「人造アンデットが、人を襲っただって」
その言葉に俺は信じられずに思わず叫んでしまう。
その言葉と共に、剣崎さんは俺に封印されているカードを渡した。
それは、確かにアンズーアンデットだった。
「なぁ、本当に人造アンデットは人を襲わないのか?」
「それは、間違いないです。
人造アンデットは元々本能なども含めて、人に危害はないようにしています。
だから、とても信じられないです」
「だけど、あの時は確かに襲っていた。
アンデットハンター達に向かって」
「アンデットハンター?」
その言葉に俺は思わず聞き返してしまった。
「あぁ、俺も詳しく知らないけど」
「・・・」
アンデットハンター。
まるで聞いた事のない集団だ。
「・・・剣崎さん。
これは予測なんですが、良いですか」
「あっあぁ」
「もしかしたら、アンデットハンターの中に上級アンデットがいる可能性は考えられませんか」
「上級アンデットが?
それは」
その言葉と共に、剣崎さんは同時に何か思い当たる節があったのか、動きを止めた。
「あまりにもタイミングが良すぎた。
あの時、アンデットが人を襲って、アンデットハンターが来るまで、ほとんど時間差がないくらいに」
「アンデットハンター全員が伊坂のように操られているとは」
「だとしても、俺達に接触した目的はなんだ?」
「分かりません。
けど、警戒する必要はあります」
せめて、あれが完成していれば。
「おい、刀磨」
「えっ」
「完成したぞ」
そう言いながら、錬司は俺の方にあれを渡してきた。
「おいおい、タイミングが良すぎるだろ」
「それは一体?」
「ある意味、とっておきですよ」
その日、俺達はとある場所へと向かっていた。
そこはとあるサーキット会場であり、そこにはアンデットと戦う為の組織であるアンデットハンターの人達と合流していた。
そこで行われているのは、BOARDで開発途中だったはずのブラックファングだった。
そのマシンを見て、剣崎さんや橘さんは興奮した様子を見せながら、俺は周りを見渡していた。
そこにいるアンデットハンターの人達は、誰も操られている様子はなく、本当に自分の意志で戦っているのがよく分かる。
だとすれば、問題はこの先だ。
そう考えながらも、それを確かめる為にも、ブラックファングの開発を協力する事にした。
マシンスペックもあるが、橘さんにとっては夢のマシンと言う事もあって、元々の目的を忘れる程に、夢中になっていた。
「アンデットだとっ」
だが、ブラックファングが完成しそうな時、その存在が現れた。
その姿はまるで亀を思わせる姿であり、見た目の特徴から分かる限りだとゲンブアンデットだという事はすぐに分かった。
「剣崎さん、橘さん。
こいつは上級アンデットです!」
「刀磨、本当か!」
「はい、油断しないでください」
その言葉と共に、俺達は同時にバックルを取り出し、そのまま腰に回す。
「「「変身!!」」」
【TURNUP】
鳴り響く音声と共に、俺達はそのまま仮面ライダーへと変身すると共に、そのままゲンブアンデットに向かって行く。
俺と剣崎さんで牽制を行うように手に持った剣でゲンブアンデットに向かって、斬り上げる。
だが、ゲンブアンデットはその攻撃を自身の甲羅で受け止めると共に、そのまま斧を振り回して、俺達を弾き飛ばす。
俺は何とか着地したけど、剣崎さんはそのまま吹き飛ばされて地面に叩きつけられてしまった。
それを見たゲンブアンデットがこちらに襲い掛かって来る。
俺はそれを間一髪避けるも、地面に落ちた際にブレードラウザーを落とした。
「ちっ、しまった」
俺はそう言いながら、ブレードラウザーを取りに行こうとしたが、ゲンブアンデットは甲羅と一体化している蛇で、俺の脚を狙うようにして放ってきた。
だが、橘さんが蛇に向かって銃弾を撃ち込む事で、それは防がれる。
「こっちだ」
その声が聞こえてきた方を見ると、そこには橘さんの姿があった。
橘さんは銃を構えると同時に、ゲンブアンデットに撃ちこむ。
それと同時に俺は素早くブレードラウザーを掴み取る。
「助かりました」
「礼を言う暇があるなら戦えよ」
俺達がそんなやり取りをしている中、橘さんの銃撃により怯んだゲンブアンデットだったが、今度は甲羅と一体化していた蛇を盾のように使って、こちらの攻撃を防ぎ始める。
