【完結】言峰綺礼の姉【転生】   作:器物転生

1 / 8
PSO2が攻撃を受けてダウンしているので、ついカッとなって書きました。
バウンサー実装マダァ-?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン

全8話を1時間毎に投稿し、
6/22(日)午後1時から投稿を初めて、午後8時に完結させる予定です。
→予定通り完結しました


【第13話】15歳の頃

 暗闇の中、私は目を覚ます。

 すると私の体の上に、何者かが乗っていた。

 

 横になっている私の、太ももの辺りに重さがかかっている。気のせいでも幻でもなく、何者かが私の上にいるようだ。私の体の上に、何者かが股がっていた。その存在に気付いた私は、意識に纏わり付いていた眠気を振り払う。しかし、慌てて起き上がろうとした私の体は、その何者かの声を聞いて押し止められた。

 

「綺礼」

 

 それは『姉』の声だった。誰かと思えば姉ではないか。15年間、共に育った姉の声を、聞き間違えるはずがない。しかし、なぜ姉が私の部屋にいるのだろうか。姉と私は寝室を別にしていたはずだ。幼い頃は寝床を同じくしていたが、小学校へ入学すると共に、父から別々の寝床を与えられていた。

 

「……綺礼」

 

 そして、なぜ姉は、私の上に股がっているのか。小刻みに姉は体を動かして、私の体と摺り合わせている。衣の擦れ合う音が、私の寝室に広がっていた。姉の柔らかい感触が、布越しに感じられる。その刺激によって、私の意思とは関係なく、私の突起物は立ち上がっていた。

 

「……綺礼!」

 

 股がったまま姉は、体を倒してきた。ささやかな姉の胸が、私の胸板に押し当てられる。そうして体を密着させた姉は、私の耳の側で「綺礼」とささやいた。女を感じさせる甘い声で「綺礼」とささやいた。そして暗闇の中、姉は私の顔に唇を近付ける。姉が何をしようとしているのか分かった私は、その唇を手で遮った。

 

「姉さん、こんな事をしてはいけない」

 

 姉弟の姦淫は重罪だ。

 

「大丈夫、家族ならノーカンだから。そうじゃないと、ファーストキスは親になっちゃうでしょ?」

「そんな訳がないでしょう。こんな事をしては、父が悲しむ」

 

「姉弟で憎み合うのは悪い事よ。でも、愛し合うのは良い事なの」

「限度という物があります。こんな事は止めましょう、姉さん」

 

「綺礼は私の事が嫌いなの?」

「好き嫌いの問題ではありません」

 

 姉が体を退ける様子はない。私は姉の体を押し退けようとしたものの、少しも動かなかった。動いているのは姉の腰だけだ。恥ずかしながら私は、力比べで姉に勝った事がない。どう頑張っても私の力では、姉を押し退ける事はできないだろう。いつもながら姉の細い体の何処に、このような力があるのか不思議でならなかった。

 

「――お姉ちゃんを虐めたいでしょう?」

 

 姉は突然、そんな事を言い出した。『虐める』とは性的な意味なのだろう。しかし、そんな事は思っていない。姉に対して、そのような感情を抱いた事はなかった。いいや、少しも抱いていないと言えば嘘になる。しかし、そのような感情は気の迷いだ。私は姉を『虐めたい』と思った事はない。

 

「――お姉ちゃんを苦しめたいでしょう?」

 

 この姉は何を言っているのか。私は理解に苦しむ。どうして私が姉を『苦しめたい』と思うのか。苦しめたいと思っていると、そんな事を考えたのか。そのような感情を抱いていないと言えば嘘になる。しかし、そのような感情は気の迷いだ。私は姉を苦しめたいと思った事はない……『苦しめたい』と思った事など、ない。

 

「我慢しなくてもいいの。お姉ちゃんは綺礼の事を、お父様よりも――ううん、誰よりも知っているから」

 

 私ですら私の事を知らない。私が求めている物を知らない。それなのに姉は知っているというのか。私の求める『答え』を知っているというのか。私が姉を『虐めたい』と思っていると、『苦しめたい』と思っていると……そう言うのか。しかし私は姉の言葉を受け入れる事はできなかった。

 そうではないはずだ。私の求める物は他にあるはずだ。私に相応しい物が何処かにあるはずだ。私の求める物は『そんなもの』ではないはずだ。他人の苦痛が私の求める物であると、下劣な願望であると私は認めたくなかった。だから私は姉の言葉に「違う」と返す。姉の出した答えを、私は否定した。

 

「姉さん、私の望みは、そんな物ではない」

「大丈夫だよ、綺礼。綺礼が汚れていても穢れていても、私は綺礼を愛してあげるから。だから安心していいの」

 

 どうやら姉は私の願望を『そんなもの』だと思い込んでいるらしい。そう思い込んで真夜中に、私の寝室へ忍び込むなど困った姉だ。どのように説得したものかと私は思案する。いったい、どうして姉は、私の願望を『そんなもの』だと思い込んだのか。私は不思議でならなかった。

 

「綺礼、愛してる」

 

 姉が私に、愛をささやく。

 

「愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる――愛してる」

 

 何度も何度も姉は、私に愛をささやいた。

 

「愛してる……愛してる……愛してる……ぐぅ」

 

 そして、そのまま私の上で眠ってしまった。

 本当に、困った姉だ。

 

 姉の体を横に倒し、私は身を起こす。このまま朝まで、姉と共に寝る訳にはいかない。乱れた衣服を整え、私は姉を抱き上げた。そして姉の部屋まで、姉を運ぶ。しかし、その途中で父と出会った。どうやら物音を聞いて、様子を見に来たらしい。姉を背負う私を見ても、父は状況を察せられなかった。

 

「どうしたのだ、綺礼」

「はっ、さきほど姉が私の部屋に来ました。しかし眠ってしまったので、姉の部屋まで送り届けている次第です」

 

「そうか……綺礼よ、他に何もなかっただろうな?」

 

 どうやら聡明な父は、何事があったのか察していたようだ。

 

「じつは姉は『姉弟ならノーカン』や『愛し合うのは良い事』だと理解に苦しむ事を言っていたのです」

 

 私の言葉を聞いた父は、手に持っていたランプを取り落とした。石畳の床に落ちたランプは、カランカランと高い音を鳴り響かせる。私の証言に父が、大きなショックを受けたのは明らかだった。父は目を見開いたまま動かず、石像のように固まっている。どうしたものかと私は、目覚めない姉を抱えたまま悩んだ。

 

 それから数日後、姉は遠い地で暮らす事になる。

 姉の行為が『夜這い』と呼ばれる物であった事を知ったのは、ずいぶんと後の話だ。




▼『ぜんとりっくす』さんの感想を受けて、「力比べて」→「力比べで」な件を修正しました。どこが間違ってるのか分からないって? 濁点が付いてないのです。

 「力比べて姉に勝った事がない」→「力比べで姉に勝った事がない」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。