「・・・なんで、俺をここに置く」
「今のお前を放っておくのは、医者として許可しない」
「不死身である俺に対して言うのか」
「例え不死身でも怪我をする。
その包帯が良い証拠だろ」
「変わった男だ」
「言っていろ。
とにかく、しばらくはここで入院していろ」
「虎堂君!
また、こんな所でサボって」
「患者を連れてきたんだ、それぐらい良いだろ」
「まったく、ごめんなさいね。
なんだか態度がでかい子で」
「いえ、そのあいつは一体」
「数ヶ月前にふらっと来たの。
医療免許も持っていないけど、腕は確かなの。
一応は住み込みで働いて貰っているけど、時々、ふらっといなくなるの」
「そう、なんですか」
「あぁ、そういえば自己紹介していなかったわね。
私はこの診療所で働く深沢小夜子よ、あなたは」
「相川始です」
剣崎の前に現れた伊坂。
その伊坂に対して、剣崎は警戒しながら、すぐに剣に変身する。
伊坂はすぐにその姿を上級アンデットであり、孔雀の始祖であるピーコックアンデットとなり、剣崎と戦いが始まる。
その強さは、剣崎がこれまで戦ってきたどのアンデットよりも圧倒的に強かった。
孔雀の羽を思わせる羽手裏剣に、接近時にはその手に持つ剣による斬撃。
それらの攻撃によって、徐々に剣崎は追い詰められていた。
「くそっ」
苦戦の中で叫びながら戦う剣崎達の元にバイクが走る音が聞こえる。
剣崎はすぐにその方向を見ると、そこには橘がギャレンに変身して、来ていた。
「橘さんっ!」
心強い味方が来てくれて、安堵したが、それは一瞬だった。
バイクを走らせながら橘はなんと剣崎にそのまま突撃する。
「なっ」
バイクによる攻撃の衝撃で吹き飛ばされてしまう剣崎。
だが、その身体の痛みよりも、襲ったのは困惑だった。
「迷いが見えないっ、どうしてっ」
味方であるはずの橘からの攻撃に困惑している剣崎を余所に、橘は容赦なく攻撃を続ける。
「剣を倒せ。
お前の強さを証明しろ」
そう伊坂は橘に対して、命ずる。
そう、攻撃していく中で、橘は手に持った武器、ギャレンラウザーから2枚のラウズカードを取り出す。
【FIRE】【BARRETT】【FIREBARRETT】
鳴り響く音声と共に、その銃口は真っ直ぐと剣崎に向かっていた。
それと共に引き金が弾かれようとした時だった。
【BOMB】【BARRETT】【BOMBERBARRETT】
別方向から聞こえた音声。
同時に剣崎に襲い掛かろうとしていた橘に向けて、一つの火炎弾が襲い掛かる。
橘はそれに気づくと、剣崎への狙いから、火炎弾に変え、引き金を引く。
相殺するように弾かれ、爆風が舞い上がる。
同時に、その姿を現す。
背中合わせのように立つのは、剣崎を何度も味方にした謎のライダーである刀。
そして、同じく謎のライダーだった。
これまで、何度も剣崎達を襲い、カリス以上に謎の多いライダーに対して、困惑を隠せなかった。
「そっちは頼む、ギグス」
「あぁ」
その言葉を合図に、背中合わせにしていた2人のライダーは各々の敵に向かっていく。
刀はピーコックアンデットである伊坂に。
ギグスは両手に銃を持ち、橘に向かっていく。
「えっ、どういう状況なんだ」
これまで敵であったはずのギグスと協力する刀の姿に困惑する剣崎。
「剣、このピーコックアンデットは強力なマインドコントロールができる。
その能力を使って、橘さんを操っている」
「その情報をどこから聞いたか分からないが、少し勘違いをしているようだな」
そう言いながら、ピーコックアンデットへと再び変わった伊坂はその手に剣を手に持ち、対抗する。
「俺は彼が望む力を与えただけだ。
これを行っているのも、彼自身の意志だ」
「っ」
刀とピーコックアンデットとの会話を聞き、同時に剣崎は怒りに覚えた。
「そうか、つまりお前のせいで、橘さんは!!」
それと共に剣崎は手にブレイラウザーを再び手に持ち、同時に走り出す。
その動きに合わせるように、ピーコックアンデットもまた剣を振るう。
激しい打ち合いが始まる中、ピーコックアンデットは再び剣崎に語り掛ける。
先ほどとは違い、優しく、穏やかに。
「だが、あの恐怖心を持った橘がここまで戦えている。
それは否定できないだろ」
「だとしてもっ、人の心を勝手に変えようとするなっ! お前が橘さんに何を吹き込んだのか知らないけど、お前の勝手で橘さんを傷つけるなっ!」
叫びながら、ピーコックアンデットの攻撃を防いでいく。
だが、そんな剣崎に対し、ピーコックアンデットは不敵に笑う。
そう、笑っていたのだ。
まるでこの状況を楽しんでいるかのように。
そう感じ取った瞬間、ピーコックアンデットの手には新たに剣が現れる。
その切っ先は真っ直ぐと、剣崎に向けられていた。
咄嵯の出来事に反応が遅れる。
だが
「この人の言うとおりだ!」
刀がその攻撃を受け止める。
「お前がやっている事は最低だ。
アンデットだろうと、なんだろうと、関係ない!
俺は、お前のやった事は絶対に許さない!!」
刀はそう叫び、その剣を受け止めた剣で弾き飛ばす。
それと同時に、ピーコックアンデットに対して斬りかかる。
怒濤の攻めと2人の連携に、上級アンデットであるピーコックアンデットは追い詰められていく。
「ぐっ、まさかっここまでっ」
そう叫んでいる所で、剣と刀は同時にラウズカードを取り出す。
【WATER】【CUT】【WATERCUT】
【Thunder】【SLASH】【LIGHTNINGSLASH】
その音声が鳴り響くと共に刀のは水の刃が、剣は雷の剣をそれぞれ構える。
それと共に走り出すと、二つの刃が重なりながら、ピーコックアンデットに向かって振り下ろされる。
その攻撃はピーコックアンデットに命中し、そのまま吹き飛ばされ、地面に倒れる。
ピーコックアンデットはそのまま立ち上がるが、その腰にあるバックルからは封印が可能になっていた。
「まさかっ、ここまでっ」
それと共に2人はすぐにラウズカードを取りだそうとした。
だが
「はあぁぁぁ!!」
「っ!!」
だが、それを邪魔する存在。
それはギグスと戦っていた橘だった。
その銃弾に驚きを隠せない間に、ピーコックアンデットの前に立つ。
「橘さん」
未だに敵対している事に驚きを隠せなかった。
そうしている間にもピーコックアンデットはそのまま手を翳し、その姿を消す。
「貴様はっ、研究所で戦った!!」
そう言いながら、橘は目の前にいるギグスと戦っていた。
その戦い方は一方的に攻め込む中で、ギグスは橘に語るように詰め寄る。
「橘朔也、思い出せ。
お前が戦う理由をっ」
「これが俺の戦う理由だ!
俺は、俺の強さを証明する事だ!!」
「違うっ、あんたはっ」
「お前に何が分かる!!」
「っ」
その一言と共に橘はその銃口をギグスに向けて放つ。
一瞬の油断で、吹き飛ばされたギグスはそのまま転がる。
「ここでっ終わらせっ」
そう言いながら、橘はギグスにトドメをさそうとした時。
彼の目にはピーコックアンデットを封印しようとした場面だった。
「待ってくれっ」
離れていく橘に対して、ギグスは手を伸ばす。
しかし、その手は届かなかった。