「ここが白玉楼の主の部屋になります。」
白玉楼に入り、妖夢に案内してもらって部屋の前に辿り着く。
白玉楼の内装は日本家屋に似ており目の前の扉もドアではなく障子だった。
「失礼します。幽々子様、先ほどお話した方を連れてきました。」
「どうぞ。お入りなさい。」
障子の向こうにいる女性がそういうと妖夢と俺は障子を開けて中に入る。
中に入ってみるとそこには、ゆったりとした着物を着た美しい女性が座ってこちらを見ていた。
頭の帽子がちょっと変な形だがそれ以上に美人なのでそんな物は特に気にはならない。
部屋に入ると座っている女性が俺を見て、
「初めまして、珍しい生霊の殿方。私はこの白玉楼の主を務めております西行寺 幽々子と申します。以後お見知りおきを」
「ご丁寧にどうも。俺の名前は日野 恭一と言います。色々あって生霊みたいな物になったらしいんですけど………とにかくよろしくお願いします。」
先に西行寺さんの方から名乗ってくれたので、俺も慌てて名前を名乗り返す。
それにしても丁寧な話し方をする人だなと感じた。
「妖夢から大体の話は聞かせていただきました。それでもしよかったら魂が体に戻るまでの間、この白玉楼に住まわれてはいかがかしら?」
「え!?いいんですか!?そういってくれると俺としては非常に嬉しいんですけど……本当にいいんですか?」
「幽々子さまもこうおしゃられている事ですし、しばらくの間住まわれてはいかがでしょう?この白玉楼には私と幽々子様の二人しか現在すんでいないですし、日野さんが居てくれると大分賑やかになると思うんですけど。」
「そうかな?」
「はい。それに冥界の外の話も聞きたいですし。丁度いいと思います。」
「あ~ごめん!実は最近この幻想郷に来たばかりなんだ。だから外の話と言っても俺の世界の話しかできないけどどれでもいい?」
「はい!逆に幻想郷の外の話を聞けるなんて嬉しい限りですよ!色々幻想郷以外の話を聞かせてください。」
「私も、幻想郷以外の外の話もお聞きしたいのでぜひ!此処に住まわれてください!」
「そういっていただくと大変嬉しいんですけど………魂魄さんもそれでいいの?」
「はい!もちろんです!これからよろしくお願いします!日野さん。」
「よろしくお願いしますね。日野さん。」
「二人とも、俺は居候の身になるんだから気軽に名前で呼んでください。その代わり俺も名前で呼ばせてもらってもいいですか?魂魄……妖夢もいいかな?」
「ええ、かまいません。改めてよろしくお願いしますね。恭一さん。」
「私もいいですわ。よろしくお願いしますね恭一さ………」
妖夢につづき幽々子さんが俺の名前を半ばまでいったとき不意に幽々子さんのお腹から<ぐ~!>とう音が聞こえてきた。
幽々子さんは俯いて黙ってしまった。
「あ、あの!幽々子さん俺は何も聞いてませんよ?」
「わ、私も!!幽々子様!私も何も聞いていません!」
女性なのでお腹の音が聞こえたのが恥ずかしかったのだろう。
幽々子さん自体大人しそうな性格をしているみたいだし顔を隠すぐらい恥ずかしかったのかもしれない
そう思って言ったのだが、幽々子さんはその言葉を聞いて徐々に体を震わせる。
やばい?怒らせたか?もっとオブラートに包んだほうが良かっただろうか?
そんなことを思っていると不意に幽々子さんが口を開け、
「おなかすいた~!!妖夢、私もう我慢できないー!!早くご飯作ってー!!」
大声で叫びながらじたばたと体を畳に投げ出して言う幽々子さん。
誰だ?この人?本当にさっきまで清楚に話していた幽々子さんなのか?
俺は目の前の豹変した幽々子さんの行動に頭が付いていかずに体が固まってしまう。
「あー!もう幽々子様!それぐらい少しは我慢してください!ここに初めて来られた恭一さんの前なんですよ!もっと白玉楼の主としての態度を取ってください!!」
「もう無理ー!!お腹すいたお腹すいたお腹すいたー!!!!」
先ほどの威厳など微塵に砕くような勢いで畳を転げまわる幽々子さん。
そしてその光景をみて幽々子さんに向かって声を荒げる妖夢。
ほんと、なんだこの光景?あ、そういえばフランは俺が目を覚まさないで心配して無いかな?早く帰れるといいな~。
俺はそれが納まるまでの間、一人虚空に目を向けて現世で俺の事を心配しているだろうフランの事を思いながら現実逃避を行なうのだった。
「お腹すいた~!!!!」
「もういいっちゅうねん!!!!」
あ!やべ!つっこんじゃった!!
