仮面転生者ΑGITΩ 〜人類審査のオーヴァーロード〜 作:ただのファンだよ。
嗚呼!ごめんなさいアタッシュカリバー投げないで!?
堕天使総督アザゼルが落とされた。
砂塵が舞い上がり、やがて沈む。高級そうなスーツを土で汚したアザゼルが思ったよりも軽傷の様子で空を見上げる。視線の先には自身に不意打ちを仕掛けてきた不届者の姿───即ち、今回の会談を密告した三勢力の裏切り者。
「この状況で反旗かよ……ヴァーリ」
「………」
俺の
「いつからだ? いつから、そういう事に」
「アザゼル、
「……。はぁ、そうだな。“ いつから裏切ってたか? ”なんて聞いたところで意味なんかねぇよな。なら聞くが、
アザゼルの問いにヴァーリは、
「──……はは」
ゾクリと背筋が震えるような笑みを浮かべた。
……なんつー顔すんだよアイツ。
「……くく、いや。確かにオーフィスと戦うのは魅力的だが違うさ。俺の求めるものは今も昔も変わらない。“ 闘争 ”、只それだけさ。それにアザゼルの理想とする世界は俺のような存在には窮屈すぎる。俺は戦い続けたい。強き者と、伝説の怪物や神々、古の英雄。それに未だ知らない新たな戦士達」
「そうか。……そうだよな」
アザゼルが溜め息を溢す。その息には諦念や呆れといったものが込められていた。
「わかってるんだろうがその道の先は俺らかお前ら、どちらかが淘汰されるまで続く血を吐き続ける悲しいマラソンだぞ」
「願ってもないことだ、胸が躍るな。俺の中の血が、身体が、魂が闘争を求めている。それに、世の平和は神が……世界が望んだ結果だ。ならば其れに叛逆する事こそが
そう言い放つやいなや、アイツの背中に
……アイツも転生悪魔だったのか!?
「ルシファーの血を継ぐ、この俺に……!」
『『『!?』』』
今代の白龍皇。
真名を『ヴァーリ・ルシファー』という。
先代の旧魔王筆頭であったルシファーの末裔の父と、人間の母を持つ半人半魔の青年だ。膨大で高質な魔力とその魔力を扱う魔法の才能を豊富に持ち、人間の血を継いでいるが故に天上のシステムからは人間と誤認され、何の因果か白銀の髪を持つ彼に白い龍の
ヴァーリ・ルシファーは明星たる魔王の力を継承し、
……と呼ぶには彼には過酷な幼少期が待っていた。
彼の父は小心者であった。
実子であるヴァーリよりも遥かに劣る才能、ヴァーリを産んだ女も愛し合った果てに身籠った訳ではない。彼はヴァーリを恐れた、ヴァーリを産んだ女を憎んだ。そういう風に
ヴァーリが闘争を、それに付随する力を求めるのは「幼かった自分と無力な母親を守りたい」という彼の深層心理故かもしれなかった。この場に居る者達にとっては知る由もない事だが。
ヴァーリを拾い、事情を知るアザゼルを除いた全ての者が銀髪の彼の正体に驚愕している。それはサーゼクス達だけでなく、ギャスパーを救出して旧校舎の建屋から脱出したリアスやイッセー達も同様だ。
「さぁ、始めようじゃないか俺のライバル!」
アザゼルから視線を外し、ヴァーリは対の
「コカビエルと戦っている時に見て確信したよ。君は産まれや才能こそ凡なる者だが、
「……っ」
イッセーは複雑な心境だった。
今まで、無能の身として見下され蔑まれていた事は多々あったが最初から賞賛された事は初めてだったからだ。嬉しい、という感情は確かにあるが………それが因縁の宿敵でありながら持ち得る才能に天地の如き差があり、そんな相手から直々に指名されているのだ。戦えば十中八九己が負ける事も察してしまっている。
「………部長、行ってきます」
「ッ!? 何を言っているのイッセー!!」
死地に……死にに向かうと同然の言葉に彼を愛する紅髪の女は反発する。
「やめなさいイッセー! これは命令よ! 貴方が行っても……」
「わかっています。……わかってはいるんです」
「だったら───」
「それでもやらなくちゃいけないんです!」
「!?」
イッセーが足を進める。
覚悟を決めた男の顔付き、たったそれだけでリアスの口から言葉が出なくなる。惚れた弱みと言うべきか、リアスには今のイッセーを止める事は出来なかった。
リアスの隣より離れ、煌びやかな光翼を広げるヴァーリを見上げる。
その手には金属製のリングが一つ、それを二の腕に装着する。其れは旧校舎に乗り込む直前にアザゼルから与えられた
