それは錬司が特訓場所として選ばれた場所。
普段は誰も近づかないだろう場所である岩船山。
そこで、その特訓を見ていた。
「こんなのっ、聞いていないっ!」
そう言いながら、睦月は必死に走っていた。
それはまさに決死の思いで、走っていた。
そして、その後ろには、錬司が追っていた。
「睦月!逃げるなっ!逃げるんじゃない!!」
そう言いながら、睦月は、その言葉を聞きながらも逃げる。
「逃げるんじゃない!ぶつかってこい!!」
そう言いながら、錬司は睦月に迫ってくる。
「無理ですっ死んでしまいます!!」
「これぐらいでっ逃げるなぁ!!」
そう言いながら、錬司はそのまま睦月に叫ぶ。
その言葉はまさに心からの叫びだっただろう。
だが
「こんなの死んじゃいますよ!!」
「何が死ぬだ、たかが、ジープにぶつかるだけの特訓だろ!!」
そう言いながら、錬司はジープを操縦しながら、睦月の後ろを追っていた。
「これは酷い」
「その為に俺が呼ばれたのか」
まさに、地獄のような光景を、ただ見つめていた。
無事にバイトを終わらせる事ができた俺はすぐに帰ろうとした。
だが、その最中で、バイクを走らせている剣崎さんが見えた。
「あれ、剣崎さん?
なんか急いでいるようだけど」
そう思い、疑問に思い、首を傾げる。
ふと、それと共に過ったのは、この時期に起きた出来事だった。
「そうだった、忘れていたっ」
トライアルXの一件もあって、忘れかけていたが、この時期は上級アンデット達が次々とその姿を現した時期。
そして、今は確か、2体のカテゴリーQが現れた戦いのはず。
俺はすぐに剣崎さんが向かっただろう場所へと走って行く。
そうして、辿り着いた先に見えたのは、山羊の始祖であるカプリコーン・アンデットと戦っている剣崎さんの姿だった。
「変身!!」
俺は瞬時に、刀へと変身すると共に、剣崎さんに襲い掛かろうとしたブーメランの軌道を変えた。
「なっ」
「刀磨っ」
「偶然、通りかかりましてね」
「そっか、助かる!」
そう言い、俺達は同時に構える。
相手は上級アンデットであり、油断ができない。
その事もあって、警戒していると、カプリコーン・アンデットとは別の方向から攻撃が飛んでくる。
「がっ」「ぐっ」
襲い掛かった攻撃の痛みに、俺は戸惑いながらも、すぐに体勢を整える。
剣崎さんと俺はすぐにこちらに向けて、攻撃を仕掛けてきたアンデットの姿を見る。
そこに現れたのは、まるで真珠を思わせる真珠貝を彷彿とさせる容姿をした存在であり、その正体にすぐに気づく。
「ヴィヴィアン」
「それは、もしかして」
俺の言葉を聞いて、剣崎さんはすぐに察したようにこちらを見る。
それと共に、俺は頷きながら、ゆっくりと構える。
「へぇ、こいつが噂のアンデットねぇ。
だったら、こいつを操れば」
そう言いながらも、カプリコーン・アンデットはそのままヴィヴィアン・アンデットに近づく。
だが、それよりも早く、ヴィヴィアン・アンデットはその手に真珠型の弾丸をカプリコーン・アンデットに向けて放つ。
「てめぇ!!」
その攻撃に怒りを覚えたように、カプリコーン・アンデットはそのまま三日月状のブーメランでヴィヴィアン・アンデットに向けて投げる。
「これは」
「上級アンデットになれば、その分本能を抑制できます。
だから、他のアンデットとは違い、アンデットに対して敵対します。
けどっ」
そうしている間にも、ヴィヴィアン・アンデットはその真珠型の弾丸を俺達に向けて、放っていく。
「それでも俺達に対する攻撃は止まりませんがっ」
「だったら、すぐに止めないとなっ、行くぞ!」
「はい!」
