仮面転生者ΑGITΩ 〜人類審査のオーヴァーロード〜 作:ただのファンだよ。
まだの方は前話からどうぞ
───朝。
「おはようございますショースケさん!」
「……」
「ショースケさん…?」
『翔一、呼ばれていますよ」
「あ……おはよう」
「………」
いつにも増して眠く、挨拶が遅れてしまった。アーシアが心配の彩を含んだ目を向けている。最近、夜遅くまで人外討伐に赴いている為、就寝時間が遅くなっている。元より眠りの浅い体質も合わさって時折意識が曖昧になる。学業にも身が入らず、この前は丸一日分の授業を受けた記憶が無い。内容自体はノートに書き写してあったから改めて予習した。
「行こうか、アーシア」
「……はい」
いつも登校している道を歩く。足取りが少し怪しい事は自身でもわかっているし、アーシアも気付いているんだろう。隣に並ぶアーシアがそっと俺の腕に手を添えてくれる。
支えようとしてくれている。
「……」
「……」
アーシアが俺に何か尋ねる事はなかった。
それがありがたかった。
「………ぁ」
「……?」
「…ごめん、なんでもないよ」
「そう、ですか」
アーシアの優しさに何も返せない。
それが歯痒かった。
わかっている、理解しているんだ。この現状が只、維持を張っているだけだって事は。
俺は仮面ライダーには成れない。俺は英雄には為らない。『
それでも、それでも俺はッ……!
───そして、夜。
黒い着物の
「撃て! 撃ち続けるんだァ!!」
「う、うわああぁぁあああぁああ!?」
「こんなのッ、聴いてないぞ!!」
その日、戦った相手は
この世界には天使だけじゃなく悪魔も存在している事を知った俺はこの集団がオカルトごっこで集まった頭のイタい連中ではない事と真っ当な目的ではない事を魔法陣と奴らの雰囲気から察して───陣を描いていた奴を踏み潰した。
建物の外から窓を破っての強襲だ。躊躇はしなかった、初めて純粋な人間を殺した。自身の所業に片隅でますます
そして現在、建物の外へと場所を変えて奴らは各々が俺に手を翳し、そこに発生した小型の魔法陣と思われるモノから遠距離攻撃を放っていた。火の矢だったり砂塊の礫だったり。他にも水の刃や電気の鎖、それに嫌な記憶として残っている光の弾。手元の魔法陣に多種に渡る攻撃、おそらく魔法使いだろう。魔法の発動に指輪でも使ってくれたら猶予が出来て且つご丁寧に魔法の種類についても説明してくれるからやり易いんだが、そう上手くはいかないらしい。
多様な魔法の弾幕を一定の距離を保って避け続ける。この手の展開のセオリーである
(……埒が明かない、か)
一瞬目を向けて後方を確認する。背後の壁は魔法で破壊されており換気目的にしては些か過剰が過ぎる大穴が開いていた。
魔法の波をやり過ごし、魔力の減少で前後を交代するその瞬間。展開された魔法の弾幕に
瞬間的にだが安置と呼べるそこ俺の両隣を奴らの魔法が抜け、その間に一呼吸───直後にクロスホーンを展開、荒れるオルタフォースで肉体が活性化、雄々しき大地の如く猛々しい剛拳を地面にへと撃ち落とす。
打撃がこの階の地面、下の階の天井を突き抜けて、次に地面/天井全体に拡散する。初めに衝撃、次に亀裂、最後に崩壊。音を立てて崩れ、室内全てが下の階に落下する。当然、固定砲台のようにフォーメーションを取っていた奴らも碌に対応出来ずに纏めて堕ちる。
そして、俺は深い亀裂が部屋全域に及ぶ直前に背後の穴に向けて飛んで落下を脱し、向かいのビルの壁面を足場に脱出した壁の穴から再度室内に侵入する。そして始まりの強襲と同じように集団の指揮を取っていた司令塔と思わしき奴の顔面を飛び蹴りで破裂させた。
「──」
一瞬だった。針なんかで風船の割れる瞬間や壁や地面にプリンなんかが叩き付けられた時みたいに蹴りを受けた頭部が弾け飛んだ。
ヒトの命がまた一つ消えた、俺が殺した。
自分でも驚く程に何も感じなかった。
もう人を殺す事に慣れたのか? それとも元から何も感じない異常者だったのか?
