荒廃世界の旅人   作:よっしー希少種

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長くて半分にした話の後半です


成果報告

 レドが次に認知した空間は、ガラス張りの柱状の空間だった。

 

「やぁ、おかえり」

 

 スライド式のドアを開け、ジェネが声をかけてきた。レドは未だに何が起こったのか理解出来ていない。

 

「おーい。大丈夫?」

「大丈夫なわけ……。何今の」

「転送装置だよ」

「転送装置ぃ?」

「そう。便利でしょ? 物資を転送する為の装置に少し手を加えて、人間も転送できるようにしたの」

「そういやあったな、そんなの」

 

 装置から出て辺りを見渡す。多くのコンテナがある事から、ここが倉庫である事がわかる。

 

「……倉庫、だよね」

「そうだよ」

「なんで倉庫に転送装置があるのさ」

「倉庫に物資を転送させれば、運搬の手間が省けるでしょ?」

「あぁ、そういう……」

「そんな事より!」

 

 ジェネはレドの肩を強く掴んだ。

 

「コア、早くコア見せて!」

「あ、あぁ……」

「早く!!」

 

 そして前後に揺さぶり始めた。

 

「わかったわかった! 落ち着けジェネ!」

 

 レドはポケットに入っているコアを取り出し、ジェネに渡した。

 

「うはー! 早速解析してくる!」

「え、ちょ……」

 

 コアを受け取ると、ジェネは走って倉庫から出ていった。

 

「……こういう事になると落ち着きなくなるんだから」

 

 小さくため息を漏らした後、レドも倉庫を後にした。

 

 

 二人の暮らす拠点は頑丈なシェルターになっている地下エリアと、元々ジェネの店だった地上エリアに別れている。地上エリアはかなり廃れていたが、二人で何とか修復し、今は居住空間として利用している。地下エリアはいくつもの大部屋があり、そこだけで生活出来るくらいには快適だが、ジェネ曰く「陽の光に当たらないと体を悪くする」らしく、普段は地上エリアで生活している。

 

(ん……テーブルの上にご飯がある)

 

 ジェネが作り置きしていたであろうご飯がレドの席に置いてある。書き置き等は特に無いが、食べてもいいやつだろう。今日の献立はハンバーグだ。

 

(美味しくはないけど……仕方ないよね)

 

 レドは席についてハンバーグを食べ始めた。見た目なら美味しそうだが、かなり薄味だ。シェルターにある栄養食を作る機械から作られた擬似食材が二人の食べ物だが、栄養に重きを置いているため、何を作っても味が薄くなる。生きるためだから文句は言えないが、食事の楽しみに関して言えば皆無だ。だからジェネが缶詰めに興味を示したというのはある。

 

「あ……缶詰め。すっかり忘れてた」

 

 レドはポケットから缶詰めを取り出してテーブルに置いた。ジェネに解析して、大丈夫そうならあのショッピングモールからいくらか取ってくるのもアリかもしれない。そんなことを考えながら、薄味なハンバーグを平らげた。

 食事を終え、皿を洗って再び席につく。いつもなら寝る時間まで雑談をしたりするのだが、今はジェネがコアの解析に夢中な為、一人で過ごすしかない。戦闘の疲れもあるのか、窓から入ってくる夜風に撫でられると眠気が襲ってくる。

 

(……先にお風呂入らなきゃ)

 

 眠い目をこすりながら風呂場に向かい、お湯を張った。出来上がるまでの間、部屋の中をウロウロしたりしながら睡魔と戦っていた。

 しばらく待っていると、お風呂が出来たことを知らせるアラームが鳴った。

 

「……よし」

 

 レドは変えの服を持って風呂場に向かった。

 

 

 先に髪と体を洗ってからお湯に浸かる。元々複数人で利用するのを想定していたからか、風呂場自体もかなり広い。故に、一人だと何だか寂しさすら覚える。

 

(しかしまぁ……お風呂入ったら入ったでこれも眠いな……)

 

 湯船の縁にもたれながらボーッとする。お湯の温度が心地よく、元から眠いのもあって寝落ちしてしまいそうだ。

 

(少しだけ……目を閉じるだけ……)

 

 レドはゆっくりと目を閉じた……その時だった。

 

「レドー!」

 

