「桐生さん、なんで、ここに」
「お前の事は烏丸所長から聞いた。
まさか、恐怖心を未だに、克服していないようだな」
「えぇ、だけど、俺は自分の罪を償う為にも、小夜子の為にも」
「・・・どうやら、完全に腑抜けた訳ではないようだな」
「桐生さんは、今は何を」
「俺は、今は」
「桐生さん?」
「はぁ、バイトもここまで来ると、疲れるなぁ」
そう呟きながら、俺はその日のバイトを終えて、今は住んでいる家に向かっていた。
現在の所、俺以外のメンバーだが、ほとんどがパワーアップアイテムの開発を行っている為、実質俺が生活費を稼いでいる状態になっている。
そうして、今回はたちばなのバイトを終えて、帰っている時だった。
何やら、必死に走っている男の姿があり、見つめると、バイクを押している人物のポケットの中に何かを入れている様子が見えた。
「おっと、ちょっと待ちな」
「なっうわぁ!?」
俺がその光景を見て、さすがに見逃せない事もあって、そのまま止める。
それによって、男はこけてしまい、そのまま取り押さえる。
すると、店員だと思われる人物がバイクを押している人物を問い詰めている様子が見えた。
「あのぉ」
「なんですか?」
「たぶん、その人、犯人じゃないですよ。
こいつがさっき、その人のポケットに入れたのを見ましたから」
「えっ?」
「馬鹿な事を言うなよ。
誰がその男に盗んだのを入れたんだ」
「いや、見えたから。
その人のポケットに食べ物を入れたの」
「だったら、勘違いだ。
俺が入れたのは、飲み物で、あぁ」
「……」
その言葉で言い逃れができなくなった男はそのまま口を閉ざした。
それと共に、その男はそのまま警察に連れて行かれた。
「すいません、剣崎さん。
俺、間違ってしまって」
「まぁ、気にするな。
それよりも、ありがとうな」
けっ剣崎さん!?
しかも、よく見たら、睦月さんだ、この店員さんは。
さすがにこれはまずい。
「いえ、偶然ですから。
それじゃ、俺はここで、失礼して」
「待ってくれ、せめて、名前だけでも」
そう、俺は呼び止められていた。
まぁ、今のこの時代だったら、偶然の一致で片付けてくれるだろうか。
「俺は志村刀磨です」
「刀磨さんか、本当にありがとうな」
そう言いながら、俺はすぐにその場を離れようとした。
さすがにまずいと思っていたけど、その時だった。
『刀磨、この気配。
近いぞ』
「っ」
「アンデットが、この近くにっ」
それと共に、聞こえるうなり声と共に、現れたのは二つの頭が特徴的な狼のアンデット、オルトロス・アンデットだった。
「まさかっ、こんな所でっ」
そうしている間にも、オルトロス・アンデットはそのまま剣崎さん達を襲い掛かろうとしていた。
おそらくは、ライダーシステムの中にあるアンデットを狙って、攻撃仕掛けているだろう。
剣崎さんはすぐにブレイバックルにラウズカードを挿入して、そのまま変身する。
「変身!」
【TURNUP】
それと共に、目の前に迫っているオルトロス・アンデットの前で、仮面ライダー剣へと変身すると共に、オルトロス・アンデットから俺と睦月さんを守るように立ちはだかる。
オルトロス・アンデットは、そのまま剣崎さんに向かって襲い掛かってくる。
剣崎さんはすぐに手に持ったブレイドラウザーを構えて、その爪を防いでいく。
鋭い数々の爪による斬撃を、剣崎さんはブレイドラウザーで、その攻撃を受け流していく。
そして隙を見て、今度は自分の攻撃を繰り出していく。
けれどオルトロスもそう簡単にやられる相手ではない。
その鋭い爪でブレイドラウザーの刃を受け流し、そして今度は逆に、爪による攻撃をしかけてくる。
そんな感じで、激しい攻防が繰り広げられていった。
「剣崎さん、俺も戦いますっ」
「睦月っ」
その言葉の意味が分からず、戸惑う剣崎さんを余所に、睦月さんが取り出したのはレンゲルバックルだった。
それを見ていて、呆然している剣崎さんを余所に、睦月さんはそのままレンゲルバックルを腰に巻く。
「変身」
【OPENUP】
鳴り響く音と共に、睦月さんは、そのままレンゲルへと変身する。
「睦月が、レンゲルにっ」
その事に驚きを隠せない剣崎さんを余所に睦月さんはその手に持ったレンゲルラウザーでオルトロス・アンデットに向かって、攻撃を仕掛けた。
素早い攻撃にオルトロス・アンデットの体から火花が上がり、少しだけダメージを与えていく。
しかしオルトロス・アンデットもそう簡単には倒されるつもりはないのか、今度はその鋭い爪による反撃を行う。
それを見ていた睦月さんは素早く身を翻し、それをかわす。
「ふっ」
同時にレンゲルラウザーでの攻撃を行い、オルトロスの体にさらに傷をつけていく。
そうして、呆然としている剣崎さんに今度は睦月さんが目を向ける。
「俺はレンゲル。
最強の仮面ライダーだ」
「えっ」
その言葉を聞いて、疑問に思うのを余所に睦月さんが剣崎さんに襲い掛かる。
この状況は、睦月さんは今はスパイダーアンデットに支配されている。
