死にたくないから生きてるだけで 作:猿も電柱に登る
とりあえずの真面目なお話
現実だと一つ年上のタマモクロスってこっちだと同級生になりそうですよね、おまけにダートレースを走ることなく芝を走ってそうだし。
でも今作はリアル準拠でいくよ、調整が難しすぎるんだもの。
なんなら当然のようにクラシックを走ってるオグリキャップとかいう化け物もいる世界ですし、難易度はルナティックじゃないのかな、アプリ世界。
入学式は睡眠時間
真っ白でもなく、真っ黒でもなく
中途半端な灰色の髪。
望まれていた白銀の色が見えなかった時、泣き声一つ上げない赤子を見つめた時。
赤子はたった一人の母親から産まれた途端に首を折られかけた、らしい。
珍しく家でお酒を飲んでいたお父さんが泣きながら話してた。
それなりに高貴な家の出身であった母は、実家から強いウマ娘を産むことを望まれていたらしい。
その中で走らないと有名な葦毛のウマ娘が産まれ、あろうことか。話題性すらないであろう灰色の身体の子どもが産まれたらしい。
何かが壊れた音が聞こえたらしい。
らしい、らしいと繰り返えすけども、私にとっては全部らしいのお話だもの。
残ったのは狂気に心を支配された母親と息を止めた赤子、怒号を挙げる人々。
今でこそ病院で騒がしくするなんて非常識だなと他人事のように思えるわれるかもしれないけど、当時は大変な事件であったらしい。
私がトレセン学園に入学するという話を聞いた時、復縁の話があった。
まあ、本格的に顔を見たこともない母親なんていないのと一緒。
どれだけこんな事情があったから許して欲しいと乞われても、母親がいない生活は辛いと説得されても、はいそうですか、と生返事をすることしかできなかった。
当然といえば当然だけど、どんなに苦いものもそれしか食べてこなかった人には、その事がわからない。
同じ様にこの母親のいない生活に辛いと思った経験なんて知る頃には、一人で大抵のことはできるようになっていた。
そもそもトレセン学園は寮生活で比較的ずぼらな私が相部屋の人に迷惑をかけることは恐ろしいけれども、母親と顔を合わせることなんてろくにないだろうし、下心が見え見えで逆に滑稽で面白かったのかも。
いや
私の耳がほとんど聞こえないって知ったら、バカにしたように嗤ってたっけ?
上から目線で『スポンサーになってあげても良いのだけど』とかほざいてたから、やっぱり滑稽でバカだったんだろうね。
まあいっか、あんなのどうでもいいし。
私としてはお父さんが独り暮らし能力の高い人だったから、家事のやり方を教われたことだけはあの母親らしき生き物に感謝してあげても良いかも。
というか私って恵まれてるよね。
家事万能で、いつも遊びに付き合ってくれて、お仕事もしっかりとこなしてくれる。
僕の考えたパーフェクトお父さんだよね、ここまでくると。
そんな人類最高峰に恵まれた私だけど、そんなお父さんと離れなくちゃいけないんだよ。
別に一人で生きていくことも難しくないだろうけど、実家から通うって話したら『ルームシェアなんて、滅多にない経験だから一度試してみたらどうだい?』って言われちゃったし、じゃあ寮生活するかとなったんだよ。
別に嫌とかじゃないんだけど、同じ部屋のウマ娘が潔癖症とかだったら耐えられる自信はないからさ。
いやまあ、最悪の場合は家事をしないどころか、全ての行動を召し使いにでもやらせてたお嬢様になるんだろうけどね。
あー、なんの話をしてたっけ?
まあいっか
それじゃあ華の女学生の通学シーンでも眺めててよ、世の中にはそれだけで喜ぶ人が数えきれないほどいるらしいしさ。
んっ、つまんなかった?
