その言葉と共に、映し出された画面を見て、井坂は驚きを隠せなかった。
剣、ギャレン、カリスの3人の融合係数のデータを確認していた。
そして、完全なイレギュラーである刀のデータもまた見ていた。
しかし、そこに表示されている融合係数のデータは2人を遙かに超えており、カリスと変わりない数値を出していた。
「奴は一体、なに?」
「あの時の巧さんの様子は、明らかに変だった」
雪山での戦いから数日間、バイトを行いながら、あの時の戦いについてを思い出す。
戦闘中は、こちらに容赦なく攻撃を行い続けていた。
だが、戦闘の時に様子が変わったのは、ラウズカードを使用した時だ。
あの時、何が起きたんだ?
「どちらにしても、謎が多すぎて、んっ?」
そうして、バイトからの帰り道、俺は公園でとある人物が見かけた。
「あれは、橘さん。
それに、広瀬さんに、白井さん」
それと共に、俺は建物の影に隠れる。
「ねぇ、橘さん、お願い!
早く剣崎さんを助けないとっ!!」
「っ!!」
その台詞を聞くと共に、俺は驚きを隠せなかった。
剣崎さんが攫われたという事もそうだが、確かこの事件は。
「ピーコック・アンデットの」
それは未来の橘さんから聞いた話だった。
レンゲルが誕生した経緯、そして橘さんの大切な人が亡くなった小夜子さんが無くなった戦い。
「……」
その事件の詳細を、未来の彼らは話してくれなかった。
なら、ここでやる事は。
『既に分かっているのだろ』
「あぁ」
ケルベロスの言葉を聞くと共に、俺は行動を始めた橘さんの後を追う。
あまり怪しまれないように、様子を伺いながら、ゆっくりと見つめる。
「……分かった」
そうして、監視をしている中で、橘さんは電話を受け止めると共に頷く。
同時に俺の方を向ける。
「出てこい。
お前、あいつらの差し金か」
そう、俺に問いかける。
どうやら、既に俺の存在が分かっていた。
分かっていながら、こちらの同行を探っていた。
俺はそれと共にすぐに変身する。
「っ、お前は、確か剣崎が言っていたブレード」
「剣崎一真が攫われた。
ならば、俺も協力する」
「お前の目的はなんだ。
それからだ」
「正体が分からない奴を信用できるとでも思っているのか?」
「今の状況で、戦力は1人でも多い方が良いだろ。
現時点で、俺とあなたの目的は一緒のはず」
俺はそう言い続ける。
ここで正体を明かす事は簡単だ。
だが、それではこれから起きるだろう悲劇を覆す事はできない。
「……良いだろう」
俺の言葉を聞いて、未だに納得しない表情をしている。
それでも、おそらく電話先にいる2人の言葉を聞いて、無理矢理決めた感じがする。
「ついてこい」
「はい」
俺はその言葉に従うように、そのまま橘さんの後ろを走りながら、目的地に向かう。
そこはどこかの研究所だと思われる。
俺達はそのまま研究所の壁を破壊しながら、突入する。
「剣崎!」
「橘さん! それに刀!」
目の前には、トリロバイトアンデットと始さんがおり、その2人と剣崎さんが戦っていた。
俺はすぐに太刀を手に持つと、そのままトリロバイトアンデットを切り裂き、そのまま剣崎さんと背中合わせに立つ。
「行くぞ、刀」
「えぇ」
その言葉と同時に合わせるように俺はトリロバイトアンデットを、剣崎さんは始さんと戦う。
トリロバイトアンデットは左腕の爪をこちらに向けて振り下ろすが、俺は手に持った太刀でその攻撃をい受け流しながら、蹴り飛ばす。
だが、トリロバイトアンデットのその硬い装甲によって、ダメージはほとんど通らない。
しかし、それを牽制するように橘さんの銃弾がトリロバイトアンデットに襲う。
火花を散らしながら、後ろに下がる程度だったが、その僅かな隙に俺は関節部分を切り裂く。