その事もあってか、睦月さんは剣崎さんとオルトロス・アンデットの両方に攻撃を仕掛ける。
オルトロスには爪による攻撃、そして剣崎さんにはその剣で攻撃を仕掛けてきた。
二人の猛攻に対して、オルトロスと剣崎の戦いはほぼ互角と言っていいほどになっていた。
互いに攻撃を行っていく中で、徐々に剣崎さんの体からは火花が上がっていた。
それに気が付きながら睦月さんは、剣崎さんに向けてさらに追撃を行う。
こちらが見ていない事をゆっくりと見ながら、俺はそのままゆっくりと離れ、そのままバックルを取り出す。
「変身」
【TURNUP】
その音声と共に、俺は刀に変身すると共に、手に持ったブレードラウザーを手に持つ。
同時に剣崎さんに襲い掛かろうとしている睦月さんの攻撃を、俺は遮る。
「刀っ!」
「レンゲルは、俺が相手する。
あなたは」
「あぁ!!」
その言葉を聞くと共に剣崎さんはオルトロス・アンデットに向かって行く。
そうしている間に、俺はゆっくりと睦月さんに向かい合う。
「……貴様、一体何者だ。
そのアンデットはなんだ」
「お前に話す義理はない。
スパイダーアンデット」
今の睦月さんはスパイダーアンデットに操られている事が分かっており、そのままブレードラウザーを構える。
「ほぅ、面白いっ!」
それと共に、睦月さんはその手に持ったレンゲルラウザーを振り回しながら、俺に向かってきた。
そのまま素早い動きで連続攻撃を繰り出してくる睦月さんを、何とか受け流しつつ、反撃の機会を伺う。
睦月さんは、そのままレンゲルラウザーでの連撃を行いつつ、俺を攻めたててくる。
今のレンゲルの最大の武器であるREMOTEのカード。
だが、それは俺のラウズカードに使えば、反対に不利になるのは、よく分かる。
だからこそ、睦月さんは剣のラウザーを使って攻撃してくる。
その攻撃を受け止めては、返しの一撃を加えようとするが、睦月さんもそれに気が付いて、素早い身のこなしで回避していく。
そうしている間にも、レンゲルラウザーでの攻撃を行いながらも、蹴りなどの体術を仕掛けてきてくる。
俺はそれに対して、何とか受け止めていくが、徐々に押され始めていく。
「っ」
後ろを見ると、既に剣崎さんがオルトロス・アンデットが追い詰められているのが、見て取れる。
【KICK】【Thunder】【MACH】【LIGHTNINGSONIC】
鳴り響く音と共に剣崎さんはそのまま構える。
超強化した脚力で猛スピードで助走を付け、大ジャンプした後に稲妻を纏った強力なライダーキックをオルトロス・アンデットに叩き込む。
オルトロスの体はそれによって火花を上げ、オルトロスは吹き飛ばされる。
同時にオルトロス・アンデットの封印のバックルが開かれる。
それを見た剣崎さんはそのまま自身のラウズカードをそのままオルトロス・アンデットに投げる。
だが
「なに!?」
ラウズカードは弾かれ、そのまま剣崎さんの元へと戻る。
「一体、なんで」
「はぁ!」
俺はそのまま睦月さんを蹴り飛ばして、ラウズカードをオルトロス・アンデットに向けて投げる。
それによって、封印されて、そのまま手元に来る。
「今のは一体、どういうことなんだ」
「それよりも、今はっ!」
「あぁ!!」
その言葉と共に睦月さんに構えた。
だが、それに合わせるように睦月さんが頭痛を訴える。
「ぐぅ、あっあぁ」
ゆっくりと、そのまま睦月さんはそのまま変身を解除される。
「お前っ、どういうつもりだっ」
「すいませんっ、俺、全然何が何なのか」
そう、睦月さんは自身が操られている事に困惑を隠せない様子だった。
「本当に」
「今の彼は、ギグスの時と同じく操られている、
相手がアンデットか、人かの違いなだけです」
「操られている。
確か」
その言葉と共に、俺はゆっくりとその場から離れようとした。
「待ってくれ、刀!
あのアンデットは、一体何なんだ!」
「……彼らは人造アンデット。
人を守る為に作られたアンデット達だ。
だけど、封印が解かれると、アンデットとしての本能で、アンデットを襲う」
「アンデットを襲う。
もしかして、人を守るのは作られた目的として。
それで、俺達を襲うのは」
「俺達の封印されているアンデットに刺激されて」
「……俺はここで」
それと共に、俺は、今度こそこの場から離れていった。
「人造アンデット。
人を守る為に作られたアンデット」
「けど、まさか刀が本当に教えてくれるとは。
ここまで秘密にしていたのは一体」
「秘密という訳じゃなかったんだ。
結構重要だと思うけどな」
「それ以上に秘密にしておかないといけない何かがあるんだ?」
「それって、やっぱり正体かな?
なんか、ヒントないかな」
「ヒントって、そんなのあるのか?」
「あぁ、せめてこの戦闘記録で」
「どうしたんだ」
「ねっねぇ、剣崎君!
これっ」
「えっ、これってっ」
それと共に剣崎達が見たのは、僅かに映った鏡。
そこには刀磨が刀に変身していた姿だった。
「あの時の人が、刀だったのかっ」