ユグドラシル最終日、余所のギルド拠点で談笑中、現実世界の方で寝落ちしてしまいました   作:挫梛道

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バスの旅は、快適です?

◆まろんside◆

「これは…」

「何と言うべきか…」

「情けも容赦も無いですね…」

南方調査メンバー。

とりあえずは、転移門(ゲート)で法国(跡)の中央部まで移動。

その見渡す限り、瓦礫な光景に、皆が唖然茫然としてしまう。

 

「此処迄…する必要が、本当に有ったの?」

「さあな。しかし、魔導王は個人としてで無く、スレイン法国という『国』から、『王』としての自分に売られたケンカを買っただけだ。

その場には、俺も居合わせていたしな。

悪いが俺に、甘ちゃんな台詞を期待するなよ?

ついでに言うと残念だが、この俺自身も、法国から直接にケンカを売られた身なんでな。

だから別に、何も思わないよ。」

「「「「……………………。」」」」

その悲惨な光景に、蒼薔薇リーダーが俺に意見を…具体的には、魔導王(モモンガさん)に対して「やり過ぎだ」とか、非難するような言葉を求めている様だったが、それを一蹴。

 

「実際にエ・ランテルにも軍勢率いて攻めて来ましたし。」

「貴女達も、知っている筈ですよね?

他にもスレイン法国は、幾つもの村を襲って滅ぼしているんですよ!?」

「しかも当時は、王国直轄だった村な。

その辺り、王国貴族として どう思ってんの、ラキュースちゃん?…いや、アインドラ・サマ?」

「ついでに言うと、その時って その行いを帝国の仕業にしようとしてたんだよな? 態々 帝国騎士に化けて。」

「卑怯者よね。」

「悪辣としか、表現が出来ないのです。」

「正直、自業自得だと思っています。」

「滅ぼそうとした…実際に滅ぼしたならば、逆に滅ぼされても文句は言えないのである。」

「………………。」

更には漆黒の剣とフォーサイトが、魔導国側の擁護と言うか、俺の台詞の補足をしてきて、この厨弐さんは何も言い返せなくなる。

 

「確かに、間違った事を言ってはいない。」

「イビルアイ!?」

「少し歯車が狂っていたら、彼等の住む地が、この様になっていた可能性も有ったんだ。

私達外様が、あれこれ言える立場じゃない。」

「……………。」

更に更に、仲間の筈の仮面幼女も此方側の発言をしてきて、ますます無言になる、"内面に暗黒を宿す(笑)"厨弐姫様。

 

「おいおい、皆、その辺にしとけ。

ラキュース、俺達は冒険者だ。

国からの指図を受けない代わりに…しかも他国同士の戦争には、何も文句は言えないぞ。」

「わ…分かってるわよ!」

そして最後に、大女の一言。

これに納得はしていないが、冒険者として的外れな発言だったのは、漸く理解出来た様だ。

 

「それで、マカロン様?

此処から先は、歩きですか?」

「馬車って…無理ですよね?」

「この瓦礫の上を歩き続けるのは、かなりキツい。」

「そうなったら、鬼2号と呼ぶ。」

「ああ、それなら問題無い。

それから…『様』は、止めろ。

俺は そんなに、偉くない。」

 

 

◆まろんside・了◆

 

≫≫≫

 

◆ニニャside◆

 

ずずず…

 

「「「お…おお~!」」」

マカロンさm…んが、"きゃびねっと"?…空間系魔法というらしいです…から出したのは、大きく長い、緑色の箱。

その前後には計4つ、車輪が付いている。

確か、『くんたっし』だったかな?

前に一度だけ見せて貰った、マカロンさんが奥様(ユリさん)とデートする時に乗っていた、黒い乗り物。

それと同系のマジック・アイテムだと思うけど…

 

「バスって言うんだ。」

「「「「バスト?!」」」」

ルクルット…違うから。

それと、イミーナさん、ティアさん、イビルアイさんも。

そして このバス…『くんたっし』は2人乗りだったけど、これは20人位は普通に乗れそう。

 

「うおっ!」

「広ぇっ!」

「凄ぇ!」

「素晴らしいですね!」

「…のである!」

バス本体側面の収納庫に荷物を入れ込んだ後、実際に中に入ってみると、本当に椅子が沢山、並んでいたし。

何故だか男の人達、大はしゃぎ。

 

「早速 出発するぞ。

皆、適当な席に座ってくれ。」

 

 

◆ニニャside・了◆

 

≫≫≫

 

◆ティアside◆

くすん…

このバスという乗り物、最初はナーベお姉様の隣に座ろうとしたのだが、お姉様はマカロンの真後ろ、マカロンの友人だという、タニヤとかいう幼女の隣の席に。

 

「む? カナブンよ、どうかしたのだ?

