これからもよろしくお願いします。
「さて、これからどうするか」
この2004年において、俺がどのように活動するべきか。
それは非情に難しい。
『あの稼働実験でも実際にこれを想定した訳ではないからな』
そうしながら、俺に話しかけているのは、俺の持つ変身為に必要なラウズカードに封印されているケルベロス・アンデットの声だ。
この時代で、孤独に近い俺にとっては気軽に相談できる相手だ。
「あぁ」
行われた稼働実験の内容。
それは、過去に仮面ライダー剣である剣崎さんが行ったキングフォームの再現だった。
彼は通常のキングフォームとは違う13体のアンデットと融合する事で、莫大な力を得る事ができた。
だが、強力な代わりに使用者に多くの負担を強いる事、さらには融合係数レベルが高い人物ではなければできないなどの多くの弱点があった。
だが、そのキングフォームを再現できれば、現在ではできない新たな可能性が広げられる。
その事も含めて、橘さんが新たに開発したのが俺の持つ刀を始めとした新世代ライダーシステムだ。
このライダーシステムで使用されるアンデットは、天王路博史が開発した最初の人造アンデット。
つまりは俺の今使っているケルベロス・アンデットをベースに開発されたアンデットだ。様々なアンデットの細胞を組み合わせる事で完成されたアンデット達は、様々な生き物を組み合わせた事もあり、空想上の生物を思わせる存在がほとんどだった。
そして、人造アンデットの本能には人を襲わないようにプログラミングされていた。
しかし、命を作るという行為はあまりにも危険だった。
アンデットの中にあるバトルファイトへの本能は完全に抑えきれず、彼らと完全な協力を得るには、封印しかなかった。
だが、それでも人造アンデット達と交流を深め、俺は今回の稼働実験を行った。
しかし
「あの時、何かが起きた」
稼働実験を行っていた時、何かが反応したように光り始めた。
気づけば、俺はあの場所に放り出されており、ケルベロス・アンデット以外の全てのアンデット達は封印が解かれていた。
『とにかく、これから行うべきは解放されたあいつらを再び封印しなければならない。
そして、元の時代へと戻る事が優先だ』
「その為に、この時代のライダー。
剣崎さん達と協力はできないのだろうか」
『それは、確かに理想的だ。
だが、忘れたのか、この時代には、まだ天王路が活動している』
「……」
日本に起きた2004年のアンデットの事件。
それらを全て、裏から消す事ができた天王路の権力は絶大だ。
下手に動けば、確実に消される。
「……そういえば、今日じゃなかったのか。
確か、BOARDが襲撃されたのはっ」
俺はそれと共に、慌てて近くの時計を見る。
2022年に比べたら、セキュリティが甘い所もあり、隠れ住んでいた家から飛び出し、俺は時計を見る。
それは、過去の資料で見た日付と同じであり、おそらく今夜。
『だから、どうする。
どちらにしても』
「だとしても」
これから、先、誰かが死んでしまう。
そんな事が分かっていながら、放っておく事はできない。
『はぁ、まったく。
旧BOARDの場所は分かるか?』
「なんとか」
俺はそう言うと、すぐにバイクに乗り込み、エンジンをかける。
「っ!」
エンジン音が聞こえながら、俺はBOARDへと向かっていた。
既に夜の帳で閉じていた。
「っ」
それが意味をしたのは、既に間に合わなかった。
分かっていながら、止める事ができなかった。
『運命は変わらなかった訳か』
「だとしてもっ」
誰か1人でも生き残りはいないか。
俺はすぐに研究所へと向かおうとした。
すると、何か銭湯音が聞こえた。
見ると、そこには仮面ライダー剣とローカストアンデットが戦っていた。
それは、過去の資料でも見たことがある。
だが
「あれは」
ローカストアンデットと共にその容姿が酷似しているアバドン・アンデットが剣に戦っていた。
「アバドン・アンデット!」
まさか、ここで彼女がいるとは思わなかった。
『戦い理由は、できたようだな』
「あぁ」
運命を変える事ができなかった。
それが悔しくて仕方なかった。
それでも、今、目の前で苦しんでいる彼女を、必死に戦っているあの人の為にできるんだったら。
「変身!」
【TURNUP】
俺はそのまま刀へと変身した。
腰にあるブレード・ブレイドを手にし、剣崎さんに襲い掛かろうとしたアバドン・アンデットの攻撃を受け止めた。
「えっ?」
疑問の声。
それよりも早く、俺はすぐにアバドン・アンデットを吹き飛ばす。
「お前は、一体」
俺の事を疑問に思い、剣崎さんはこちらを見る。
この時期、剣崎さんはある意味不安定だった。
仲間達が殺され、信用していた先輩である橘さんに裏切られたと思っていた。
そんな不幸の連鎖が彼に襲い掛かっていた。
だからこそ、俺は剣崎さんに手を伸ばす。
「一緒に戦ってください」
何をどう言ったら良いのか分からない。
それでも、今の俺はこの選択しかできない。
「……あぁ」
剣崎さんはそのまま俺の手を掴む。
同時にローカストアンデットとアバドン・アンデットがすぐにこちらに襲い掛かる。
俺達は瞬時に互いの武器を手に取り、戦う。
ローカストアンデット達は、その強力な脚力で素早く動きながら、こちらに襲い掛かる。
だが、俺は何度も、剣崎さんの動きを見ており、アバドン・アンデットの行動パターンも見ていた。
だからこそ、剣崎さんの動きを読むように援護に徹する。
迫り来る攻撃に対して、俺は攻撃用の太刀と、腰にある鞘で受け流す。
その隙を狙うように、剣はローカストアンデット達に攻撃を仕掛ける。
そして、ローカストアンデットは、その羽を広げて、剣崎さんに襲い掛かる。
「剣崎さんっ!」
すぐに俺は追いたかったが、アバドン・アンデットによって、阻まれる。
だが
【SLASH】
聞こえた音、同時にローカストアンデットは剣崎さんを叩きつける。
だが、剣崎さんの攻撃はローカストアンデットにダメージを受けた。
ベルトが開かれ、剣崎さんは、そのままラウズカードを真っ直ぐとローストアンデットに向けて、投げる。
同時に戻ってきたラウズカードを、俺に向けて投げる。
「使え!」
その一言を聞くと共に、俺は頷く。
俺はすぐに、腰にある鞘にスキャンする。
【KICK】
鳴り響く音と共に、俺の身体にアンデットの力が宿る。
同時に襲い掛かってきたアバドン・アンデットの攻撃を避け、力が宿った脚をそのあっまアバドン・アンデットに向けて蹴りを放つ。
放たれた一撃を食らい、アバドン・アンデットはそのまま後ろに吹き飛ばされる。
同時にベルトが開くのを確認し、俺はすぐにラウズカードを投げる。
ラウズカードは、そのままアバドン・アンデットを封印した。
「おかえり」
その言葉と共にアバドン・アンデットが封印されたカードをそのまま仕舞う。
「剣崎くん!」
聞こえる声、それと共に見ると、そこには広瀬さんの姿が見える。
「あなたは一体っ」
これまで見たことのないライダーである俺の姿を見て、驚きを隠せなかった様子で見る。
俺はそんな彼女を見ながら、ゆっくりと剣崎さんに先程借りたラウズカードを剣崎さんに渡す。
「待ってくれ、君は一体」
「……すいません、俺は、これ以上は」
この襲撃事件が、天王寺が関わっている可能性がある以上、今は剣崎さんと一緒にいるのは危険だ。
それは彼らにも危険だ。
俺はそのまま彼らから離れていく。