ユグドラシル最終日、余所のギルド拠点で談笑中、現実世界の方で寝落ちしてしまいました   作:挫梛道

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『キング・クリムゾン!』
 


エリュエンティウ

◆イビルアイside◆

バスは砂漠を進む。

 

「オラッ!」

 

グシャアッ!

 

『ぐきゃぉわっ!?』 

…時折、襲ってきたモンスターにヒキニゲ・アタックをぶちかましながら、バスは砂漠の ど真ん中を目指し、ひたすら進んで行く。

それなりに強力なモンスター。

成る程。冒険者組合のオヤジが浮遊都市への道筋を教えるのを渋っていたのも納得だ。

しかし、バスの巨体、それに伴う超重量。

それが猛スピードで突進するのだ。

 

ドガァッ!

 

『キュェエーッ?!』

多少なり強めのモンスターでも、瞬時にバラバラ、肉塊だ。

 

≫≫≫

そして辿り着いたのは、遥か過去に繁栄していたであろう…今は崩れ落ち、砂に埋もれた廃墟。

その上空には、巨大な浮遊都市エリュエンティウが浮かんでいた。

 

「「「「「「「「………………………。」」」」」」」」

それを見上げた私を除く全員が、言葉を失ってしまう。

まあ、無理も無い。

初見からすれば、それだけ壮大な光景だろうからな。

事実、私もアレを初めて見た時は、あんな感じだったからな。

 

「「「…………………………。」」」

意外なのは、マカロン、ナーベ、タニヤ。

最も動じそうにない この3人が、アレを見て感動しているのか?…体をふるふると震わせているのだ。

 

「「「こ…」」」

…こ?

 

「「「これが…ラピュ〇…」」」

「…ぢゃ、ねえよ。」

…この3人の、声を揃えての呟きに つい、ツッコミを入れてしまった。

謎の使命感とでも言うのか?

理由は解らないが、兎に角その発言に対して、そう言わないとイケない…そんな気がしたのだ。

とりあえず、ラピ〇タって、何なのだ?

 

「いや、すまない。

何故だか知らんが、アレを見た瞬間に、そう口ずさまないとイケない…そんな気がしたんだ。」

「私も同じくだ。」

「みー、とぅ。」

「………………………………。」

もう、良い…

 

≫≫≫ 

「………………………………………。」

「イビルアイ、どうかしたのか?」

「いや、何でも無い。」

「??」

ふっ…らしくないな。

約200年振りか。アレを見ている内に、余りの懐かしさからか、ついつい ()()()を、思い出してしまった。

  

「…で、どうするんだ?

一応は、アレの実在の有無の確認だったのだろ?

だとしたら、今回の調査は、これで終わりな筈だが。」

「いや、更に ()()()が有るか…

それが、最終だ。」

「成る程な。それじゃあ、誰が行くのだ?」

「とりあえず、《飛行(フライ)》が使えるヤツ、挙手。」

 

≫≫≫

「強力な結界だな。」

「破れませんか?」

「いや…恐らくは、アレは無理だな。」

「ああ。それに それこそ、今回の俺達の仕事じゃない。」

「………………………。」

エリュエンティウ迄 飛んだのは、私と先程に意味不明なボケをかました3人。

しかし、結局は都市への上陸は叶わなかった。

浮遊都市は超強力な結界で、全体が覆われていたのだ。

…知っていたけどな。

ナーベが「結界を破れないですか?」とか言ってきた事に対して、マカロンとタニヤが消極的だったのは幸いだ。

あの結界…あれを抜けられるのは、()()()だけだった。

…理由は結局、分からない儘だったがな。

そして仮に、本当に結界を破ったりしたら どうなるか…

下手をすれば、()()()()()()()()()()()が…

…そんな最悪な展開だけは、回避出来たと言って良いだろう。

私が余計な口出しをする必要が無かったのが、特に良かった。

下手に喋って、『何で お前が そんなの知ってんだ?』な展開にならずにな。

 

「どうする? もう帰るか?」

正直な話、ボロを出す前に此処からは早く おさらばしたい。早く帰りたい。早く帰ろう。はりーはりー。

 

「もう少し、都市の上側の情報も欲しいのだけどな。」

「浮遊都市の更に上に浮かぶと言われている、城の事ですね。」

「天空城。…寧ろ、その存在の確認こそが、今回の遠征の本命だろう。」

まだ、調べるんかい!?