私で無くて ほれ、お前が新たに目を着けた小娘共の隣に座れば良いでないか。」

カ、カナ…(//∀//)…じゃなくて、違うのです、ナーベお姉様!

別に、そういう訳では!

単に、ニニャちゃんアルシェたんを攻めながら、同時に お姉様に責められる…そんな攻め受け同時を堪能出来るな、ウ・スイホ・ン(※:後書き参照)みたいな展開に憧れるだけで…決して、お姉様に興味が無くなった訳では ふじこふじこ!

…それならと、ニニャちゃんアルシェたん どちらかの隣にと思ったが、あの子達、先に仲良く隣同士で座ってしまう。

鬼ボスの隣にはガガーランが座っているし、ハーフエルフも、恋人っぽい男が隣に。

しかし私は所謂"えぬてーあぁる"な趣味は持ち合わせていないので、そっちは どうでも良い。

ついでに誤解されない様に言っておく。

私は確かに百合だが、ロリでは断じて無い!

 

「どんまい。それと、力説乙w」

「…うっさい。」

イビルアイは1人掛けの席に着いていて、仕方無く、私はティナの隣に座るのだった。

 

「おや? 此処はルクルット、アナタが彼女に優しく声を掛けてみると思ったのですが?」

「珍しいのである。」

「いや。彼女は真性だから、俺には無理だ。」

「それは…神に仕える者として、正しき道を、諭すべきなのでしょうか?」

おい、聞こえているからな?

それから、正しき道だと…?

笑止! これこそが私の正道…否、王道だ!

 

 

◆ティアside・了◆

 

≫≫≫

 

◆アルシェside◆

あの双子のティアさん…凄く、よく分からないけど、あの人からは兎に角 危険な雰囲気を感じたので、バスの中に入ると私とニニャさんは直ぐ、席を共にした。

ニニャさんも あの人から、私が感じた()()を感じ取ったみたい。

前の席にはナーベさんとタニヤさんが居るし、多分安全だ。

このバスというのは、一言で言えば、馬の無い巨大な馬車。

…馬が居ない時点で、馬車という表現は少し変だけど。

その御者席?に着いたマカロンさんが、少し大きな(リング)を握ると、バスが動き出した。

 

「「「「「おおぉっ!」」」」」

…男性陣、少し騒ぎ過ぎ。

 

≫≫≫

瓦礫の上を、信じられない速さで走るバス。

この悪路なのに、全く揺れを感じさせない。

 

「速ぇーっ!」

「ひゃっはーっ!」

「パねぇーっ!」

「…である!」

…ヘッケラン達は単に、窓からの景色が凄い速さで流れるのに興奮してるみたいだけど、これが本当に凄い事だって、気付いてないのかな?

そう思いながら、私も硝子窓から外を見てみると、沢山の骸骨(スケルトン)やゴーレムが瓦礫を片付けていて、その部分は綺麗な更地になっていた。

 

「ああ、アレは今度、魔導国が この荒れ地に色々と施設を作る事になったらしいな。」

教えてくれたのは、タニヤさん。

 

「……………………………。」

タニヤさんはマカロンさんの御友人で、その幼い見た目からは想像が出来ない程な、強力な魔法詠唱者(マジック・キャスター)だそうだ。

マカロンさんの友達というだけで、単なる子供じゃないのは解る。

…………………………………………。

どれ位…強力な魔力を秘めているのかな?

フールーダ老師(センセイ)と同じ位?

少しだけ…確かめても良いよね?

 

 

◆アルシェside・了◆

 

≫≫≫

 

◆まろんside◆

「マカロンさん! アルシェさんが! アルシェさんがっ!?」

……?!

いきなり運転席の後ろから、ニニャの絶叫が。

 

キキィッ!

 

「ん? どうかしたのか?!」

慌てて車を止めて、後ろを見てみると、

「お、おい、小娘、大丈夫か?

このバス、窓は開かないのか?!