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「それで、幽々子さんはお腹がすいてどうしても我慢ができずにこうなってしまったと。」
「うん、その通りだってお腹が空いて仕方がないんだもん。」
「それで、さっきまでの態度は作った演技だったんですか?」
「そうよ。今話しているのが本来の私よ。先ほどまでのたたずまいは全部妖夢の指示によるものなの。頑張ればご飯を豪華にしてくれるって言われて頑張ったんだけどお途中でお腹が空いてしまって我慢ができなくなったの」
幽々子さんの言葉に今度は妖夢のほうに顔を向ける。
「みょん!?」
〈みょん!〉って何だよ〈みょん!〉って。
「うう、すいません。幽々子様は本来、あのような性格なんですけど見ても分かるとおり威厳いうものがあまり感じられないのです。ですから少しでもこの白玉楼の主として相応しい態度をとってもらおうと思い、食べ物で釣ったのですけど途中でボロがでてしまいました。
項垂れながら話す妖夢。
そしてまたお腹が空いたと言って喚きだす幽々子さん。
「はいはい!分かりました!ご飯は俺が作りますから幽々子さんは少し落ち着いてください。それに妖夢もいつまでも項垂れていないで幽々子さんのご飯を作るぞ!幽々子さんの好みの物が分からないから一緒に作って教えてくれ!」
「え!?ほんと!?あなたが作ってくれるの!?なら私、外の世界の食べ物を食べてみたいわ~。」
「いいえ!恭一さんはこの白玉楼のお客様になるんですからそのような事はさせられません。ご飯なら私が作りますから」
「ここに住まわせてもらう以上何か手伝いでもさせてよ。それに料理は俺もできるからよかったら作らせてくれないか?」
「そこまで恭一さんがおっしゃるなら……その代わり私も一緒に作ります。幽々子様は大食漢の方なのでかなり多く作らないと満足しないので」
「わかった。じゃあ、一緒に作ろう。それじゃあ幽々子さん。俺たちはご飯を作ってきますね。」
「わかったわ~。できるだけ早くお願いね~」
そういって俺と妖夢は白玉楼の台所に急ぐのだった。
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「まあ、これぐらい作れば幽々子さんも満足するだろう。」
目の前にはこれでもか!というぐらいの様々な料理を載せている皿がある。
「ええ、これぐらい作れば幽々子様も満足なさると思います。」
台所に入り料理を作っていたのだが当初は大食漢といっても女性なので精々3人前ぐらい作っておけばいいと思ったのだが、妖夢から幽々子さんは一食の食事で人の10人分ぐらいは食べると言われた。
本当にそんなに食べるのか?っと思ったのだが目の前の喋っている妖夢の顔がマジの顔だったので俺と妖夢はさらに料理を作り足して小さな宴会ができそうなほどの料理を作りあげたのだった。
「俺が洋食中心で妖夢が和食が中心だったから結構な種類の料理ができたな。」
俺はフランにも作っってやったハンバーグから始まり、洋食中心のメニューを作り上げていった。
どうも幻想郷の大半は日本の昔の生活をしており、この白玉楼も日本家屋の形をしていたので洋食中心で作っていた。
他にも微妙にご飯などではなくチャーハンといった中華も混ぜて作った。
そしてそれに加えて妖夢は和食中心だったので多種多様な国の料理が並べられていた。
「でも、私が見たことの無い料理ばかりで驚きました!恭一さんは色々な料理を知っているんですね。」
「まあ、家の母親が料理を作れなかったから仕方なく覚えていったっていう感じかな。それで味の方は大丈夫?」
味の方を妖夢に美味しいかどうか確かめてもらう。
「はい!とっても美味しいですよ!初めての味ですが私の作る和食とはまた違ってとっても美味しいです。」
「それならよかった。じゃあ、幽々子さんの所に早くもって行こうかお腹を空かせて待っていると思うし。」
「はい。持って行きましょう。」
俺は料理の載った皿を両手に持ち幽々子さんが居る部屋に向かう。
隣には妖夢が同じく両手に皿を持っているのだが霊夢の人魂?みたいなものも尻尾で上手く皿を抱えており一緒に運んでいる。
「幽々子さんお待たせしました!料理ができましたよ!」
幽々子さんのいる部屋に入ると幽々子さんは床に寝そべっていた。
おいおいあの初対面の態度はどこにいったよ?と思うほどの変わりようだった。
「ご飯できたの!?」
俺のご飯という言葉を聞くや否や寝そべっていた体勢から一瞬でテーブルの前に座る。
「この変わりようは一体何なんだろう?まあいいや……幽々子さんテーブルに置きますけどまだ食べないで下さいよ?」
「え?」
危ない!この人置いた瞬間にもう箸を持って食べようとしていたよ!
「もう!幽々子様!全部の料理を並べるまで食べるのは待っていてください!」
「は~い」
どんだけお腹がすいているんだこの人?幽々子さんが先に手を出さないように慌てて残りの料理を持ってくる俺たちだった。
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「それじゃあ、いただきま~す!」
「「いただきます」」
食事の挨拶をすると幽々子さんは怒涛の勢いで次々と料理を口の中に運んでいく。
「ん~おいしい!恭一の料理は食べたことの無い料理ばかりだからどんどん口の中に入っていくわ~」
「口にあって良かったです。それより本当に良く食べますね」
食事が始まってものの数分でもう何皿か空になってしまい、それでも幽々子さんの食べる速度は落ちずにまた別の料理を食べていた。
「幽々子様は本当に良く食べられるお方なんです。だから毎日の食事を作るのが大変で大変で。」
この光景をみると妖夢の言葉にも納得してしまう。どんだけ食べるんだろうなこの人?
「はぐはぐはぐはぐはぐ!!!!」
幽々子さんの食べる光景に終始圧倒されながら食事の時間は過ぎていくのだった。