ユグドラシル最終日、余所のギルド拠点で談笑中、現実世界の方で寝落ちしてしまいました   作:挫梛道

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真·聖王国編③〜ゴタンダ〜

◆まろんside◆

「…そうか。よーし、分かった。

それじゃ お前に もう用は無い。とりあえず、死ね。」

「ちょ、ちょっと待って下さい!約束が違うじゃないですか!?」

「俺と お前と何時、『質問に正直に答えたら助けてやる』とかの約束をした?」

悪いがマジに、バザー(コイツ)と そんな約束をした覚えは無い。

 

「いえ、普通は そういう流れじゃないですか!?」

「亜人の『普通』を俺達に求めるな。」

聖王国の防壁攻めを、多種族連合で仕掛けていた亜人達。

その屯している場に襲撃を逆に仕掛けて、現場のリーダー格の亜人を砦舎まで拉致ってきた訳だが…

亜人を統率していた存在等、聞きたい事は一通り聞き終えたので、後は殺すだけになった時、この顔面フルボッコ、鋼綱(ワイヤー)で簀巻きに縛られ正座しているバザーという亜人は命乞いをしてきた。

 

「…必死。」

「本当に、必死ですね。」

最初に俺達の前に、姿を見せた時とは大違い。

その形振り構わぬ真剣な(なさけない)命乞いに、シズと後輩ちゃんがドン引き。

   

「ままま、待って下さい! 私を見逃してくれたならば、私の持つ宝を全て差し上げます!

いや、宝だけじゃない! 望むなら我が部族の雌を、好きなだけ差し出しまs

「シャイニング·ウィザード!!」

 

ベガァッ!!

 

「ほんげ〜っ?!」

「俺はユリたん♡一筋だし、そもそも獸姦趣味は持ってねぇ!!」

「ひぇっ?! スイマセンスイマセンスイマセン!!」

「「うわぁ…」」

いやいや ちょっと そこの2人!

そんな、汚物を見る様な目で俺を見るのは止めてくれないか?!

よし、もう良い。とりあえずコイツは殺す。マジ殺す。

 

「いや、待って! 本当に ちょっと待って!

あ、アナタ様はゴタンダさm…いや、あのゴタンダのクソヤロウと戦うのですよね?

ならば、我々山羊人(バフォルク)が、その先陣に立ちます!

我々は並みの人間よりも、遥かに強い!

きっとアナタ様の満足出来る戦果を上げてみせまs」

「いや、亜人の言う事なんて信用出来ないな。

それに亜人で無くとも、簡単に寝返りを宣言する様なヤツは、信用出来ない。」

「そ…そんな…で、でしたら、…えーと、えーと…

俺への言葉が続かなくなった亜人。

いよいよ売り込みのネタは、無くなったか?

 

ボォッ…

 

そんな亜人に対して、俺は右手に業火を纏わせて、最後の問い掛け。 

 

「レア、ミディアム、ウェルダン…どれが好みだ?」

「え゙? そそそ、それって、もしかして…?」

「…因みにネイアは、どれが好き?」

「こんなの食べません!」

 

≫≫≫

「申し訳無いが、亜人の背後に居たのがノクタネスで無いのが分かったので、俺達は此処で帰らせて貰うぜ。」

「うむ…もう少し、亜人との戦闘を手伝って欲しいというのが本音だが、仕方有るまい。」

「文句なら、アンタん処の聖王女様その他に言ってくれ。

魔導国との関わりを断ったのは、あの お花畑と腹黒と のーきんだからな。」

「……………………。」

魔導国帰還前、後輩ちゃんの父親(パベル·バラハ)に その報告を。

俺の言葉に、心底から残念そうな顔をするバラハだが、心配しなくても亜人の背後にプレイヤーが潜んでるのは ほぼ確定だから、近い内に今度は魔導国本隊…もしかしたらモモンガさん自ら出張る可能性だって有る。

それに、防壁側(コッチ)は そのゴタンダとやらに攻めを任されていたバザーという亜人は たった今 殺した事だし、此方の守りは もう俺とシズが居なくても大丈夫だろう。

 