一度限りの使い捨てで尚且つ代償の肩代わりにしか効果を示さない為に時間制限は短く、発揮される力も本来の姿に比べれば程遠い。けれど今のイッセーには唯一宿敵の白龍皇に並び立つ手段だった。
「いくぜドライグ!」
『
赤い龍を宿した
シュインシュイン、と音を放つ左腕……赤龍帝の籠手《ブーステッド・ギア》を腰の前に置き、右腕を左前方に伸ばしてからゆっくりと右へ流す。
「…ッ
『
ドライグの声による迫力のある音声の後に両腕を広げて待ち構える。
左腕を始め、次に右腕、両脚、胴体、そして最後に頭部を龍を模った西洋風の全身鎧が覆い尽くし、緑の龍眼と王冠の如き金の三叉角が展開される事で
『……ほう、我が知るヤツの
「そうなのかアルビオン? ふふ、ますます興味が湧いたよ」
左腕の甲の宝玉にカウントが表示される。
「いくぜ、ヴァーリィィィ!!!」
「来いッ! ヒョウドウ・イッセー!!」
二天龍が激突する。
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!』
擬似的とはいえ
通常なら10秒ごとに一度の倍化を繰り返す
「おりゃぁぁあ!!」
イッセーは背中の噴射口から
「単調な動きだなヒョウドウ・イッセー!」
背後の光翼を展開して飛翔、突進するイッセーを飛び越えてからそのガラ空きの背中に向けてミサイルのような急降下攻撃を仕掛けた。
「くっ…ぅ!」
間一髪、直撃の回避には成功したがヴァーリの拳はグラウンドの大地を大きく粉砕、衝撃にイッセーの身体が吹き飛ばされた。
「はは! まだだヒョウドウ・イッセー!」
「こっの……!!」
衝撃に地面を転がるも、回転に乗って立ち上がる事に成功。ふらつきながらも両方の足で地面を踏み締める。そこに跳躍、からの飛行でヴァーリが飛び蹴りを繰り出した。イッセーも上段蹴りを放って防御紛いの反撃を行う。脚部鎧同士の激突で音と衝撃、眩い火花を発する。
「グゥ……!」
びりびり、と鎧を通して痺れが伝わる。鎧諸共脚が軋む感覚に呻き声が洩れる。
「……」
対してヴァーリは鎧の強度……オーラの純度と量、更には練度を押し計り、そこから現在のライバルの戦闘力を判断する。
イッセーとヴァーリ、蹴りをぶつけた二天龍の宿主は互いに弾かれて間を広げる。押し出されたように後退するイッセーとは異なりヴァーリは軽やかに宙を舞い、音もなく静かに着地する。
(……わかってはいたんだが)
(わかってはいたけどよ……)
───弱いな / 強えッ───
互いに同時に正反対の感想を抱く。
イッセーは戦闘者としては日が浅い未熟もいいところの悪魔だが、それでも“ ヴァーリ・ルシファー ”という男の片鱗を垣間見た。
ヴァーリとイッセーの実力を計り、そして改めて己の方が強者である事を確信する。だがイッセーが過去に戦ってきた敵*1と違って嘲る事はない。本人もふしぎに思ってはいるのだが、イッセーからは戦闘の才能を一切感じられないというのに説明しようのない不明瞭な可能性を確かに直感していた。
この男は、今ではない未来、自分には想像もつかない方法でもって自分に迫る強者となる。そんな本人ですら冗談かと疑う予知を確信していた。
“ 自分を超える ”ではない辺り、彼も負けず嫌いと言うべきか。
(愉しみだ…!)
ヘルムの内で獰猛に嗤う。
抑えきれない興奮を抑えるつもりもなく嬉々としてヴァーリが前へ飛ぶ。
「続きだ!」
「っ…!」
空間に残る打撃痕! 大気が弾け、音が消え、衝撃が埋める。降下する其れらは地上にぶつかるやいなや今度は右に左に、狂乱したドラゴンが暴れているかのような様に破壊の痕跡を広げている。
「ドラゴン───ショットォ!」
オーラを凝縮した赤の砲弾を殴り付けて射出、僅かに変形しながら拳より離れた瞬間にソフトボール程度のサイズから直径1メートル超えの大玉に変貌を遂げた。地面に直線状の抉れた跡を残しながら迫るドラゴンショットに白龍の魔人は即座に判断を終え、両腕に魔力弾を生成して順に放つ。
1メートル超えの大玉にドッチボール程度の魔力弾が接触。均衡は一瞬、大玉に魔力弾によりへこむ……が! 込められたオーラ量の差からそのまま呑み込む勢いで突き進む。白が赤に侵食され始めたそのタイミングでもう一発の魔力弾が追突!!