と、とりあえず この、ビニール袋に!」

「ぅ…ぅうう…」

……………………………………。

何だか凄い青い顔をしたアルシェが、谷屋とニニャに、介抱されていた。

 

「…………!!? ぅんぷぷぷっ?!」

あ、アルシェの頬が、カエルの様に膨らんで…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んぷぷっ?!…おろおろおろおろ~~…」

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≫≫≫

「ご…ごめんなざいぃ~!」

「…すまない。気配りが足りてなかった。」

そう言いながら、アルシェに酔い醒ましの(ポーション)を渡す。

バスは揺れを感じさせないからと、軽くみていた。

やはり、車に弱いとかの体質って有るよな。

この世界、こんなバスなんて無い…馬車で こんな瓦礫を進むなんて絶対に無いだろうから、自覚が無いのも無理は無い。

 

「ゔゔ…本゙当゙に゙、ずびばぜん゙…」

「いや、俺のミスだから、気にするな。

本当に、すまなかった。」

「ぅ…ううぅ…」

今にも泣き出しそうな顔で、如何にも自分が悪かった様に俺に謝るアルシェだが、年頃の女の子に それなりな人数の前、しかも男も多数居る中で、あんな恥ずかしい思いをさせたんだ。

谷屋が渡したビニール袋の お陰で、最悪な大惨事だけは どうにか免れたが、これは誰が どう考えても俺が100パー悪い。

 

「…………………!!?」

だからナーベラル。そんな「この鈴虫の分際で、まろんお義兄さまの手を煩わせて…万死!」…みたいなキレ顔芸は、辞めてやれ。

 

「他の皆は、どうだ? 大丈夫か?

今からでも酔い止め、飲んどくか?」

 

 

◆まろんside・了◆

 

▼▼▼

 

◆ラキュースside◆

今回の調査の為の遠征初日、私達の常識では信じられない位な距離を進んでしまった。

このバスというマジック・アイテム、どうやって入手したのかマカロンさんに聞いてみたけど、『それは教えられない。それに、仮に手に入れたとしても、コイツを動かすには、免許が必要だ』と言われて、結局は教えて貰えなかった。

…『メンキョ』って何?

 

「よし、今日は此処でキャンプだ。」

法国都市跡の瓦礫地帯を越えて、平野を走る様になって数刻。

日も すっかり暮れた時に マカロンさんは そう言って、また"きゃびねっと"からアイテムを取り出す。

それは掌サイズのカプセルだけど、それを地面に軽く放り投げると、それは

 

ぽんっ!

 

…と小さな爆発音と共に、白くて濃い煙を吹き出し、周囲は真っ白な空間に。

その煙が消えた時、其処には

「「「おぉっ?!」」」

「「わぁ~♪」」

「「ほぅ?」」

「へぇ…?」

半球型の大きな小屋が目の前に出来ていた。

大きな小屋…形容詞が相殺してるとか、そういう指摘は拒否するわよ。

 

≫≫≫

「…もうちょっと部屋の振り分けは、捻って欲しかった。」

「いや、妥当だろ?」

「お前は何を、言っているのだ…」

各自に割り当てられた部屋に入ると、ティアが早速ぶーたれる。

因みに部屋割りは…

 

・私達、蒼の薔薇の5人

・タニヤさんナーベさんイミーナさんアルシェさんニニャさんの5人

・マカロンさん含む、残りの男性達

 

…だ。

部屋自体は結構 広いから、5人一緒でも狭くは感じない。

ティアは単に、ナーベさん達と同部屋じゃないのが不満なだけ。

お馬鹿には付き合ってられないから、今夜は もう寝るわ。

 

 

◆ラキュースside・了◆

 

≫≫≫

 

◆イビルアイside◆

正直、今回の遠征は このバスの お陰で今の処、かなり楽と言って良いだろう。

 

ドガアッ!

 

『ぎゃんっ!?』

都市跡を抜け、野良のモンスターが徘徊する地域(エリア)

モンスターと遭遇したとしても、今みたいにバスの超スピードからの体当たりで、事無きを得ているのだ。

モンスターとの戦闘が無いだけで、旅の安全性は跳ね上がりだ。

尚、その直撃を受けたオーガは、見ない事にしておく。

そうしている内に、スレインの国境を越え、バスは砂漠地帯に入る。

瓦礫の上とは別の意味で、進むのが困難な筈の砂地も、平然と進むバス。

しかし、その快適な旅も、終わろうとしていた。

 

「最初の目的地の町も近い。

このバスは悪目立ちするからな。

この先は、馬車だ。」

そう言うとマカロンはバスを"きゃびねっと"に収めると…本当に便利な魔法だな!?…代わりに大型の馬車を4台、出してきた。

馬は勿論、御者要らずのゴーレム製だ。

 

≫≫≫

「ほう? 砂漠を越えてきたのか? ようこそ客人。」

その後も、大した厄介事も無く町の関所に。

マカロンが魔導国の冒険者認識証(プレート)を見せると、意外にも あっさりと通る事が出来た。

王国の入国審査とは、エラい違いだ。

 

「う、わぁ~…」

「こ、これは…」

「…おい、余り周囲をキョロキョロ見回すな。」

「わ、悪ぃ…」

「ごめんなさい…」

全く、余所者丸出しな真似は、勘弁して欲しいな。

 

「しかし…」

「思ったよりも…」

「…普通?」

だから、回りをキョロ見するのは止めろと言っているだろうが!

