ノーフィスに向けてレドは歩いていた。
「なんでノーフィスって漁業が盛んだったの? 魚なら他の地域でも捕れそうだけど」
『寒冷地だから、脂が乗った美味しい魚が捕れていたんだって。だからじゃないかな?』
「なるほど。美味しい魚が捕れるなら、その地域の魚の需要は高まるもんね……」
毎度の事だが、都市から都市へは数日かかる。その道中は雑談するしかない為、都市の情報や、たわいない会話をしながら歩いている。
「本当に道合ってる?」
『合ってるよ』
「うーん……そう……」
次の目的地は寒冷地と聞いていた為、そろそろ寒さを感じる頃かと思ったが、まだ寒さは感じられない。
『しかし、海沿いの都市か……いいなぁ』
「ジェネは海好きなの?」
『うん。好きだよ。海は全ての生命が生まれた場所ってお母さんが言ってたし、なんだか神秘を感じるんだよね』
「……ごめん、思ってたのと違う好き、だったなぁ」
ふと、レドの視界に建物のようなシルエットが見えた。
「あれ、街……?」
『え? 本当に?』
「うん……確かめてみるよ」
レドは走って向かうと、見えてきたのは建物と、広大な海、そして港だ。
「これ……ノーフィスじゃないの?」
『……あ、まさか……異常気象で環境が変わったとか』
「それって……」
『暑い日もあったみたいだし、その時に雪が全部溶けたとか……』
「な、なるほど……」
雪に覆われた都市と言われても信じられないような、ただの港町。だが、海の方に行ってみれば、漁に使っていたであろう船が何隻かあったり、建物の中には網や釣り針等といった釣りに使ったであろう道具がの子っていたりと、漁業をしていたであろう痕跡は残っている。
「で……ここってコアはどこにあるんだろ」
『うーん……ここって特におおきな建物無いし、地形的に地下も無さそうなんだよね。難儀だろうけど、それっぽいとこ探してみてくれない?』
「わかった」
『こっちも情報収集はするからさ』
それからレドは直売所のような建物や、倉庫だったであろう建物、停泊している船の中まで探した。
「無いぃ……。ジェネ、情報無いの?」
『えーと…………あ、これとか……』
「お、何かあった?」
『うん。大型の漁船……長期の漁や、遠方での漁で使った船らしいよ。休憩に使える個室や、魚の鮮度を保つ為に入れておく
「……でもそんな船無いよ?」
レドは海の方を見渡したが、それらしき大型船は見つからなかった。
『……ここに無いとか、そういうのじゃないよね』
「海の真ん中に放置されてたりしたら打つ手無しだよ……」
視界をめぐらせていると、港の端の方に、海の中から船首だけを出している船を見つけた。何らかの理由で座礁でもしたのか、中途半端に沈んでしまったようだ。
「…………そもそも都市のエネルギー源になってるコアを船に搭載する?」
『あ……確かに』
「無いよね。だから……もう少し周り探してみるよ」
『ん、わかった』
それから、再び街の中を探索し始めた。今度は居住区や商店街のような場所にも行き、建物の中をくまなく探した。そして……気付けば日が沈みかけていた。
「無いよぉぉぉ……」
『仕方ない……もう暗くなるし、今日は一旦引き上げた方がいいよ』
「ん……そうする」
レドはビーコンを立て、ジェネに座標を送った。
『座標OK……転送いくよ』
「うん」
もうすっかり慣れた浮遊感。あっという間にシェルターの倉庫に着いていた。
「お疲れ様」
「うん……疲れた」
ジェネは労うように、レドの頭を優しく撫でた。
「ご飯用意するから、ちょっと休んでてね」
「うん。ありがとう」
それから二人は夕食を摂り、レドは入浴して就寝。ジェネは自室に戻り、ある物体を手に取った。
「……まさか使う事になるとはなぁ」
ジェネが手にしたのは、四角い物体だ。画面が付いている面が一つだけある。
「コア探知機……試作型。完成までこぎ着くことはなかったけど、多少は力になるはず」
軽く動作テストを行い、問題なく動く事を確認すると、ジェネも寝る準備をしてから、ベッドに入った。