完全に意識を持ったのは、揃った時だった。
だからこそ、俺は知る事ができた。
あの時、出会ったのが、兄さんではない事を。
だからこそ、彼女が教えてくれたように、隠れるしかなかった。
仮面ライダーランスこと禍木慎に連れられる形で、始と少年が案内されたのは、元BOARDの研究所があった場所だった
そこに案内されると共に、見えてきたのは、始にとっては見覚えのある人物だった。
「橘」
「久し振りだな」
4年の月日が経って、多少は老けている様子が見えるが、それでも未だに姿が変わらない橘と再会した。
「一体、どういう事なんだ。
なぜ、アンデットが」
「襲撃されたとしか言えないな」
「襲撃されただと?」
それには疑問しかなかった。
「あぁ、55体目のアンデット、3体目のジョーカーによってな」
「3体目のジョーカーだとっ」
その言葉に始は驚きを隠せなかった。
それは本来ならば不可能に近い存在である事は、ジョーカーである始自身が理解している。
「お前自身も知っていると思うが、既に存在していたジョーカーであるお前。
そして、異常に高い適合率を持った剣崎が13体のアンデットと融合したキングフォームを使い続けた結果、生まれた54体目のジョーカー。
それと共に、未だに謎の多いジョーカー」
「そもそも、アンデットを作り出す事はできるのか?」
「不可能ではないだろう。
現にケルベロスがその証拠だ。
しかし、それはあくまでも通常のアンデットのみだ。
ジョーカーのようなアンデットは不可能だ」
「ならば、一体」
「分かるとしたら、それは我々が想像以上の敵が既にいる事だ」
そう言いながら、橘はそのままバックルを見る。
「修理はしないのか」
「他のライダーシステムを優先した。
今の俺は、戦う事ができないからな」
「ならば、俺が」
「それは駄目だ」
そう始は自身が戦うように言おうとしたが、橘はすぐに制止した。
「お前自身も分かっているはずだ。
今の穏やかな生活のおかげで、ジョーカーの闘争本能を抑えている。
もしも、再び戦いが始まれば、お前自身が制御できるか、分からない」
「それはっ」
橘の言葉に、始は否定する事はできなかった。
そうしていると共に、部屋には新たな2人の人物が入ってくる。
「橘さん、そこにいる方が」
「あぁ、紹介しよう。
彼が相川始。
我々と共に戦った仲間だ」
「それでいて、ジョーカーというアンデットねぇ」
そう、始を見つめながら、女性は不服そうに言う。
「ここで封印しないんですか」
「三輪!」
そう、女性こと三輪が言った言葉に、青年は怒鳴りつける。
「始は我々以上にアンデットの気配を探知するのに優れている。
戦いにこそ参加はできないが、誰よりもアンデットに詳しいはずだ。
それよりも純一、そっちの方は」
「残念ながら。
それにしても、本当なんですか、あのクラブのカテゴリーキングが味方だというのは?
