清め給え、背負い給え、愛を。 作:Jacques Derrida
深く、青い海。
人口70人程度の、手付かずの自然も多く残る地図にない島で”彼女”はどこまでも続く水平線を眺めていた。
「空、綺麗だね」
そう言って彼女は、隣に腰掛ける色無地姿の少年の肩に寄りかかる。
「お前の方が何倍も綺麗だろ」
「よく言えるよね、そんな歯が浮くような言葉」
褐色の肌に、片目は黒と赤のひび割れた異質の瞳。人ならざる風貌の持ち主である彼女は、人間のように笑っている。眼下の海岸に打ちつける波も、二人の逢瀬を眺めるようにゆったりと流れていく。
「若様ー!修行をほっぽかして何処で油を売っておるのですかー!」
すると、遠くの方から男の怒り声が聞こえてくる。少年は気怠けに起き上がると、名残惜しそうにする少女の頭を撫でる。
「悪ぃな、見つかっちまう前にとっとと
「うん」
少年が手をふっとかざすと、少女の外郭が揺らぐ。ぐにゃりと空間が曲がり、さっきまでそこにあったはずの少女の姿がぱたりと消えた。
「全く…どうしていつも修行を抜け出されるのですか!」
「だってつまねぇんだもん」
息を切らした様子の中肉中背の男に詰め寄られた少年は、悪びれる様子もなくそう答える。
「つまらっ……たしかに若様は今代の”六将”の中でも傑出した実力をお持ちです。ですが!」
「ですが?」
修行を「つまらない」の一言で片付ける少年に一瞬呆れかけるも、男は気を持ち直して続ける。
「他の”六将”の者たちも若様に負けぬと日々精進していると聞いております。才能にあぐらをかいていては、いつかその座を…」
「別にいいだろ。俺、そこまで”
「当主がそんなやる気のないことでどうするのですか!それでは土御門のヤツらにも…」
「うるせぇあっち行け」
お説教にも飽きたのか、少年は1歩引いてから2つのつまようじを取り出し、地面に突き刺す。
「
その言葉と共に、少年への説教に夢中になっていた男が何かに弾かれたようにどんどんと来た方向を戻ってゆく、否、戻ってゆくと言うよりは、吹き飛ばされた。
「ったく、うるせぇったらありゃしねぇ…今解呪するな」
遥か遠方へと吹き飛ばされた男へ毒づくと、少年は柔和な笑みを浮かべて先程まで座っていた木陰に手をかざす。すると、消えていた少女の姿が再び現れる。
「あの…大丈夫、なの?」
「まぁ遠は入口から遠ざけるだけだからな、調節してるしある一定の地点まで行けばそこで自然と止まる」
「なら、良かった」
短い会話を交わして、二人はお互いに寄り添って木に寄りかかる。太陽は変わらずに地面を照らし、鳥は呑気に鳴いていて、海は静かにゆらゆらと進んでいた。
久々に双星読んだら書きたくなってしまった…
ということで見切り発車かつ主人公が「陰陽師ではない」というとんでも設定の双星の陰陽師SS、はーじまーるよー