「そのはずだが。
どうやら、既に抜け出した後らしい。
トライアルも姿を消している」
「けど、一応機器は揃っている。
だったら、ここを有効に使わせて貰おう」
「あぁ、けど」
「どうかしたのか?」
「・・・このパソコンにあるデータで少し面倒な事が分かった」
「面倒?」
「トライアルシリーズだ。
これまで分かっている奴以外にも、いやがる」
「そいつらが、動き出すという事なのか」
「あぁ」
始を追って、橋に向かって走っていた剣崎。
辿り着くと、そこでは既に戦いが終わっており、始のその手には既に封印されているラウズカードを握り絞めていた。
「なんだ」
そんな剣崎の気配を感じ、始は振り返る。
「……君は、まだ人の心を得ている途中なんだな」
「何を言っている」
剣崎の言葉に疑問を感じ、そのまま構える。
「奴から何を言われたか、知らないが、俺はアンデットだ」
「そうかもしれない。
けど、天音ちゃんを守る為に「だからどうした」っ」
剣崎はそのまま始に言い続けるが、未だに否定するように言葉を遮る。
拒絶とも言えるその言葉を聞きながら、剣崎はゆっくりと見つめる。
「俺は、このやり方しか知らない」
「だったら」
「お前も、知っているはずだ」
その一言で、始の言わんとしている事を察する。
「……そうだな。
今は、確かに無理かもしれない。
だけどっ」
そう、始に伝えようとした瞬間。
剣崎達は背後から感じる気配に同時に構える。
橋の向こうからゆっくりと、歩いてくるその姿に警戒するように構える。
それは、ピーコックアンデットが作り出したライダーシステムであり、スパイダーアンデットの邪悪な意志に支配されている仮面ライダーレンゲルの姿だった。
「あれは、まさか烏丸社長の言っていたっ」
「貴様か、とうとう現れた訳か」
レンゲルの存在を既に知っていた剣崎はすぐに構える。
だが、それよりも早く、レンゲルは走り出し、瞬く間に接近すると共に始を蹴り飛ばした。
「っ!」
これまで苦戦した姿を見えた事のない始の姿に驚きを隠せなかった剣崎に対して、その隙を見逃さなかったレンゲルはそのまま剣崎に近づくと共に攻撃を仕掛けていく。
レンゲルからの攻撃を受け手、地面に転がる2人だったが、いち早く動いたのは始だった。
始はその手に持ったカリスアローを構えて、レンゲルに向かって斬りかかる。
その始の攻撃に対して、レンゲルは伸縮自在の槍型の武器、レンゲルラウザーで受け止める。
鋭い刃のカリスアローの攻撃を、レンゲルラウザーは軽く受け流すと共に、そのまま始に突き刺すかのように突き出す。
その攻撃によって、吹き飛ばされた始は瞬時にラウズカードを使う為に取り出す。
「止めろっ」
同時に2人の戦いを止めるように、剣崎はブレイドラウザーからラウズカードを取りだそうとした瞬間だった。
2人の動作よりも速く、レンゲルは一枚のラウズカードを取り出し、レンゲルラウザーにスキャンする。
【REMOTE】
鳴り響く音と共に、2人のラウズカードに向けて、その光線が放たれる。
放たれた光線が当たったラウズカードは怪しい紫色に包まれると共に宙を舞い、徐々に変化が起きた。
「なっ」
同時にその手にあったラウズカードからは、封印されていたアンデットが解き放たれる。
「なんだってっ」
アンデットの封印を解く事ができるラウズカード。
その存在に驚きを隠せない中で、アンデット達はすぐにその場から離れようとする。
【VOICE】【MIRAGE】【ILLUSIONVOICE】
聞こえてくる音と共に、現れたのは無数の刀達だった。
刀達はそのままアンデット達を瞬く間に取り囲んでいく。
その姿に驚きを隠せない内に、刀達の身体から発する超音波はアンデット達を苦しめる。