私が食パンを加えて遅刻ギリギリに走って学校に行くウマ娘だと思ってたのなら、その幻想は捨てた方がいいよ。
そもそも私は食パン苦手だし、甘すぎるスイーツも嫌いなんだよね。
どれだけ甘くても、高級みかんの甘さを越えたら食べれないんだよ。
だから冬場は、クリスマスケーキとかチョコレートとか作んないし、食べないで、人間をダメにする炬燵って兵器に引きこもってみかん剥いてるんだよね。
あー、引っ越し準備をしたかだっけ?
それはだいぶ前に済ませてるよ、今学校に行ってるのは、入学式ってやつ。
毎年駆り出される三年生が大変そうなあれだね。
とはいってもトレセンって高専みたいに五年生だから、働くのは四年生の仕事らしいよ?
なんで五年生じゃないのかって言われたら、わかんないだけど、五年生は忙しいからね。
現役でレースを走るのは四年生までなんだけど、それ以降は就職活動で大変らしいよ。
コネ作れないと大変なんだよね。
みんながみんなニートになれるような大金をスポンサーから貰えるわけじゃないし、重賞を取れる実力があったとしても、目立つ子じゃなきゃお金は貰えないらしいから。
「新入生の諸君、これから君たちは………」
んー、眠い。
無敗の三冠馬からのありがたいお言葉が授けられてるんだけど、あんまり興味がない。
なんかお堅い人に見えるんだよね。
これなら去年のカツラギエース先輩が会長の時代に行きたかったよ。
というか現役のミスターシービーに会いたかった。
私が走るきっかけをくれた先輩で、同じような走り方が得意ってのもあって、めっちゃ尊敬してたし参考にしようとしてた。
まあ、私の足に爆発的な加速力はないから、真似したらめっちゃ雑魚になるんだけどね。
それで、会長の話が全部終わって良く寝たって伸びをしたんだけど、そこを見られそうだったんだよね。
そしたら隣の娘が必死に隠そうとしてくれて、ああ優しいって思ったから、後のやつはちゃんと聞いてあげた。
聴きたくて、聞いてるわけじゃないんだから、任意で聞くか寝るか選ばせて欲しい。
頑張って起きていたら、めっちゃ疲れたから早く寮で休みたいって思ってたんだけど、とりあえず教室に集合ってなって、なかなか広いから迷う奴がいるかもなー、なんてことを考えてたんだけど、案の定迷ってるのがいた。
「えっと、ごめんなさい!、一年二組の教室って………、あっ!」
「ん!?、さっきぶりだね♪」
それが、入学式の時に世話になった娘でびっくりしたけど、しっかりものなのか、抜けているのか、どっちか曖昧なその娘の名前は、『サクラチヨノオー』ちゃんだとか。
ん?、そんなことよりお前のその口調はなんだって?
しょうがないでしょうが、こっちは耳が飾りみたいなもんだから相当密着しないと音が聞こえないんだよね。
だから、相手に突然抱きついても違和感ないキャラクターに猫を被ってんだよ、なんか文句あるなら表に出てこい!、そこには誰もいないけどさ。
「えっと、その一緒に行きませんか!」
「オッケー♪、目的地はあっちだよー!」
この娘は声が大きめだからそこまで気にならないけどさ、ボソボソ話す娘だった時とか大変なんだよね。
補聴器はあるんだけど、アクセサリーに見えるタイプだから申請しないと使えないし、今日は着けてきてない。
あっ、声が大きい娘って手を繋ぐことなら抵抗ない人が多いからそういっただけで、今は良く聞こえてないんだよ。
「憧れのウマ娘の先輩さんってどなたなんですか!?」
「んー、前会長さんと前副会長さん」
「そうなんですか!、私はマルゼンスキーさんなんですよ!」
じゃあ、なんで会話が成立してるのって質問されたら、読唇術って奴だね。
口が大きく開く娘限定だから、ろくに使えないんだけど……、五人に一人くらいには役に立つ。
というか前生徒会って面白すぎるよね。
実績で選ばれそうになってたシービー先輩がカツラギ先輩に押し付けて、泥沼の戦いが起こってた。
結果、二人とも重要なポストに入れられて、さらっと巻き込まれたギャロップダイナ先輩が書記に入れられて……、混沌としてたよなー……。
本気でキレたダイナ先輩にドロップキックされたって、シービー先輩が言ってたっけ?
