魔法科高校の劣等生〜彼女はモブになりえるのか〜 作:アリス☆
記念すべき三十話目……まだ三十話なのに割と序盤も序盤。
終わった……長いようで短かった勧誘期間がようやく終わった……疲れた……。
あの後、玄関を出てすぐに先輩方に追いかけ回され、それが連日続くなんて思もしなかった………それもこれもあの時にドローンを対処しなかった私が悪いのだけれど……。
まさかあの映像が出回って運動部全般からお誘いが来るなんて……しかも魔法系も非魔法系問わず……。
連日に渡って、乱闘騒ぎになって逮捕者続出な上、委員長には小言をたんまり貰うし、彼からも同情の視線が痛いし……ほかの委員のメンバーも何かしらの運動部に所属しているからか、日が経つにつれ罰が悪そうに私から視線を逸らすし……。
放課後じゃなくてもクラスメイトからもそれとなく部活に勧誘されるし……揃いも揃って運動部ばかり……
はぁ……元々先輩方の方に新入生の入試の結果が出回っているのは知っていたけど……プライバシーも肖像権もないのかこの学校は……。
でも、今日で終わり!!
終わったの!長かった!私頑張ったよね??
桜はすっかり散ってしまったけれど、彼が入学式の日に座っていたベンチに座って夕焼けに染まりかける空を見上げる。
目を閉じると、爽やかな風が吹き新緑に染った葉桜が、カサカサと揺れる葉音に耳を傾ける。暫しの間、聖地巡礼により心の休息を取る……。
明日は委員会が非番だから……学校の図書館にでも行こう……まだ会社の方は手伝わなくていいとお父さんから言われちゃったからなぁ……暇だし鍛錬でもしたい所だけれど、トレーニングルーム目当てに仕事もないのに会社に行くのは他の社員の邪魔になるからね。
それよりも何読もうかなぁ……
明日の予定を思案していると、こちらに向かってわざとらしく立てられた足音と、それに追随するようにどこか迷いのある足音の合わせて、二人の人間がこちらに近寄ってくる。
寄ってきて欲しくもないし、話し掛けないで欲しい。
目を閉じたまま身体の力を必要以上に抜いて寝たフリを演じる。
足音の主達が私の座るベンチから二人の歩幅を推測するに丁度三歩分の距離を開けて立ち止まる。
暫しその場が静寂に満たさせる。
早く帰れ〜、どっか行ってよ〜と念じていると高校に入学してからは一日も聞かない日がなかった声が私に呼びかけてきた。
「狸寝入りか……森崎」
ば、バレてる……無視無視無視!!
私、寝てますよー。眠ってますのよー。
「もうすぐ日が落ちる。このまま本当に眠ってしまうと、風邪を引くぞ」
するりと私の頬に誰かの……彼の手が添えられる。
彼の後ろにいるもう一人……彼女の息を飲む音が微かに聞こえた。
「いい加減、目を開けてくれないか……智駿」
彼は身体を私に近付けさせ耳元でそう囁いた………………もう、無理ぃいいっ!!!
彼から逃げるように立ち上がり、そのまま飛び上がって木の上の方へと登り木の枝や葉が私のことを隠してくれる事を願いながら、彼に冷たくあしらう様に言い放つ。
声だけは冷たくしていても……きっと、私の顔は今にも火が出るくらいには真っ赤になっているんだろうな。
「私……貴方に親しく名前を呼ぶ間柄じゃないと思うけど」
なんで……なんで、名前で呼ぶのよ!もっと好きになっちゃうじゃん!!優しい声で話しかけないで!!辛く当たれなくなるから!!だいたい耳元で囁かないでよ、くすぐったいし恥ずかしくなるっ!!なんで私を嫌ってくれないのっ!!好意を持たないで!!彼女にだけ向けてなさいよっ!!
