『答え』を得た綺礼は、
目の前で妻に自殺され、
記憶障害に陥りました。
【第11話】聖杯戦争
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倉庫街にてサーヴァントが集結する。
そこに現れたのは、私こと言峰綺礼の姉だった。
『サーヴァントは居ないけど、私も聖杯戦争に参戦するわ!』
と出来の悪い姉は、頭の悪いことを言っている。
父の様子を見ると、ショックの余り床に倒れ伏していた。
『彼女を知っているのかね、綺礼君』
「はっ、恥ずかしながら『15歳の頃に別居して以来会っていなかった』私の実姉です」
セイバーとランサーの戦いに割り込んだライダー。その呼びかけに応じて、姉は姿を現した。しかしサーヴァントは居ないらしい。マスターの証である令呪も、サーヴァントも無しに、どうやって聖杯戦争に参加すると言うのか。いくら姉が強くとも、サーヴァントに敵うはずがない。
『愛を知らないまま、死んで行くなんて許せない! 私は世界を愛で満たすために、聖杯を摑み取るわ!』
サーヴァント達を相手に、姉は力説している。しかし聞いているサーヴァント達は反応に困っていた。例えるならば、各国の代表選手の前に一般市民が現れて、代表選手に対抗しようと鼻息を荒くしているようなものだ。サーヴァントから見れば、敵として見れないほど格下の相手だった。
『しかし、お前さん。令呪もサーヴァントも無しに、どうするつもりだ?』
『令呪はサーヴァントも、マスターから奪えばいいじゃない!』
「破天荒な姉君ですね」
「まったくだ」
私のサーヴァントであるアサシンの感想に、私は同意した。今の姉の発言は不味かった。『令呪を奪う』と聞いて、サーヴァントやマスターが穏やかで居られるはずがない。その場にいるセイバーやランサーの怒気が、無礼な姉へ向けられる。しかし姉は恐れる事なく、堂々と平たい胸を張っていた。
『はっはっはっ! 面白い娘だ。どうだ? このイスカンダルに仕える気はないか?』
『貴方の方こそ、私のサーヴァントにならない?』
『なに言ってやがりますか、お前はー!?』
『それは出来んな。今の余は曲がりなりにも、この小僧のサーヴァントだ』
『じゃあ、お断りよ。世界を愛で満たすという目的を優先できないのなら、貴方と協力はできないの』
そこへ英雄王が姿を現す。姉に集まっていた注目は、英雄王へ移った。その後バーサーカーが登場し、英雄王は撤退する。バーサーカーによって戦場は混乱し、バーサーカーが撤退すると、サーヴァント達は散って行った。サーヴァントの戦いを観戦しているだけだった姉も、倉庫街から去っていく。
「姉君と接触せずとも良いのですか?」
「『脱落したマスター』という事になっている私は、不用意に外出できない。お前達アサシンも『脱落している』という事になっているため、姉の前に姿を見せる事は許されない――それに姉は『聖杯戦争に参戦する』と宣言したのだ。もはや我々の敵と仮定しなければならないだろう」
アサシンの視界を通して、私は姉の姿を見つめる。その時、妙なイメージが私の頭を過ぎ去った。妻の死ぬ瞬間に、姉が居合わせているイメージだ。しかし、そんな事実は存在しない。虚構のイメージだ。私は姉と『15歳の頃に別居して以来会っていなかった』。どうして私は、そんな光景を思い浮かべたのだろうか。不思議なものだ。
そんな事よりも『答え』を得るために、私は衛宮切嗣と会わなければならない。
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【第10話】キャスター討伐
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私ことアイリスフィールは、侵入者を察知した。