それも確かに存在してるよ!…言わないけどな!

しかし我々の《飛行(フライ)》では、この高さが限界だろう?

  

「それなら もっと、上に上がれば良いじゃないか。」

え゙?! タニヤ…お前、更に上に飛べるのか?

 

「それじゃ ちょっと、行ってくる。」

「お気を付けて。」

「行ってら~♪」

  

ヒューン…

 

…………………………………………。

 

 

 

◆イビルアイside・了◆

 

▼▼▼

 

◆まろんside◆

「まろんサン、谷屋さん、お疲れ様です。」

南方の調査は終了。

帰りは その場で転移門(ゲート)を開いてエ・ランテルに直帰だ。

先ずは、冒険者組合(アインザックさん)に詳細を説明。

蒼の薔薇、漆黒の剣、フォーサイトに其々 報酬を渡し、今は谷屋と一緒に、モモンガさんに現地での報告をしていた。

 

「…成る程、結界ですか。」

「ああ。無理矢理に壊したりは控えたが。」

「それは賢明でしたよ、谷屋さん。

アレの中に どんな存在が居るのか、まだ分かった物じゃないですからね。」

「居るとしたら、八欲王のNPC…だな。」

「下手に結界を破ったら、其等が外に出て騒ぎを起こす可能性…」

「はい、そうです。」

確かに八欲王のシモベだ。

DQNプレイヤーの創ったNPCなら、やはりDQNの可能性は凄く高い。

 

「…それを踏まえた上で、これからは どうする心算なんだい? モモンガ君。」

「そうですね…」 

その後も3人…と、アルベド、デミウルゴスも呼んで一緒に話し合い、その結果、八欲王絡みなら その辺りに詳しい現地民…八欲王とは浅からぬ因縁の持ち主、ツアーなら色々と知っているかも?…という事で、アーグランド評議国に引き籠っている竜王に聞いてみる事にした。

 

 

◆まろんside・了◆

 

▼▼▼

 

◆ツアーside◆

アインズから【すまほ】で連絡を受けた。

曰く、エリュエンティウについて、色々と聞きたい事が有るそうだ。

また、えらく急だなぁ。何が有った?

そういう訳で また、仮初めの身体として、竜鎧を魔導国に向かわせる事に。

 

≫≫≫

アインズに、『エリュエンティウ関連なら もう1人、連れてきて良いか?』と尋ねると、問題無いと言われたので、そっち系の事情に詳しい知り合いにも、魔導国に付いて来てもらった。

首都エ・ランテルの中心部に聳え立つ魔導王城。

出迎えてくれた執事さん(絶対に凄い強い)に案内され、()()と一緒に会議室の様な部屋に。

其処にはアインズの他に まろんと…幼女?

しかし、その小さな体から感じられる力は只者じゃないのが解る。

間違い無く、この子も ぷれいやーだ。

それと、アインズのシモベの女悪魔。

 

「おや? ツアー氏の お連れとは、やはり貴女でしたか。」

「ああ、アンタとは この前振りだねぇ。」

そして、もう1人。やはりアインズのシモベの、眼鏡の悪魔が。

彼と彼女は1度、私の住み家で顔を会わせているので話が早い。

 

「そちらの悪魔さん以外は、初めましてだね。

名乗らせて貰うよ。私はリグリット・ベルスー・カウラウ。

昔々、十三英雄と呼ばれた事もある。

…それは この中身からっぽ鎧(すっからかん)も、だがな。」

「「「「「………………!!」」」」」

"十三英雄"という言葉に、皆が鋭い眼で此方を見てきた。

…って、言い方ぁっ!?

リグリット、お前は まだ、根に持っているのか?

