「大きな音を出しすぎたな、じきに人が来るかもしれない。場所を移すぞ」
クロロにはもうここにいる必要がないとばかり、すぐにユウタを連れて建物の出口のほうに行った。
少し顔を出し、辺りを確認して、目的地へと出発した。
「す...すみません、ボクが大声出しちゃって」
ヤバイ、自分が大きな声を出しすぎて迷惑をかけたかもしれない。そんな考えが頭をしめ、申し訳ない気持ちが湧き、不機嫌にさしてしまったかもしれないと、心のなかで不安が顔を覗かせ、ユウタの顔は少しだけ青くなってしまう。
「元々ここからすぐ離れるつもりだった。心配する必要はない、原因はユウタだけじゃないからな...目的地のホテルに仲間をまたせている、もう少し急ぐぞ」
この言葉をはいた時のクロロの表情は無表情だった。
しかしその言葉を聞いて、ユウタの心配はやわらぎ、男のことを少し不気味に思っていたが予想外の気遣いで、実は優しい人なのかもしれない思い始めていた。
「ハイ!」
「...もう少し静かにしろ」
「ゴ..ごめんなさい」
深夜2時、新しくはないがどこか歴史を感じさせる様なホテルのフロントに当直のスタッフが勤務しており、急な来客にも対応出来るようにしていた。
そこに二人組の子供と大人がやって来た。子供はもの珍しいのか、周りを見回しており、端正な顔立ちの大人の男はいまだ青年のような顔つきで、少しうわついたような雰囲気の子供が離れないようにその子の小さな手をしっかりと握っていた。
「いらっしゃいませ。当ホテルへお越しいただきありがとうございます。予約はしていますでしょうか?」
「連れが部屋をとってある。名前はマルコ=ポーロだ。部屋の場所を教えてくれ」
「少しお待ちください・・・・ポーロ様に確認が取れました。234部屋になります。案内は必要でしょうか?」
「大丈夫だ、問題ない。行くぞ」
そう言ってクロロはすぐにユウタの手を引っ張って一緒にエレベーターの中に入り、上の階に上がってしまった。
この人の仲間って一体どんな人なんだろう。そんな考えがユウタの頭に浮かび、なんとなく男の顔を見る。男は無表情で常に前を向いておりこちらに視線を寄越すことはない、ユウタの得たい情報は手に入らず、出来るだけ優しい人である事を祈るしかなかった。
エレベーターからでると、クロロは目的の部屋のまでスムーズに進み、部屋の前まで来ると、まるで見計らっていたかの様にすぐに中からドアが開いた。
「久しぶり、団長」
そう言って出てきたのは身長180センチくらい男性で好青年のような雰囲気があり、その笑顔から人柄の良さが伝わって来てしまいそうだった。
(よかった...優しそうな人だ)
それにクロロも笑顔で返した。
「久しぶりだな、シャル」
その一連の流れを見たユウタはこの人も笑うんだと衝撃を感じ、今までずっと表情の変化を見れてなかった為人間らしさを感じなかったが、笑顔を見れたことで、ユウタの中で男の印象が良い方に少し変わった。
「団長、積もる話もあるだろうから、はやく中に入って話そう。団長が連れて来た君もね」
その言葉で、クロロと男は部屋に入っていき、その後に衝撃を感じてしまっていたユウタは少し遅れてついていくことになる。
ユウタは広い玄関廊下を見回しながら進んでいると、4人は余裕で過ごさてしまうような部屋に繋がり、男とクロロはもうイスに座っていて、男がクロロに質問していた。
「色々話したいことはあるけど、団長はなんでずっと念能力を出しているんだい?」
「それの説明にはあの子との話が必要になる。ユウタ紹介する。オレの仲間の一人、シャルナーク=リュウセイだ」
「よろしくね」
シャルナークは笑顔とともにそう言った。
「後オレの名前も教えておこう、オレの名前はクロロ=ルシルフル。幻影旅団、団長だ」
ユウタは衝撃を受けた。幻影旅団、その名前は有名ではあるが情報が曖昧で、学校では一種の都市伝説として知られている。そんな旅団の仲間になってしまったことに驚くと同時に何故かワクワクしてしまっている自分がいた。しかしそんな気持ちは悟られないよう力強く返事をする。
「ボクはユウタ=オッコツです!色々あってボクを仲間に誘ってくれたルシルフルさんについて行くことにになりました。なんでもするので、よろしくお願いします!」
「...オレのことはクロロと呼べ、今の内はな」
「ハハッ 元気いいね!シャルって呼んでいいよ!」
そう言ったシャルナークは人懐っこそうな笑み浮かべる。
「ユウタはオレ達の仲間にする。見込みはあるからな」
「...色々と疑問はあるけど、了解。団長、そろそろ質問に答えてよ、何でまだ念能力を発動しているのかをさ」
「わかった、話そう。ユウタを連れて来た理由含めてな。オレは最初、ユウタに一般人のそれとは違うオーラと凄まじい気配のする念獣がついている事を確認して、興味と能力欲しさに近づいた。しかしユウタは念獣の使い手ではなく、オレは本当の念能力者をオレの念で封印し、念獣を無力化した、それをオレは解かない為に念を消すことが出来ず今に至る。そしてユウタを連れてきたのは、念能力者と念獣、どちらもユウタ制御してもらうためだ」
ユウタは話しを聞くだけに回ろうとしていたが、気になった事があり、口を挟んでしまった。
「あのう...すみません。ボクと団長が会った時も聞いたような言葉な気がするんですけど。ボクのオーラとか、念獣とか、念能力とか言ってましたが、どういった意味の言葉なんですか?話しの内容からして、念獣がリカちゃんのことで、クロロさんの手にしている、少し透明な本が、念能力であることはわかったんですけど...」
念獣がリカちゃんの事を指しているのは、クロロさんが念獣を無力化したと言い、実際にボクの目の前からリカちゃんが消えたことでわかるし、クロロさんの本は透けている時点で怪しく、リカちゃんも少し透けて見えるから、あの本は念獣と表されたリカちゃんと同じ何かだと予想すると、念能力だと思わる、そして聞きずてならないのが、話に出てきたリカちゃんを使っていると思われる念能力者の存在、一体なんのことだろう?リカちゃんと一緒になくなった指輪となにか関係しているのだろうか?