それにより俺達の攻撃は通じなくなった。
それどころか、甲羅が硬くなり攻撃を防ぐだけでなく、徐々に俺達にダメージを与え始めていた。
そして遂に、俺達はゲンブアンデットの怪力で掴まれてしまい投げられてしまう。
その衝撃によって、俺達は地面を転がっていく。
起き上がった時に、ゲンブアンデットはゆっくりと近づいてきていた。
「仮面ライダー達を援護しろ!」
そう、アンデットハンターのリーダーである新名さんの号令と共に、その場にいたアンデットハンター達はその銃でゲンブアンデットに向けて、次々と攻撃を行っていく。
ライダーシステムのような決定的なダメージを与える事はできない事もあって、その強固な防御力で銃弾は軽々と受け止める。
同時に囲まれながらも、ゲンブアンデットは、その狙いを集団の中にいる新名さんに向かって襲い掛かる。
「隊長!」
すぐにアンデットハンターの1人である平井さんが前に出て庇う。
だが、ゲンブアンデットはその甲羅にある蛇を自在に操り、新名さんだけを狙って、攻撃する。
「隊長!」
「っ!」
その光景を見ながら、俺はすぐにブレードラウザーから3枚のカードを取り出す。
【BLOW】【WATER】【MIRAGE】【スプラッシュアサルト】
その音声が鳴り響くと共に、大量の分身の幻影が出現し、大量の分身達と共に水流を纏った拳で相手を連続で殴る。
ゲンブアンデットはその攻撃を受け止めるが分身は幻影なのでダメージは与えられないが、攪乱させ、ゲンブアンデットの隙間というべき部分に確実に一撃を与えることには成功した。
それによって怯むゲンブアンデットはそのままバックルが解放される。
同時に俺はその手に持つラウズカードを真っ直ぐとゲンブアンデットに向けて投げる。
投げられたラウズカードはそのままゲンブアンデットを封印すると共に、手元に吸い寄せられる。
「助かったよ、刀磨君。
君のおかげで「まだ、終わっていない」えっ」
俺はそのまま真っ直ぐと新名にブレードラウザーを向ける。
「まだ、敵はそこにいる」
そう言いながら、ゆっくりと構える。
「なっ何を言っているんだ。
隊長が敵な訳「平井さん、そいつの怪我をした所を見てみろ」怪我?
っ!」
それと共に、その場にいた全員が、その怪我を見た。
そこには人間の赤い血ではなく、アンデットの緑色の血が流れている。
それと共に、アンデットハンターもまた、全員がすぐに新名に向けて構える。
「ふぅ、まったく。
こんな形でバレるとはな」
その言葉と共に、その姿は人間の姿ではなく、アンデットとしての姿であるウルフアンデットへと変わっていた。
「お前、何が目的で」
「既に分かっているだろ。
そのブラックファングを完成させる為にな!」
その言葉と共に、ウルフアンデットは向かった先はブラックファングだった。
だが
「悪いが、それは幻影だ」
「っ!」
同時にウルフアンデットの近くにいた俺は消え、変わりにブラックファングの近くで潜んでいた俺はそのままウルフアンデットを蹴り上げる。
「なっ」
「アンズーが教えてくれた。
アンデットハンターの中に上級アンデットがいる事を。
そして、ゲンブが、てめぇの正体を教えてくれた。
だからこそ、俺はこいつを守る事にした」
それと共に、ブラックファングが徐々に変形していく。
そのほとんどが黒で統一されていたマシンが、ケルベロス・アンデットの要素が加わった金色へと変わる。
「ブラックファングが、覚醒した」
「ぐっ」
それを見ると共に、ウルフアンデットはすぐに逃げ出した。
「行け、刀磨!」
橘さんのその言葉と共に、俺はブラックファングのアクセルを回し、すぐにその場から走り出した。
ブラックファングのマシンスペックは俺の想像以上に高く、建物を縦横無尽に逃げているウルフアンデットを瞬く間に追いつく程に高い性能を誇っていた。
「っ!」
同時に地面に降り立ったウルフアンデットに向けて、俺はそのままブラックファングで攻撃を繰り出した。
その攻撃を防ぐように、ウルフアンデットはそのまま吹き飛ばされ、地面に転がる。
同時に俺はそのまま降り立ち、構える。
「ぐっ」
同時に俺はそのまま腕に装着されているラウズアブゾーバーにQのカードを挿入する。
【アブゾーブクイーン】
同時に俺は先程封印したゲンブのJカードをスキャンする。
