「それで、橘さんは」
「まだライダーシステムによる恐怖は完全に克服した訳ではない。
しばらくは離れるかもしれないが、すぐに戻ってくるだろう」
「小夜子さんも一緒にいるから、大丈夫よ」
それはこの場にいない橘の事で話題だった。
ライダーシステムが恐怖心を増幅して肉体に不調を与えるのは、未だに治っていない。
しかし、それはあくまでも一時的な事だと考え、少しの間、戦いから離れ、小夜子と共に過ごす事。
それが現時点でできる治療方法だった。
「それにしても、これが新しいライダーシステムか。
剣崎君が言っていた刀やギグス達とは違うのか?」
「それが、俺にもよく分からないんだよな」
それと共に話題に出た刀達の姿を思い浮かべる。
2人のライダーは共通した部分が多い。
「私もそれが気になっていた。
だが、それ以上に気になるのは、剣崎。
お前が見たという人を守るアンデットの事だ」
「はっはい」
それは剣崎が戦ったインプ・アンデットの事だった。
「それについては他にも気になる事がある。
広瀬君、君は旧BOARDの研究所が壊滅した時の事は覚えているか?」
「えぇ、あの時はアンデットに襲われて。
そういえば、その時剣崎君が封印したアンデットと同じアンデットがいたけど」
「どうしたんだ?」
そこで広瀬が少し疑問に思い、首を傾げた。
「あの時、互いに戦っていたけど、剣崎君が来た瞬間に、標的を変えたわ」
「あぁ、私達以外にも僅かに生き残った研究員からも話を聞いた事で、奇妙な共通点がある」
「共通点ですか?」
「あぁ、奴らはライダーが現れるまで、アンデットから人々を守っている。
その理由は謎だが、ライダーが現れた瞬間にそのまま襲い掛かった」
「そういえば」
剣崎と戦ったインプ・アンデットと同じ事に気づき、頷く。
「そして、映像を見た限り断言できる。
このアンデットは、おそらくは、どの生き物の祖ではない」
「えっ、それじゃ、このアンデットは一体」
「分からない。
同じアンデットと全てが謎のアンデット。
それらは全てが刀に繋がる」
「それじゃ、こいつらを操っているのは、もしかして、刀」
「馬鹿な事を言うなよ!
あいつは、何度も一緒に戦ったんだぞ」
「けど、それだって、君を利用する為かもしれないじゃないか」
「それは」
その言葉に剣崎は思わず迷ってしまう。
これまで信じていた事に裏切られた経験もあって、剣崎は虎太郎の言葉を否定する事ができなかった。
「だったら、なんであの時、伊坂が小夜子さんが襲われているのを教えたの?
それこそ、刀には何の利益はないじゃない」
「それは、そうかもしれないけど」
「ふむ、剣崎。
刀との話で何か気になる事はなかったか?」
「それは、気になる所なんて、沢山ありますよ。
あいつは『今は、一緒には戦えない』としか」
「・・・もしかしたら、彼らは警戒しているのかもしれない」
「警戒?
あれ、それってもしかして」
「何か心当たりがあるのか?」
「いや、心当たりというよりも、もしかしただけど。
アンデットの事って、新聞とかでは、全然出ないじゃない」
「上の力。
もしかして、彼らが警戒しているのは」
「きっと、その存在に警戒しているんだろう。
そして、一緒に戦えないというのは」
「俺達を巻き込むしれないから」
その言葉と共に僅かにだが、剣崎は納得した。
同時に自分達のこれまでに置かれた状況に少し恐ろしくなった。
「なんだか、嫌だな。
それって、ようするに僕達は人質みたいな感じだよね」
「あぁ、どうにかして、彼らと接触したいが」
そう悩んでいる時に聞こえてきた音。
全員が見ると、そこにはアンデットの反応だった。
「剣崎君」
「分かっている!!」
その言葉と共に剣崎はすぐに現場に向かって走り出す。
「えっ?」
工場現場で、その存在は互いに争っていた。
一体はまるで牛を思わせる怪人であり、その身体には磁石を合わさった特徴を持つ存在。
その名はバッファローアンデット。
そんなバッファローアンデットと戦うのは、身体の随所に魚の鱗が胴体には纏っており、まるで地上に出てきた人魚を思わせるその存在が戦っていた。
その存在はセイレーンアンデット。
バッファローアンデットは、周りにある工場の部品を吸い寄せ、セイレーンアンデットに攻撃するが、その超音波でそれらを崩していた。
やがて、工場現場に辿り着いた剣崎はその光景を見ていた。
「まただ」
これで2度目となるアンデット同士の戦い。
その事に困惑を覚えながら、剣崎はすぐにブレイバックルを腰に巻き、走り出す。
「変身!」
【TURNUP】
鳴り響く音声と共に、剣崎の姿は剣へと姿に変わり、その手に持ったブレイドラウザーでバッファローアンデットを切り裂く。
その存在に気づいたバッファローアンデットは後ろに振り向くと、そのまま剣に向かって突進する。
「えっうわぁっ」
