魔法科高校の劣等生〜彼女はモブになりえるのか〜   作:アリス☆

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皆様、お久しぶりです。

もう、年の瀬ですね……


入学編 第二十六話

 

三人並んで、廊下を歩いていると。

風紀委員会本部から廊下にまで響く華やかな声に足を止める。

どうやら本部の中では談笑中のようだ。

 

どうやら、副会長を倒して風紀委員会入りを果たした彼の話をしているらしい。

 

えっと……部屋の中は、彼と委員長、生徒会長がいて、部屋の外まで響く声の主は男二人、あの模擬戦に出ていない風紀委員の二人で間違いないはず……

 

彼が褒められているのに水を差すのもなぁ……と、ドアをノックするタイミングを見計らっていると一際ハッキリした声が聞こえる。

 

「にしても、うちのメンバーと委員長をボコボコにした今朝の一年女子、とんでもないゴリラが入りましたね」

 

「そうだな!」

 

いや、ゴリラって、確かに余裕を持って風紀委員メンバーをボコボコにしたけれども……ゴリラって……失礼な人ですね、可愛い名前の二年先輩とそのセットの影の薄い三年先輩。二年先輩の方はまだ出番があるのに三年先輩はほぼモブでしょうがっ!!

 

すっごく、ムカつくぅ〜〜〜っ……!!!!

 

「……啓、ちょっと私のも持ってて。智駿、どっち」

 

「……左です。」

 

一番多く書類を持っていた啓さんに私の半分の書類を持っていた花音さんの分が重なる。

 

手ぶらになった花音さんがノックも無しに左側の扉を勢いよく開け、扉は目の前にいた二年生の先輩の後頭部に直撃した。

 

「いってぇっっ!!!」

 

「沢木っ!誰の後輩がゴリラなのよっっ!」

 

「ち、千代田!?」

 

「可愛い可愛い智駿をゴリラだなんてっ!アンタの方が!!よっぽど!!ゴリラでしょうがっ!!」

 

ズカズカと遠慮なしに部屋に入る花音さんに続いて入室する。

……未だに机の上には高く積み上がった書類の山が鎮座したまま……それを放置して談笑に加わっていた委員長に声をかける。

 

「ご歓談中に失礼いたします。委員長、こちら追加の書類です。五十里先輩、こちらに置いて頂けますか?」

 

ドンッ、ドンッッと長机の上に私と啓さんの持っていた書類の山を置く。

 

「期日は新入生勧誘活動の最終日だそうです」

 

教師に言われた期限を申し上げるとその顔色が青ざめ絶望に染まられた……

あ、生徒会長もいるラッキー!!上の階に行く手間が省けた!!

 

「あ……生徒会長、いい所にいらっしゃいますね」

 

机の隅に付箋を貼って避けていた書類の束を生徒会長に差し出す。

訳が分からないと言った顔の生徒会長にニッコリと笑いかけ……

 

「こちら、間違って風紀委員会に届けられていた生徒会の書類です。ご確認お願いします」

 

惚けた顔で書類を受け取った生徒会長の顔がみるみる青ざめていく。

 

「え、ええ、確かに受け取りました。摩利、悪いけど……私、戻るわね……」

 

とそそくさと生徒会室へと繋がる内階段を使い上へ戻られた。

 

だよねー、全部期限が切れている上にわりと重要そうな書類だもんねー。

本当にこの委員会は色々と杜撰だなぁ……よく去年から回ってたな……違うわね。そもそもこの委員長の前の代からよく稼働してたよ、本当に……

 

にしても多いなぁ……これが終わらないと帰れない感じかな……

 

思わず呆れを含んだ冷たい視線を委員長に向けてしまい……委員長が竦み上がる。

 

「こら智駿。先輩を睨まない」

 

あ〜ぁ、啓さんに注意されちゃった……

 

「あら……睨んでるつもりはなかったんです……申し訳ございません」

 

とぼけながら委員長に対して謝罪の言葉を述べる。言葉にそんな感情は一切乗ってないが。

 

「い、いや、構わん」

 

啓さんの言うことは素直に聞いた私を気味悪そうに見ている委員長の視線につい睨み返そうとするのを我慢する。

 

別にお世話になってる方や仕事先ではちゃんと礼儀を重んじますのに。

ただ、貴女が尊敬できない人物なだけでそんな目で見られても困りますわ。

 

ところで……後ろではギャーギャーと先程まで私をゴリラだなんだと言っていた二人に詰め寄る花音さん……止めなくていいの?啓さん?