そんな疑問は浮かんだ瞬間に即座に棄てた。
そこからは簡単だった。司令塔を失った奴らは半狂乱で魔法を放ち、標準が緩く、避けるまでもなく外れ、仕舞いには仲間の魔法が妨げになりさえした。
一人、また一人始末する。拳で、貫き手で、手刀で、肘で、肩で、膝で、脚で。打って、貫き、抉り、裂いて、千切って。気が付けば……なんて我武者羅になるなんて事なくに、どのような手段で鏖殺したか全て記憶している。
全部終わって、佇む。変身は解かない。顔を見上げて、上を向く。血の海が広がる地面から目を逸らして。上の階の壁の穴から覗く曇り雲で濁った夜空。星の一つでも在れば少しは気が晴れたか? 月が浮かんでいれば些細な事だと誤魔化せたか?
(きっと無理だな)
なにせ、常に見られているから。
月や星なんかよりも遥かに
20年前、カミサマは予言した『人はいずれ滅びる、誰でもない
『───では、見守ってみましょう……人間とはなんなのか』
ああ…──
忘れてはいけない、この世界で俺しか識らない。神と人の一世一代の賭け。今際の男が挑んだ最後の戦い。
───きっと俺が、勝つさ!
宇宙創造の
カミサマは……オーヴァーロード/テオスは確かめているんだ。自身が産んだ人間が、自身の
「……」
カミサマは導いてくれない。
只、見守っているだけだ。
「……っ」
俺は、俺の手を見る。
赤く染まり、雫が垂れている。
人が人を殺す事は悪だ。少なくとも現代に生きる人間は───俺はそう感じている。
「……っ、……ッッ!」
カミサマは…導いてはくれない。きっと答えてはくれない。尋ねる事が、怖い。もしも応えてくれたとして、その答えを聞くのが凄く恐ろしい。
でも、それでも、聞かせてください。
「俺は、“ 正しき ”を為せていますか?」
何が正しいのかも、わからないのに。
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「───……」
おっと、気付かれたか。
隠していた気配を露わにして、血の海の中心に佇む
「こりゃあひでぇな、まさに地獄絵図ってヤツか」
「………
へぇ……いや、当然か。調べた情報が正しければコイツは身近な期間で二つ、堕天使が主犯の事件に関与している。流石にバレるか。
「ああ、俺はアザゼル。堕天使達の総督をやっている」
三勢力による和平が結ばれてから7日。この短い期間で三勢力の間で一つの問題が浮上した。
一番被害が大きいのが堕天使。次に悪魔。はぐれ悪魔なんかが主だが、サーゼクスから聴いた話だと人間相手に邪悪な儀式を行おうとしていた純血の悪魔も少数だが討伐されているらしい。ウチの被害も和平により三勢力間での闘争が禁じられたから人間を標的に変えたバカな奴らだ。他の奴らに対する戒め、抑止力になるかと放置したが、その結果がこの大き過ぎる被害だ。判明してる数だけで、実際はまだあるかもしれない。
由々しき事態だった。だから俺自ら誘き寄せる事にした。偽の情報を流して『
「………」
そして件の執行者──
普通の人間からかけ離れた
「おっと、初めに言っておくが戦いに来た訳じゃない」
「………」
ダンマリ、か。
まあ、いいぜ。こっちも勝手に続けさせてもらう。
「知ってるかは知らないが俺たち堕天使は天界、それと悪魔に対して和平を結んだ」
「…? ……」
お、興味を持ったか?
「三勢力間で争い合う時代は終わったって事だな。友好な証として俺はこの駒王町の学園にてグレモリー眷属を鍛えてやる事にした、表向きは教師としてな」
「……それで?」
「時代は変わる。命が無駄に失われる事は誰も望んじゃいないのさ」
「
「お前の言う人でなしには
「…──」
「待てよ、争いに来た訳じゃないつったろ」
「……なら何の用だ」
「協力関係を結びたい」
「……?」
「時代は変わる、それは何も俺たち三勢力に限った話じゃない。人間に対する向き合い方も今後変わっていく、その中にはお前のような
ここからが本番だ。決してコイツに疑わせてはならない。
「───堕天使は
「──」
人間達の中で
多種族は人間を見下す。だがこの先、この世界で生存し続けるには人間の存在が不可欠だ。人間の力は弱い、長寿も魔力もない。だが人間が産み出す可能性は偉大だ。敵になった時の脅威度は計り知れない。
『G3』、人が異形の怪物と戦う為に作り出した武装。装着者にもよるだろうが人間の全ての兵士が其れを身に付けた時。其れを身に付けた軍隊を相手にした場合を想定した時、俺は背筋が凍り付く想いをした。現段階でもこれなのだ。オマケに