僕達を見た時にすぐに襲い掛かりましたが」
「あぁ、嶋さんは確実に味方のはずだ。
なのに、なぜ」
そう、純一と呼ばれた青年の言葉を聞き、橘は再び疑問に思うように傾げる。
「そういえば、そこの子供は?」
「んっ、なんでもジョーカーが助けたらしい。
けど、どういう訳だが、ジョーカーから離れようとしなくてな」
そう、禍木は子供に懐いているジョーカーを睨みながら言う。
禍木自身はすぐにでも子供が離れれば、封印するつもりだったが、さすがに子供に手を出すつもりはなかった。
「子供か、君、そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
そう純一は、始の後ろにいる少年に優しく声をかける。
だが、それと共に少年は驚きに目を見開いた。
「どうかしたのか?」
そう少年の様子に変化した事に気づいたのか、始は話しかける。
だが、少年はすぐに後ろに隠れる。
「かっかてごりーきんぐと会う時には、むつきさんが会うのがいちばん」
「どういう事だ?」
そう、彼らは驚きを隠せなかった。
この場に来た時から、睦月という名前は出ていなかった。
それにも関わらず、睦月の名が出た事に全員が驚きを隠せなかった。
「なぜ、君がその名前を?」
橘はすぐに少年に問いかけようとしたが、そのまま始の後ろに隠れていた。
「こんな子供の言うこと、真に受けるのか?」
「・・・しかし、それはもしかしたら良い手かもしれない」
「あぁ」
疑問に思うように三輪は言うが、同時にそれに対して、始と橘は賛同するように言う。
「あの人と最も繋がりがあるのは、睦月だ。
もしかしたら、彼ならば」
「だったら、その睦月という奴を連れて行けば良いんだな。
だったら、行くぜ!!」
そう禍木は行こうとした。
それと共に、少年はポケットの中にある写真を撮りだし、始の手にこっそりと渡す。
「んっ?」
疑問に思いながら、少年はそのまま禍木へとついて行く。
「なんだ、お前?」
少年の事が気になったのか、禍木は首を傾げる。
先程まで始と一緒にいたのに、今度は自身の元に来た事に疑問に思った禍木だった。
「危ないからついてくるな」
そう言うが、少年は離れようとしない。
「禍木、その子は僕が面倒を見るよ」
「そうよ、純一の方が面倒見は良さそうだし」
そう少年の元に志村と三輪は来ていた。
「・・・禍木、その子も連れて行け。
志村と三輪はそのまま待機だ」
そこで止めたのは橘だった。
「どうしてですか?」
「始の感覚で、瞬時に現場に迎えるようにだ。
そらに、先程のその子には何かあると思う。
だから、禍木、お前が面倒を見ろ」
「えぇ、たく、危なくなったら、隠れろよ」
少年に対して、呆れながらも禍木はそのまま少年を連れて行く事にした。
「・・・」
少し離れながら、少年は未だに何かに怖がる様子でそのまま離れていった。
そして
「・・・あれをどう思う」
「分からない。
だが、怪しいのは、間違いないだろ」
そう言いながら、始と橘は純一と三輪には見えないように写真を見つめる。
そこには楽しそうに笑いながら、肩車をしてもらっている少年と一緒に映っているのは、純一だった。
家族写真だと思われるそれはとても仲が良さそうな写真であった。
今回の短編は『仮面ライダーキバ』です。
本編でもしかしたら説明されていたかもしれませんが、個人的に気になった事をテーマに小説に書かせて貰いました。
素晴らしき青空の会。
人類を喰らう魔族・ファンガイアの討伐を目的として結成された組織。
その組織自体は最近になって結成されたが、彼らが持つ多くの武器に関しては、とある少年に大きな関わりがあった。
太古、未だに魔族という存在が認知されている時代に、その少年はいた。
その身はファンガイアと人間のハーフでありながら、人間を守る為に戦い続けた。
当時のチェックメイト・フォーにも、キバの鎧の持ち主を相手に、彼は戦い続けた。
ホビット族が作り出した銃と、太陽をライフエナジーに変える事ができる特殊なゴースト族を相棒にして戦うその少年は、やがてファンガイア族を追い詰めた。
そして、その結果、ファンガイアの支配から、現在の人間の世界へと変わっていった。
だからこそ、そんな少年が使っていた武装を元に、人間達は現在まで多くの魔族と戦えた。
そして、少年は、長い月日と共に蘇る。
青空に輝く太陽のような少年。
その少年の名はジャンゴ。
またの名を太陽少年ジャンゴ。
という事で、今回は軽いあらすじ程度でしたが、仮面ライダーキバ✕太陽少年ジャンゴとなっています。
仮面ライダーキバで、劇中でなぜ人間に隠れてファンガイアが生活しているのかという疑問があったので、もしかしたら過去にファンガイアが人間に負けるぐらいの大きな出来事があったのではないかという考えで、書かせて貰いました。
吸血鬼ハンターという事で、真っ先に思いついたのがジャンゴで、彼を主役にしてみたい気持ちもありました。
何よりもソル・ジャンゴは仮面ライダーのような姿なので、あり得るのではないかと思い、書かせて貰いました。