妖艶な。

 ΑGITΩは───津上 翔介はその魔人らの表情から誘い出された事を知り舌打ちした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 つい抑えられず舌打ちしてしまう。

 目の前には一般的とは決して言えない格好をした男と女が俺を見ている。

 

 ……突然だが外から来た人外、もしくは能力持ちは案外自身の力を隠すのが下手な奴らが多い。中には全く隠す気のない様なのも多々いた。

 奴らはこの町の人間や町自身に害を齎す目的があった場合は己の力が最上であると信じて疑わない。だから仮にバレたとしても消して隠滅してしまえばいいと考えている。元から理性など有って無いようなのも多い。

 身の程を知っている、或いは本当に賢い連中なんだったとしたのなら本気で自身の力を秘匿しようとする。害意や悪意がないのなら余計な混乱を防ごうと手を打っている。そういう奴らはもしも感知しても無視でいい。そう遠くない内に町から離れるのが大半だからだ。

 そして厄介なのは、高い秘匿能力を持ちながら敢えて力を隠さずに曝け出しているタイプと状況。

 こういうのを相手にする時は大抵碌な事にならない。隠せるのに隠さないというのはつまり()()()()()()()という事だ。準備する必要があり、それらが終わったから秘めるのをやめて待つだけ。こちらからすれば罠を仕掛けられているとわかっている所に態々突入しなくてはならないのだからたまったものじゃない。

 さて愚痴っていてもしょうがないから目の前の二人の相手をしよう。

 あ゛あ゛……面倒くさい。

 

「ほぉ、オメェさんが噂の【ΑGITΩ】かい? おれっちの名前ガァッ…!」

 

 中華ファンタジーみたいな軽鎧を身に付けた男が何か言っているが無視して顔面に一発入れて殴り飛ばした。続けて横の派手に着崩した着物を着た女に攻撃しようとしたが既に女は俺から距離を離していた。

 

「にゃふふ、ダッサ〜い…♪」

「──うるせいやい!」

 

 仕留めたつもりはなかったが中華鎧の男は軽やかな動きで跳ね起きた。

 

「つぅ…いちち。名乗り中に手ェ出すってのは無粋じゃねぇか?」

「………」

「へーへー、寡黙なこって。そういうタイプかい」

 

 僅かに赤くなった頬を擦りながら男は俺に非難めいた目を向けてくる。俺にとってお前らは敵でしかないのだから名前を聞く理由も覚える必要もない。

 

「そっちがその気だってんなら、おれっち方から一方的に名乗らせてもらうぜぃ!」

 

 男の手に棒が現れた。金属製の様に見え、両端の先端部に金の装飾が為されている。

 

「おれっちの名は美猴(びこう)闘戦勝仏(とうせんしょうぶつ)の末裔! ……西遊記の孫悟空って言えばわかりやすいかい?」

 

 金属製の棒──棍を構えてドヤ顔を浮かべる男。西遊記の孫悟空か……という事はあの棍は有名な『如意棒』か。もしそうなら言葉一つで自由自在に伸び縮みする能力は念頭においておこう。

 

「……あり? あんま驚いてない感じ…?」

 

 悪魔とかドラゴンとか堕天使とか最近色々あったのに今更孫悟空の子孫だか末裔だかが現れた程度で驚きやしない。20年ぐらい前には東京で古代の戦闘民族や創造神の遣いが怪人として出現して人を襲ったりしてたんだ。

 

「ちぇ、つまんねぇな」

「びぃこお〜、いつまでも喋ってないで早く始めるにゃん」

「おい黒歌(くろか)! そんな所に居ないでオマエもこっち来いよ!」

「イヤにゃん。だってそいつ女の顔だろうと平気で殴ってくる奴じゃにゃい」

 

 女は電柱の天辺に座って脚を組んでいる。

 アイツは後回しで良さそうだな。

 なら、まずは猿男だ…!

