乙骨優太×HUNTER×HUNTER   作:カウカウント

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一話

 

1992年4月

 

 4月と言えば新たな生活が始まる月である、虫や動物は春の暖かい陽気に誘われ動き出し、人間社会では入学式や入社式などの新生活がスタートする。

 

(はやく・・・離れなきゃ・・・父さん、母さん、ユイリ・・・みんなから、はやく離れないと・・・もうリカちゃんを止められない)

 

 この少年は12歳でありながら、明日に備え眠ることもなく。

 

 新しい出会いに期待し胸を膨らます事も無かった。

 

 持ちものなどほとんど持たないで、その身一つで夜の道を走っていく。

 

 今の彼には冷静に考える暇などなく、ただ足を必死に動かし自分の状況に絶望していくだけだった。

 

(なんで、こんなことに...)

 

 少年の頭の中には様々な感情が渦巻き、『何も考えたくない』『見たくない』と顔を下に向け、目を固く閉じ無我夢中で走ることしか出来なかった。

 

  タッ タッ タッ タッ

 

自分だけが世界から切り離されたかの様に自分の足音だけが聞こる。

 

(・・・)

 

 

しかし不意に

 

 ドシッと言う音が聞こえると同時に、少年は自分が人にぶつかってしまった事に気づいた。

 

 少年は固く閉じた目から涙が出ており、仮に顔を前に向けて目を開けていても、涙で視界がボヤけ、この事態を避けることは出来なかっただろう。

 

あ?なんでこんな時間にガキがうろついたんだよ?」  『ゔぅ

 

(オ、オトナの人にぶつかっちゃった...あっ)

 

 少年は自分の不注意でこんな事態が起きた事に後悔すると同時に、最悪の事態が起ころうとしていることに少年は気づいた。

 

 男は最初、ぶつかってこられた事に憤っていたが、相手が子供だと分かると怒りは徐々におさまっていく様子を見せ、逆に、なんでこんな時間に子供が一人でいるんだ?と少年のことを心配する様子すら見せた。 

 

「?」 『ああぁあ

 

 男は暗い所に目が慣れていたおかげか、少年の顔がみるみるうちこわばっていくの確認することが出来、それを可哀想に思ったのか、安心させようと声をかけた。

 

「ボウズ、大丈夫か?ケガはしなーー『つぶー

 

...ごめんなさい!」

 

 男の安心させようとかけた言葉は最後まで言うことが出来ず、少年に伝わることはなかった。

 

 少年はそれだけを言って、男の横を駆け抜け、逃げる様にその場を去った。

 

「何だったんだ?」

 

 男はしばらく呆然とした後、少し少年のことを心配したが徐々に足を進め、自分の帰路にまたついていった。

 

 男は気づくことはないだろう。

 

 少年が少しでも速く男の前から立ち去らなかったら、大人の身長程もある手が男を襲い、決して無事では済まず、一生不自由な身体で生活することになっていただろう。

 

 

 

 

 しかし偶然にもその光景を見ていた男が一人。

 

 「面白い・・・」

 

 黒い髪を持ち、その髪をセンター分けしており、エメラルドの様な宝石のついたイヤリングをつけ、黒いスーツを着こなしている男がいた。 

 

 顔は非常に整っているが、どこか冷たさを宿した顔をしている。

 

 しかし今はその顔が驚きや期待、好奇心を含んでおり、少し口角が上がってしまっていた。

 

 彼の名前はクロロ=ルシルフル19歳。

 

ピッ 

 

「もしもし、オレだ」

 

『団長?』

 

「あぁ、待ち合わせに遅れるから電話した。シャル、集合場所をAからB地点に変更してくれ、少し用事が出来た」

 

『OK、何か理由があるだね、団長?今から向かって受付を済ましておくよ』

 

 電話に出た男はもう慣れたと言うようにスムーズに受けごたえを住ませる。それが彼らの付き合いの長さを伺わせた。

 

「あぁ、頼んだ」 プッ

 

 クロロは電話をしまい、少年を追っていた足を少し速めた。

 

 少年が向かった先は所々壊れた廃ビルの様な建物で、クロロが入口から入ってからすぐに少年を見つけることが出来た。

 

 少年は家具や物が一切撤去された寂しい一階フロアのスミの方に身動きすることもなくうずくまっており、身につけている指輪だけが、薄暗い部屋の中で赤々と小さく光っていた。

 

「君、大丈夫かい?」

 

 クロロは優しさがこもった様に声をかけながら彼に近づく。しかし実際は相手の情報を少しでも多く得ようと目にオーラを集中させていた。

 

こないで...こないでよ!!

 

 クロロは一度、足を止め、再び歩き出した。

 

 カツ カツ カツ

 

 その行動が気に入らなかったのだろう。

 

 彼女が、動き出した。

 

きちゃダメだ

 

 カツ カツ カツ

 

来ちゃダメだ、()()ちゃん!!