≫≫≫

「それじゃあ先輩、お元気で。」

「ん。」

魔導国…ナザリック地下大墳墓に通じる転移門(ゲート)の前で、シズと後輩ちゃんが、別れの挨拶。

 

「……………………………………。」

「ネイア。」

「は、はい?」

別れを惜しんでいるのを全然 隠してない顔な後輩ちゃんに、シズが声を掛けた。

 

「アナタの鼻⚫で汚れたハンカチ、近い内に取りに行くから、きちんと洗っておくように。」

「は…はい!」

そして『近日中また来る』発言。

それに後輩ちゃんも、会心の笑顔で応えた。

 

「尊い。」

「尊い。」

「尊い。」

それを周囲が、温かく見守る。

ん。確かに尊ひ。

 

 

◆まろんside·了◆

 

≫≫≫

 

◆モモンガside◆

まろんサンからの報告。

現在 聖王国に侵攻を仕掛けている、亜人の集団を裏から纏めたと思わしき存在…

それは、ゴタンダという、推定だがユグドラシルのプレイヤーだと判明した。

そして そのゴタンダは今、既に攻め落している、聖王国北部と南部の境の都市に居着いているとか。

 

「元々が()()()()()()()()()なら、そりゃあ亜人が作った集落より、それよりも文化が発達しているだろう人間の都市の方に、腰を降ろすだろうさ。」

確かに まろんサンの言う通り。

そして そのゴタンダとやらが本当にプレイヤーなら、黙って見過ごす事も出来ないだろう。

あくまでも亜人として聖王国を滅ぼす迄なら、俺達としては知った話では無いが(シズの友達と その家族位は助けるだろうが)、その先…地理的に王国を、そして その先に位置する此処 魔導国に迄その刃を向けるなら、話は別だ。

そして既に評議国(ツアー)には、プレイヤーの可能性を報せている。

つまりは もしかすると、俺達が動く前に、評議国のドラゴン達が挙って動く可能性も有るのだ。

 

「まぁ、そうなれば そうで、別に問題は無いですがね。

何よりゴタンダ…でしたか?

そんな名前のプレイヤー、ユグドラシル時代で聞いた事が無いので、どの道 大した脅威じゃないでしょう。

まろんサンは心当たり、有るんですか?」

「いや、無いね。それと、そんなに恐れる必要無いというのは同意ですよ。

教えられたヤツの容姿。マッソーなケンタウロス型ってのは兎も角、頭の上に浮いてるって云う…」

「ですよねー。」

  

≫≫≫

「そういう事ならば、私としては早々に芽を摘むべきだと、提案させて頂きます。」

今度は守護者達も喚び出しての会議。

まろんサンの説明に、デミウルゴスは即座ゴタンダ討伐を推してきた。

 

「アインズ様に危害を加える…本当に その可能性が有るなら、そうなる前に さっさと片付けるべきだと思います!」

「ぼ、僕も、そう思います。」

「後手ニ回ルノハ、悪手カト。」

「殺るでありんす!」

「既に半数越え。決定ね。」

そして他の守護者達も、それに賛同。

 

「俺も、動くべきだと思うね。」

まろんサンも、そちら側の考えみたいだ。

 

「そのゴタンダは亜人というより異形種なのだろう。

そして、亜人を率いて人間の国に攻めている…

モモンガさん、つまり()()()() ()()()()()()()()()。」

この世界に転移したプレイヤーは、その今の種族(アバター)に精神が引き寄せられる。

俺も まろんサンも異形種(アンデッド)だが、まろんサンは それを自覚したからこそ、自制を利かせる事が出来た。

そして俺も、まろんサンから それを聞かされた事で、そして一時的だがアイテムで身体を人化させたりした事で、精神が人間側に偏ったのだろう、完全な異形種化を防ぐ事が出来ている。

しかしゴタンダは、それに気付かず、更には それを指摘してくれる者も傍に居なかった。

更にはユグドラシルから転移した先が、自分と同じく人外の住む領域だったのも、それに拍車を駈けたのだろう。

そういう事だ。

 

「ならば! 我々はアインズ・ウール・ゴウン魔導国として正式に、ローブル聖王国に対して亜人討伐の援護…ゴタンダ討伐に向かう事とする!

