死にたくないから生きてるだけで   作:猿も電柱に登る

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 トレーナーはアプリ版ではマルゼンスキー系の普通の人だけど相性が良いみたいな感じになるのかな?と思案中。

 どの道、共犯者が一番相性が良さそうですが。



出会うは相棒か足枷か

 「模擬レースか……、ええんやないか、うちはサボってたせいでトレーナーを見つけるのに苦労したから早めに終わらせるのは正解やないやろか?」

 

 そんなわけで思い立ったが吉日、とりあえず嘗められないような走りで何人か潰すかと考えてたんだけど……。

 ぶっちゃけトレセンの一年ってどんくらい強いんかな?、オグリちゃんと並走したときは出鱈目に強かったから、地方であのレベルなら中央とか絶対勝てないんだけど。

 

 あっ、オグリちゃんとは結構仲良くなれたよ。

 ただあれだよね、私が作ったコロッケを食べてから態度が軟化してたのは心配かな……。

 なんか美味しいもの食べさせてあげるとか言ったら簡単に着いていきそうでめっちゃ不安……。

 

 いや、財布を消し炭にして終わりかな……。

 

 て、話がずれたね。

 

 一応、食堂で見てたんだけど、一部を除いてたいして鍛えてなさそうだったからたぶん大丈夫なはず……、いや抜群のセンスで努力を覆してきたらどうしようもないけど。

 

 でもトレセン学園って将棋で言うところの奨励会みたいなものらしいからあり得ない話じゃない。

 

 

 「あっ!、おはようございますラジちゃん!」

 

 「ん~、おはよチヨちゃん」

 

 

 

 さて数学の授業、ぶっちゃけ私はこれが苦手なんだよね。

 正確には途中式を書き込むのが嫌い。

 フィーリングで何とかしてる私としては、それを使えないものになると一気に弱体化するから。

 

 ん、授業は辛くないのって?

 

 「ここの計算式はわかるか」

 

 まあ、今まで会った教師陣に葦毛への差別的な思考を持つ存在はいないから大丈夫。

 

 ただこれだと、ルドルフ会長が辛いわけだ。

 

 教師っていうのは大人だから、基本的にその行いの責任は本人に返ってくる。

 だから大したことのない問題も大々的に取り上げることができるし、余程金持ちとか権力のある人間でもなければそのことを公表することができる。

 もちろん、そんなことしたらこの学園の評判に関わるだろうけど、あの会長さんがそんなことを気にしてウマ娘の良き未来を諦めるとは思えない。

 

 そんな感じだから下手な真似をしたら教師であろうと潰せる会長としては、むしろ古臭い考えを持った教師がバカをやるのを潰してから生徒にも注意喚起して……、みたいな方法が一番良かったのだと思う。

 

 ただここにいる先生方はまともな人ばかり。

 

 いや、終わったあとかもしれないけど

 

 でも現状はガキのバカみたいな喧嘩の範囲……、された側はたまったもんじゃないけど、で済まされている状態はむしろ足枷になってるわけ、か……。

 派手に行動をするような奴がいたらそいつ白羽の矢にしてしまえばいいけど、嫌がらせの範囲……、なんで弱いと思ってる奴らに嫌がらせしてるんだ?

 

 いや、楽をしたいだけかもしんなけいど。

 掃除当番を押し付けられたりはしたからこれが正解かもしんないけど。

 

 合理性のある差別なんて存在しないから思考の無駄かな……、人間ってめんどくさ……

 

 「おい!、ジャポーネお前だぞ」

 

 「あっ、ごめんなさい良くわからないて……」

 

 「なら返事をしてくれ、ここはだな……

 

 おっと、考え事はこれが終わってからにしようか。

 

 

 「大丈夫?、ラジちゃん……」

 

 「だいじょうぶだよ!、ただ難しくてね」

 

 「あっ!今度ヤエノさんと勉強会するんだけど、一緒にやらない!」

 