 

ゆゔだをををを・・・いじめるな

 

 クロロの目の前には、強大で狂暴なる()の形。

 

 ()()が、姿を現した。

 

 


3年前、1992年

 

「ユウタ、誕生日おめでとう!」

 

 その日、その瞬間は、間違いなくユウタ=オッコツにとって最良の時間であり、ユウタの宝物だった。

 

 リカにとってユウタと一緒に過ごすことは何物にも代えがたいもので、ユウタにとってもリカと一緒にいることが大切で当たり前だった。

 

 ユウタは理由もなくぼんやりと、今も、これからも、ずっと一緒にいるんだろうと思っていたし、小学生くらいの年頃のまったく形になっていない将来を、無意識に思い描いていた。

 

 けれど、男子に対して、だいたい早熟するのは女子であるリカであり、色々と先を見越して、将来への布石となるユウタへの誕生日プレゼントを渡した。

 

 それは、大人が片手でつまめそうなぐらい小さい箱。

 

 「ユウタ、誕生日おめでとう」

 

 公園の砂で砂山を夢中で作っていたユウタは、顔を上げると、その差し出された箱の存在に気づき、声を上げた。

 

「やったあ!!あけていい?」

 

「いいよ」

 

「開けていい!!?」

 

「いいってば」

 

 ユウタが嬉しそうにそれを開けてみると、そこには指輪が収められており、見覚えのある指輪だった。

 

 「これ...」

 

 指輪はには宝石が付いており、まるで生きているかの様な鮮やかさで、指輪の内側には、何か文字が彫られている。

 

 ユウタは一度、リカが祖母からもらった大切な指輪を見せてもらったことがあり、その指輪と渡された物は非常に酷似していた。

 

「婚約指輪」

 

「こんにゃく??」

 

「付けて見て」

 

ユウタが指輪を指に嵌めようとすると宝石以外の指輪のサイズが変わった様に見え、ユウタの指にピッタリとはまってしまった。

 

「すごい!!」

 

 ユウタ驚いて立ち上がろうとしたが、リカちゃんに手を掴まれて立ち上がれず、そのまま座ってしまい、そしてリカがユウタの小指を手で包み込んだ。

 

 ユウタには婚約の意味がよくわからなく、不思議な体験で舞い上がっていたが、リカちゃんの大切な物をもらったと言う気持ちと、リカちゃんの手にユウタの小指が包まれた気持ちで、胸が高鳴り動くことが出来なかった。

 

「約束だよ」

 

 白く幼さがある小さな小指でリカは、ユウタの小指をからめて、結んだ。

 

 ユウタも、知っている古くからある、約束する時のおまじない。

 

 大人から見てもリカは、妖しいほどに美しい少女だった。

 

 そんなリカが、ユウタに伝わってしまうほどの好意を乗せて、微笑みとともにその言葉を可愛らしい唇から紡いだ。

 

「リカとユウタは・・・大人になったら、結婚するの」

 

 ユウタはその言葉を受け入れ、そうなる事を微塵も疑いはしなかった。

 

 今も、これからも、ずっと一緒に過ごし、気持ちを共有して色々な思い出を作っていく、そんなことは考えないまでも、リカちゃんと共にいてずっと幸せでいられると、漠然とそう信じていた。

 

1993年

 

公園で遊んだ後   その直後の出来事が、ユウタには理解出来なかった。

 

 車体が衝撃を受けて、なる鈍い音も、肉が固いアスファルに擦り付けられる音も。

 

 その結果出来てしまった、赤黒いペースト状のナニかも。

 

「え?」

 

 騒がしくなっていく周りの気配も。

 

 そこから聞こえる会話も。

 

「おい!救急車!」

 

「バカ、よく見ろ!助かるワケねーだろ!頭潰れてんだぞ!」

 

先程までと状況が違いすぎて、理解出来ず、悪夢でも見てしまっているんじゃないかと思えた。

 

 そんな、だって、約束したんだ。

 

 結婚するんだ。ずっと一緒にいるんだ。

 

 こんなこと、あるわけない。

 

 リカちゃんが死んだなんてこと。

 

「・・・・」

 

 だって信じられないじゃないか、さっきまで、遊んで、しゃべって、幸せそうに笑ってて。

 

 こんなこと起きるわけがない。

 

 そう思いユウタは呼んでしまった。彼女の名前を呼んでしまった。

 

 リカがいつものように呼び返してくれると感じて。

 

 そして  現実になってしまった。

 

ゆゔぅぅううぅぅゔうう、たぁぁぁぁぁああぁぁああ』

 

「えっ」

 

 リカは、ユウタの呼びかけに応えた。

 

 応えてみせた。

 

ゆゔたぁぁぁあああああぁぁぁぁぁあ

 

 それはユウタが知っているリカではなかった。

 

 リカの血溜まりから、這い出てきた異形の存在。

 

 その異形は腕を伸ばし、しっかりとユウタの足首を掴んだ。

 

大人になぁあだぁらぁ、結、婚、すりゅうぅうぅううう

 

 異形の口元らしき部分が動き、ユウタの名前を呼ぶ。

 

 醜くおぞましさを感じるそれは、どこか甘えを含んだように唇をとがらせる。

 

 こんなもの、リカであるはずがない。そう考えることが出来ればよかったものの。

 

 ユウタは、その仕草に確かなリカの面影を見た。

 

 見てしまった。

 

   一緒だよ

 

 そうどこかで聞こえた気がした。

 


 

いじめるな

 

「待って!!リカちゃん!!」

 

 凶暴さを隠しもしないリカ。

 

 少し距離を取り冷静にどちらも観察するクロロ。

 

 リカを止めることが出来ないユウタ。

 

 

 ユウタの人生を大きく変える()()()が始まろうとしていた。

 

 

 

 




呪術廻戦0かん是非読んでください。
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