だが、それは、人間に化けている吉永ことオーキッド・アンデットの罠だった。
オーキッド・アンデットの策略によって、危機的状況に瀕した剣崎だったが、そこにオーキッド・アンデットを襲撃するようにやってきたカリスこと相川始がオーキッド・アンデットと戦った為、その危機を脱した。
同時に剣崎に襲い掛かろうとしていたカプリコーン・アンデットもまたシルフィムに変身した虎堂が戦いを挑む。
「お前、またっ」
「悪いが、こっちもさっさと終わらせるぞ。
早く戻らないと、あいつが、トラウマレベルになるからな」
【WAVE】【SPIN】【Rubber】【ラバーラッシュ!】
その音声が鳴り響くと共に、その手に持つシルフィムアローに衝撃が集めながら、オーキッド・アンデットに向かって腕を伸ばす。
変幻自在のゴムの手による斬撃は、そのダメージを身体の奥底に叩き込む。
ゴムによる勢いも相まって、そのままカプリコーン・アンデットは吹き飛ばされ、そのバックルが開く。
「っ!」
同時に剣崎はその手に持ったラウズカードをカプリコーン・アンデットに向けて投げる。
それによって、封印される。
あの宣言から数日後。
俺はどうしら良いのか、未だに悩み続ける。
そうして、悩んでいた様子を見られたのか、剣崎さんがいた。
「なんか、悩みでもあるのか」
「えっ、また、なんで」
「いや、この前から様子が可笑しかったからな。
何かあったと思って」
「あははは、まぁ色々とありまして」
俺はどう答えれば良いのか、分からず、苦笑いをしながら答えを濁す。
さすがにアンデットと戦うのに躊躇していたなんて、言えず、俺はそのまま見ないようにしていた。
だが
「……まったく、偶然がここまで早いとは」
「っ」
聞こえた声、それと共にそこにいたのは、相原さんの姿だった。
「知り合いなのか」
「君は初めてだったな。
仮面ライダー」
「っ」
その声と共に剣崎さんは構える。
だけど
「っ」
俺は、バックルを構える事ができない。
「刀磨、どうしたんだ」
そう言いながら、俺を心配するように寄り添う剣崎さん。
だけど、俺はそれに対して、答える事ができなかった。
「刀磨、以前も言ったはずだ。
私達は戦う運命だ。
だから、容赦はするな」
そう言いながら、高原さんは変わらず俺に言う。
それでも、俺は動く事ができなかった。
「できる訳ないだろっ!
友達だと、思った人を相手にっ」
そう言いながら、俺はそう叫ぶしかなかった。
俺にとっては、アンデットも心を通わせる事ができる存在だ。
人造アンデット達は封印を自ら望んでいるからこそできた。
他のアンデット達は人を襲うからこそ倒せた。
だけど、高原さんは、自ら封印を望んでいない。
何よりも、友達だと思った相手を傷つける事なんて、俺には
「……アンデット、俺が相手になる」
「剣崎さん」
そうしながら、剣崎さんは俺の前に出る。
「君がですか」
「どちらにしても、俺はお前を倒すつもりだ。
何よりも、俺は仲間をつらい思いをさせてまで、戦わせたくない」
そう言った、剣崎さんの言葉は本気だった。
「良いでしょう。
だが」
「あぁ、容赦はいらない」
その言葉と共に、剣崎さんも、高原さんも同時に戦う為に構える。
剣崎さんが、仮面ライダー剣へと変身すると共に、目の前にいるイーグルアンデットとなった高原さんもまた両手に鉤爪を構えながら、迫ってくる。
素早い鳥を思わせる動きで迫るイーグルアンデットに対して、剣崎さんはそのままその攻撃を受け止めながら、手に持った武器であるブレイドラウザーで斬り上げる。
火花を散らしながらも、高原さんはその素早い動きで鉤爪による攻撃を次々と行っていく。
対して、剣崎さんは、その鋼鉄の鎧でその攻撃を火花を散らしながらも、そのままブレイドラウザーで斬り上げていく。
二人の戦闘スタイルはまるで対照的だ。
素早く動くイーグルアンデットに対して、剣崎さんはその攻撃を見切りながらも、防御に徹して隙を見て攻撃を仕掛けるスタイルを取っている。
しかし、それはあくまでも、牽制目的で、様子見である。
