リカちゃんから誕生日にもらった指輪。当時、どうしてプレゼントが指輪だったのかはわからなかった。でもあの指輪を嵌めて、よりリカちゃんからの好意を感じ取る事が出来た気がする。贈り物から好意を感じる以外に、指輪自体の
「指輪は、3年前にリカちゃんからもらったものです。綺麗な、名前がわからない赤い宝石が付いた指輪でした。一度リカちゃんに聞いた事あるんですけど、名前は知らない様でした。あと、ずっと温かかったの覚えています」
ボクはずっと、リカちゃんを思うことが出来た。それは多分指輪のおかげだ。あの温かさがリカちゃんの自分への思いを伝えてくれている気がしていたのだ。
「ずっと温かい?温かくなりやすい石ならわかるけど、それは何かの要因で熱されていただけで、いずれ冷めてしまうはずだけどそう言うわけじゃないんでしょ?」
シャルナークの疑問に、ユウタは頷きクロロに質問する。
「クロロさん、指輪が生きているって言ってましたけど、見間違いじゃないんですか?」
「見間違いじゃない。オレの今発動している念能力は生きている対象にしか、効くことはない。本当は元々念能力者だと思われたユウタに対して使おうとしていたものだ。結果的には指輪を封じることになったがな」
あれには少し驚いたと、思い出し少し顔に笑みが起こる。
「団長、指輪を今でも見ることが出来るなら絵を描いてくれない?少し心あたりがあってさ」
シャルナークは顎に手を当てるようにして考え込みながらそう言った。
ユウタも一応描くのを頼まれ、いつも自分が身につけていたものを思い出す必要もなくスラスラ描いていく。しかし、団長の方が絵が上手く、指輪の裏に書いてある文字まで描いている。
ユウタたちが絵を描き出す前にシャルナークは一旦部屋から出ており、フロントから借りてきたのか、パソコンを持って絵を描き終わるまでに戻って来ていた。
「団長に会いたかった理由にはさ、ハンター
パソコンを操作しながらシャルナークがそう言い、話を続けた。
「ハンターだけが見る事が出来るハンターサイトには、普通では知れない事が多くて色々便利なんだ。そして、賞金首や情報提供の依頼、失せ物探しの依頼が載っていて、宝石類の捜索願いの中で一つだけ頭抜けた額のものがあるんだよね...」
シャルナークはハンターサイトで目的のものを探し当て、その画像を写し出した。
そこには、宝石以外の装飾品が殆どない指輪で、裏には何か文字が書かれており、二人の絵と全く同じであった。
「どう似てる?」
シャルナークは自分の予想が当たった事に嬉しそうに微笑んでいる。
「似てます」 「そっくりだな」
謎がすぐに解けた驚きと同時に、ユウタはシャルナークの優秀さに尊敬の念を抱き、どうしてわかったのか気になった。
「最初は熱を出す宝石にはピンと来なかったんだけど、団長の為に新世界の情報も一応集めていた時、新世界の情報を知ってるハンターに会う機会があって、取引で少しだけ情報をもらったんだよね。その情報が、新世界からある一つの
「すごいです!シャルナークさん!」
ユウタは真実にどんどん近づいていっていると言う実感が湧いていた。これもそれも、クロロさんやシャルナークさんのおかげだ。
「シャルナークさん、質問なんですけど、新大陸ってなんですか?」
ユウタは次に湧いて来た新たな疑問をシャルナークに尋ねる、この人なら教えてくれると信じて。
「ユウタくん、それはね・・・・・・・・
19699年
高層ビルが立ち並ぶ中でも、もっとも高いビルの廊下に男が二人歩いている。片方は若く生気に溢れておりこれからの仕事への意気込みが感じられ、もう一方は五十路ぐらいに感じられ随分落ち着きが見られる。
「契約書にサインは済んだか?」
「もちろんです」
「ここには世界中の渡航情報を管理、調査してデータベース化。国ごとの政治、社会情勢はもちろん、動植物の生息分布変遷、気候変動状況なども考慮し、渡航リスク、自然保護レベルなどを算出。最終的な安全指数を提示するのが我々の仕事だ。
なかでも、君が配属された
「理解しています」
厳重な警備を素通りし、奥へと進んで行く。
再び歳をとっている方が話す。