 

「……!」

「うおっ、来やがった!?」

 

 超越肉体の金(グランドフォーム)の脚力を使い地面を蹴り砕き、距離を潰して拳を突きだす。

 

「……っ」

「くぅ〜、いい突きだぜぃ」

 

 俺の拳は男の如意棒に防がれた。硬い、無機物特有の硬さに拳が痺れる。如意棒を握る男にも衝撃は伝わった様で笑みを浮かべた。

 

「ハハッ、いいねいいね! 楽しくなってきたぜぃ! 黒歌ァ、さっきのは無しだ! おれっち一人にやらせてくれぇ!!」

「お好きにどうぞにゃ〜」

「へへ、じゃあ次はおれっちの番だぜェッ!」

「……っ」

 

 如意棒を振るって俺の拳を弾いてからそのまま器用に回してからビリヤードの様な突き。

 

「まだまだ往くぜェェ!!」

「……チ」

 

 続く連続突き。突きだけではなく振り下ろしや薙ぎ等の棒術。槍と違って両先端を使っての攻撃。

 

「……!」

 

 只の棒なら簡単に往なすなり弾くなり出来るのだが、

 

「キキャァッー!」

 

 ……ッ、()()

 見た目以上の超重量。*2振り下ろしを受けた際にはクレーターが出来て足首まで地面に埋まった。

 

「ぐ、づ…!」

「このまま潰れちまうかぁ〜!」

「……ッぅぅぉぉああああア!!

「うおっ!?」

 

 頭上で両腕を交差して止めた棍を全霊を持って受け流す。地面を粉砕して突き刺さる様にめり込み男のバランスも僅かに一瞬崩れる。

 

「──ッオオ!」

「ぐぎゃッ」

 

 その一瞬の隙を逃さずに受け流した動きから繋げての後ろ回し蹴りを叩き込む。横っ面に踵の強打を受けた男が派手に吹っ飛び広場から飛び出して道路際のガードレールにぶつかる。

 

「くっ…ハァ! 今のはなかなか」

「美猴! 油断しな…!」

 

 ベコォ、と変形したガードレールに背中を預けて頭を振る男。回し蹴りで脳が揺れて眩暈を起こし、回復しきっていない状態に男の仲間の女が呼び掛ける───がもう遅い。

 

「…はあァッ!」

「ーー」

 

 地を蹴って駆け、一切減速する事なく男の顔面に飛び膝蹴りが直撃する。漏れ出る悲鳴すら叩き潰し、男は歪んだガードレールを破って道路内を転がる。

 

「はぁ……、っ!」

 

 一度、深く息を吐いて脱力。全身をリラックス状態に戻して引き締める。これで奴の棍を受けた際の腕の痺れが多少マシになる。

 今の間で膝蹴りをくらった男も棍を杖代わりに上半身を起こしている。俺は男に追撃を加えようとして、

 

「ッッち」

「にゃん」

 

 するり、現れた女に阻止される。

 肩は勿論今にもまろびでそう胸元、角度によっては股すら見えそうな脱ぎかけのはだけた着物姿でよくもまあしなやかに動けるものだ。その身体の動かし方は是非盗ませてほしいものだ。

 

「かぁ…ペッ!」

 

 立ち上がった男は口内に溜まった血と唾液の混じった体液を吐き、まだ違和感が残っていたのか口の中に手を入れて……抜け掛けの歯を無理矢理抜いてから投げ捨てた。

 

「もう、何やってるにゃん」

「わりぃわりぃ。だが強ぇぜアイツ。へへ、楽しくなりそうだぜぃ」

「歯が折れてるのに呑気なんだから。これだから戦闘狂って(ニャ)ーね」

 

 ……チッ。

 二人合流する前にあの男は倒しておきたかったが、そう上手くはいかないか。

 まぁ、いい。()()()()()()()()()()

 

「さて、本当は一人で続きをと行きたいんだけどそうはいかなくてね。恨まんでくれよ」

「にゃん♪ ここからはお姉さんも相手にしてもらうにゃん」

「……!」

 

 応答はせずに身構える。

 

「往くぜ往くぜぃ!」

「にゃ〜、ん♡」

「……はあっ!」

 

 猿顔の男と猫耳の女、迫る二人を相手に俺は拳を繰り出した。

 

 

 

 

 

 

 

「そぉーら、よっと!」

「…ッ、はっ!」

「ぐっ、…はは!」

 

