【完結】言峰綺礼の姉【転生】   作:器物転生

7 / 8
【あらすじ】
問答を無視した結果、
姉にセイバーは鎮圧され、
衛宮切嗣は愛を否定されました。


【第2話】間桐雁夜の愛/【第1話】言峰綺礼の愛

【第2話】間桐雁夜の愛

 

 ↓

 

 俺こと間桐雁夜は、聖杯戦争から脱落した。

 市民会館の前で『遠坂時臣の金色のサーヴァント』に俺のバーサーカーは挑む。しかし、俺の魔力切れでバーサーカーは消滅した。サーヴァントを失った、今の俺は負け犬だ。もはや聖杯を手に入れる事はできない。間桐の養子となった桜ちゃんを救う事もできない。

 

「遠坂桜へ向ける愛、遠坂葵に向ける愛――まさしく愛ね」

 

 蟲に食われてボロボロになった俺の体を、誰かが抱き止める。無条件の愛情を感じ、俺は戸惑った。誰だ? こんな愛情を俺に向ける相手は誰だ? これまでの人生の中で、こんな無限大の愛情を俺に向ける相手なんていなかった。こんな計り知れない愛情は、今まで感じた事がない。暖かくて、熱くて、まるで太陽のようだった。

 

「愛に飢えているから敏感なのね。とても繊細だわ……大丈夫、安心して。私が貴方を愛してあげるから」

 

 暖かくて、このまま眠りそうになってしまう。だけど、ダメだ。俺は間桐の家に帰らなければならない。桜ちゃんを置いて行けない。せめて桜ちゃんだけでも助けたい。俺に残っているのは、もう桜ちゃんだけなんだ。俺が行かなくちゃ、誰が桜ちゃんを助けてくれるんだ……!

 

「大丈夫、私が助けるわ。貴方を愛で満たしてあげる」

「そうか……ああ、安心した」

 

 そこに太陽があった。俺の体は、黒く黒く焦がされていく。指の先まで白い灰になって動かなくなり、俺は燃え尽きていった。最後に俺は幸せな夢を見る。凛ちゃんが居て、桜ちゃんが居て、葵さんが居て――ああ、そうか。俺は、温かい『家族』が欲しかったんだ。

 

 そして空を見上げると俺達を照らす、黒い太陽が輝いていた。

 

 

 

----------------------------------------

【第1話】言峰綺礼の愛

 

 ↓

 

 私こと言峰綺礼は、ギルガメッシュと共に市民会館を訪れていた。

 この市民会館から「達成」と「勝利」を示す魔力の波動が発せられて間もない。最初に立ち塞がったライダーは、英雄王の宝具によって一蹴された。2番目に立ち塞がったバーサーカーは、魔力切れで消滅した。3番目に立ち塞がったのはセイバーだ。しかし、英雄王はセイバーに用があるらしい。

 

「綺礼よ、心して聞くがいい。すぐに終わっても詰まらぬ故、助言をくれてやろう。あれに貴様は逆立ちしても勝てぬ。

 愛によって縛られ、愛以外の何者にも縛られない。

 愛によって殺され、愛以外の何者にも殺されない。

 貴様の姉は、そういった存在だ」

 

 英雄王の助言を受けて、私は先に進む。要するに『姉と戦ってはいけない』と英雄王は言っているのか。そして市民会館の奥で、姉は私を待っていた。その場に聖杯は見当たらない。どこかに隠してあるのだろうか? そう思った私は一通り周囲を見回し、再び姉へ視線を向けた時に気付いた……そうだ。そうだったのだ。そこに聖杯はあったのだ。

 

「貴方が私の聖杯だったのですね――」

「――そう、私が綺礼の聖杯よ」

 

 ついに私は『答え』を得た。

 

「愛しているわ、綺礼。私と一つになりましょう。それは気持ちのいい事なの。綺礼の虚無を私が埋めてあげる」

 

 そう言って姉は、手を差し伸ばす。しかし――、

 

「姉さんは私を愛している」

「そうよ」

 

「姉さんは全てを愛している」

「そうよ」

 

 それは万人を愛す【無差別愛】だ。

 

「いいえ、姉さんは全てを愛してるのではありません」

 

 それは逆説。

 

「姉さん、貴方は――たった一人の人間すら愛せないのです」

 

 それは万人に対する【人間不信】だった。

 

「貴方は他人の愛を願っているけれど、心の底では他人の愛を『疑っている』。愛されないと思っている。愛されないと思っているから、『愛されたい』と願っている」

 

 誰よりも他人を愛する貴方が、他人に愛されたいと願っている。

 

「貴方は『私』と同じくらい人を愛していますか?」

「――そうよ」

 

「貴方は『人』と同じくらい私を愛していますか?」

「――そうよ」

 

「貴方は『虫』と同じくらい人を愛していますか?」

「――そうよ」

 

「貴方は愛していますか?」

「――すべて愛しているわ」

 

 姉にとっては全てが等しい。

 なぜならば全てを愛しているからだ。

 全てに愛されたいと願っているからだ。

 

 男も女も大人も子供も蟲ケラも、全て等しく貴方は愛す。

 愛の渇望の果てに、姉は『究極の愛』へ至った。

 

「それではダメだ」

 

 それでは満たされない。

 

「私は姉さんに愛して欲しい」

 

 私だけを愛して欲しい。

 全てではなく、『私』を愛して欲しい。

 

「私は貴方を愛している」

 

 しかし、貴方は私の愛を信じ切れないのだろう。だから――

 

「――だから私は貴方を殺して、『私だけの物』にする」

 

 そう告白した私は、愛しい姉の下へ駆け出した。




残るサーヴァントは、
 セイバー
 アーチャー
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。