ユグドラシル最終日、余所のギルド拠点で談笑中、現実世界の方で寝落ちしてしまいました   作:挫梛道

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【前回の あらすじ】
巨大アンデッドが現れた!
警備兵達は逃げ出した!
 


Black & Gold

◆まろんside◆

「か、銅級(カッパー)

おい、悪い事は言わん!アンタ達も逃げろ!」

共同墓地に来た早々、俺達の認識証(プレート)を見た警備兵が逃げろと促すが、

「逃げる…だと? それでは私達が何の為に この場に来たか、分からんではないか。」

 

ザッ…

 

「はぁ?!」

「お、おい、聞いてんのか?!」

「あれは、並の化け物じゃないぞ!?」

モモンガさんは それを、ガン無視で前に進む。

 

「並の化け物じゃない…?

オマエ達螻蛄(ケラ)からすれば そうかも知れぬが、私達を同じ尺で計らないで貰おうか。」

認識証(いろ)だけで、人の実力を判断するなという事だ。」

「…で、御座るよ。」

「しゃ、喋った?…ぃゃ、じゃなくて おい、話聞けよっ!?」

そして それに俺達も続く。

 

『ガァァッ!』

「「ひぃぃえっ?!」」

そんな やり取りをしてる間も、超巨大合体スカルゾンビ…とでも命名すべきか。

そんな巨大アンデッドが、墓地の外壁を破壊して外に出ようとするが、

「ふんっ!」

 

ぶぅんっ!

 

それに対してモモンガさん…モモンが背負っていた大剣(グレート ソード)の1本を、敵に投擲。

 

どっすん…

 

それは見事に命中。

頭部に剣をぶち込まれたアンデッドは、後方に倒れ込む。

 

「どうせ、危険だからと正面扉は開けてくれないのだろ?

ならば上から行くぞ! マカロン! ナーベ! ハムスケ!」

「応!」

「はい!」

「承知で御座る!」

 

タタタタ…

 

唖然とした兵士の前を通り過ぎ、壁脇の外階段を駆け上がるモモンの後を追い、俺達も走る。

 

「我々は…伝説の始まりを見ているのかもな…」

「黒と、金の戦士…」

呆然な間抜け面を晒しているであろう、番兵達の呟きを背で受け止めながら。

 

 

 

≫≫≫ 

「でぇい!」

 

斬!

 

「哈っ!」

 

バキッ!

 

「《雷撃(ライトニング)》!」

 

カッ!

 

防壁の天辺から飛び降り、アンデッドの群れに飛び込んだ俺達は、迫る亡者を…さっきのモモンガさんの一撃で、合体アンデッドが またバラバラの個体に分離して、"数"で迫ってきているのを蹴散らしていく。

 

「行くぜ!」

  

バチ…バチ……シュタッ!

 

右脚に、雷撃属性の魔力を付加(チャージ)させて!…か~ら~のぉ、

稲妻キィーーーーーックゥ!!

 

ドゴォン!

 

急降下の蹴り技!!

胸元直撃のスケルトンは この一撃で粉々に、更には その余波で、周囲に直径約5㍍のクレーターが出来上がり、その範囲内に居たアンデッドも全て吹き飛ばされ、再び物言わぬ屍となった。

しかし俺の攻撃は、それで終わらないい!

 

「…もう、番兵なんかも全部 逃げ出して、街の人間は居ないな?」

 

かぱ…

 

 

  

◆まろんside・了◆

 

≫≫≫

 

◆モモンガside◆

まろんサンが自分の頭を両手で持ち上げ、身体から首を取り外した。

まろんサンは首無し騎士王(デュラハン・ロード)だから、それは別に珍しくない。

 

「ひ、ひぇえ~っ!?くくく、首が、もげたで御座るよ~?!」

まあ、知らない者からすれば、ホラー案件に違いないだろうけどな!

これはユグドラシルでの戦闘時、まろんサンが本気を出す時の儀式(ルーティン)みたいな物だ。

曰く、『何だかパワーアップする気がする』だとか。

実際には、そんな事は無いけどな!