本当に いい加減、勘弁してくれよ…orz

 

 

◆ツアーside・了◆

 

≫≫≫

 

◆リグリットside◆

「ほう…結界を壊さなかったのは、正解だったね。

エリュエンティウには、八欲王の従属神が まだ住んでいるんだよ。…魔神化してね。」

「「「…………!?」」」

ふむ。『魔神』の言葉に、この場の者の目付きが変わったか。

 

「魔神とは、アレの事だな。六大神のNPC。」

「主である六大神が死に、それに絶望して自我を棄て、モンスターの様に世界を荒らし回ったと云う…」

「そう、十三英雄(わたしたち)の伝承に有る、()()さね。

そしてエリュエンティウにも、八欲王の えぬぴーしー?…従属神の事で良いんじゃよな?

連中が恐らくは同じ様な理由で、魔神化してるんじゃよ。

そうさね。数にして約30…位かねぇ。

幸いなのは、浮遊都市の結界の お陰で、奴等も外に出れない事だね。

…でなきゃ、この世界は疾うの昔に滅んでいるよ。」

「…えらく、詳しいな。」

「如何にアナタが、十三英雄の1人だったとしても…だ。」

「…まるで結界をすり抜けて、中の様子を見た事が有る様な、そんな口振りですね?」

「どういう事かしら?」

「…………………………………………。」

ほう? 中々に鋭いね。

黒髪赤眼の男…コイツが最近 何かと有名な、マカロン・シング・サガだね?

それに金髪の嬢ちゃん、そして眼鏡の悪魔に女悪魔が、私がエリュエンティウについて少し話すと、それを()()()()()()()()()()方に喰い付いてきた。

骸骨(アンデッド)…魔導王は何も言わず、か。

 

「ああ。アンタの言う通りさ。

仲間の1人に、結界の一部に、一時的に穴を空ける事が出来たヤツが居てね。

それで何度か、エリュエンティウに入っては、有用なアイテムを拝借してたんだよ。」

 

ガタッ!

 

「 八欲王のアイテムだと!?」

あ、魔導王が喰い付いた。

 

 

◆リグリットside・了◆

 

≫≫≫

 

◆デミウルゴスside◆ 

…ふむ。

とりあえずはアインズ様が望んでいらっしゃる、静かな日常の為には、その八欲王の魔神(シモベ)とやらは、排除が必須。

今は結界の中に閉じ込められているとしても、それが何時迄も…という確証は無いですからね。

そして それは、浮遊都市の結界の中で完遂する必要が有る。

その為には、結界を壊すでなく、このリグリットやツアーが…正確には、当時の仲間とやらが そうした様に、先ずは結界を通り抜けなければならない…と。

 

「リグリット、ツアー。

アナタ達は、結界を通り抜けという者のチカラについて、心当たりは無いのですか?」

「うむ。例えば()()()が ぷれいやーだったとかなら、直ぐに納得も往ったのだがねぇ。」

「リーダー、普通に両親が居たからな。」

ほう? リーダー…ですか。

 

「アナタ達を纏めていたのです。

余程の実力者だったのでしょうね。」

「そうだねぇ。確かに、アイツは強かった…強くなった。」

「最初は我等の中で誰よりも弱かったのに、驚異的なスピードで成長して、何時の間にか誰よりも強くなっていた。

気付けば、我等の先頭に立っていた。」

私はアナタ達の昔話には興味有りませんが…それでも今の台詞の中、興味深い言葉が有りましたね。

…成る程、そういう事でしたか?

まだ、仮説の域を越えていませんがね。

 

≫≫≫

「…と、いうのが、私めの考えに御座います。」

「成る程。確かに それなら結界を越えたり、中のシモベが襲ってこないのも、辻褄が合う。」

「実際、それが正解じゃないか?」

アインズ様、まろん殿、谷屋殿は、私が説く仮説に納得、賛同して下さりました。

件のリーダーなる人間…その者は、八欲王の血を継ぐ者。

それが、私の仮説。

八欲王の血が、浮遊都市の結界をすり抜け、中のシモベ達も それに気付いたからこそ、己の主の血筋に攻撃する事も無い。

仕舞われている稀少アイテムの持ち出しにも、何の文句も言わない。

 

「確かに。その発想は、無かったねぇ。」

「言われてみれば…だな。

私達は単に、タレントで片付けていたからな。」

竜王とリグリットなる人間も、私の説を推してくれるみたいですね。

 

「しかし それじゃ、もう手詰まりだね。

既に八欲王は滅び、今は その血も途絶えている。

…そうだよな、ツアー?」

「……………………………………………。」

何か、含み有る発言ですが、今は関係無いですね。

 

「いや、八欲王の血なら、まだ残っている。

しかも2親等(マゴ)と云う、かなり濃い血筋がな。」

「「あ…」」

「それじゃ、第5階層(コキュートスん処)に行くか。」

さすアイ! さすまろ!