…異論の有る者は、此の場で申し出よ!」

「「「「「「「……………………。」」」」」」」

ん。誰も反対しないのは、知っていた!

 

 

◆モモンガside·了◆

 

≫≫≫

 

◆まろんside◆

あれから…話し合いは揉めに揉めた。

ナザリック勢が聖王国に出向くのは決定としたが、それにモモンガさん自らが発つ事に、アルベド以下、守護者全員が反対したのだ。

主を敵地に向かわせないとする、守護者の考えは理解出来る。

それは、モモンガさんも解っている。

しかし、相手はプレイヤーだ。

確かにゴタンダという名前は俺も聞いた事が無いし、何よりも…だが、それでもNPC(シモベ)だと どんな不測なイレギュラーが発生するか判らない。

…そんな訳で、

 

「まろん殿、アインズ様をよろしくお願いします。」 

「ああ、任された。」

 

【今回のメンバー】

・モモンガさん

・俺

・コキュートス

・セバス

・ソリュシャン

 

「それでは、参りましょう。

シャルティア、転移門(ゲート)を開いて下さい。」

「承知したでありんす。」

そして、デミウルゴス。

残りの守護者やプレアデス達は、待機だ。

 

 

◆まろんside·了◆

 

≫≫≫

 

▼▼▼

「踏ん張れぇ! 此処を越えられたら、更に被害が拡大するぞ!

それだけは、何としても食い止めるんだ!」

「「「「「「オオォオッ!!!」」」」」」

聖王国の北部と南部の境に位置する平原。

この場でも、聖王国の兵と亜人との戦闘が繰り広げられていた。

聖騎士団長レメディオス·カステディオの激に、他の騎士や兵達も咆哮で応え、亜人を討ち倒していく。

 

「ガハッ…?!」

当然、逆に亜人の手に掛かる者も居るが、戦況は ほぼ互角。

一進一退の攻防が続いていた。

現状…双方どちらか僅かな介入で、戦局が一気に覆る状況だ。

 

そこ迄だ! ニンゲン!

「「「「「「「「!!!!!!??」」」」」」」」

そして、その介入が現れた。

亜人側に…だ。

しかも それは、『僅か』という可愛らしい物で無く。

全身筋肉の表現が相応しい、オーガやトロールをも凌駕する巨体。

下半身はネコ科かイヌ科、或いは馬か牛…どの系統かの判別の付かないが、兎に角 強靭なケモノの四肢。

頭には巨大な2本角を生やし、その頭上には その頭と同じ程度な大きさの、『』の文字を象る赤い物体が、回転しながら浮かんでいる。

 

『ガアアァアァッ!!』

 

どどどどどどどどどどっ!

 

「「「「「「!!!?」」」」」」

獸身四足獸(ゾーオスティア)とも似て非なる異形の亜人が、その巨体からは想像出来ないスピードで、レメディオス達に突進。

 

ドガアッ!

 

「ぐはぁっ!?」

「「「「「おわぁっ??!!!!」」」」」

最前に構えていたレメディオスを筆頭に、強烈な体当たりをぶちかまし、一度に多数の騎士兵士を吹き飛ばした。

 

『ふんっ!』

 

どんっ!

 

「ぎゃ…」

「「「「「ぅわぁっ!?」」」」」

更には その場に倒れた者へ、全体重を乗せた強力な踏み付け。

直接に踏まれた者の命が奪われたのは勿論、それによって起きた、地響きや衝撃波で周囲の者も更に少なくないダメージを受けてしまう。

 

『ぐははははははははは! 弱い! 脆い! 弱過ぎるぞ!ニンゲン!』

自身の圧倒的なパワーに、この亜人…ゴタンダが酔う様に笑う。

 

「く…巫山戯るな…正義は…敗けん!」

それに反発する様に、レメディオスが剣を杖代わりにして立ち上がった。

 

『ん?ん~~? 正義? 正義と言ったか?ニンゲン?

ぐはははははははははは!

笑わせる! 正義?正義だと? 貴様等ニンゲンの言うセイギとは、所詮はニンゲンの価値観から成る物だろうが!』 

『何だと?!』

そしてレメディオスの言葉に、再び嗤うゴタンダ。

 

「教えてやろうニンゲン!