 「いいね!」

 

 んで、考え事の続きなんだけど、『大事』にするだけなら理不尽を無視したりしてヘイトを溜めて、んで自殺未遂でもすればどうにかなると思ってたんだけど、クラシックを控えてるタマ先輩の精神に負担をかけたくないし、目の前のかわいい友人の涙は見たくないからやりたくないね。

 

 そんなわけで純粋な強さでなんとかするしかないこの現状は搦め手を使いにくいこの状況はあんまり好ましくないのですよ。

 

 それでもやるしかないからね。

 

 模擬レースの出走登録ほいっと申請しておきます。

 

 

 

 

 『何だかんだで、そこまでやれたんでしょうが!、ならあんたはすごい子だよ。なんでも良いから上を目指してみんしゃい』

 

 ほどほどに頑張らない

 

 何ともいえないその信条のままに生きてきて早十六年。

 普通に高校に行って、普通に大学を出て、普通に就職でもするのかと思ってた人生が変わったのは、中学の時だった。

 っても、空から美少女が降ってきたとか、特別な力に目覚めたわけでもない。

 

 お袋の言葉だ。

 

 常日頃から広言してるわけでもないが、この信条は家族にもなんとなく伝わっていて。

 

 今までは『最低限できればいい』とか『お前が一人で生きれればそれでいいんじゃないか』とか言われてた俺にとって、上を目指せっては新鮮で聞き馴染みのない言葉だった。

 高校生になっても特に努力も成長もせずに進んでいたけれども、その言葉は頭から離れなくて、ふとした瞬間に今のままで良いのかって想いが胸の中を暴れまわる。

 

 そんで俺はその想いに負けた。

 

 いや、世の中の皆さんの意見は誘惑に勝ったなんだろうが、その時の俺は何ともいえない負けたという感覚に陥っていた。

 それでまあ、必死とは言わなくても普通の努力を重ねて、普通の人間はほどほどに努力する人間になった。

 

 その結果は特別なものではなくて、ただテストの赤点が減ったとか、評定の平均が上がったとか、そのくらいだ。

 

 それでも先生方からは、ろくに提出物を出さない不良生徒の成績が突然上がったもんだから、職員室でも話題が挙がる程度には、大事だったらしい。

 

 それが、ほどほどに頑張らないが、ほどほどに頑張るという信条に変わった時だったりする。

 

 そんな自分に変わってからは、理由もなくいろいろと挑戦したさ、とりあえず日本一周とか、ろくに英語も話せないのにアメリカ横断とかな。

 

 俺は努力ってのは、地道で辛くて、泥臭いもんだと思っているから、そのことが楽しいと思っちまったら努力じゃないと考えてる。

 そんだから俺は結局、努力のできないダメ人間になった。

 

 でもよ

 

 中学の時の俺と大学の時の俺に見せてやりたい。

 

 

 「おい、俺……、今お前はトレセン学園のトレーナーやってるぞ」

 

 

 そんな夢みたいな現実を

 

 

 まあ、そんな夢みたいな状況になったのは、大学時代の俺のお陰だから、そこんところは感謝してるよ。

 お前が理由もなく片っ端から取っていった資格だの検定だとの中に偶然

 

 「揃えるとここで働けるような資格があったんだからな……」

 

 まあなんだ。

 ウマ娘のトレーナーの資格は、一つで成立するものと、いくつかのものを集めて得られるもがあったんだよ。

 ただ、寄せ集めの方はチームが作れないんだけどな、担当ウマ娘も一人しか取れないし。

 

 そんな制度に頼るほどトレーナーは不足してるし、試験の合格は難しい。

 まあ、そんなトレーナーという仕事を任されたのは、いわゆるコネだ。

 正確に言えば、友人からのSOSに応えてのことなんだが、これもコネだろ。

 