その威力は凄まじく、その場にいた全員が耳を押さえる程であり、中心部にいたアンデットはとても耐えきれず、そのまま倒れる。
同時に封印のバックルが解放される。
「今です」
「っ」
同時に刀達は一つに集まり、1人の刀となる。
剣崎達は瞬時に地面に落ちたラウズカードをすぐにアンデットに向けて、投げる。
アンデットは再び再封印されると共に、剣崎達はすぐにレンゲルへと向ける。
「貴様、一体何者だ」
その言葉はレンゲルが放った言葉だった。
まるで邪悪の塊を思わせるその言葉を向けられた刀はそのまま腰にあるブレードラウザーを構える。
「……」
「答えないか。
ならば」
同時にレンゲルはその手に持ったレンゲルラウザーで刀に襲い掛かる。
手に持ったブレードラウザーをレンゲルは振り上げると、そこから放たれたのは紫の斬撃だった。
だが、その攻撃に対し、刀は瞬時に避けると共にラウズカードを取り出す。
それを見ると共に、レンゲルラウザーに再びラウズカードをスキャンする。
【REMOTE】
鳴り響くと共に、刀の持つラウズカードからアンデットが解放される。
それは、始にとってはかつて見たことのあるアンデットであり、マーメイド・アンデットとシーサーペント・アンデットの2体が姿を現す。
それは、剣崎にとっては見たことのないアンデットの姿だった。
このままでは刀に襲い掛かる。
そう思っていた。
だが、そうはならなかった。
2体のアンデットは、刀に向けて、手を翳した。
放たれたエネルギーはブレードラウザーに注ぎ込まれると共に、刀はレンゲルに向かって斬りかかる。
「っ!」
咄嵯の判断で、レンゲルはその場から離れると同時に、剣崎達は驚きを隠せなかった。
それと共に剣崎と始は解放された2体のアンデットに戦闘態勢を取る。
だが、アンデット達は戦う所か、そのままバックルが開いた。
「なにっ!?」
無抵抗に、封印された2体のアンデットの姿に剣崎と始は驚きを隠せなかった。
「どうなっているんだ。
あのアンデット達に何が」
「刀磨。
まさか、お前は、そのアンデット達を」
「……確かに、俺のアンデット達は仲間だ。
だけど、封印する事は、アンデット自身が望んだ事だ」
「アンデット自身が望んだ?」
その言葉を疑問に覚えながらも刀は再びブレードラウザーにスキャンする。
【MIRAGE】
その音声と共に刀はその姿を消していく。
それを追う事はできない事に剣崎は、ゆっくりと手を伸ばす事しかできなかった。
「刀のアンデット達はそのまま協力していたの?」
「それって、やっぱり」
「でも、やっぱり信じられない。
あいつは、ずっと俺達を騙していたのか」
「・・・・ねぇ、剣崎君。
その解放されたアンデットの映像ってあるの?」
「えっ、あぁ、確か」
「そんな事ができるの?」
「一応ね。
けど、このアンデット達の特徴」
「何か分かるの?」
「それが、全然。
とても生き物の祖とは思えないし」
「そうだよね。
でも、このアンデット、なんだか人魚みたいだなぁ」
「人魚?
いや、そんなのは」
「人魚。
もしかして、このアンデット達は」
「えっ、どうしたの?」
「・・・もしも、仮説だけど、刀が封印しているアンデットが作られた存在だったら、どう思う」
「えっ、それって、アンデットを作る組織がいるという事?」
「それは、一体何の為?」
「・・・分からない。
けど、もしかしたら、お父さんが関係しているかもしれないわ」
「それって、もしかして、広瀬さんのお父さんが剣崎君達を助ける為に!」
「だったら、なんで秘密にしているんだ」
「そんなの分からないわ」
「とにかく、刀とは、今後も会う。
今の問題は、レンゲルだ」