初手の魔力弾が大玉と追の魔力弾の板挟みにあい、耐えきれずに爆散!内側から弾ける魔力に大玉の耐久度が激しく減少し、後の魔力弾が突き破った。
「!?」
なんという巧みな戦術か!
驚愕のあまりイッセーはまともな回避動作を行うことも出来ずに顔面でヴァーリの魔力弾をくらってしまった。砕けたヘルムの残骸を置いてイッセーの身体が後方に吹っ飛ぶ。一度、二度とバウンドして三度の衝撃で意識を取り戻す。鉤爪のような指で地面を引っ掻きながら停止。
(
『どうする相棒? 今度の鎧は修復出来るがその分制限時間は削る事になるぞ?』
(畜生ッ、時間まで俺の敵かよ。少しは俺に味方してくれるのはねぇのかよ!)
『愚痴を吐いてる暇はないぞ、ほらきた!』
「…っ」
ヴァーリの追撃を紙一重で躱す。
(今は回避に専念だ! 鎧の修復もしない!)
今は一瞬が致命傷になる。目の前のヴァーリから目を離したり、
戦況は一方的だ。ヴァーリの白い鎧には傷一つ無く、イッセーの鎧は罅や破損が随所に見受けられ、従来の色合いなのか血で赤いのか判別付かない。ヘルムは大破し、残骸は返って邪魔なので自分から剥ぎ取った。
堕天使総督アザゼルは今代の二天龍の戦いを観て、勝敗なんて言葉は無意味なものになっている事を悟る。
(ヴァーリの奴、遊んでやがるな)
イッセーの
それに対してヴァーリは
ヴァーリは
「ッ、おりゃああ!」
「クハ、いいぞ!」
イッセーのラッシュを丁寧に捌くヴァーリ。
ダメージと疲労が重なり負荷となっている筈なのにイッセーの身体はキレを増している。拳に鋭さと重さが乗り、蹴りが加速して空を裂く。
追い込まれる程に奮い立つタイプなのか、とアザゼルがイッセーへの認識を改めた。
「ハァーッ!」
「ぐふっ、〜〜ッ!」
ヴァーリの拳を顔面にくらう、視界が嫌な感じに歪む。今すぐに倒れて全身から脱力したい衝動に駆られるが歯を食い縛って堪える。負けて……!
「たまるかよォ!!」
「!? ガッ」
へ、へへ。どうだ、この野郎! グレモリー眷属
ヴァーリの拳に踏ん張って持ち堪えて、今度は俺の反撃の拳がアイツのヘルムを捉えた。初めてクリーンヒットした事に気分が上がり、更に続ける。
「最初からこうしてりゃよかったんだ、よっ!」
「ぐっ」
「ッおりゃあ!」
腕を差し込まれてガードされるが関係無ぇ! 拳を押し込んでガードを崩す。ぐらりと身体が揺れて後退るヴァーリにすかさず前へ踏み出し、追撃!
「ッ、はあ!」
「ぐふっ」
ッッ、チャンスだと思って攻め込んだけど見誤った。ヴァーリは崩れた姿勢から上半身全体を捻ったアッパーを繰り出し、顎に直撃した。口から血が噴き上がる───けど!!
「づぅ、ッッだりゃああ!」
「ッッ」
ヴァーリの腕を掴んで引き留め、アイツの頭に向けて腕を振り下ろす。声にもならない声を洩らしてアイツのヘルムが衝撃で壊れて散らばる。続けて露わになった顔に腕を振りかぶってのラリアットを叩き付けて、振り切る。
「ぐ、かハッ、アッハハハハ!」
蹈鞴を踏んで退がったヴァーリが口端の血を拭ってから拳を握って構える。……へへ、親切な事に俺に付き合ってくれるみたいだ。俺も拳を握ってアイツに向かい、それにアイツはパンチで応える。
「アハ、ぐヒ、ハッハハ! がふッ、ハハハ!?」
「ぐィ、うおお! ガッ、おりゃあッ、ブッ!?」
殴り、殴られ、殴り返す。
互いに狙うのは言うまでもなく顔面。当然だ、俺もアイツも頭を守る鎧は破壊されている。
モロ出しの顔に容赦無く殴り合う。ガードしない訳じゃねぇけど、ガードよりも攻撃する事を優先する。
俺が一発ヴァーリの顔面に拳を打ち、ヴァーリの拳が返ってくる。殴られて血を吐きながらもフックで殴り返し、ストレートを腕を挟んで逸らし、ガードした腕で殴り付ける。ヴァーリは突き出した腕でそのまま俺を殴り、仕返しにストレートを放つも首を傾けられて直撃せずに顔横を通過し、ヴァーリの打ち下ろしをくらう。
「う…っ、…かはっ」
「どうした? 終わりかヒョウドゥイッセィ!?」
堪らずふらついた俺の横顔にヴァーリの振りかぶった拳が直撃する。
痛え、苦しい。ちくしょうぅ、俺は……木場や小猫ちゃんに朱乃さん、アーシアやゼノヴィアと学業や悪魔家業をやって、偶に部長とエロいイベントがあったりしながらゆくゆくは上級悪魔に───ハーレム王になりたかっただけなのになんでこんな目にあってんだ?