 バン、と勢いよく風呂場の戸が空いた。驚いて目を覚ますと、そこには服を脱いだジェネが立っていた。

 

「ビックリした……」

「やっぱりお風呂だったね。一緒にいいかな?」

「良いよ……」

 

 微睡みの中で急に大きな音を聞いたせいで心拍数がかなり上がっている。おかげで目は覚めたが。ジェネも手早く体を洗い、レドの隣に座った。

 

「解析、終わったの?」

「お、興味津々って感じ?」

「あぁ。あれに関しては僕も気になってたし」

「良いよぉ。話してあげる」

 

 ジェネは解析結果について話し始めた。

 

「まず、あのコアなんだけど、僕の予想よりも遥かに膨大なエネルギーを蓄えていたんだ。あれだけあれば、長い時間放置されていても機能するのは納得いくよね」

「うんうん」

「で、エネルギーに関してはここのコアと同じだね。ただ、ここのよりかなり小さなコアなのにこんなにエネルギーを蓄えている理由についてはわからなかった。多分作製の段階でなにかしたのかな……」

「なるほど……」

「で、今回持ち帰るように頼んだ理由なんだけど、二つあって、一つはスペアのコアとして使えるかどうかがしりたくて。結果、問題なく使えそうではある。その理由が───」

「…………くぁ……」

 

 レドは口元を覆いながら小さく欠伸をした。興味が無い訳では無いが、ジェネの声を聞いていると再び眠気に襲われてしまう。

 

「で、二つ目の理由が───」

「……すぅ」

「……レド?」

「……」

「レード」

「くぅ……」

「もー……」

 

 ジェネはレドの肩を掴んで支えると、右手でレドの左頬を思いっきりビンタした。風呂場に乾いた音がこだまする。

 

「……???」

「おはようレド」

「お……おはよう?」

(何? 左のほっぺがめちゃくちゃ痛い)

「お風呂で寝たら死んじゃうよ」

「あ、あぁ……気を付ける」

(マジで痛い。何されたんだ)

 

 レドは左頬を擦りながらジェネの話を再び聞き始めた。

 

「で、二つ目の理由ね。また寝られても困るから手短に話すけど、このコアを使って開く扉がこのシェルターにあるんだ」

「え? そんな扉あった?」

「いつも使ってる場所にはない。あるのは……更に地下だよ」

「……なんで知ってるの」

「このシェルター父さんが作ったからね。構造はわかるよ」

「そっか……」

「さて、とりあえずその部屋に行こうか」

 

 そう言ってジェネは立ち上がった。

 

「ん……わかった」

 

 二人は風呂場を出ると、服を着てその部屋に向かった。

 

 

「ここ」

「おぉ……」

 

 ジェネに案内されて向かった部屋にあったのは、巨大な扉のようなもの。本当にそれだけがある部屋だ。

 

「で、コレが本当にアレで開くの」

「勿論。これを見て」

 

 ジェネが指さした壁には、五つの穴が空いていた。丸、四角、三角、菱形、十字の形に空いている。

 

「これの真ん中の穴、レドが持ってきたコアとピッタリなんだよ」

「……って事は、似たようなやつを後四つ集めればいいわけか」

「そうだね」

「在処は……わかったりする?」

「予想だけど……三角が真ん中で、他が上下左右にわかれてる。これって……セントルと他の主要都市の位置関係に似てない?」

「……なるほど! つまり主要都市に一個ずつあるって事か!」

「そういう事!」

 

 その通りに見ると、都市から北には丸の、南には十字の、東には菱形の、西には四角の形のコアがある事がわかる。まだ予想の域に過ぎないが、今ある情報の中では最も有力だ。

 

「さて、旅の目的は決まったね。主要都市に残されたコアの回収、これをお願い……できるかな?」

「勿論。僕もこの扉の先は気になるからね」

「ありがとう。じゃあ……先にどこから行くか……」

「いや、今日はもう寝かせて」

「あ、わかった。疲れてるもんね」

 

 その日の活動はこれで終えた。レドは寝室につくなり、ベッドに入ってすぐに寝てしまった。

 

「お疲れ様、レド」

 

 ジェネは眠るレドの頭を優しく撫でた後、自室に向かった。

 

「さて、後ちょっとだし、これだけは仕上げておこうかな」

 

 そして机に向かい、作業を始めた。

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