「おはよう恭一。昨日は随分とお世話になったわね?」
朝起きるとそこには昨日囲碁をした後、白くなっていた輝夜さんがいた。
「お、おはようございます。か、輝夜さん。お、俺の部屋に何でいるんですか?」
「ふうん、そういう事を言うわけ?」
やっぱり昨日の時点でどうにかして元に戻しておけばよかった。
今朝起きたら輝夜さんが俺の上に跨って近距離でこちらを見ているなんて恐怖の何物でもない。
しかもご丁寧なことに首に両手がかけられている。
これは下手なことを言ったらそのまま首を絞められる気がする。
「い、いや、何を言っても輝夜さんから反応がなかったのでしょうが無しにそのままにして部屋に戻ったんですよ。本当ですよ?俺、必死に輝夜さんに話しかけたんですよ?」
「…………まあいいわ。それより、恭一は将棋だけじゃなくて囲碁もできるのね。これじゃあ、罰ゲームとしてあなたを私の召使にしようと思っていた計画が台無しじゃない。」
俺の首から手を離し、俺の上から離れると畳に座って輝夜さんはそんな事をのたまった。
召使って何じゃい。
「俺の事を召使にしようと思ってたんですか!?罰ゲームにしては酷すぎませんかね!?」
俺は輝夜さんが退いたのでそのまま勢いよく起き上がると輝夜さんに抗議の声を出す。
「だって、この永遠亭の住人以外の人間って珍しいじゃない。それに外の世界から来た人間っていうから色々いい暇つぶしのネタになるかなって思って。」
「いや、暇つぶしのネタだけに人の事を召使にしようとしないでくださいよ。それに俺はすでに紅魔館の住人ですんで、輝夜さんの期待には答えられないですよ。」
「まあ、そうなんだけどね……くあ~、早起きしたから眠くなってきた。私はもう一眠りするから、朝食の時にでも会いましょう。」
「早起きって……どれぐらい前から俺の上に跨っていたんですか?」
「大体30分ってところかしら?私が跨っても中々起きないからそのぐらいの時間はたってたと思うわ。」
それじゃあ、何か?俺は30分もの間、女の人に乗っかられて寝ていたわけか?………やばい、恥ずかしすぎる!
「ああ、恭一の寝顔、意外に可愛かったわよ。それじゃあね。」
部屋を出る前に輝夜さんがそう言って出て行く。
「~~~!」
俺は輝夜さんにそのような事を言われた恥ずかしさにたまらず布団に顔を埋めるのだった。
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「あ~、まだ顔の赤みが消えて無いかもしれない。」
どうにかこうにか恥ずかしいのを抑えて、俺は朝食を作るために台所へと来ていた。
「?朝に何かあったの?」
「いや、今朝方、輝夜さんが俺の部屋に来ててさ、それで色々あったんだよ。」
「まさか、いやらしい事はして無いでしょうね?」
「そこは大丈夫。俺が単にからかわれただけだから。」
そう、俺は今、鈴仙と一緒に朝食を作っているのだ。
あの後、朝食を作るために台所に向かったのだが、行く途中で鈴仙に会い
「おはよう、鈴仙。」
「恭一?おはよう。こんなに朝早く何処に行こうとしているの?」
そう、昨日の晩から、鈴仙はやっと俺の名前を呼んでくれるようになったのだ。
最初会った時に比べたら雲泥の差だと思う。
「ああ、朝ごはんを作ろうと思って。」
「別に恭一が作らなくてもいいわよ。私が作ろうと思っていたし。」
「いや、ただで此処に居させてもらってるんだし何かしようと思ってね。だから朝食でも作ろうと思って早起きしたんだけど……鈴仙の方こそゆっくりしてていいよ。」
やはり他人の家でただで住まわせてもらっている以上何かしないと落ち着かない。
これも性格的なものなのだろうっと思う。主夫の癖が付いているのかな?
「私は毎日やっている習慣みたいなものだから、逆にやらないと何をすればいいか分からなくなるわ。」
「ん~、それだったら一緒に作らせてもらってもいい?それぐらいだったら構わないだろ?」
「それでいいなら、構わないけど。それじゃあ、早く作りに行きましょうか。」
「ありがと。」
と言う事で今現在、鈴仙と共に朝食を作っているのだ。
「よし!大体できたな。」
「そうね。二人でやると早くできるわね。」
できた朝食をテーブルに並べて準備を済ませる。
今日の朝食は、ご飯に味噌汁、筍のキンピラに冷奴。それと目玉焼きに焼き鮭と結構豪勢に作ってしまった。
「おーー、今日は朝から豪勢だね。何かあったの?」
すでにテーブルについていたてゐがそう鈴仙に聞いてくる。
「いいえ、特に何もないんだけど、強いて言うなら恭一と二人で作ったから量が多くなったっていう感じかしら。」
「確かに、二人でおかずを作っていたらこんな風になったんだよな。」
普段1人で作るのでそのペースで作ってしまい、結果的に品数が多くなってしまったのだ。
「まあ、私にとっては嬉しい事だから別にいいけど……それじゃあ、姫様たちを起こしてくるウサ」
「よろしくね。てゐ。」
鈴仙に見送られて、てゐは輝夜さんと八意さんを起こしにそれぞれの部屋に向かっていった。
「しかし、輝夜さんはともかくとして、八意さんは意外に規則正しい生活を送っていると思ったんだけど違うんだな。」
「お師匠様はどちらかというと時間に捕らわれない人ね。自分の好きな事を好きなようにする人だから、時には自分の研究のため何日間もご飯を食べないで過ごす事もあるぐらいよ。」
八意さんの雰囲気的に知的なお姉さんっといった感じだから規則正しい生活を送っているのかと思っていたのだが、それは俺の思い込みだったようだ。
確かに大体の科学者風の人たちは自分の興味がある事を見つけるとそれにのめり込んでしまうって言うからな。
八意さんもそういった感じなのだろう。
輝夜さんの方は鈴仙に聞かなくても大体の事は分かる。
あんな性格だから大体ニートみたいな生活を送っているのだと思う。
てゐに関しては子供のように遊んでばかりのような気がする。
それこそ鈴仙に悪戯をして遊んでいる、と本人が言っていたから違いはないだろう。
結局この永遠亭でまともなのは鈴仙と他のウサギ達だけかもしれない。
鈴仙も苦労しているんだな。
「それじゃあ、てゐが姫様を呼んでくるまでゆっくり待ってましょうか」
「ん、分かった。それじゃあ、お茶でも入れるよ。」
「ありがとう、恭一。」
こうしてて輝夜さんと八意さんが来るまでの間、俺たちはのんびりとお茶を飲みながらゆっくりしていたのだった。