そんな二人の戦いを、俺は眺めているしかなかった。
身体は動く事ができず、その戦いを見る事しかできない。
ただただ、目の前で繰り広げられるその戦いを見ている事しかできなかったのだ。
そうしている間にも、高原さんの動きが変わった。
先程まで連続で行っていた鉤爪による斬撃攻撃から切り替わるように、その背中にある翼で宙を舞いながら、羽手裏剣で剣崎さんに向かって、放っていく。
一方の剣崎さんは、その羽手裏剣を避けながらも、上空へ飛び立つ高原さんを見つめる。
今の剣崎さんには空を飛ぶ事ができない為、それは致命的だった。
すると、今度はイーグルアンデットは空中から急降下し、その鉤爪を突き刺そうと襲い掛かってきた。
剣崎さんはどうにかそれを避けるも、着地したと同時に再び翼を広げて、滑空する。
その姿はまるで、猛禽類が獲物を捕らえる為に滑空して行く様を彷彿とさせる。
「っ」
【MAGNET】【LIGHTNING】【KICK】【LIGHTNINGMAGNET】
鳴り響く音声と共に、剣崎さんはすぐに走り出す。
その足には電撃を纏いながら、真っ直ぐと高原さんに向かって蹴り上げる。
普通ならば、その一撃は避ける事ができないだろう。
だが、高原さんの身体には金属によって出来た武器があり、磁力を纏った剣崎さんはそれに引き寄せられるように迫る。
「ぐっ」
すぐに高原さんは、次々と羽手裏剣を剣崎さんに向けて放つ。
しかし、剣崎さんの身体から溢れ出る電撃によって、それらは燃え、無効化していく。
そして、そのまま、その蹴りを真っ直ぐと高原さんに叩きつけた。
その一撃によって、高原さんの身体は大きく吹き飛ばされる。
剣崎さんはそのまま地面を転がって行く。
大きなダメージを受けた様子で、そのバックルを開いた。
「ははぁ、まさか、カリスや刀磨と戦う前に倒されるとはな」
「悪いな」
そう言いながら、剣崎さんは答える。
「いや、君にはむしろ感謝しているかもしれない。
友と戦うのは、どこか嫌だったかもしれない。
何よりも、刀磨の為に戦うお前に倒されるのも良かったかもしれない」
そう言いながら、ゆっくりと立ち上がる。
すでに身体中から血を流しており、立っているのもやっとな状態だろう。
それでも彼は立ち上がった。
「剣崎一真、仮面ライダー剣。
感謝する。
そして、刀磨、僕の友よ。
君と会えた事は、僕にとっても幸福だった」
その言葉を最後に、高原さんは、そのまま封印される。
「……」
「奇妙な気分だった。
アンデットを封印するのに、こんなに嫌な気持ちをするのは」
「いえ、すいません。
俺が、弱かったばかりにっ」
「弱くなんかない。
それは、お前の強さでもある」
同時に剣崎さんは、その手にある高原さんが封印されたカードを見つめる。
「俺も、少しでも知る。
アンデットの気持ちを。
その上で、戦い続ける」
「これは一体」
それは、突然街の中で起きた出来事だった。
店長から言われて、配達の手伝いをした時だった。
店長達がいた場所がまるで、本を閉じるように空間ごと無くなってしまった。
「何が起きてっ」
困惑をする中で、向こう側に連れて行かれた人を心配するような声が周りから聞こえる。
俺自身も、店長達の無事を願いたい所だけど、どうやって
「これは」
そうしていると、俺の懐が熱く感じた。
見ると、それはこれまで謎だった王国心の本だった。
疑問を余所に、その本から飛び出したのは、鍵だった。
よく、人が鍵という言葉でイメージしそうな形だったが、ウォード錠型をモチーフにした鍵の形をしており、金色の持ち手に銀色の刀身となっている。そして先端の凹凸は王冠を象ったものだった。
「これは一体」
疑問を余所に、それは真っ直ぐと、目の前にある空間を目指すように、その鍵はさしていた。
俺はゆっくりと、それに合わせるように向けると共に、空間には一つのドアができる。
「えっ、まさか」
疑問を余所に、俺はそのままドアを押し出す。
すると、目の前には、これまで何度も見た夢の光景がそこに広がっていた。
俺はそのまま、覚悟を決めるようにその空間の中へと入っていった。