 理事長に挨拶をして、個室の鍵を貰って、んで見てこいカルロって言われて……。

 

 そんで、今は模擬レース?とやらを見てるんだが、なんというか酷い。

 いや、比較対象がうちの身内……、まあシービーとかと比べるのはおかしいんだろうが、駆け引きも殆どない運動会の駆けっこかよと言いたくなるようなレースを見せつけられたんじゃ、こうも言いたくなる。

 

 二つほどそれを覗いて、ああダメだこりゃってなってから、三つ目に光るものを感じさせる奴はいたんだが、既に担当がいた。

 

 

 諦めかけた四つ目

 

 そこにいたのは一人の灰被り(シンデレラ)だった。

 

 灰色の姿にジャージを着たその姿、周囲から向けられる嘲りの感情。

 

 ああ、いかにもな奴がいるなって笑ってしまった。

 

 ただこれのお陰で興味が湧いたから、結果的にはその目立つ……、かは微妙だが特徴的な容姿に感謝している。

 

 

 そして

 

 

 レースが始まった。

 シンデレラは最下位、なんだ、まさかシンデレラストーリーみたいに逆転するんじゃないだろうな……。

 

 前から距離を離され、後方をポツンと一人旅……。

 

 周りにいるトレーナーらしき人も、そいつには視線を向けずに、かなりハイペースに進むこの馬群の先頭や周囲に期待を寄せている。

 

 とはいえ、大したことがなさそうなのは事実だから俺はそのシンデレラを眺める。

 

 すると気付くわけだ。

 

 「あいつ、ずっと加速してんのか……」

 

 前から離れすぎているが故に、しっかりと確認することはできないが、確実に加速して

 

 そして

 

 「あはは!!!、轢きやがった!」

 

 垂れてきた奴らを一人、二人と薙ぎ倒し、上位に肉薄したところで、五着に倒れた。

 

 1000mでやる走りじゃないし、普通に負けているが、それでも

 

 「君!、うちの担当にならないかい!」

 

 「いや、うちなら確実にG1を!」

 

 めっちゃ、声がかかってる。

 

 そりゃそうか。

 あと少し距離があれば全てを轢き倒していた可能性の高い実力者だ。

 人気にもなるし、自分で確保したくもなる。

 

 

 ただ……。

 

 

 「私が日本一になれると思いますか?」

 

 「私を日本一にしてくれますか?」

 

 そんなバカげたことを口にするウマ娘には、若いトレーナーは応えられないだろう。

 それを実現できる可能性を秘めた熟練のトレーナーは半分彼女を諦めている。

 理由としては……、まあ日本に長距離のレースが少ないからだろう。

 活躍させることはできても試行回数が少ないからG1を取らせることは難しい。

 数合わせで有馬記念を長距離としているくらいだから、ステイヤーの活躍しにくい日本において、彼女を取るメリットはない。

 そんなら、中距離に強い馬でも育てた方が楽だろうしな。

 

 いやでも

 

 「海外ならいけるか……」

 

 いや、無理だな。

 

 俺はこいつを諦めて別の……。

 

 

 おい!、なんでこっちに来る!

 

 

 「担当トレーナーになってください!」

 

 

 「ガラスの靴を拾った覚えはないんだがな」

 

 

 「あら、シンデレラですか?、ならあなたは王子様ですかね♪」

 

 

 「そこは魔女だろ……、王子様なんて柄じゃねーぞ……」

 

 

 トレセン学園出社の初日……。

 

 面倒なことになりそうだよ、母さん……。

 




 現実時代同様に、トレーナーの声だけははっきり聞こえています。

 主人公は狂人にしたいですけど、常識人ポジションの方が映えるんですよね。
 あとエセ関西弁でごめんなさい……。
 これまでのお話からなんとなくわかるかもしれませんが、私は別に関西人ではないので、不自然になりますが、その時は暖かい目で見守ってくださると嬉しい
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