荒廃世界の旅人   作:よっしー希少種

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鉱山都市ボルカノ 地下迷路探索記録

 ガシャンガシャンと機械の音が鳴り響く。それはあちこちから聞こえてきた。

 

『どういう空間だ……生産ラインには見えないし……でも、じゃあこの機械音は何?』

「……百聞は一見にしかず、見てみようか」

 

 レドは音がする方へ歩いていってみた。音はどんどん大きくなる。

 

(この先だ……)

 

 そして曲がり角を曲がると、そこには音の主が居た。

 

「……!」

 

 黒い鉄塊、正しくそれだった。分厚い装甲に身を包んだ二足歩行の大型ロボットが歩いていた。体の上部にはカメラがあり、赤い光を放っている。他にも、何かブレードのようなものが左右に一本ずつ付いている。

 

『防衛ロボ……』

「にしては頑丈そうだな……多分コアはここだね」

『そうだね……。これ、見つかったらヤバいんじゃ……』

「……試そうか」

 

 レドは空の瓶をロボットの方に投げた。瓶が落ちた音に気付き、ロボットのカメラが瓶の方を向く。コロコロと転がる瓶を補足したロボットはブレードを展開、そして一気に近付き、瓶を正確に突き刺した。

 

「……」

『……』

「い、一旦戻ろう」

 

 レドは来た道を戻り、部屋を出て行った。

 

 

 部屋の外の階段に座り、レドとジェネは作戦を考えた。

 

「見つかったら即死だね……」

『間違いない。あの速さ、人間じゃ逃げきれないよ』

「それにあの装甲……前に見た事がある。耐熱性に優れている上に、かなり頑丈。機械刀で焼き切れるものじゃないよ……」

『てことは、残されは道は……』

「絶対に見つからないように最深部にたどり着く……!」

『それしかないね。でも、無茶はしないでね……』

「わかってる」

 

 レドは一度深呼吸をすると、再び部屋の中に入った。

 

 

「……」

 

 息を潜め、慎重に迷路を歩く。緊張のせいか、ロボットが動く際に鳴る金属音がやけに大きく聞こえた。

 

(迷路は壁を伝っていけば簡単に抜けれるはず……あれ、伝う壁は左だったか右だったか……右……かな?)

 

 右の壁に軽く触れながら歩いていく。見つかったら即死の恐怖で脚が震えてきている。ふと、前の曲がり角から赤い光が見えた。間違いなく、ロボットのそれだった。レドは思わず立ち止まった。

 

「……」

 

 足音を立てながら、ロボットが歩いてくる。そして、曲がり角まで来るとロボットは動きを止め、レドの方にカメラを向けた。

 

「ぁ……!!」

 

 赤い光に照らされたレドは思わず尻もちをついてしまった。ガシャン、と地面と機械刀がぶつかる音が響く。それに反応するように、多くの足音が近付いてくる。

 

『しまった……レド、早く逃げて!』

 

 レドの後ろの方からもブレードを構えたロボットが歩いてくる。

 

『レド!! あぁ……そんな……!』

「う…………」

 

 レドはその場から動かなかった。いや、動けなかった。恐怖で脚はすくみ、立ち上がる事ができずにただ死を待つしかなかった。

 

『…………』

「…………ごめん」

 

 二体のロボットはレドに近付き、ブレードを振り上げた。

 しかし、そのブレードは振り下ろされることは無かった。やがて、ブレードを畳むと元の巡回経路に戻っていった。

 

『え……なんで?』

「…………まさか……動きか」

『動き……?』

 

 レドは壁の方へ動き、もたれ掛かると深呼吸をした。

 

「ここら辺は暑いから、熱源探知の精度が落ちるんだ……。だから音で大まかな位置を把握して、動く物体を探せばいい……多分、そういう事だ」

『なら……見つかっても止まればいいって事?』

「そうだね……見つからないのが一番だけどさ」

 

 落ち着きを取り戻すと、立ち上がり、迷路の攻略を再開した。

 

(偶然だったけど……攻略法を見つけられたのは大きいな。後は迷路だけだ……)

 

 変わらず慎重に、でもさっきよりは心に余裕を持った状態で迷路を歩いていった。

 

 

「つ……着いたぁ…………」

 

 最深部であろう扉は、コアがある小部屋に通じていた。周りを探っても、この部屋にセキュリティは無いようだ。完全な安全地帯であり、ゴールにたどり着いたリオは緊張が解けたのか、大きなため息をついた。

 

『お疲れ様……一時はどうなるかと思ったけど、無事に届いコアまでたどり着けたね』

「うん……良かったぁ……」

『さ、早くコアを回収してしまおうか』

「うん!」

 

 コアを守るガラスを割って、中にある赤い菱形の物体を手に取る。

 

『で……帰りは?』

「梯子があるし、そこから地上に出られそうだよ」

『わかった。じゃあ、先に座標入力しとくね』

「ありがとう」

 

 レドは梯子を登り、地上に向かった。

 梯子の先は小さな洞窟に繋がっており、そこを抜けると、街の外れに出る事が出来た。

 

『よし、じゃあ転送するよ』

「うん、よろしく」

 

 直後、レドの体を浮遊感が襲う。この浮遊感にも慣れてきたな、なんて思いながらシェルターまで転送されていった。




残す都市はあと一つです。終盤も終盤……
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