死にたくないから生きてるだけで 作:猿も電柱に登る
ウマ娘を書くのはあれが最後といったな
あれは嘘だ。
今回は同居人とのお話。
ウマ娘の二次なのにレース描写がまだないというダメダメ状態ですが、許してくれる嬉しいです。
「改めて言うで、うちの名前はタマモクロス、家事全般は任しとき!」
「私はオグリキャップだ、家事は……、料理なら少しできる。推薦で地方から来たがしばらくは地方のレースを走ることになると思う」
「えーと、私はラ·ジャポーネっていいます!、家事全般はできるので、頼って貰えると嬉しいです!」
ちゃぶ台を囲んで本格的な自己紹介を始めたんだけど、何か空気が一世代前だよね。
なんで今を生きるJKたちが夕日をバックに某ウルトラ男7のワンシーンを再現してるのかな……。
そしてこの二人はこの状況にツッコミもないようだし……、オグリちゃんに至っては数分に一回のペースでお腹を鳴らしてるし……。
お父さん、私にはシェアハウス無理かも……。
「そりゃあ、うちは家事もある程度できるし、兄弟もたくさんおるから、こういうのに慣れとるってのはわかるんよ」
そんな私は先輩の愚痴を聞き中です。
「せやかて急に寮長から『ここ広いから三人部屋にするか』やで!、なんや先輩が卒業したからって横暴やろ!」
「えーと……、大変でしたよね、私たち一年の面倒を見るだけでも重労働なのに、それが二人もいるなんて……」
ビールでも飲んだの?ってくらい顔を真っ赤にしながら愚痴を話す先輩の姿は、茹で上がったタコみたいでなんだか面白い。
いや、人が怒ってる時に不謹慎だとは思うけどさ、関西弁を話す人からタコを連想した時点でかなりヤバかった。
でも、必死に吹き出すのを我慢するために真剣な表情をしてたから、あちらさんの反応はよろしいみたい。
「ん、悪いなー、別に関係ない愚痴を聞かせてしもうて……」
「いえいえ、こちらこそ迷惑をかける側なので、こんなことでもお役に立てば光栄です」
『グー……』
まずい……、先輩の真剣なお話の最中に何をしているんだ私の胃袋!
油を差し忘れたブリキのようにギリギリと恐る恐る先輩の方を向くと
「あはは!、大人びとるかと思ったら、子供らしいところもあるやないか!腹減ってきたんやろ?、食堂に行こか」
許された!
校長先生の朝礼の時に唐突にお腹の音を鳴らしてどこかに連行された雪くんの二の舞にならずにすんだ!
そんなわけで私がいるのは食堂
食券を買うタイプの場所だったから、とりあえず別々の列に並んでそれから合流することになったんだけどさ……。
ドン
もしかしてトレセン学園って割り込みオッケーなのかな……、やたらと私の前に割り込んでくる奴がいるんだよね。
イラッとしたから軽く腹パンして声をあげさせないまま仕留めたんだけど、もしそうだったら申し訳ないことをしたなーって思ってる。
死屍累々の私の列を見て、上級生が絶句してたのを見ると、やっぱり早い者勝ちの文化が根付いているのかも。
流石は競走馬の卵たち、どんなことにもどんな相手にも負けたくないんだね。
私には良くわかんないけどさ。
そんなわけでカツ丼の食券を買うと、おばちゃんがおまけにで目玉焼きを付けてくれるとのこと、なんだか哀れみの籠った瞳だったから、もしかしたら割り込みは新入生への歓迎の意味があるのかも?