その時、敵対していたのなら淘汰されるのは俺達だ。それだけは阻止しなくてはならない。未だに
「だからこれ以上堕天使を狩るのはやめてくれ」
この
アギトは、津上 翔介は考えていた。
目の前には堕天使総督を名乗る男、アザゼルが差し出した腕がある。その顔からアザゼルの内心は掌握出来ない。明らかに本心をおくびにも出さない取り繕った表情を浮かべているからだ。
「ああ勿論、堕天使だけじゃなく天使や悪魔なんかも無闇に殺して回るのはやめてくれ」
無闇、と言われるほど判別がついていないつもりはない。人を襲う、人に害為す者だけを相手にしてきた。
その事を告げるべきか数瞬思考し、
「これまでの事は無効だ。なにせ自業自得のようなものだしな」
見抜かれていた。
頭が回る、翔介のなかでアザゼルという堕天使の警戒度が上がる。
「悪魔や天界の連中には俺が話を通す。だから安心してくれ、そして約束して欲しい。これからは三勢力の関係者に手を出す事はないと。勿論
「………」
津上 翔介は思案する。
そして決断した。
「わかった」
思い出したのだ。“ 戦う必要がないのならそれに越した事はない ”という事を。
アギトの力は望んで得たモノではない、人類の守護者を気取るつもりもない。只、大切なものを守る為に戦わなくてはならなかった。それだけである。翔介は自身の原点を思い出す。父が、『仮面ライダー』ではなくなった日を。その日から決意したんだ、父の代わりに家族を守ると。
両親は
ならば当然、姉の雪菜も
だから翔介は
マラークは眠りに着いた。アザゼルの言葉を信じるならマラーク擬きの
なら、これ以上俺が戦う必要はないじゃないか。
戦う事に恐怖があった。
前世の自分は喧嘩どころか人を殴った事すらなかった。
傷付ける事に忌避感があった。
戦った次の日、生き物の壊れる感覚が手足に残り続けていた。
次は自分なんじゃないかと絶望した。
差し出された手を握る。
握ってから手に付着した血の粘ついた感触に思い出した。
「ごめんなさい」
慌てて謝る。
「───…」
「……? どうかしまし」
「なんでもないさ、気にしないでくれ」
アザゼルは血の付いたまま握り返してくれた。ヌチャ…と御世辞にも心地良い感触とは言えない。すぐに手を離した。自身の手を見た、次にアザゼルの手を見た。当然だが掌が赤く染まっていた。同じように血で濡れた手。
その手に奇妙なシンパシーを感じた。
───失敗だったか?
アザゼルは一瞬迷い、即座に直感が否定した。
『ごめんなさい』
思い出すのは
その言葉のなんて弱々しいことか……
(くそっ! なんてことだよ……ッ)
アザゼルは歯噛みした。
(コイツは、この
一誠やリアスと何も変わらない。
もしかすれば実際の歳も近いのかもしれない。
脳裏に浮かぶ
天を冠する龍を宿した二人は狂っていた。ヴァーリは闘争に、その根本にある復讐に。そして、言葉にすると可笑しい事だが一誠は女性の乳房、おっぱいに。比べたみるとなんとも言えない……もはや笑いの域に達したなにかが漏れ出る。
そしてあの
あの
闘争から心を閉ざし、ありとあらゆる感情を排して漸く判断して戦える。兵士でも騎士でも戦士でもなく、自身を機械のような戦闘者に落とし込んでいた。無我の境地に近い、けれどずっと悲惨だ。なにせ狂う感情すら戦う時には失くしていたのだから。
判断を誤ったか? 早計だったか?
(───
あの
同情した、憐れんだ。それでも、もう止まれない。手を結んでしまった。契約を交わした。
アザゼルは一人、拠点としているマンションの一室にて酒を呑む。
今宵は……酔える気がしなかった。
津上 翔介
堕天使総督を名乗る男から戦わないでくれ(意訳)と言われて「え? もう戦わなくていいの?ヤッター!」ってなる系オリ主。
オリ主くんは転生者です。元一般人です。(死んだ記憶無いけど)死んだ目覚めたらテレビ番組「仮面ライダーアギト」のアギトに変身できる力を持っていて作中黒幕兼最高神がニューロンの同居者として居ました。しかも何か自分で試している様子。で、転生先の世界は現代ファンタジーで悪魔や天使なんかが跋扈してます。
君、命賭けて戦える? 僕は無理(作者)
アザゼル
どこか適当に見えて誰よりも知恵を巡らせ動いている系苦労人。
発生した問題に対して即対応に動ける管理職の鑑。
今後、
悪魔側は想定が甘いし、天界側はミカエルの同行が怪しい。コイツら現状理解してんの? 和平を結んだのは急速に
只、
テオス