「あら?随分と遅い起床ね?私なんかずっと前から起きているのに。」
朝起きて永遠亭に与えられた自室からでると、そこには何故か昨日会ったばかりの輝夜さんが仁王立ちして待ち構えていた。
本人としては偶然に会ったみたいな雰囲気を作ろうとしているのだが、俺の部屋の前の廊下に腕を組んで待ち構えていると、どこをどう考えても偶然とは思えない。
頭をスッキリさせるために朝の冷たい空気にあたろうと思い外に出たのだが輝夜さんが部屋の前に立っていて、大変驚いたお蔭で眠気も吹き飛んでしまった。
「輝夜さん、こんな朝早くから何をしているんですか?まだ朝早いと思いますよ。」
時計が無いので正確な時間は分からないのだが、まだ霧がかかって、空気も冷たいため朝も早いと思う。
しかし何故に輝夜さんは俺の部屋の前にたっているのだろう?
「別に私が何処で何をしようがあなたには関係ないじゃないの」
「そりゃまあ……そうですけど」
確かにここは輝夜さんの家なんだし何処で何をしようが俺には関係ない………というよりかは短い間だが住まわせてもらっているので文句を言うこともできない。
「ところで恭一は何で外に出ようとしたの?」
急に話題を変えて輝夜さんが尋ねてきたので
「いや、ただ単に目を覚ますために朝の冷たい風を当たろうと思っただけですよ。特に何をしようとかは考えてませんでしたけど。」
「それじゃあ、私の暇つぶしに付き合いなさい。朝食までまだ時間はあるんだし何もすることが無いんだったら別にいいでしょ?」
「別にいいですけど、何をするんです?」
「それは。これよ!」
輝夜さんは後ろに手をやると何かを取り出し俺の目の前に出した。
「これは………将棋ですか?」
「そうよ。朝食までの間これで暇を潰すわよ。もちろん、敗者には罰ゲームつきよ。」
将棋をするのは別に構わないのだが、罰ゲーム付きというのがどうも気になる。
「恭一は昨日初めてあったばかりなのにどうも私のことを馬鹿にしているような気がするから、この将棋であなたの事をギャフン!と言わせてあげるわ!」
もしかして昨日の廊下で輝夜さんが寝ていた………というか起きた後の涎がでていた事を指摘したことを根に持っているのか?
「さあ、それじゃあ勝負するわよ!こっちにいらっしゃい!!」
「ちょ!腕を掴まなくてもちゃんといきますって!逃げないから離してくださいよ!」
「駄目よ!離したら逃げそうだから!!さあ、さっさと私の部屋まで行くわよ!」
「だあああああ!!!!」
輝夜さんの腕を振り解こうにも意外に力が強く、腕を外す事ができないまま俺は輝夜さんに引きづられてそのまま部屋まで連れられていくのだった。
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「さあ、ここが私の部屋よ!」
輝夜さんに連れられて部屋に入った。
「おお、見事なまでに………汚い部屋。」
部屋の中に入って中を見回したのだが、そこは想像と違いまったくもって汚い部屋だった。
あの御伽物語にも出ていた輝夜姫の部屋なのでどんな部屋だろうかと実は少しばかりワクワクしていたのだが入ってみるとそこはつい、目の前に部屋の住人がいるのに汚いと言う言葉が出てしまうほど汚い部屋だった。
まず布団はひきっぱなし。
辺りは脱いだままの服が畳に散らばっている。
さすがにこの部屋を女の人が住んでいるとは誰も思わないだろう。
しかもそれがあのかぐや姫となると尚更である。
「まあ、ちょっと散らかっているけど気にしないで中に入って。」
輝夜さんがそういうが気にしないほうが無理である。
「あの、輝夜さん今から掃除をしません?」
「何で?」
「何でって………この部屋を見て何も思いませんか?」
「んーーーー………別に何も思わないわよ。いつもの私の部屋だし。」
ああ……駄目だ……もう我慢の限界だ………。
「あら?恭一どうしたの?そんなに体を震わせて?」
「だあああ!もう我慢できない!さっさとこの部屋を掃除するぞ!よくこんな汚い部屋に平気で住むことができるな!!」
「な!汚いって何よ!?ちょと汚れているだけじゃない!!?」
「何処をどう見たらこれがちょっとに見えるんだよ!?いいからさっさと掃除をするぞ!将棋はその後だ!!」