ユウタの質問が終わるとシャルナークは疑問を覚えたのか、少し目を細めた。
「今、君が言ったオーラ、念獣、念能力全ては念と言うものが関係しているんだよ。にしても君はオーラをこれ見よがしに出しているのに、オーラにピンとこないなんておかしいね?目の動きで団長の本が見えてるのはわかるから、オーラが見えないなんてことないよね?」
ユウタは緊張した。シャルナークが不穏な気配こそ出していないが、相手が嘘をついているか、見定めようとする無機質な瞳がユウタを射抜く。
(なんだこれ!息が、うまくできない...)
なぜかそれだけでユウタは息ができないような感覚になり、本気で苦しくなりそうになる前に、すぐ間にクロロが入ってきて、その症状は一瞬でとまった。
「ユウタ、一般人はオーラを僅かにしか出せない、何故ならオーラと呼ばれる生命エネルギーを満足に出すことが普通に生きていたら出来ないからだ。しかし、ユウタ、お前のオーラは常人のものじゃない。オーラを見て、操る念使いのそれだ。だがオレはユウタを疑ってはいない。ユウタ、お前は念を使えるようになりかけている」
「なりかけている...なるほどね。
クロロが誤解を解いたお陰で、シャルナークは納得しきれていないようだが、元の優しげな雰囲気に戻っていった。
「ボクはなんともないから大丈夫です...ハハハ」
そう言うがユウタの中でシャルナークはもう、人生の中で恐ろしかったものランキング上位におどりでており、今のユウタはシャルナークが言うことは決して逆らわないだろう。
「ユウタくん、君が言うリカちゃんって何なんだい?」
「リカちゃんはボクの幼馴染で、交通事故で亡くなったんです。でも事故直後すぐにボクの目の前に現れて、姿を変えてボクの側にずっといました。リカちゃんは念獣らしいですけど、幽霊か何かじゃないんですか?」
「オレは、アレからオーラを感じることが出来た。だから念に関する何かである事は間違いない。そしてユウタが言うには死んでからアレが現れたとなると、死後の強まった念である可能性が高い」
「死後強まった念?」
リカちゃんは念獣で、実は死後強まった念だった?ユウタはまた新しい言葉に混乱する
「念は、死んでしまえば消えるとは限らない。むしろ、死ぬ事で念が強くなるケースがある。深い恨みや未練を持ったまま死ぬと、その念は恐ろしく強く残ってしまい、残された念は憎悪や執着の対象に向かう。今回の場合、ユウタはその死後の念に憑かれてしまったんだろう」
「まってください!それじゃあ...リカちゃんがもともと念能力者ってことになるじゃないですか!」
「幼馴染の死後、すぐに念を見る事ができた。これは君の言うリカが意図してか、せずかはわからないけど、オーラを君に送って中途半端に精孔を開かしたからじゃないかい?」
「その予想だとリカちゃんは精孔が開いていたってことですよね?それって、リカちゃんは一体誰に
開けられたんですか?」
「それは僕にもわからないね。自力って言うのはあり得ないだろうから。家族とかかな」
ユウタはどうしてこんな事になってしまったのかを突き止めたがっていたが、シャルナークから聞いた予想を納得することが出来ずにいた。何か、大事なものを見落としてしまっている気がしていた。
「ユウタ、オレはオマエに持たせているものがあるだろう?あの小さい繭だ。オレだけがその中を見ることが出来るんだが、その中に、リカとオーラの繋がりがある生き物がいる。オレにはどう見ても
あぁ忘れていた。ボクはリカちゃんからあれをもらっていたんだ。呪いも約束もあの指輪で行われたんだ。
次で書きたいこと、全部書いちゃいたいです。