見れば、見る程、現実離れしている光景に見惚れている。
だが、そんな俺を囲むように、鉄仮面のような頭部に、首の周りに古い紙きれのようなビラビラした襟巻が付いた、ケープめいた物を纏っているのが特徴的な、ミイラ男のような姿の怪物がでてきた。
「うわっなんだこいつらっ!?」
そんな疑問を余所に、俺はその鉄仮面のような奴らが襲い掛かってくる。
その手には短剣があり、それは致命傷になるだろう。
俺はすぐに手に持った鍵で、その攻撃を受け止める。
戦いなど、これまで行った事のない俺ではあるけど、それでも本能的にそれがどういうものなのか分かった。
「これって」
『これが、戦いの始まりだ』
どこからともなく聞こえてくる声。
それと共に、集団の中から一際目立つ存在がこちらに迫っていた。
ろくろ状の頭部に大きな手が付いている独特の姿で、さながら粘土細工の陶器造りを思わせる風貌をしている。
「人間か。
ここで始末する」
その言葉と共にそいつは頭部についた手をこちらに向けて放つ。
それによって、手は俺に向かって、まるで大砲のように勢い良く撃ち出してきた。
だけど、その攻撃はこちらに向けられた鍵によって防がれる。
だが、同時に王国心は俺の懐から飛び出し、鍵を横切る。
【王国心】
同時に聞こえる音声。
疑問に思いながらも、俺はそのまま後ろへと吹き飛ばされた。
なんとか体勢を立て直し、再び前を見る。そこには変わらずこちらに迫る敵の姿があった。
俺は咄嵯に手元の鍵を構えてみる。
すると、地面に落ちていた王国心が開かれる。
【とある少年の心が世界を繋げる物語】
鳴り響く音声と共に、俺はまるで自然と、その構えを知っているように、鍵を構える。
「変身」
【一冊解錠!キングダムハーツ!】
同時にまるでドアの鍵を閉めるような動作で、手に持った巨大な鍵を横に回す。
すると、扉を開くかのような感覚と共に、王国心の本は鍵穴のような光と共に俺を通り過ぎる。
その瞬間、俺の全身は鎧を身に纏っており、ふと、近くで鏡が見えた。
そこには、白いジャケットを思わせる上着と赤い鎧を身に纏っていた。
「これは一体」
そう疑問に思っているのを余所に、目の前にいる奴らは待ってくれない。
襲い掛かる奴らはすぐに手に持った短剣で襲い掛かってくるが、俺は鍵でその攻撃を受け止める。
金属同士がぶつかる音が響き渡る中、俺は即座に反撃を行う。
相手の腹部を蹴り飛ばし、俺は鍵を再び回して、地面に力を込めると共に、薙ぎ払う。
すると、そのまま衝撃波により、相手は壁へと吹き飛ばされる。
だが、それで終わりではない。すぐに別の相手が迫ってきており、今度は背後からの攻撃を仕掛けてきたのだ。
それに気づき、俺は咄嵯に振り返り、敵の攻撃を受け止めながら、すぐに宙を飛びながら、その手に持った鍵を敵に向けて投げつける。
鍵は回転しながら、目の前にいる敵の集団を切り裂き、そのまま壁に突き刺さる。
「自ら武器を捨てたか!」
そう言いながら、そいつは襲い掛かろうとした。
だが、それよりも早く、俺は構える。
すると、壁に突き刺さった鍵が消え、瞬時に俺の手元に召喚され、その攻撃を防ぐ。
「なっなに!?」
その事に驚きを隠せない様子だったが、俺はすぐさま追撃を行った。
そして、敵はなすすべなく倒れていく。
そんな敵を気にせず、俺は次々と襲いかかってくる敵を撃退していく。
鍵の使い方、王国心の使い方、それら全てが手に取る様に分かる。
同時に俺は王国心をスキャンする。
【王国心】
同時に、先程とは違い、そのまま縦に振るう。
【必殺解錠!キングダムハーツ!ラグナロク!!】
その音声と共に、俺はそのまま手に持った鍵の先端から、複数条の光弾を一斉に発射する。
それらの光弾が敵を次々と殲滅しながら、そのまま鍵に光弾に纏いながら、最も大きな敵を一閃。
それにより、敵は吹き飛び、そのまま消える。
「ふぅ、なんとかなったか。
キーブレードも使いこなせてって」
その言葉と共に、思わず疑問に思う。
「俺、なんでこれの名前知っているんだ?」