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「やぁ、また会いましたね」
その日のバイト帰りの時だった。
俺の後ろから声が聞こえ、ふと振り返ってみる。
そこには、先日会った高原さんが、そこに立っていた。
「高原さん!
また、会えましたね!!
あっ、そういえば、あの子犬は、どうなりましたか」
「慌てなくても、大丈夫ですよ。
あの子は無事に保護されました。
少々、いやかなり問題はありそうですが」
「えっ、それって、もしかして駄目な方向で」
「子犬を可愛がりすぎるぐらいですよ。
無碍にする事はないでしょうから、そこは心配ないと思います」
そう言いながらも、その時の様子を思い出したのか、笑みを浮かべながら、語ってくれる。
「それで、君に少し聞きたい事があってね。
良かったら、少し話に付き合ってくれないか」
「別に良いですけど」
そう言いながら、俺はそのまま高原さんと共に近くのベンチに座る。
「君に、以前の話を続きをしましょうか。
私は、正直な所、人間が大嫌いです。
嫌悪している」
「それは、先日の子犬の件から?」
「ずっと、以前から、生まれた時からです。
人間は自分の身勝手な行いで、多くの生き物の命を簡単に奪っていく。
だから、人間は滅ぶべきだと思うんですよ。
全ての生き物にとって、優しい世界になる為に」
「それは、どうなんでしょうね」
その高原さんの過激とも言える思考に対して、俺は思わず反論する。
「生き物が命を奪う。
それは、どんな生き物でも変わりありません。
もしかしたら、人間ではなく、別の生き物が頂点になったとしても、変わらないかもしれません」
「確かに、そうかもしれませんね。
ですが、人間程、別の生き物を殺す存在はいません」
「けど、同時に俺は人間程、他の生き物を救う存在は、いないと考えています」
「人間が救う」
「えぇ」
俺はその言葉と共に、俺は空を見つめる。
「人間は、この星では既に耐えきれない程の多くの生き物を殺し、喰らい、そして無駄にする程殺している。
けど、同時に人間は、人間自身の手で多くを育て、治し、共に生き続けている」
「それは人間の身勝手な行いの結果でしょう」
「えぇ、身勝手です。
だけど、生き物は、その身勝手を本能として生きています」
「本能が、身勝手」
「えぇ、身勝手は自分の都合・利益だけを考えて行動すること。
俺は、自分の目の前にある命を救いたいから、身勝手に行動している。
高原さんと話をしたいのも、まぁ、身勝手かもしれませんけど」
俺はそう言って、苦笑いを浮かべてしまう。
そして、そんな俺の言葉を聞いて、高原さんは微笑む。
その顔には、驚きと共に納得も含めていた。
「なるほど、本能は身勝手ですか。
確かにそうかもしれない。
だからこそ」
その言葉と共に遮るように、銃声が聞こえる。
同時に俺達がその場を離れると共に大小様々な刃を腕や足など全身に生やした刺々しい怪人が現れる。
「トライアルFっ!」
「トライアル?」
その言葉と共に、疑問に思ったように高原さんはこちらに尋ねる。
「人間が作り出した人工生命体です。
高原さん、逃げてくださいっ!
変身!!」
【TURNUP】
鳴り響く音と共に、俺はそのまま仮面ライダーへと変身し、その手に持つブレードラウザーでそのままトライアルFに斬りかかる。
しかし、その身体の一部である刃を構えて、トライアルFは俺の攻撃を防ぐ。
俺はブレードラウザーを振り払う。
だが、それと同時に俺の腕を刃が斬り裂き、火花が散る。
その痛みを我慢しながら、俺は距離を取りつつ、トライアルFから目を離さないようにする。
トライアルFは再び俺に向かって突撃してくる。
再び振り払われたブレードラウザーを何とか受け止めるも、その重さに耐えきれず吹き飛ばされてしまう。
地面を転がりながら、俺は起き上がるも、既にトライアルFは目前まで迫る。
「トライアル。
どうやら、そいつは我々共通の敵らしいな」
その言葉と共にトライアルFは身体が吹き飛ばされる。
「えっ?」
聞こえた声、同時に高原さんの姿が変わる。
そこにいたのは、過去の映像でしか、確認できなかったイーグルアンデットだった。
「高原さんがっ、アンデットっ」
「何をしている。
さっさと立てっ!」
「っはいっ!」
相原さんの言葉を聞くと共に、俺はすぐに立ち上がり、構える。
トライアルFはすぐに俺達に向かって襲い掛かるが、高原さんは無数の羽手裏剣で防ぐ。
だが、その攻撃を弾きながら、トライアルFはそのまま突撃してくる。
しかし、視線は相原さんに集中している為、こちらに一瞬だけ意識を逸らしているトライアルFに対して、俺はブレードラウザーで切り裂く。
火花を散らしながら、後ろに下がるトライアルFに対して、高原さんはその両手の鋭い鉤爪で追撃する。