 

思わず後ろに目線を向ける……と、三人のすぐ近くに彼が居て……彼と目が合った……無表情だった彼が目が合うと僅かに微笑んでいる姿に目を反らせない……

 

うぅ……こっちに向かってくる……っ!

 

「おかえり、森崎」

 

「ええ、戻りました」

 

でも、近くで見るとなんだか疲れきった様子の彼に問いかける。

 

「掃除は終わったの?」

 

「ああ、何とか……書類の方は……」

 

「増やされたわ」

 

「そのようだな」

 

彼とほぼ同時に委員長の方へ視線を向ける。

気まずそうに書類の山に取り掛かる委員長。

一向に減らない書類の山に、私たち新人が手伝えることはほぼない。

 

さて……啓さんには花音さんを止めて貰わないと……これだけ煩いと委員長も集中できないでしょうから……(笑)

 

ようやく彼から視線を外して、隣にいる啓さんに声をかける。

 

「五十里先輩。そろそろ千代田先輩を止めてください」

 

「んー……僕が止めるより智駿が止める方が効果があるよ」

 

「だって花音が怒っているのは智駿をゴリラって言ったことだからね」

 

「私は気にしてませんよ」

 

「あの方が言っていることは小学生の男子が自分より力が強い女子に言うようなものですし……気にすることでもないですよ」

 

暗にあの二年生の先輩が小学生並の言動をしていると捉えられるような私のその発言に花音さんに詰め寄られていた先輩方の視線がこちらにむく。

 

そんな視線をものともせず啓さんは彼に視線を向けて紋付きではない制服を見て驚いた様子で私に彼のことを聞いてくる。

 

「智駿、彼は?」

 

「……私と同じく、風紀委員の新人ですよ」

 

「そっか、初めまして二年の五十里啓です。君は?」

 

「司波達也です。よろしくお願いします」

 

「うん、よろしくね……あ、智駿は言い方がきつい時もあるけど、仲良くしてあげてね」

 

「「もちろんです/そんな気ないですけど」」

 

啓さんの言葉に思わず反論しようと彼と言葉が被る。

そんな私を困ったような子を見るような視線で見つめる啓さん。

 

「誰が紋無しと仲良くするもんですか!」

 

「智駿……」

 

その視線から逃げるように啓さんを視界から外すも優しく名前を呼ばれたかと思いきや、ムニッと両頬を摘まれた。

 

「ふぎゅ……は、はなひてくだひゃい」

 

「まったく智駿は……ごめんね、司波くん」

 

「いえ、気にしてません。」

 

「顔、落ち込んでるよ」

 

啓さんが言ったように仏頂面の彼の顔が分かりやすくしょぼくれている。

なんで??私と仲良くしてもいい事ないよ??むしろ嫌ってて??

 

「なぁに、面白いことしてんのよっ!」

 

と、横から花音さんが近寄ってきて啓さんの手と重なるように私の頬を摘んだり、突いたりして遊んでる。

 

「あはっ、可愛い〜!」

 

はわわ……花音さんが私をダシにして啓さんとイチャついてる……この二人をぜひ正面から見たい。ただし、私を間から抜いてだけど。

 

「で、朝の一年……自己紹介して貰えるか?」

 

さらに逆隣から花音さんに詰め寄られていた三年生の方の先輩が声をかけてきた。

 

流石に一学年上の先輩を差し置いて私を挟んでイチャつくつもりは無いのは二人とも私の頬から手を離し、一歩後ろに下がる。

 

「はい、今日から正式に配属になる森崎智駿です。」

 

名前だけ名乗るだけで、よろしくも何も言わない。仲良くしたいとも思わないからね。

 

「そうか、俺は三年の辰巳鋼太郎。……で、さっき千代田に詰め寄られてたのが……」

 

「二年、沢木碧だ」

 

地雷は……積極的に踏んでいこうねっ!!