初めの少しを話しただけで、全てを理解…いえ、私が頭に描いている、更に先を見据えておられる!

ツアーとリグリットも、以前に少し話をした、()()の存在を思い出したみたいですね。

 

「…の、その前にツアー、1つ、聞いて良いか?」

「…何かな?」

…その様な訳で、第5階層へと足を運ぼうとした時に、まろん殿が竜王を呼び止めます。

  

「お前…以前にロクとかハチとかジュウサンとか話した時に、自分が その十三英雄の1人だったとか、言わなかったな?

…それは、何故だ?」

「うっ!?」

「ついでに、コッチの婆さん…他にも まだ、十三英雄の生き残りが居るとかもな…!」

「ぅううっ?!」

「もっと ついでに言えば、その時に八欲絡みで浮遊都市…結界とか魔神とかの事も詳しく話してくれていたら、今回の調査は ぶっちゃけ必要無し。

いきなり本番(ガチ)なメンバー編成で、終らせていたかも知れないんだぞ?」

「確かに、まろんサンの言う通りかもな。」

「うっうっうっ?!!」

まろん殿の問い詰めに、アインズ様も同調。

完全に竜王は言葉に詰まっています。

 

「さぁ、どういう事か、説明して貰おうか。

場合によっては本体(オマエ)の所にモモンガさんと、ついでに谷屋、更にはマサトやシャババさんも一緒に凸する事になる。」

「……………………!!!!?」

 

ガバッ…!

 

「待って下さい!

話を聞いて下さぁーい!!」

 




え? まろんvsスパイクは、どうなったと?
前書きに有ったでしょ? そんなの勿論、キンクリですよ(笑)。
決着? スパイクのモデルは尖角(るろ剣)。
つまり、床に突き刺さり易い骨格(あたま)してますから…まぁ、察して下さいw
 
≫≫≫
然り気に公表、マカロンの(現地)フルネーム。
因みにユリは、ユリ・アルファ・サガ。
元は まろんの本名(リアル・ネーム)瑳峨(さが)久利(ひさとし)から。
 
≫≫≫
十三英雄のリーダーは、ブレイヤー説が一般的らしいですが、この小説では八欲王の子孫という設定にしていきます。
考察では蘇生復活(…に伴いレベルダウン)&改心した、八欲王本人説とかも有りましたが…
  
≫≫≫
 
【前話の補足】
谷屋ちゃんの魔力は、モモンガさんと同等。
ついでに まろんの魔力は、フールーダと同等やや上と思って下さい。
つまり、アルシェちゃんは まろんの魔力を視ても、「凄っ!?何これ?(すっご)?!」…な程度で済んでいたのです。
 
 
ま「さあ、そういう訳で、このビニール袋(真空パック処理)に入ったアルシェの■■、銀貨10枚からスタートだ!」
谷「…お前は何をやっているのだ?」
 
 
▼▼▼
 
【次回予告】
 
◆???side◆
あら~…モモンガさんと まろん、マジに怒ってるな~。
まぁ、それも仕方無いかな?
この2人、普段から報連相を大切にしていたからね、解ります。
さ・て、それで、ツアーだったっけ?…どうする?
こうなったら姉ちゃん位にしか、あの2人は鎮められないぞ?
…って、え?
『あの部屋』、使うんですか?
確かに そっちの世界、クソ運営の管轄からは外れてるだろうけど、マジ?
あの部屋を創った俺が言うのもアレだけど、アナタ達の血は、何色ですか?
 
次回『ツアー、竜生(じんせい)最大の危機!(予定)』
乞う御期待! ツアー…どんまい!
それから…アルシェちゃんの■■に、白金貨300枚!
 
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