セイギとは、その立ち位置や時代で常に変わる物!

決して不変では無いわ!」

「な…」

「他者を殺し、その土地を奪うのが悪と言うか?

しかし それは、ニンゲンも同じ事だろう!

他者の地を攻め、それを己が物とする。

それは歴史が証明しているのではないか?

それとも、ニンゲンはアリで、それ以外はダメだとでも言う心算か?

ニンゲンだけの価値観を、他者に押し付けるな。何様だ?

そも、ニンゲンがセイギだと、誰か言う?

貴様等ニンゲンが、勝手に吹聴しているだけではないのか?」

「だ、黙れ! 亜人が…異形が悪なのは、世の理だろうが!」

「だから それが、ニンゲンだけの価値観だろうが!」

「黙れ! 黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れぇっ!!」

「…ついでに言えば、お前達の正義の定義の中には『正義無きチカラは無意味。チカラ無き正義も また無意味』と言うのg

「黙れと言っている!」

ゴタンダの言葉に、レメディオスは何も言い返せない。

出来るのは、それ以上の発言をさせない事だけだ。

 

「つまりは貴様等ニンゲン…いや、さしあたり貴様は、只単に自分が正義で無ければ納得の往かない、我儘を言っている子供と、何も変わr

「がぁあああああああああぁっ!!!!

《剛撃》、《流水加速》、《能力向上》、《能力超向上》!」

 

ダッ…

 

それでも口上を続けるゴタンダに、レメディオスが動く。

 

ガィィンッ

 

「な…?!」

しかし身体能力を武技で高めた渾身の一撃も、ゴタンダの身体には届かない。

右手に携えていた盾で、その斬撃は容易く受け止められ。

更には その儘、その盾で手にしていた剣を叩き落とされてしまったのだ。

 

「ふん…! 強い強いと言っても、所詮はニンゲン。

俺の敵では、無い!

理解したか?…いや、別に する必要は無い。

理解納得したくなくば構わん! 現実に背を向けた儘、死ぬが良いわ!」

「…………………!!」

死。この言葉がレメディオスの脳裏を過ぎる。

生命の危機に直面した際の、火事場の馬鹿力というべきか、彼女には自身を突き刺そうとするゴタンダの槍が、超スローに見えた。

しかし、それは()()()()()

一時的、動体視力のみが格段に昇華しただけで、それに相応した運動能力を得た訳では無く。

それは逆に、死への瞬間を永く感じるだけだった。

 

ガァンッ!

 

そして遂に、その突槍が動けない彼女に届く。

 

『何ィっ?! これは…?』

「…!!?」

だが、その槍がレメディオスの身体を貫く事は無かった。

彼女の身体が、いきなり()()()()()

その強烈な槍の一撃を弾いたのだ。

 

「…やれやれ、間一髪でしたか?」

『!!?』

「?!!」

そして、何処からか聴こえた一言。

ゴタンダが その声がした方向に首を向ければ、

「お久し振りです、聖騎士団長殿。」

「…っ!!!!!!!!!!!??」

其処には赤橙色のスーツに身を包み、眼鏡を搔けた男が。

 

「や。のーきん団長、元気〜?」

そして、黄金の鎧を纏った黒髪紅眼の男。

 

「フッ…。その()()()()。やはり、プレイヤーだったか。」

更には豪華な黒ローブを着込んだ骸骨(スケルトン)魔法詠唱者(マジック·キャスター)、そして その後ろに控える異形達だった。

     




ゴタンダ…ダンターグ/第4形態(ロマサガ2)のイメージで 
 
≫≫≫
 
【次回予告】
 
◆デミウルゴスside◆
ふむ。あのゴタンダとか言う者。
アインズ様や まろん殿が言われた通り、やはりプレイヤーでしたか。
しかし、アインズ様まろん殿に比べると、遥かに格下の存在!
御2人の手を煩わせる事無く我等守護者…いいえ、私と聖騎士団長だけでも十分に葬る事も容易でしょう!
 
次回『Sacred Club③(予定)』
御期待下さい! 感想も、宜しくお願いします。
 
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