その攻撃を受けてトライアルFは更に後ろへと下がっていく。
トライアルFの猛攻が続く。
俺はその隙を付いて攻撃を仕掛けようとするが、トライアルFの速さに対応できずにいた。
それでも、俺達はトライアルFを追い詰めていく。
【CUT】【MIRAGE】【ミラージュカット】
鳴り響く音と共に、俺は瞬時に無数の幻影と共にトライアルFに連続で斬撃を与える。
無数の斬撃に対抗するように、幻影を切り裂いていくトライアルFだが、それらの攻撃は本体である俺には当たらなかった。
そして、本体の俺はそのままトライアルFを切り裂く。
「っ」
同時にトライアルFはそのまま後ろに倒れる。
「このままとどめを」
「無理です。
奴は、アンデットと同じ不死身。
さらにカードの封印もできません。
完全に倒すには、ライダーが同時にコンボによる攻撃じゃないと、倒せないんです」
「封印ができないのが、ここまで厄介だとはね。
ならば、動けない内に、逃げておくとするか」
「はい」
そうして、高原さんと共に、トライアルから距離を取り、離れていった。
やがて、完全にトライアルから離れた後、俺はすぐに高原さんを見つめる。
「まさか、アンデットだとは」
「私は、あの時、病院で名前を聞いた時には驚きしかなかった。
偶然出会った君が、仮面ライダーだったとは」
「……やはり、戦いますか」
そう言いながら、俺は問いかけるように見つめる。
「……止めておきましょう。
確かに私はアンデットで、ライダー。
君とは敵対する立場だ。
だが、できれば君とは戦いたくない」
「それは俺だって」
そう言いながら、俺はなんともいえない気持ちで、拳を握り締める。
「だが、もしも戦う時、私は容赦はしない。
そして、君も容赦をしないでくれ。
私は、君を友として、認めたから」
その言葉を最後に、高原さんはその姿を消す。
【番外編 仮面ライダーセイバー編 1話】
その、夢を見るのは、十年前からだった。
本のページをめくるように展開していく不思議な世界で、果てしない自然が広がり、シャボン玉や空想上の生き物が飛び交う中で、その人物はシャボン玉の中にある一つの景色を見て、涙を流していた。
暗めの赤いローブを身に纏っており、素顔はフードで隠しているが、その人物は確かにその光景を悲しんでいた。
「私は、かつて世界の均衡を保つ為にある組織を作りました」
そして、何時ものように、俺に向けて、ゆっくりと語りかけた。
「友は、この世界を守る為に。
私は、現実の世界を守る為に。
ですが、時が経ち、私の、子孫が過ちを犯した」
それと友に、強く、握り絞める。
「君に、いずれ戦う時が来る。
こんな勝手な願いかもしれない。
それでも、君には変えて欲しい」
ゆっくりと、語りかけるように、俺の手には一つの鍵があった。
手の平に収まる程度の、形としてはスケルトンキーだと思われるその鍵をそっと、優しく握らせてくれた。
「私が愛した世界。
それがどんな結末を迎えようとも、どうか、私の代わりに守って欲しい」
そう言うと、俺の意識はゆっくりと沈んでいった。
「あぁ、また寝ている!
ねぇ、さっさと起きなさい!」
「うわっとっ!?」
俺を起こすように怒鳴りつける声に、俺は思わず起き上がる。
「あなた、またバイト中に寝ていたの!」
「あぁ、また、寝ていたか」
そう言いながら、俺は涎を垂らしていたのに気づきながら、慌てて拭う。
この店、ファンタジック本屋かみやまという謎の本屋でのバイトを始めて、既に一ヶ月近くが経っていた。
この本屋は小説家である神山飛羽真が店主を務めており、俺は偶然見たバイトの募集に応募をして今に至る。
店長曰く「子どもの頃からの夢」とのこと。
店内には多くの本だけでなくファンタジーをイメージしたジオラマが設置されており、飛羽真が近所の子供達に童話を読み聞かせるなど、子供の憩いの場所となっている様子。
売っている本は絵本や児童文学が中心だが、自著など一般向けの書籍も販売しており、なんとガシャポンも置いてあり、顧客の誕生日にはお任せで顧客に合った絵本をセレクトしてくれるサービスも行なっているらしい。
「それよりも、飛羽真はどこに行ったか知っている?」
「さぁ?
店長はいつも、ふらっとどっかに行くからね」
「あぁ、もぅ締め切りが近いのにぃ!!」
そう言いながら、いつもの騒がしい様子でそのまま立ち去っていった。
俺は少し呆れた表情を浮かべながらも、再びレジの席について客を待つ。
「それにしても、ここまで、本当に凄いな。
けど、やっぱり、この本の事については、ほとんど分からなかったな」
そう言いながら、俺は懐からとある本を取り出す。
本というには、手の平サイズ程度であり、真っ白な表紙には何も書かれていない。
だが、僅かにだが、タイトルだけが描かれていた。
そのタイトルの名は
「王国心。
一体、どういう本なんだ?」