 

「一気に片付けてやるぜ!」

ガクブルとなったハムスケを無視して、肩の高さで浮遊している(まろんサン)が、大技宣言。

 

ス…

 

未だ帯電している足下に、まろんサンの頭が静かに降りる。

 

「吹き飛べっ!」

そして、まろんサン…だけで無く、俺達の無双の表現が相応しい攻めを見ても、恐怖と言う概念の無い、押し寄せるアンデッドの集団に狙いを定めると、紫電を纏う黄金の右脚を大きく振り上げ、

「ライトニング・タイガー・ショット!!」

 

ゴォオオオッ!!

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!

その際、脚に残っていた雷撃の魔力は全て頭部に移行(チャージ)され、雷電弾となった(まろんサン)は、その軌道に居るアンデッドを全て破壊しながら突き進む。

 

「「ええぇえ゙ーーーーーっ??!」」

まさかの己の頭を蹴り飛ばす攻撃に、大声を上げて驚くハムスケ、そしてナーベラル。

まあ、普通は驚くよな。

俺も まろんサンの今の技、初めて見た時は凄く驚いたし。

 

「あ…アレはマカロン殿は…自分は痛くないので御座るか?」

…知らん。

 

≫≫≫

「此処か…」

…先に行っておくが、アンデッドの大群を蹴散らしてたのは、まろんサンだけじゃないぞ?

俺やナーベラルも、きちんと仕事、していたからな!

そして墓地の最奥の霊廟に辿り着いた俺達は、ハゲと おっぱい 痴女から聞いた情報に従い、隠し階段から地下へと降りる。

この先が悪の秘密結社(笑)ズーラーノーンのアジトか。

尚、ナーベラルとハムスケは、外で待機だ。

   

「む? あ、あやしいやつ!なにものなのですかー、おまえたちわっ?」

「「…………………………。」」

その先の、『如何にも怪しい儀式します』って感じの部屋。

其処には、10人位かな? フード付きローブを着た人間達が、床に蹲っていた。

そして もう1人。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が。

ご機嫌そうに尻尾を振り振りさせながら、何故か無感情な棒読み口調で、俺達に話し掛けてきた。

悪いが、お前が一番怪しいと思うぞ?

 

「くそー、もしかしたら こいつらの なかまですかー?

これは、かてそうにありませんねー。

あなたたちから かんじる つおさは、じんじょーじゃーありません。

そんなわけで、わたしは かえらせていただきます。

転移門(ゲート)》…あ。そうそう、そのまえに。

自由にして良し…それでは、失礼…あでゅー!」

 

ス…

 

「「…………………………。」」

そう言うと デミウルゴス 謎の仮面の男は、転移魔法で此の場を去って行った。

 

「アイツ…もしかして俺達が来るの、待っていたのか?」

「…多分?」

少しだけ、唖然としたが、直ぐに気持ちを切り替え、

「「「「ぅ…」」」」

呪言の縛りが解けた、ズーラーノーンの面々に目を向けると、まだ恐怖が抜けてないのか、強張った表情の儘、起き上がってきた。

 

「な…何だ、お前達は?」

「冒険者か?」

そして俺達を見ると、自分達を捕らえにきた冒険者だと思ったか、身構えてきた。

まあ、正解だけどな。

 

「な…何だ、冒険者と言っても銅級(カッパー)じゃないか!」

「驚かせやがって!」

しかし、俺達の認識証(プレート)を確認した途端、安心したかの様な笑みを浮かべてきた。

ん。舐められてるな。

コイツ等も他人の力量を、外見でしか測れないバカ達か。

 

≫≫≫

「「「「「んんんん~~~~??!」」」」」

結果からすると、こんな連中に俺と まろんサンが梃子摺る訳も無く、あっさりと全員捕縛した。

しかし、この世界の人間は、本当に他者を外見でしか判断しない者が多いな。

身なり服装で、その人物の品性を窺うのは問題無いが、危険の中の活動を生業とする者が、認識証(こんなの)でしか判別出来ないのは、他人事ながら、戴けない。

 