【フュージョンジャック】
鳴り響く音声と共に、俺はジャックフォームへと変身する。
その姿は右肩はまるで亀を思わせる盾を装着しており、左肩には蛇を思わせるマントを身に纏った。
この姿こそ、俺のジャックフォームである。
「姿が変わった所で!」
そう言い、ウルフアンデットは襲い掛かる。
素早いそのスピードを見ながらも、俺は冷静に攻撃をかわしていく。
それどころか、逆にカウンターに近い攻撃を仕掛ける。
それにウルフアンデットは驚きを隠せない様子だったが、俺はそのまま拳を叩き込む。
ジャックフォームになった事で、その高い威力によって、ウルフアンデットはすぐに吹き飛ばされる。
「っ」
「ふぅ」
そのまま、俺は3枚のカードを取り出す。
【TWIN】【KICK】【BLOW】【DoubleIMPACT】
その音声が鳴り響くと共に、俺は二つへと分身する。
その姿は蛇のマントを身につけている俺と、亀の盾を身に付けている俺の2人だった。
同時に亀の盾を身に付けている俺はそのままウルフアンデットへと近づき、力強いアッパーカットでウルフアンデットを殴り飛ばす。
「がっ!!」
その威力に驚きを隠せない内に、そのまま蛇のマントを身に纏った俺がそのまま蹴り上げる。
「はあぁぁ!!」
2人の俺の連携によって、ウルフアンデットは強烈なダメージを受けると共に、転がる。
それと共に、その腰にあるバックルが開く。
「この俺がっこんな所でっ!!」
その叫びを聞きながら、俺はすぐにラウズカードを投げ、封印する。
あの一件は、俺だけではなく、どうやら店長である飛羽真さんもまた仮面ライダーに変身していたらしい。
俺の持つキーブレードとは違い、火炎剣烈火と呼ばれる聖剣だ。
そんな俺達の前に青いライオンにまたがり現れた青年・倫太郎さんは、世界の均衡を人知れず保ってきた組織ソードオブロゴスのメンバーらしい。
そんな倫太郎さんから、俺達の持つワンダーライドブックと火炎剣烈火とキーブレードを渡して欲しいという。
さすがに、それを受け入れる事ができずに断ったら、倫太郎さんの上司から、すぐに本部に連れてきて欲しいと言われた。
その本部であるノーザンベースへと連れてこられたが、その光景に驚きを隠せなかった。
まるで大きな図書館を思わせる程に並んだ本に目を白黒させながらソフィアさんという女性が現れた。
聖剣に選ばれた剣士とこの世界を作った大いなる力を持つ本を守ってきたというソフィアさんは、飛羽真さんを剣士、仮面ライダーにふさわしいと聖剣が判断したという。
だからこそ、次に俺も気になる事を聞く事にした。
「あの、ソフィアさん。
それで、このキーブレードというのは」
「それが、私達にも」
「えっと、また、どうして」
「そのキーブレードというのは、聖剣ではなく、世界を繋ぐ鍵の役割が大きいからです」
「鍵ですか」
「えぇ、僕も文献で見ただけですが、どうやらキーブレードはその昔、初代マスターロゴスが作り出した鍵らしいです。
それらは未だに謎が多く、分かっている事だけでもワンダーワールドの扉を開く事も閉める事も可能らしいです」
「それって、つまり。
もしもあの世界に閉じ込められた人がいれば、すぐに助けられるという事なのか」
「えぇ、だからこそ、キーブレードを僕達に」
「それが、たぶん、無理なんだ」
「それはどうして」
とりあえず、俺は論より証拠と言うばかりに、倫太郎さんにキーブレードを渡す。
疑問に首を傾げている間にも、受け取る。
「特に何も変化はないようですがって、えぇ!?」
そうしていると、俺は手に力を込めると、先程まで倫太郎さんの手元にあったキーブレードは一瞬で消え、また俺の手元へと戻ってきた。
「キーブレードは持ち主から決して離れる事はない。
おそらくは、そのキーブレードもまた、あなたを持ち主として選んだでしょう」
その言葉を言い終えると共に、ソフィアさんは近くある本棚から2冊の本を取り出す。
それをそのまま俺に渡す。
「これは?」
「怒りん坊なアヒル魔法使い?」
「ドジな犬騎士?」
まるで聞いた事のないタイトルに俺達は首を傾げる。
「キーブレードに選ばれた人にこれを授けるように言われました。
あなたならば、きっと正しい事に使ってくれると、信じています」
その言葉に、俺は思わず頬をかく。
「まぁ、頑張ってみます」