遠見の水晶を用いて様子を探ると、キャスターを発見する。そのキャスターは子供達を連れていた。セイバーを聖処女ジャンヌと誤解しているキャスターは、子供達を人質にしてセイバーを誘き寄せようとしている。でも、不意打ちでドロップキックを放った人影によって、キャスターは蹴り飛ばされた。
『子供達が! 愛を知らないまま死んで行くなんて許せない!』
それは倉庫街で、愛を力説していた人間の女性だった。怯える子供達を、女性は背中に庇う。令呪もサーヴァントも無いのに、女性はキャスターと相対しようとしていた。この森そのものが結界だから、子供達だけ逃がしても無事に抜け出せる可能性は低い。その事を女性は分かっているから逃がさず、子供達を背中に庇ったのでしょうね。
「アイリスフィール、私を行かせてください」
「分かったわ。セイバー、キャスターを倒して」
私が許可を出すと、セイバーは城から飛び出して行く。セイバーを見送ると、私と切嗣は遠見の水晶に注目した。すると、女性の守っていた子供達の体が破裂して、海魔が現れる。かわいい子供達は内側から食い破られて、醜悪な海魔へ変容していく。その海魔に女性は捕まり、その身を縛られた。でも、女性が慌てる様子は見られない。
『……そう、手遅れなのね』
まるで分かっていた事のように女性は言う。子供達の死を悼むように、悲しそうに呟いた。そして身を縛っていた海魔を引き千切る。囚われた状態のまま力尽くで、強引に海魔を引き裂いた。その光景を見て、私は目を疑う。たしかに海魔はサーヴァントに及ばない存在だけど、比べる基準が間違っている。キャスターの召還した海魔は、単なる身体強化で打ち破れる存在ではなかった。
『愛以外の物で、私を縛れるとは思わない事ね!』
『誰の許しを得て、この私の邪魔立てをするか!』
女性は海魔を千切っては投げ、千切っては投げる。でも、海魔は次々に湧き、女性の障害として立ち塞がった。海魔の数が多くて女性は、逆に押し返されている。セイバーが現場へ向かっているはずだけど、まだ着いていない。私が見ている間にも女性は、海魔の群れに飲み込まれそうだった。
『貴方がジャンヌに向ける愛、それも確かに愛ね――でも、空回り。貴方の愛はジャンヌに届いていない。届いていない事に気付いていない。いいえ、狂ったふりをして、気付いない振りをしているのね。そうやって貴方は、自分を騙しているわ――それは愛じゃない』
すると女性は海魔から離れ、動きを止めた。
そんな女性に対して海魔が殺到する。
『キャスター、覚悟なさい』
女性の声は憤怒を宿していた。子供達を殺された事に、女性は怒っていた。あの女性には令呪も無いし、サーヴァントも無いし、冷血な魔術師らしくもない。でも、強い意思に従って、人の身では勝てないサーヴァントに立ち向かっていた。その英雄のような姿に魅せられて私は、水晶に映る女性の姿に注目する。
『私と貴方の相性は最悪よ』
――メルトアウト
その瞬間、遠見の水晶は、その機能を失った。いい場面で映像を映さなくなった水晶を思わず、ガツンと叩いた私は悪くないと思うの。それと同時に、森の中から異常な魔力が立ち昇る。まるでサーヴァントが宝具を発動させたかのような濃厚な魔力だった。これは女性が放ったものなのかしら? それとも女性の魔術に対して、キャスターが宝具を使ったのかしら?
「大言を吐くだけの力はあるらしい。早急に何処の誰か、調べる必要があるな」
切嗣は、そう言った。女性が魔術を使ったのならば『宝具に匹敵するほどの力』を有しているという事で、キャスターが宝具を使ったのならば『キャスターに宝具を使わせるほどの力』を有しているという事になる。そんな力を持つ女性の脅威度を、切嗣は引き上げたようだった。
「切嗣、新手がやってきたみたい」
「分かった。舞弥、アイリを連れて城から逃げてくれ」
森の結界と繋がっている私は、新たな侵入者を感じ取る。
私は舞弥さんと一緒に、城から脱出した。
残るサーヴァントは、
セイバー
ランサー
アーチャー
ライダー
バーサーカー
アサシン