「お疲れ様、レド」
「疲れたぁ……」
転送装置からレドが出てくる。かなり疲れている様子だ。
「今日は心身共に疲れたよ……暑かったし、長い時間気を張り詰めてたし……」
「うんうん、お疲れ様だよ。今日はすぐ休む?」
「休む。……の前にコア渡しとくよ」
レドはジェネにコアを手渡した。
「ありがと」
「じゃあ……僕はご飯食べてお風呂入って寝る!」
「はーい。お風呂で寝ちゃダメだよ?」
「わかってる!」
それからレドは風呂場に、ジェネは自室に向かった。
「残りは一個かぁ……」
ジェネはコアを眺めながら呟いた。
「近いうちにあの扉の先がわかるって思うとワクワクしてきたなぁ……何があるんだろ」
コアを机に置き、解析のための道具を近くに置くと、机に乗っていたタッチペンが床に落ちた。
「あ……」
ペシっと音を立ててペンが落ちる。どうやら床では無く、何か別の物の上にに落ちたようだ。
「お……こんなところに書類の山が……お父さんのやつかな?」
机と壁の間の空間にある箱に書類が積まれてあったようだ。ジェネは一度机の上の機械を下ろすと、机をずらして箱を取り出した。
「お父さんが僕に見せなかったやつもあるかも……」
ジェネは好奇心に任せて書類を漁った。連絡した時のやり取りの記録や、設計図等が出てくる。
(見た事あるやつばっかりだなぁ……何か面白いやつは……)
漁っていると、ホチキスでまとめられた書類が出てきた。今までは一枚ずつだった為、まとまっているのはこれだけだ。
「これは……」
めくって見てみると、何か巨大な装置の設計図であることが分かった。
「お……これ他のと違う」
設計図の端に記されている概要にも目を通してみる。
「…………え」
そこに書かれていた内容に、ジェネは言葉を失った。
*
一方、レドは入浴と食事を済ませ、寝る支度をしていた。
「コアも残り一個か……扉の先には何があるんだろうなぁ……」
ベッドに寝転がりながら呟く。
(何か面白いものだといいな……二人で過ごすのに暇しないようなのが……)
そんな事を考えていると、無意識のうちに眠りに落ちてしまっていた。それ程疲れていたのだろう。それから、朝まで起きることは無かった。
*
「……」
ジェネはパソコンを立ち上げ、その中のファイルを漁っていた。
(お父さんはマメに日記をつける人だった……だったらアレについても何か情報が……)
ファイルは壊れているようで、所々読めなくなっていた。しかし、ジェネが見たかった内容らしき日記は見つけることが出来た。
『○月✕日 今日は■下シェ■ターの最■部に設■■る機■の作成に取■■かる日だ。何でも、要と■る機械ら■い。既にエ■ルギー供■装置は完■している■■だが、一■何の装■なのだ■■か?』
『○月□日 例の装■の事を■録に残そうとし■が、止め■■てし■った。情■の■散を防ぐ為にいか■■媒体にも■報を残■■はいけないらし■。設■図も完成後は■やす事に■っている。罰せられ■■ないので、日■に記すの■止■ておこう』
『□月△日 よう■■形は出来てき■が、まだ半■も完成してい■■らしい。内■に組み■む装置が複■なのだろ■か? 最近は家■に構ってやれ■■ない。ま■ジェ■とも■んでやりたいな』
『✕月○日 テスト■為にと、■■■の生■デー■を装■に入力■た。勝■に使った■は申し訳■く思う。使う■は自分の■ータを入れ■事にしよ■。子ど■に■■を背負わ■るのは、大人■する事で■ない』
「…………」
ジェネはその後も、父の日記を読んでいった。
*
次の日……
「ジェネ……ジェネってば!」
「ん……?」
「ん? じゃないよ。最後の都市の情報くれるんじゃないの?」
「あ……ごめん、ちょっと考え事してて……」
「……大丈夫なの? さっきからなんか元気無いけど」
「大丈夫だよ。それより、次の都市の情報だよね」
ジェネはタブレットを操作して、出てきた情報を読み上げた。
「最後のは、北にあるノーフィスって都市だね。雪に囲まれた寒冷地で、漁業が盛んだったみたい」
「漁業か……てか、寒いの?」
「多分……一応防寒具は用意しておくから、必要な時は言って。すぐ送るよ」
「ありがとう」
「後……ごめん、毎回アイテム渡してたけど、今日は無いんだ。なんかアイディアが浮かばなくてさ……あっちで必要なのあればそれ作るから」
「わかった。……ねぇ、本当に大丈夫? 声もちょっと元気なさそうだよ」
「…………やっぱり誤魔化せないか」
ジェネは苦笑いをした。
「実は寝不足でね……面白い情報見付けたからそれ見てたら、いつの間にか朝で」
「で……今眠いと」
「そういう事……」
「ジェネが面白いと思う情報……。きっと僕には理解できないやつだろうなぁ……」
「正解。レドには難しいかなぁ」
「やっぱりね」
二人はクスッと笑った。
「さて……じゃあ僕はそろそろ行くよ。サポートの方も無理しないでね」
「ありがとう。そっちも気をつけてね」
身支度を整え、出かけるレドをジェネは手を振って見送った。そしてレドが見えなくなったところで室内に戻り、通信の準備をする。
「レド……レドは僕の判断、尊重してくれるかな…………」