「本当に早い内、昇格する様な大手柄を立てないと いけませんね。

何時までも、認識証(プレート)だけで判断されるのは…

せめて、ミスリル位には、上がりたいですね。」

「…ですね。でも、そんな上手い話、そうそうと有ったりしませんよね。」

「ですよねー。」

 

尚、この後、改めて衛兵が大勢が駆け付けてきたが、遅いっての。

もう、全部 終わらせた後だよ。

また まろんサンが心の中で絶対、『無能』『役立たず』『税金泥』とか思ってるよ。

ただ、あのアンデッドの大群だけで無く、ズーラーノーンのアジトを暴き、その構成員を俺達3人+1匹が捕らえたと話すと、それを聞いた連中は盛大に驚いていた。

街中から離れているから良いが、今は まだ、真夜中だからな?

とりあえず、ズーラーノーンは兵士達に引き渡し、一応、この場から逃げていった()()()()()の事も、教えておいた。

あの自らの登場…本当に、何を考えている?

今回は俺達に、悪の軍団を抑えさせ、実績を作らせるのが目的じゃなかったのか?

まあ、ナザリック随一の知恵者の行動だから、後々に意味が出てきそうだけど?

 

 

 

 

≫≫≫

 

カラン…

 

「お…」

「あれは…」

「アイツ…いゃ、あの人達が…」

数日後、冒険者組合の扉を開け、中に入ってきた俺達に注目が集まる。

 

「漆黒の剣士モモン!」

金色(こんじき)の闘士マカロン!…そして、美姫ナーベ!」

「あれが、ミスリル級冒険者チーム…」

「【ブラック&ゴールド】…!!」

そう、俺達は あの騒ぎ…大量アンデッド撃破とズーラーノーン拠点壊滅の功績により、銅級(カッパー)から一気にミスリル級にまで昇格(ランクアップ)してしまったのだ。

俺達は全く そうは感じなかったが、実は あのズーラーノーンという組織は王国だけで無く、近隣諸国からしても、かなりな規模、要注意な犯罪組織だったらしい。

ついでに言えば、あの大量アンデッド出現も、ズーラーノーンの仕業として片付けられている。

当然、捕まった末端構成員は、否定しているが。

…でも どのみち お前等、組織として似た様な事をやらかそうとしてたんだろ?

だったら同じじゃないか。

それ等も全て、デミウルゴスの脚本(シナリオ)通りなんだろうなぁ…

兎に角、それを踏まえての超飛び級だ。

 

≫≫≫

「それでは、ブラック&ゴールド…マカロン様、宜しく お願いします。」

「ええ、此方こそ。」

「…高い報酬を払ったのですから、その分きっちりと働いて欲しいですわ。」

そして俺達は、また()()()()()に就いた。

貴族商人の娘と その御付きの執事の、エ・ランテルから王都への移動。

その護衛の仕事だ。

道中はモンスターは勿論、野盗山賊が頻繁に出没するとの事で、俺達ブラック&ゴールドに お呼びが掛かったのだ。

 

「それじゃ、行って来るぜ。」

「マカロンさん、お気を付けて。」

…と、言っても彼女達と同行するのは、まろんサン(マカロン)だけだが。

 

「………………………。」

高飛車我儘令嬢の顔が、幾分か強張っている。

 

「大丈夫です。例え山賊や野盗が襲ってきても、必ずや御守りしますよ、()()()()()()御嬢様。」

いや、()()がビビっているのは、山賊とかじゃないから。

()()とは云え、まろんサンに対して上等な態度を演じてるのに、テンパっているのだから。

…そして当人は、それに気付いていない!

本当に、貴族令嬢が野盗に対する不安な様を演じている様に思っている!

 

「それじゃ、出発しますか。

御者さんも、ヨロシクな。」

「……………。」

そうして まろんサンは、俺達と…何だか暗そうな雰囲気の御者に挨拶すると、馬車に乗り込んだ。

あ~ぁ、()()()()()()()()()()()()()()()()、無事に終われば良いけどなぁ?

 




 
次回『武技の使い手』(予定)
乞う御期待!
 
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