たどり着くことができたら、おまけをくれるけど、そうでないなら夕食にはありつけない。
なるほど、これなら新入生が食事の時間に遅れることはなくなって早く来るようになるだろう。
なかなか合理的じゃないか……。
「ん……大丈夫やったラジ?」
「いえ、特に……、でもおばちゃんから目玉焼きをおまけしてもらえましたよ」
「ならええんやけど……」
そんなことを思いながら歩いていると、タマモクロス先輩を発見。
心配そうにこちらを見つめる視線は、母親のようで、いや私に母親なんていないけど、なんだかくすぐったくなってしまう。
こほんと咳払いをして、そのまま会話を続ける。
得意な料理は何かとか、兄弟はいないのかとか、当たり障りのない会話だったけど、まともな友達があんまりいない私にとってそれは至福の時間だった。
「はーい!、ジャポーネちゃ~んカツ丼ができたよー!」
私の耳にも(補聴器はさっき着けたけど)聞こえるくらい大きな声で、おばちゃんのできましたコールが届く。
うどんより早いとは思わんかったな~と口にするタマモクロス……、長いからタマ先輩にしよう、に急かされて、注文を取りに行くと、そこにはカツ丼に半熟の目玉焼きが乗せられているという食べ盛りのウマ娘には嬉しい一品があった。
先輩も呼ばれて、うどんと白飯のセットを取りに行ってたけど、おかず無しでそれを食べれるのかと思い、小皿にカツを一つと四分の一の目玉焼き置いて、あちらのお客様からごっこをしたりもした。
おばちゃんはなかなかノリがいいね。
そんな遊びをしながらもサクサクのカツ丼を頬張る。
カツ丼には大まかに分けて二つの種類があるのだけれども、これはトンカツを重視したタイプっぽい。
カツ丼としての勝利かトンカツとしての勝利か、取れるのはどちらかに一つなのだ。
これはサクサクを重視してトンカツそのものへのリスペクトを感じる。
味付けそのものは決して濃くはないし、カツ丼としての存在を示している。
でも、べちゃべちゃした衣ではなくサクサクの衣になっていながら、肉を柔らかくし過ぎない噛み応えのあるものに仕上げているのだ。
素晴らしいの一言に尽きる。
「おお!、このトンカツもなかなかええな!」
ふふふ、そうであろう、っと魔王ごっこと食レポはこのくらいにして、のんびり食べますかね。
「ごちそうさまでした」
食事を終えると日は暮れていて、あとは寮に帰るだけ。
今年からクラシックを走るタマ先輩は少し走り込みをしてくるとのことで、私は一人でゆっくり帰ってさっさと寝ようと考え中。
けれども何だか寂しい気もして、そこから動かず停滞中。
慣れていたはずの孤独にすら耐えられなくなっているようで、人間というものの弱さを再確認。
とはいえ、少し待てばこの孤独から解放されるかなと部屋に行くと
「ん」
同居人がいた。
そういえばこの部屋は三人部屋、一人欠けてもまだ誰かいたのだった。
ただその同居人の様子が異質だった。
「カップ麺ですか……」
しっかり片付けてはいるものの、周囲に広がる匂いからしてカップ麺でも食べていた様子。
この時間だし私も運動していたら小腹が空いていた可能性はあるかもだけど、夕食後はどうなん?
いや近所のラーメン屋にウマ娘盛りとかいう面白そうなメニューがあったから、一部のウマ娘の食欲が常識を超越してることはしってるけど、夕食後ってどうなん?
「…………えっと、その」
「別に怒ってないですよ、ただ身体に悪いので食べ過ぎは止めてくださいね」
少し膨れたお腹を隠しているオグリさんが可愛らしくて、威圧するふりをしちゃったけど、この子すごく可愛い。
というか、ゴミ箱を見るとたくさんあるカップ麺の容器を見ると……。
「もしかして、おゆはん、食べ損ねた?」
こくり
あの洗礼を受けたみたいだね……。
「まだお腹空いてますか?」
こ……、こくり
「うふふ、引っ越し祝いに美味しいニンジンを貰ったんですけど、何か食べたいものはありますか?」
「コロッケ……」
「良いですよ」
こんな感じで後輩同士の助け合いを促すのも、もしかしたら目的かもね……。
まあ
タマ先輩の表情と他の新入生の反応からして……。
露骨に葦毛は侮られてるのかな?
だとしたらわざわざ三人部屋に私たちを押し込めたのもなっとくかな。
良家のお嬢様方は違うみたいだし……。
『新入生の諸君、これから君たちはこの学園で様々な経験を積んでいくだろう。この学園は努力する者全てを平等に扱う、決して努力を欠かさず……』だったっけ?
「味な真似をするじゃん、トレセン学園」
この感じだけど私たちが三人部屋なのは……
平等を謳うトレセン学園
随分と面白い真似をするじゃん
それじゃあ
偶然だけど必然のこの出会い
惜しくもないこの命なら
やっと出会えた友のため
賭けて散るのも悪くないかな
目指す壁は高ければいい
それこそ
凱旋門とかね?
次回!、模擬レース&トレーナーとの遭遇!
ラ·ジャポーネのヒミツ①
実は、ニンジンが苦手
ジャポーネのキャラクターですが、興味がない存在には明るい仮面を着けたまま対応して、一度気に入ったら面倒見の良い本性がでてくる。
本当に気に入った相手なら大抵のことを許してくれる肯定ボットになります。
現実に存在したら怖い人ですね……、あっという間にダメ人間にされそう。
例『ん、どうしたんオグリ、ああ私のカップを割っちゃったのか、別にいいよ、また買えばいいし。それより明日はレースなんでしょ、私が片付けとくからゆっくり寝てなさいな』