 

「千代田先輩にゴリラだなんだと言われてたので……どんなイカつい名前かと思ったら……そこらにいる女の子より可愛らしい名前ですね」

 

下手したら私より可愛いかもよ(笑)

 

なんて、心の声は流石に出さずに可愛い名前の先輩(笑)の地雷を思いっきり踏み潰す。

 

「……ぜひ、俺と握手してくれないか?可愛い後輩と親交を深めたいんだ」

 

青筋浮かべた顔の可愛い名前の先輩(笑)は握手を求めて手を差し出してくる。

 

「私は特に深めたいとは思いませんけど?」

 

「いいから、いいから…………っ!!」

 

そう言って無理矢理私と握手をして握力100kgの力を存分に発揮してくれた……

 

私は私で、サイオンを流し身体を強化する。

 

外は剛のよう強く硬く、内は柔のようにしなやかに……表面は硬いのに力を受け流していく。

 

そんな私の手に青筋を浮かべ怒りの顔を浮かべていたのがいつしか驚愕に変わっていた。

 

さて、やり返しますか

 

「どうかなさいましたか?」

 

私からも手を握り返す。

 

「急に女性の手を握るだなんて……紳士のすることではないと思いますよ」

 

ゆっくりじわじわと、力を……握力を強くする。

 

「それにしても無理矢理握った手を握り潰そうとするだなんて……最低ですね」

 

骨にヒビが入らない程度に加減をしながらさらに力を込める。

 

すでに握られた手の痛みで声も発せず悶絶する様子の沢木碧に笑みが零れる。

 

その異様な光景に恐慄いてるのが三年先輩と委員長の二人だけ、花音さんと啓さんは私が丈夫なのも強いのも知っているから特になんの反応も示さないのは分かるけど……なんで君も気にした様子がないの??これぐらいなら出来るってこと??いや、主人公様だもの出来るよ……ね??

 

そうこう考えていると彼が私の手に自分の手を添えて静止しようとしてきた……が。

 

「あっ」

 

ヤベッ、うっかり握りつぶしちゃった……

 

彼の手が触れた瞬間、びっくりした私はつい先輩の手を握り潰していました。

 

ボキッと骨の折れる音が部屋に響きわたり、ついに音もなく崩れ落ちる沢木碧の姿に流石の私も顔を青ざめる。

 

や、やってしまった……

 

私が手の力を抜くとするりと沢木碧の手は床へと抜け落ちた。

 

「沢木っ!!」

 

三年先輩……辰巳鋼太郎が沢木碧に駆け寄る。

脂汗を滲ませ苦悶の表情を見せる沢木碧はピクリとも動こうとはせずただひたすらに痛みに耐えている様子だった。

 

そうこうしていると声を上げたのは委員長だった。

 

「辰巳、沢木を保健室に連れて行ってやれ……手の骨折は自損だと伝えてな」

 

「分かりました!」

 

辰巳鋼太郎が沢木碧を抱えて本部を出ていくと同時に委員長が私と彼を見据えて言葉を発する。

 

「司波、森崎……もう上がってもらって構わない。明日から忙しい1週間が始まるからよろしく頼むよ」

 

「よろしくお願いします、委員長」

 

「よ、よろしくお願いします」

 

えっ、お咎めない感じ……?無いならないでいいけどさ……

 

お咎めがない事に気を取られて言葉が淀んでしまいながらも返事を返し、彼と私そして花音さんと啓さんとで本部を出た。

 

結局、この日はこれで終わり。

 

彼は彼で妹と帰路につき、私は二人と五十里家に行き、CADの最終調律と調整を終え、自宅に戻った。

 

 






お久しぶりです。お元気ですか?

作者は元気です?

もうすぐ魔法科はアニメの方が10周年ですね。
公式様からはカウトダウンが始まってますが、当日には何が起こるのでしょうか(((o(*゚▽゚*)o)))タノシミ

それはそうと文字数を増やしてみました。
(話数がとんでもない事になりそうなので)


なのでこれからも投稿は遅れますが気長に待っていただけると嬉しいです。

それでは皆様、良い年をお迎えくださいませ。
来年もよろしくお願いします。

あ、特に何も考えずに押してください。そのうちの予定です。

  • 美男美女兄妹(達也深雪)
  • E組トリオ(エリカ美月レオ)
  • 幼馴染みコンビ(ほのかしずく)
  • 先輩グループ(花音啓服部中条沢木桐原)
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