剣崎さんの言葉と共に、俺達はすぐに2体のアンデットの元へと向かう。その間にもヴィヴィアンは次々と真珠型の弾丸を放っていく。
それに対抗すべく、カプリコーン・アンデットはブーメランを投げていく。
それによってヴィヴィアン・アンデットの攻撃は徐々に収まり、そして俺は一気に走り出す。
その行動に対して、ヴィヴィアン・アンデットはすぐに真珠型の弾丸を放つが、それをブレードラウザーによって防ぎ、そのまま斬りかかる。
それと同時にカプリコーン・アンデットもまた動き出し、ブーメランを投げつける。
その狙いは、剣崎さんだった。
「はぁ!」
剣崎さんは瞬時にブレイドラウザーでその攻撃を弾き飛ばし、カプリコーンはヴィヴィアンに向かって走り出す。
だが、それを阻止するべく、俺はカードを引き抜く。
同時に、ヴィヴィアンが放った弾丸が俺達の方へと向かってきた。
【TWIN】
その音声が鳴り響くと共に、俺の持つブレードラウザーは2本へと分身する。
通常ならば、2人に分身する事ができるこのTWINだが、前回のトライアルの戦いで二刀流での戦い方も可能だと分かった。
力の温存をしたまま、確実な戦力を増やす方法として、考案したその方法は想像以上に上手くいった。
「はぁ!!」
目の前に迫る弾丸に対して、2本になったブレードラウザーで俺は叩き落すと同時にヴィヴィアン・アンデットの元へと走る。
一方のカプリコーン・アンデットはそのままブーメランでヴィヴィアン・アンデットを攻撃しようとしたが、ヴィヴィアン・アンデットも即座に反応して、防御の体勢を取る。
結果として、カプリコーン・アンデットとヴィヴィアン・アンデットの間で火花が上がる。
「よしっ、一気に行く!」
「ぐっ」
なんとか立ち上がる2体を見ながら、俺はすぐに2枚のカードを取り出す。
【TWAIN】【KICK】【WATER】【スプラッシュデュアル】
鳴り響く音と共に、俺は真っ直ぐと2体の元へと走る。
同時に宙に舞いながら、2人に分身した俺は、そのまま水を纏ったライダーキックを2体のアンデットに向かって、放った。
「ちっ、邪魔なんだよ、お前はっ」
「なっ」
同時にカプリコーン・アンデットはそのままヴィヴィアン・アンデットを踏み台にして、そのまま逃げ出す。
既に狙いを定めた以上、変える事ができず、そのままヴィヴィアン・アンデットに命中。
ヴィヴィアン・アンデット受けたダメージによってか、そのまま動かなくなった。
同時に封印のバックルが開き、俺はそのままラウズカードを投げる。
それによって、ヴィヴィアン・アンデットは封印され、俺の手元に来る。
「あいつはっ」
先程の行動に怒りを隠せない様子の剣崎さん。
それはカプリコーン・アンデットに対しての行いだろう。
だけど
「あわわわ」
「どっどうしたんだ」
「いえ、その、ヴィヴィアンさん、むっちゃ怒っているので」
「えっ、お前、アンデットと喋れるのかっ」
それに対して、剣崎さんは驚きを隠せない様子だった。
「まぁ、少しは。
けど、これはやばいな」
「えっと、一応聞くけど、なんて」
恐る恐る、剣崎さんは聞いてくるが
「あの山羊、生きたまま、料理すると」
「……まぁ、そう思うよなぁ」
その言葉にある意味同意すると共に、封印されているヴィヴィアン・アンデットが封印されたカテゴリーQを見つめる。
「・・・アンデットと、喋るだと」
その光景に高原は驚きを隠せなかった。
カードに封印されれば、意識を通わせる事など不可能に近い。
それなのに、なぜ、アンデットと話せるのか。
「それが真実なのか、嘘なのか、どちらにしても確かめる必要がある」
それと共に、彼は眼鏡をあげながら、ゆっくりとその場を離れる。