…って、ラキュース! お前もか?!

確かに、南方について何の知識も無い、歪曲した噂しか知らない者からすれば、意外だろうがな。

黒髪黒目と、砂漠地域だからこその、少しだけ日焼けした肌。

服装は男女共に、暑い地域だからか肌の露出が多いが、決して卑猥な訳では無い。

小さな子供(♂)なんて、上は何も着ていn

「尊い。(*゚∀゚)=3 ハァハァ♡」

ぉ、おい、早くティナを縛れぇっ!?

 

「ん~?んんんっん!?」

…町並みも土壁の建物が目立つが、煉瓦造りの建物が無い訳ででも無い。

それ等を踏まえても、王国と然程な変わりは無いからな。

 

「ん! んんんん~んっ!!」

 

≫≫≫

「へぇ? 浮遊大陸(エリュエンティウ)…ねぇ?」

「そうだ。些細な事でも良い。

何か、知らないか?」

そして情報集め。

町の冒険者組合の様な場所を教えてもらい、其処の組合長(マスター)を訪ねると、

「教えてやっても良いが…」

何だか勿体振った、嫌味染みたニヤケ顔で話してきた。

 

「何だ? 金が欲しいのか?」

「違うよ、お嬢ちゃん。」

タニヤが幼女とは思えない、鋭い顔付きで問うが、このオッサンは更にニヤケ度を増し、

「俺が原因(教えた事)で人死にが出たら、寝付きが悪くなるだろう?」

そして、この台詞。

 

「成る程。つまりは実力を示せ…そう言いたいのか?」

「おっと? そっちの兄さんは、話が早いねぇ。」

続けてのマカロンの言葉には、不敵な笑みで返してきた。

 

「それで? 何をすれば良い?

此処等近辺を荒らしている、盗賊団でも捕まえろとでも言うのか?」

「いやいや、もっとシンプルだよ。…スパイク!」

「ぐぅごぉおっ!!」

…………………!?

組合長の呼び掛けで、雄叫びと共に姿を見せたのは身長2㍍超えの巨漢!

筋骨隆々が丸分かりな、ビチビチな黒のボディスーツを着て…って、それ、ビチビチ過ぎるだろ!?

ちん〇゚の大きさ形も、丸分かりだぞ?!

 

「「「う…ぅ~ん…」」」

 

パタン…x3

 

「ら、ラキュース?」

「ニニャ?」

「アルシェ~~っえ!?」

ほ、ほら見ろ!? 耐性の無いのが 挙って気を失ったじゃないか?!

 

「成る程。確かに分かり易い(シンプルだ)。」

 

ピキパキ…

 

そんな中、拳を鳴らしながら、マカロンが前に出る。

しかし確かに、分かり易いのは分かり易い。

あのオヤジ、『浮遊大陸について知りたいなら、せめてコイツを倒せる位の強さが必要』って言いたいのだろう。

 

「マカロン、任せて良いのだな?」

「勿の論だ。」

私の振りに、余裕な どや顔で応えるマカロン。

 

「そんな訳で、決め技(フィニッシュ)は何が良いかな?」

「フランケン!」

「垂直ブレーンバスター!」

「いやいや、此処は やっぱりジャーマンでしょう!」

「私は、北●神拳(ほ●とのけん)だな。」

「アロガント⇒神威を見たいです。」

何だ? 知らない技名ばかりなのだが?

まあ、不安は欠片も無いのだが。

…とりあえず、殺すなよ?

 




 
①ウ・スイホ・ン…昔に転移してきたプレイヤーが世に伝え広めたとされる、男性専用の娯楽誌。
しかし女性には、その存在は知られてない筈なのだが…?
 
②死亡ルートは回避したけど、やっぱり宿命には抗えないアルシェたんwww
 
③スパイク…尖角様(るろ剣)のイメージで
 
≫≫≫
 
◆次回予告◆
 
◆まろんside◆
南方の町に、到着した俺達。
その町の冒険者組合にて、『浮遊大陸・エリュエンティウの情報を得たいなら、それに見合う最低限の実力を見せろ』と言われてしまった。
そのテストとして組合が出してきたのは、スパイクという大男。
そして それと対するのは…俺!
 
次回『スピード・スター☆スパイク!(予定)』
乞う御期待! 掛かってこいや! この とん〇りコーン!
 
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