「で……次はどこに行けばいいの?」
朝食をとりながら、レドはジェネに聞いた。
「どこでもいいよ。ただ、北側は寒冷地だし、東側は火山が近いから、行くなら南か西がおすすめ」
「ん、わかった。そしたらコイントスで決めるか」
レドは近くの棚にあったコインを一枚手に取った。元はこの世界で流通していたお金だが、今となってはなんの意味もなさない。
「そんな決め方でいいの?」
「良いよ。多少の運も絡む方が面白い。……表で南、裏で西に行こう」
親指でコインを弾く。宙に舞ったコインはやがてレドの手の甲に落ちた。
「裏……西だね」
「おっけー。じゃあ少し情報収集しようか」
タブレットに保存されてある情報から、
「西は……結構自然豊かな地域だね。田舎っぽい感じ。主に林業や農業が盛んな地域だったみたい。果物や野菜が美味しいらしいよ」
「ふーん」
「レド」
「果物あったら取ってこい、だろ」
「わかってるじゃん。菜園もあるんだし、野菜と果物を育てれば、あんな味気ない食事からはおさらばできるからね」
ジェネは更に情報を漁った。
「主要な都市は……ナラルって名前の村みたい。そこにある大型の菜園で様々な作物を作ってたんだって。コアがあるとすればそこかな」
「村か。街と比べたら小さいイメージなんだが」
「どうかな。主要都市に分類されてるし、そこそこ広いんじゃない?」
「そっか……」
「……とりあえずこんなもんか。もし欲しい情報があったら後からでもいいから聞いて」
「わかった。じゃあ……行こうかな」
「あ、待って待って」
「どうした」
「昨日取ってきたコアあるじゃん。あれ使ったらなんか機械の調子よくなってさ。新しいアイテム作れたんだよね。今から取ってくるから待ってて」
そう言ってジェネは地下に向かった。少しして、機械刀を持って戻ってきた。
「武器になにかしたの?」
「うん。今後もああいう戦闘になる可能性があるから、銃をつけた。所謂銃剣ね」
「え、それ大丈夫?」
「何が」
「いや、電気で刃を熱する仕組みなのに、それに銃付けたら、銃側が熱でダメになりそうで」
「大丈夫。強力な断熱材を使ったから、熱は銃部分には伝わらないよ」
「それ込みで一晩でやったのか……」
「余裕よ」
ジェネは親指を立てて見せた。レドは機械刀を手に取り鞘から抜いてみた。柄には銃のトリガーが、鎬の部分には銃が新たに取り付けられていた。
「あと……」
「まだあるの?」
「うん。携帯型のビーコンだよ。これを設置した場所に転送できるようになるんだ」
「へぇ……つまり一旦ここに帰ってからまたその地点に戻れるってことか」
「そう。レドの生体データはもう入ってるから安心して」
「……は?」
ゾワッと寒気が走った。
「い、いつとったの……?」
「寝てる間に唾液を少し」
「ジェネ……そういうのはおきてる時にやってよ」
「ごめんごめん」
ジェネは少し笑いながら答えた。
「とりあえずこんなもんかな。もし何か必要なのあったら言って。作れるものなら作るから」
「わかった。じゃあ、そろそろ準備しようかな」
「今回は遠出だから、準備はしっかりね」
*
ポーチの中に携帯食糧や飲み水、端末の充電器等を入れていく。
「これなら数日はもつかな」
「多分ね。まぁ、足りなくても一時帰還出来るし」
「それもそっか」
ポーチを身に付け、玄関に向かう。
「じゃ、気を付けてね」
「うん。行ってきます」
レドは再び旅に出た。目指すは西の主要都市、ナラル村。