「職員の心得の第一条は?」
「『新世界への渡航希望者に於いては規約に則り、多角的かつ包括的な調査、訓練を施した上で厳正に審査すること』『渡航適合者には同伴し、安全確保に最大限の努力を要する義務を負うものとする』」
二人はエレベーターに入り、どんどん地下へと下りていった。
「平たく言えば?」
「誰も新世界へ行かせない」
「その通り、新世界へは行ってはならない。開けてはならない『
「何かの比喩でしょうか?」
何重に続いた部屋を次々とプロテクトを解除し突き進んでいく。
「これを見てそれを言えるのか?」
最後の扉が開き何をここが隠していたのかがわかった。その部屋には水槽が置かれており、まるでSF映画のワンシーンのように水槽の中で何かうかんでいた。一つは人間の手だった物で、指の口が備わっており、他の指が腕のようにもなっていた。一つは頭がなく、頭と首の付け根が非常に細い奇妙な死体。一つ身体が頭ぐらい小さくなり、ミイラの様にかれており、頭頂部に臍に似た物がはえていた。
「こ、れは....」
「もちろん、元人間だったモノだ」
男はそう言い、ある場所へと向かう。
若い男もそれに続き。
「これは...」
二人の視線の先にはガラスの様なモノ中を見る事が出来る部屋があり、そのなかに人がいた。それは目をこれでもかと見開き、こちらの様子を伺っていた。『ふしゅー...ふしゅー』
「この施設『内部』唯一の生存者だが『人』ではない。『人として』の食事は一切せず、『自給自足』で20年近く生きている。奴は新世界に出向いたハンターの成れの果てであり、新世界渡航の敗走の証だ。新世界渡航の度に人類滅亡級の厄災を背負わされて何も得ず逃げ帰るしか無かった。しかし私達はもたらされた
「ちょっと待ってください。課長、それっておかしくないですか?渡航では何も得れなかったんですよね?」
「狂人の妄想だと思われていた奇書『新世界紀行』と言う旅行記が数百年前に発行された。出版当時は、空想小説の棚に並べられて現在では幻書となっている。これにはさっき君が見た死体の記述が書かれていた。しかし重要なのは新世界は厄災をもたらしたが、この本は
「それは一体?」
「熱が冷める事なく発する石。それが本の付録で指輪の宝石として付いていた」
「は?」
意味がわからないと男は率直に思った。
「そんな永久機関を実現さしてしまいそうなものを何故付録に!?」
「わかっているのは最初に出版された百冊に付録として付いていたことだ。誰かは新世界に行く過程で、残していった恋人に当てたものではないかと言われていて、石は
「はぁ」
男は呆けた様に言った。
「もう一つわかっているのが、その石が石では無かったことだな」
「・・・」
聞いている男には反応する気すらしなかなっていた。
「それを調べて行く過程で、冬眠の様な行動をとっている虫に近い生きものであることがわかった。学者が言うには、少なくとも500年は眠るらしい」
「やけにスケールが大きいですね。それは一体なぜ?」
「自分の身に危険が及ぶと自分の熱、身体全てが変わらない様眠り、長時間眠ることで外敵がどこか行くまで凌ぐ狙いがあるとも言われている。身体が変わらないと言うのは私達が何をしてもアレに傷をつけれなかったからだ」
「でも指輪の装飾品になってるんですよね?」
「アレが元々そう言う形なんだろ。今もあと一つの指輪を探している」
「?99個も有ればそれなりに使えるのでは?」
「残念ながら今のところアイツらの温度を変えることも加工することも出来ていない。希望があるとするなら仲間が近くにいると少し反応があることだ」
「反応ですか?」
「熱を出してそこら辺に寝てたら他の生き物に見つかり、ヒーターがわりに集めてある程度集まったら繁殖でもするのかもな。ちなみに温度は36度くらいだ」
「最後の一つは見つからないんですか?」
「ハンターが捜索に特化した念を使って捜索したらしいが、ジャポンにいった事で念での追跡が出来なくなった」
「なんでですか?」
「君しらないのか?ジャポンには呪霊が存在している。だからオーラが見える奴が行っていい場所ではない」
次の話の投稿は結構遅れるかも