「どんなに硬くても、動く為のこの場所は柔らかいだろ」
「ガアァァ」
それは確かなダメージを与える事ができたのか、トリロバイトアンデットは苦しむ。
同時に俺はそのまま足下に滑り込みながら、脚の関節を狙うように切り裂く。
トリロバイトアンデットは、俺の行動を読むように、攻撃を仕掛けるが、橘さんの援護によって、それを上手くできない。
「俺は、恐怖に打ち勝つ!!」
未だに本調子とは言えないが、長年の戦いによる経験なのか、俺が与えた箇所を正確に撃ち続ける。
それによって、俺達は有利な状態のまま戦闘を行えた。
だが
「っがあぁ!!」
「橘さん!!」
橘さんは背後から何かが襲う。
俺はすぐに見ると、そこには巧さんがおり、銃口は橘さんを狙っていた。
先程の一撃で、既に橘さんの変身は解除されてしまった。
そうして、無防備な状態の橘さんに向けて、巧さんは再び銃口を向ける。
「うわあああぁぁぁあ!!!」
戦いに、完全に恐怖した橘さんの絶叫が響き渡る。
だが、そんな橘さんに対して、巧さんはラウズカードをスキャンする。
『BARRETT』『BOMB』
『BOMBERBARRETT』
「っ」
複数枚のラウズカードをスキャンする事によって、その手に持った銃にエネルギーが集まる。
先程のはバレットとボムが組み合わさったコンボ。
連射性はギャレンよりも劣るが、威力は遙かに上のあの攻撃を生身の橘さんが喰らえば、確実に死ぬ。
「止めろ!!」
すぐに剣崎さんが止めようと、腕を伸ばす。
しかし、始さんが邪魔をして、身動きが取れない。
その状況の中で
「がっああぁぁぁ!!!」
再び巧さんが頭を押さえる。
それによって、銃口の狙いは天井へと変わり、放たれる。
放たれた爆風は凄まじく、天井に大きな穴が開いた。
何が起きたのか、分からず、困惑する間に
「先生」
「えっ」
巧さんから、橘さんに向けた言葉。
「ここは、一体。
ヒュドラ、お前が、ぐぅがぁぁ!!」
巧さんが何かを言う前に、再び頭を押さえた。
苦しむ様子を見せながら、巧さんは、その場を後にする。
何が起きたのか、その場にいた全員が呆然する中で、いち早く俺はラウズカードを2枚取り出す。
「剣!!」
「っあぁ!!」
【Thunder】【KICK】【LIGHTNINGBLAST】
【WATER】【KICK】【WATERSTRIKE】
鳴り響く音と共に、俺と剣崎さんは同時に構える。
それと共に同時にトリロバイトアンデットに向かって走り出す。
俺達を水が包み込むと同時に雷が巨大化する。
互いの属性が合わせながら、俺達はそのままトリロバイトアンデットに向かって蹴り上げる。
「があぁぁぁ」
二つのキックを受けたトリロバイトアンデットはそのまま吹き飛ばされる。
同時に剣崎さんはラウズカードを投げる事で、そのトリロバイトアンデットを封印する事に成功した。
「刀、ありがとう」
「礼は後だ。
それよりも」
俺はそう言い、指を指す。
そこには烏丸所長が捕まっている所だった。
「所長!!
刀、お前は橘さんを」
「あぁ」
その言葉と共に剣崎さんはそのまま烏丸所長の所へと向かった。
それにしても
「先程のは一体」
巧さんの変化。
それは一体何が起きたんだ?
「まさか、イレギュラーがもう一体いるとは。
しかし、何が起きたんだ」
先程まで、強力な一撃を行ったライダー。
その存在に対して、井坂は、そのデータを見つめる。
そこには戦闘を始めた時には、ギャレンと同じぐらいしかなかった融合係数を表示されていたギグス。
だが、2枚のラウズカードを使用した時、その融合係数は明らかに上昇していた。
「とにかく、データは取れた」
だが、それが何を意味をするのか、興味を持たなかった井坂はすぐにその場を離れた。