すぐに避けようとした剣だったが、手に持ったブレイドラウザーがまるでバッファローアンデットに吸い寄せられた。
それに釣られて、剣もまた向かってしまい、そのまま剣に強烈なダメージが当たる。
「がぁ!!」
衝撃と同時に火花が飛び散り、痛みが走る。
だが、そこでようやく冷静になった剣はそのままその場から離れる。
「なんで、武器が吸い寄せられて」
そう疑問に思っている間にも、セイレーンアンデットが超音波による攻撃が剣崎に襲い掛かろうとしていた。
だが、超音波の攻撃を避けたが、その先に待ち構えていたバッファローアンデットの突撃が迫る。
「っ」
避ける事ができないと判断した剣崎はすぐにブレイドラウザーを構える。
だが
【WATER】【CUT】【SPLASHCUT】
聞こえた音声と共に、現れた刀が水流を纏った刃でバッファローアンデットを回転しながら連続で斬り裂く。
不意打ちを受けてか、バッファローアンデットはそのまま吹き飛ばされ、壁に激突した事で倒れる。
「刀」
「大丈夫か」
「あぁ」
味方である刀が出てきた事で安堵する剣はすぐに立ち上がる。
2人は互いに目の前にいるアンデットに構える。
「あいつは、おそらくは磁力を操れる。
だから、俺達の武器じゃ」
「ならば、すぐに決める。
既に2体のアンデットも互いに戦い合っていたから」
「けど、どうやって」
「わざと手放す」
「それって、どういう」
疑問に思うよりも早く、刀はその手に持つブレードラウザーから3枚のカードを取り出す。
【KICK】【WATER】【MIRAGE】【MIRAGEWATERSTRIKE】
それと共に3枚のカードが宙に舞うと同時に、その手に持ったブレードラウザーを手放す。
「そういう事かっ!」
瞬時に理解した剣崎もまた、同様に行う。
【KICK】【Thunder】【MACH】【LIGHTNINGSONIC】
その音声が鳴り響くと同時にそのまま剣もまた走り出す。
手に持ったブレイドライザーを手放した事によって、武器を吸い寄せるバッファローアンデット。
吸い寄せた二つの武器は引き寄せられた勢いと共にそのままバッファローアンデットにダメージを与える。
その隙を逃さないように、剣は超強化した脚力で猛スピードで助走を付け、大ジャンプした後に稲妻を纏った強力なライダーキックをバッファローアンデットに叩き込む。
同時に刀もまた、その身体に水を纏いながら、自身の周りを幻影で姿を消す。
戸惑うセイレーンアンデットに対して、そのままジャンプしていた刀は水を纏ったライダーキックをセイレーンアンデットに向けて放つ。
2体のアンデットは同時にライダーキックを食らった事によって、吹き飛ばされる。
同時に封印のバックルは開く。
それを確認すると、2人は同時にアンデットに向けて、ラウズカードを投げ、封印する。
「今回も助けられたな」
「俺には、これぐらいしか」
「それでもな」
そう言いながら嬉しそうに笑みを浮かべる。
そうして、ふと目に映ったのは、刀の手に持つラウズカード。
そこには先程まで封印したアンデットが描かれており、まるで人魚を思わせるカードだった。
同時にその番号は8、そして
「スペードの8っ」
同時に剣は自分が封印したカードを見る。
そこには絵柄は全く異なり、磁石の角が特徴的な牛の絵が描かれていた。
その絵はまるで異なるが、共通して、スペードの8だった。
アンデットの数は全部で52体。
それらは共通して、トランプと同じである。
それなのに、剣と持つスペードと全く同一の数字。
やがて、先程の必殺技で使用したカードもまた目に映る。
それらは全てがスペードであり、同時に剣崎が持つカードと同じ数字だった。
「一体、どういう事なんだ。
なんで、俺と同じカードをっ」
その事実に驚きを隠せなかった。
「・・・いずれ、時が来れば」
【MIRAGE】
「待ってくれっ」
そう手を伸ばす。
だが、その手は空を切り、刀の姿を消す。
ようやく戦いに一つの決着がついた。
しかし、それはまた別の戦いの始まりでもあった。
キャラクターファイル
仮面ライダーシルフィム
仮面ライダーカリスのデータを元に作成されたライダーシステム。
相川始の協力の元で開発されたジョーカーの力を再現させた新世代ライダーの一体。
ジョーカーのような別のアンデットへと姿が変わる能力がない代わりに、その武器であるカリスアローと似たシルフィムアローによる弓による攻撃を得意にしている。
その代わりにヒューマン・アンデットを元に作られた【ケンタウロス・アンデット】の能力により、一時的に下半身が馬の胴体を思わせる姿に変化する事ができる。
これにより、下半身の攻撃力、スピードが上がり、まるでケンタウロスを思わせる戦い方が可能になる。
また、別のライダーを背中に乗せる事での共闘も可能となっており、サポートとしても活躍が期待される。