「いや、だったか?」
向こうから私が見えないように、私からも向こうの様子は伺えないこと……だから今、彼がどんな顔をしているかなんて想像もできない……声が少し悲しみを含んだものだとしても……。
「ええ、ウィードに親しく名前を呼ばれるだなんて、いやよ」
「森崎さん!!」
私のその言葉で彼女は先日の出来事もありすぐさま咎めるような怒りの籠った声で私の名前を叫ぶように呼んだ。
「まったく……休んでいるだけなんだから、邪魔しないで」
私は彼らを突き放すように言い、二人が立ち去るまではここに居ようと枝の太いところに座る。
「…………邪魔をして悪かった」
「お兄様……」
それでも二人は立ち去る気配はない。
……どうしよう。
「そーんな、言い方無いんじゃない??」
「智駿、言い過ぎだよ。さすがに、ね」
…………げっ……諸悪の根源とその婚約者
「出た、諸悪の根源」
「なんか言った、智駿?」
「良くも火に油を注いでくれましたね」
「中学時代の功績を教えてあげただけじゃない!」
「個人情報と言うものをご存知で?千代田先輩」
「いいじゃない!中学では最後の最後まで逃げられたけど……高校では大会に出てもいいんじゃない??」
何故。魔法系、非魔法系問わず運動部からの勧誘が凄かったのかは花音さんのせいでもある。
中学時代に花音さんに誘われて入った陸上部での記録……当時の大会レコードの記録を大幅に縮めたタイムを叩き出してしまったのだ。
「千代田先輩のお陰で、今週は休む暇もなく走り回りましたので、暫くは運動したくないです!」
「えーっ!」
「えーっ、じゃ無いですけど!!」
「まあまあ……花音、無理強いは良くないよ。それと、智駿。疲れてるからって司波くん達に八つ当たりするのは良くないよ」
た、確かに……で、でも、ほっといて欲しかったのはそうだし……いや、少し言い過ぎてる??でも、下の名前で呼ぶほど仲がいい訳でもないし……
「とりあえず……智駿、降りて……いや、司波くん。智駿を抱えて降ろしてくれない?」
はえ?啓さん、何言ってるの??
「わかりました」
そして……彼は何故それを了承するの??
なんで??なんでよ!!
「じ、自分で降りれます!!」
「智駿、たまにおっちょこちょいになるから心配なのよ。そこでじっとしてなさい」
花音さんまで!!てか、誰がおっちょこちょいですか!誰が!!
「森崎」
音もなく彼が木の上の……私のいる場所まで登ってきて声をかけてきた。
「私、自分で降りれるか、ら……」
降りれると、そう言い切る前に彼に抱き上げられる。また、あの甘い声で、私にだけ聴かせるように耳元で囁かれる。
「……この間は、電柱から落ちてきたな?」
彼のその言葉に私の身体は石のように固まった。
ば……バレてる……あの時、彼の上に落下した人間が私だってバレてる……
「降りるから、しっかりつかまっていろ」
そう言った彼は二の句が継げない私をしっかりと抱えると、木から飛び降りる。自分の意思に反した浮遊感から思わず、彼の首に回した腕に力が入る。
いくら私が軽いとはいえ、この高さから飛び降りたら……彼、怪我しないかな。
そんな心配をよそに、彼は軽々と着地した……ところで私はいつ降ろしてもらえるのかしら。
てか、この体勢はまずい……お姫様抱っこじゃん。
彼は私を微笑ましげに見つめながらぽつり……と独り言のように呟いた。
「高い所に昇って降りられなくなるなんて……まるで猫のようだ」
「ね、猫じゃない!!」
思わずその言葉に強く反論を返しながら、彼から離れようと首に回していた腕を外し、肩に手を置いてなるべく距離を取ろうと後ろに仰け反る。
「暴れないでくれ……ますます猫みたいだな」
「だから、猫じゃないってば!!」
「はいはい、イチャイチャしてないで。智駿、司波くんに言うことあるよね?」
猫だの、猫じゃないだの言い合っていると啓さんが間に入って私を諭すように声をかけられる。
「……別に、自分で降りられたし」
「あぁ、屋上から軽々と降りるくらいだ。木の上からなら怪我もしないだろう」
「この間のだって、君が下にいなかったらちゃんと着地できてた」
「そうか……邪魔をしてすまない」
「…………降ろしてくれて……ありがと」
「どういたしまして」
「…………ねぇ」
「なんだ?」
「降ろして」
「…………断る」
そう言った彼の腕が仰け反った私の身体をいとも容易く抱きすくめられ、身動きが取れない。
助けを求めるように三人を見渡すが……
花音さんも啓さんも私を知らんぷりして二人でイチャイチャしてるし、彼を止められる唯一の頼みの綱である彼女は……彼の一連の行動に呆然と立ち尽くし唖然とした表情で彼を見つめていた。
誰か助けて……心臓もたないから……
多分、今年最後かもしれない投稿です。
私事ではありますがスマホを急遽機種変更しないといけなくて……突貫工事でこの話を仕上げました。
ネタ自体はよく浮かぶんです……文章に中々できないだけで……この後も短編の方に話が上がります。
この話もそうですけど、そっちはさらに中途半端な出来です。
そのうち修正が入ると思います……そのうち……ね?
それでは、また次回!!
あ、特に何も考えずに押してください。そのうちの予定です。
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美男美女兄妹(達也深雪)
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