 棍での突きに横殴りの拳を叩きつけて逸らし、続けて正拳で男の胸を打つ。中華風の鎧に打ち付けて後退させる。

 

「っ!」

「ニャ!? もうっ、背中に目でもあるのにゃん!?」

 

 男を退けてからすぐさま後方へ蹴りを放つ。背後に周っていた女が咄嗟に後方へ飛んで避けた。

 

「……」

 

 多数を相手にする際に意識する事は複数人に同時に攻撃される事を防ぐ。二人の攻撃を同時に受けるよりも二人の攻撃を順番に受ける方が格段に御し易くなる。どちらかを退け、どちらかを相手取る。合流しそうになったら片方を押し退けるなり、壁になる様に位置取るなりして対処する。

 これさえ心掛けていれば割となんとかなる。

 

「美猴。コイツ、一人で複数人と戦う事に慣れてるにゃん」

「ハッハァ! この町ではぐれ悪魔なんかを相手に戦い続けてきたってンならそりゃ二人や三人を相手取る事はあるだろうぜぃ!」

「……こんな事ににゃるなら『アーサー」や『ルフェイ』にも来てもらえばよかったにゃん」

「そんな事したら愉しみが減るじゃねぇか!」

「うるさいにゃん」

 

 いくら俺が二人を相手に戦えるとしても向こうが有利である事に変わりはないからか二人の言動には余裕がある。

 ……だったら、その余裕を引き剥がしてやる。

 

「…スゥ、………よし」

 

 ()()()()()()()()()

 

「にゃ…?」

「ん? どうした黒歌?」

「何か……聴こえない?」

「んん〜? ……そういや、なんか聴こえる…か?」

 

 誰がって? 頼もしいウチの猟犬さ。

 

「これって……足音?」

「いや、エンジン音じゃねぇか?」

 

 ───瞬間、けたたましく鳴り響く咆哮。

 俺の背後から獣の遠吠え、或いはバーナーの様に炎が噴き出す音を引き連れて飛び上がる赤い影。頭上にて月を背景に機械の獣からヒトガタへ変形(へんしん)してから俺の隣に降り立つ。

 

『がるるゥゥ…ッ!』

 

 口元のクラッシャーでくぐもった声で唸るのは俺の光の力(オルタフォース)を分け与えて新型の超越生命体へと進化した双頭の魔獣だったモノ。

 ツインヘッドドッグマラーク。

 または、

 

「頼むぞ、オースラス・プロケッロースス」

『アオォーーン!!』

 

 

 

*1
あくび

*2
約8トン




津上 翔介
原作主人公がドタバタしてる裏側で人知れず戦っている系オリ主。
中華風の猿顔の男と猫耳和服の痴女にほいほい誘われてしまいましたがこの二人を始末すれば「最終的に全員殺せばよいのだ!」理論に落ち着いたサツバツ思考の持ち主。ジッサイそれでこの場は解決するので間違いではない。
やはり暴力、暴力はすべてを解決する!!

猿顔の男
闘戦勝仏…西遊記の孫悟空の末裔で「石猿」という妖怪。
今SSでは猿顔猿顔と描写しているがネームドキャラだけあって実際は整った顔立ちをしている。原作でも「爽やかそうな顔つき」と表現されている。
何故だか孫悟空の如意棒(正式名称は如意金箍棒(にょいきんこぼう)で竜王からパクった物)を持っている。初代孫悟空も原作登場時には如意棒持ってる。如意棒二本ある? そなバカな。……うん、あれだ。折って伸ばして二本にしたんだろ多分。知らねーけど。

猫耳の女
着崩し着物で巨乳で悪戯好きで料理下手(常識の範囲内)で強い雄に子作り誘惑してくる猫耳獣人の呪術師(ウィザード)タイプのお姉さんはお嫌いですか?嫌いな奴いる?───いねぇよな!!?
……とまぁ散々書いたけど家族想いだったり、幼くして両親と死別して且つ実父がクズだったり、とある事情で唯一の肉親である妹と離れ離れだったりと辛い過去持ち。おいたわしや姉上。

オースラス・プロケッロースス
呼ばれて飛び出てワンワンワン!
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