俺は我慢の限界をこえてしまい、敬語で喋るのも忘れて目の前の輝夜さんに怒鳴る。
俺の母親も俺が毎回掃除を行なわないと2日でこのような汚い部屋に変えてしまい、その度に毎回掃除を行なうのである。
俺は普段から家事を行なうためか汚い部屋を見てしまうと我慢ができなくなってしまう。
此処にきて、紅魔館は咲夜さんが普段から綺麗に掃除を行なっているし、永遠亭でも妖夢や俺が部屋を掃除していたので綺麗だった。
しかしながら、この部屋においては住んでいる住人がずぼらなのか大変汚れており、俺の主夫魂が燃えてしまうのである。
「さあ、早く始めるぞ!」
「嫌よ!私はこの部屋のままがいいの!」
嫌がる輝夜さんを引きずって俺は部屋を綺麗にするため、行動を始めた。
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「あー!やっと終わった!どれだけ汚くしてたんだよこの部屋!」
大体2時間ぐらいかけて輝夜さんの部屋を掃除してやっと一息つく。
掃除機などがないため、掃除に時間がかかってしまった。
しかしながら汚い部屋が綺麗になったので俺的には大変満足している。
「ほら、輝夜さんも綺麗な部屋の方がいいでしょ?」
「まあ、私は前の部屋のままでもよかったのだけど」
そういっている輝夜さんだが、自室の部屋を見回している目が心持嬉しそうにしていたので、強引にやってよかったと思う。
「さあ!部屋も綺麗になったことだしさっき言った将棋を始めるわよ!掃除をして時間がたってしまったけど一局ぐらいはできるだろうからさっさとするわよ!」
「はいはい、わかりましたよ。それじゃあ、一局だけですよ。」
「罰ゲームの事は忘れてないでしょうね?」
「それなんですけど、俺だけ罰ゲームっていうのも不公平じゃありません?だから、俺が勝ったら何か欲しいんですけど」
「確かにそうね………よし!もしあなたが私に勝ったらいいものをあげるわ」
「いいもの?ろくな物じゃないでしょうね?」
この人の事だから何かろくでも無いものをくれそうだ。
「失礼ね。ちゃんとした物をあげるから大丈夫よ。」
「まあ、それならいいですよ。その代わり罰ゲームにしてもあまり無茶な事は言わないで下さいよ。」
「大丈夫。大丈夫。」
そう言ってはいるが顔が笑っている。どんな事をしようと思っているんだ?この人・
「まあ、いいや。それじゃあ、始めましょうか。」
「よし!かかってきなさい!」
さて、どう攻めていこうかな?
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「王手」
俺は輝夜さんに王手を告げる。ちなみに詰みの状態である。
駒を進めて、将棋を行なっていたのだが、この輝夜さん、まったくもって弱すぎる。
常に攻めの姿勢で守りをまったく行なっておらず簡単に攻め入ることができたのだ。
俺は昔じいちゃん相手に将棋をやらされていたので基本自体は大体行なえるので、そのお蔭で勝つことができた。
「そんな………この私が負けるなんて………」
ひどく落ち込んだ様子でうなだれる輝夜さん。
「大丈夫ですか?輝夜さん?今回はたまたま俺が勝っただけですよ。」
そう言うが輝夜さんはまったくもって反応しない。
どうしようか?と思っておると急に部屋の襖が開いて
「あ!こんなところに居た!朝ごはんができたみたいだから呼びにきたんだけど何で恭一が姫様と一緒にいるウサ?」
「あ!てゐ!丁度いいところに来てくれた!輝夜さんが落ち込んでしまって俺の言う事もまったく聞こえていないみたいなんだけど。」
助かった!てゐなら落ち込んでいる輝夜さんを何とか立ちなおさせることができるかもしれない。
そう思って、てゐに声をかけたが
「姫様が落ち込んだ?理由はよく分からないけどそのままにしていた方がいいよ。その内時間がたてば元に戻ると思うから。」
このウサギ、主人を気遣う気がゼロだな。
しかしながら俺より輝夜さんの事をよく知っているてゐが言うならそうした方がいいのだろう。
「まあ、てゐがそう言うならそっとしておこうか。それじゃあ朝食があろ所まで連れて行ってもらえる?」
「わかったウサ。じゃあ、こっちに付いて来て。」
てゐの案内の元、俺は朝食があるところまで行くのだった………項垂れている輝夜さんをその場に残して………。