ああ、クソ。改めて考えたら腹たってきた…!
歯を食いしばって痛みを耐える。倒れそうになる身体を踏ん張って堪える。楽になりたいと叫ぶ感情が絶えて怒りが湧き上がる。
拳を握り固めて振りかぶる。この時、俺は自覚していなかったけど俺の拳は光を帯びていた。魔力でも龍のオーラでもない、赤じゃなくてもっと明るい輝き……そう、ゼノヴィアのデュランダルの様な
それは天使達の長のミカエル…様から貰った龍殺しの聖剣アスカロンのチカラだった。
『──…ッ! 防げヴァーリ!?』
「っ!」
アスカロンの性質に逸早く気付いたのはヴァーリの
「おっ───」
「ぐっ、これは…!?」
「──ッぱああああいいいィィッ!!!!」
「ぐガあぁー!?」
アスカロンのドラゴンと悪魔に
「……は、はハ、ハハハ……かふっ。スゴいな、やるじゃないか」
初めて背中を地に付けたヴァーリが起き上がり、笑いながら吐血する。血を吐く程のダメージを負っている筈なのにアイツの顔には
うえ、なんて奴だよ。痛くねぇのか?
「そんな隠し玉があったとはな。くく、まんまと引っ掛かったよ」
『今のは聖剣……それも龍殺しの性質を持った剣によるものだな』
『相棒、どうやらアスカロンの存在を知られてしまったぞ。どうする? これでもう今の様な不意打ちは通用しなくなった』
ドライグに言われて漸くミカエル様に貰った聖剣を思い出した。言われるまで気付かなかった事に勘付いたドライグの溜め息が脳内に響く。うっ、悪かったな! バカな宿主で!!
「くっ、あぁ。…さて、続きといこうかヒョウドウ・イッセー!」
背中の
「……マジかよ」
兵藤 一誠
HでEROい我らの原作主人公。
「殴って蹴って立ってた方が勝ち!」スタイル。老後はガタガタになってそう。……これが若さか。
アザゼル謹製の腕輪のお陰か、それとも2度目だからか擬似バラブレでも倍加の能力が、それも一度に最大数まで連続で使える様になりました。10秒間のリキャストタイムもありません!はい、みなさん拍手ー!
なお、この能力を使っても能力非使用のライバルに加減されて互角?です。今SSでは「禁手時に使える連続倍化は宿主の許容限界値まで」という設定にしましたが、原作だとどういう扱いになっているのだろうか? 感情大爆発で限界は越えられるっぽいけど。
その謎を解明するため、作者は原作やハーメルンの小説を読み漁った───結果、なんの成果も……得られませんでしたァ!
なので独自設定というスタンスでいきます。
※倍化回数が擬似バラブレなので素の状態の許容限界値までなのか本当のバラブレに至った時には素の限界以上の回数倍化出来るかは作者の気分次第とする。つまりは未定でゴワス。
ヴァーリ・ルシファー
ルシファーの子孫で人間とのハーフで白龍皇の
話盛り上げる為とはいえ原作主要キャラの同世代悲しい過去持ち多い……多くない?堕天使総督殿を見ろ! アイツの堕天した理由おっぱいだぞ!?根本的なところでイッセーの同類だ!……だからあんなに気が合うのか!?
言うまでもないが
今SSのヴァーリきゅんは見込みのある人物(戦闘力的な意味)には面倒見がいい師匠兼強敵キャラに成り果てたゾ。
ああ〜、強敵育て上げるの楽しいんじゃあ〜^ ^、充分育ったら味見させてね! あ、でも
「ギアを上げるぞ、着いてこれるか…?」