そんなわけで色々話してると教室に着いた。
他にも迷子がいたみたいで、私たちの地味な遅刻は許された。
同室の娘がこんなタイプの人だと嬉しいな、なんて思ってるけど、たぶんチヨちゃんみたいな娘は珍しいからなー。
あ、私の番か
今からあるのは自己紹介だね。
進級したら定番の行事だけど、あんまり乗り気じゃないかな。
でもまあ義務だし……。
「はい!、ラ·ジャポーネです、気軽にラジって読んでくれると嬉しいです!」
聴覚障害のことは隠す。
学園に来て早々に舐められるのは避けておきたい、健全な学園生活を送ることくらいは許して欲しい。
小学校の時は、先生からそれを暴露されて(悪気はなかったんだろうけど)かけっこで勝つと、他の子のは遠慮するのに、私の耳を握って引っ張ってくるクソガキどもの『聞こえないならいらないだろ!』なんていう理屈は言えて妙だと思ったんだけど、普通に痛いんだから止めて欲しかった。
全てが終わって、いやレクリエーションの過程だよ?、さあ寮に帰ろうとすると、チヨちゃんがわざわざお喋りしに来てくれた。
何これ聖人かなって思うんだけど、その視線が足に向いているのを見ると、この娘もウマ娘なんだなと思い知らされた。
でもまあ、お喋りは楽しかったから、その辺はプラマイゼロってことで許しちゃう。
一緒に駄弁りながら寮に向かうと、そもそも寮の場所が違うことが判明した。
ブンブンと派手に手を振る姿が可愛らしくて、こちらも腕が飛ぶほどの勢いで振り返す。
すると、あちらも尻尾と一緒に振り返す。
無限ループになりかけた時、あちらの寮長であるビゼンニシキ先輩に首根っこを捕まれて連れていかれてしまった。
さあ、新生活の始まりだ。
扉をガチャンと開く音、おお、同居人が出てきたんだなと中を覗くと
「やっぱりこれおかしいやろ!」
「私に言われてもな……」
既に二人の先客がいた……。
ふたり?
二人!?
狭い部屋に女三人
オマケに揃いも揃って葦毛
敷かれた布団は見事に三つ
私に気付いた視線は二つ
どうやら、我々特例のよう。
やっぱり、私に平穏はない。
「えーーーっと、御二人の名前は?」
「うちは!
「私は
タマモクロスや!」
オグリキャップだ」
健全な学園生活を送れるのはいつになるのか……。
見上げた空は茜色に染まって、逃げ場はないかと悟りながらも、この面倒な状況から逃げたいと、切に思うのでした。
時系列は1984年世代が最年長で、そこから順に下がっていく感じ?です。
分かりやすくウマ娘に出てる有名所さんを優先して並べると
5年 シンボリルドルフ
4年 シリウスシンボリ
3年 メジロラモーヌ
2年 イナリワン
1年 オグリキャップ
正直7年制にするか悩んだけど、調整してるとボロが出まくるので、やりませんでした。
というか!、時代が滅茶苦茶でやりにくいんですよ!!!
ウマ娘になった馬でクラシック三冠馬の二人は絶対に離さないと大変だし、そしたらそれはそれでミホシンザンとシンボリルドルフとかいうドリームマッチがクラシックで衝突とかいうトンでも時空が生まれるし……。
結果、脳死でシービーに卒業してもらって、タマもクロスとイナリワンたちを年上にして………、史実と同じ年代になりました!
許してください……!
最悪の場合はのんびり時空とガチガチ時空を分断します。