ユグドラシル最終日、余所のギルド拠点で談笑中、現実世界の方で寝落ちしてしまいました   作:挫梛道

35 / 129
 


喜劇(ファルス)

◆まろんside◆

「丁重に お断りさせて頂きます。」

モモンガさんが帝国皇帝と色々と話した数日後。

冒険者組合から仕事の依頼をされたが、それをチームの総意として、モモン(モモンガさん)が組合長に その辞退を申し入れた。

 

「そうか…強要は出来ないから、仕方無い、か…」

組合長(アインザックさん)が残念そうに洩らすが、俺達の中では最初から、その依頼は受けない事に決めていた。

 

 

【トブの大森林の近くで発見された、遺跡の調査】

 

 

はい、ナザリック地下大墳墓です。

ナザリック(モモンガさん)が堂々と表に出る為の仕込み。

その工程の1つとして、わざと その存在を王国の貴族にリークさせる事で、冒険者組合に その調査依頼が来る様に小細工していたのだ。

今まで確認されなかった、未知の遺跡。

しかも、大規模な墳墓(おはか)

少し前まで王国では、強大な不死属(アンデッド)が世間を賑わせていた(笑)ので、その関連を疑う者が出てくるのは必然。

故に そのアンデッドを討伐したアダマンタイト級冒険者チーム、ブラック&ゴールドに半ば指名、その話が振られるのも、また必然。

 

「…アインザックさん。その依頼、王国、若しくは貴族からですよね?」

「!!?」

此処で俺が、質問を投げ掛ける。

それに反応した表情が、「yes」と言っているも同じだった。

実は これも、承知の上での問い掛け。

そのナザリックの情報を得た貴族とやらは、貴族派閥筆頭と呼ばれる貴族が擁する下っ端。

デミウルゴスが今回の為に選んだ、低級貴族だ。

コイツが自分のボスである貴族に伝え、ソイツが更に国王に伝えたか、それとも個人的に動いたかは知らないが、その経緯で冒険者組合に依頼が来た訳だ。

 

「申し訳無いが、我々は必要以上に『国』との関わりは、持ちたくない。

ブラック&ゴールド、いや冒険者は決して、国仕えでは無いからな。

嗤う金毛(スマイル・ゴールド)の時は、一般民にも危害が及ぶ話だったから、協力したまでです。」

「う~む…」

「それと これは俺の勘だが、その遺跡。

下手な好奇心や物欲だけで考え無し、安易に踏み入れるのは止せと…俺の勘が そう訴えている。」

「マカロンさんの勘は、よく当たります。

私達は それに、何度も助けられました。」

ナーベラル! お前、アドリブのスキル、上がったな?!

モモンガさんの断りに続く俺の台詞に、上手く繋いだとは?!

絶対にモモンガさんも驚いてるに、違いない!

 

「わ、分かった…依頼主には、そう伝えておこう。」

兎に角これで、組合長は納得してくれた様だ。

俺達が辞退した事で、他の冒険者にも話をする事も無くなったかな?

 

 

◆まろんside・了◆

 

▼▼▼

 

◆モモンガside◆

俺達ナザリックが表に堂々と出る為の仕込みの、第1段階は終了。

次は その貴族の遣いが、ナザリックに訪れるのを待つ事になるが…

 

「アインズ様。件の貴族ですが、予想通りに調査兵団をナザリック地下大墳墓に向ける準備をしていると、シャドウデーモンから報告が有りました。

尚、国には『遺跡を見付けた』等の報告はしておらず、この貴族の個人行動との事です。」

…らしい。

 

「ふむ、調査兵団…か。」

「ええ。大層な肩書きですが、所詮は墓荒しに他なりませんわ。」

「ふっ…しかし何れにせよ、久し振りの客だ。

しかも、この世界に置いては初めての来客。

ならば盛大に…私自らが歓迎してやるべきだ。

…そうだろう、アルベド?」

「全ては、アインズ様の御心の儘に。」

…と言うか、そういう筋書き(デミウルゴス監修)なんだけどな。

彼等が どの様に我々に接するかで、その歓迎内容も変わってくる。

場合によっては、お土産も渡さないとだな?

とりあえずはジルとドラウ、そしてマサトさんに報告だ。

 

 

◆モモンガside・了◆

 

▼▼▼

 

◆アルベドside◆

アインズ様が自身の、そしてナザリックの存在を世に知らしめる為の、行動に出られた。

だが、その やり方は、不敬ながら少し まだるっこしい気もする。

強者が弱者を虐げる。

それが世の理だと、私は思っている。

態々 ニンゲンを誘き寄せて御自身の存在を教えたりせずとも、我々シモベが主要都市に出向き、その力で制圧。

その上でナザリックをアピールすれば、それで良い話では?

…しかし、 

 

 

間違っているとは言わないが、それだけが絶対とも言えないな。

それに私は、王国を侵略するとは、一言も言っていないぞ?

 

 

アインズ様は そう仰有られる。

下等生物(ニンゲン)

敵対者には微塵も見せないが、そうで無い者にも あの御方が見せる情が、私には理解出来ない。

それは不忠に他ならない。

 

 

俺も そうだが、モモンガさんは"アンデッド"だからだよ

 

 

似た様な考えを持つ、まろん殿の言葉。

アインズ様が不死属(アンデッド)

それは解っている。

しかし それが どういう意味で言っているのか、それは当然過ぎる事だからか、逆に解らない。

 

「な…成る程!そういう事でしたか!!」

「な、何か解ったの?!」

だから、デミウルゴス、そしてパンドラズ・アクターを呼び出し、その事を話してみたら、

「た、確かに…初めから それを、承知するべきだったのを…何と愚かしい事だ…!」

デミウルゴスは何かに気付いたのか、わなわなと震え始めた。

 

「万死! 恐らくはナザリックの者の全てが、その真実に気付いていない!

そう、甘さに定評なセバスやペストーニャ。

そしてアインズ様から創られたパンドラズ・アクター、キミでさえもだ!!

アインズ様の御心を理解する事が出来なかった…その無知は、正に万死に値する!」

「ちょっと、驚いたり震えたり怒ったりしないで、何か解ったのなら、説明しなさい!」

「デミウルゴス殿、落ち着くべきですぞ?」

それは余程な事だったのか、少し錯乱気味なデミウルゴスを、パンドラズ・アクターと共に宥め、説明を促せた。

 

「…し、失礼しました。

まだ仮説の域ですが、今から話すのは、当然過ぎた故に、逆に気付かなかった事です。

私は勿論、アルベド、パンドラズ・アクター。キミ達でさえもね。

…尤も それも、言い訳に過ぎませんが。」

そう言いながら、眼鏡のズレを直し、デミウルゴスは話し始める。

 

「先ず、不死属(アンデッド)とは?

…此処から考え始める必要が有ります。

それは細かくすれば切りが無いですが、大きく別けて、2種。

あぁ、シャルティアやユリの様に、その様に創られた者や、ナザリックのシステムで無限湧きするPOPモンスターやカキンモンスターは除きますよ。

それを踏まえて、1つは例えば吸血鬼(ヴァンパイア)の様な、産まれながらに その様な特性を持つ種族。

そして もう1つが、アインズ様や まろん殿の様な、甦った死者。

…此処までは、分かっていますね?」

「JA!」

「馬鹿にしているのかしら?」

その勿体付ける言い草に、少し苛つくが、デミウルゴスは それも察しているが敢えて流す様に、言葉を続けた。

 

「…では、死者とは?」

そんなの、分かりきった事じゃないの。

死者とは文字通り、死んだ…者の…事??!

 

「ま、まさか…そんな!?」

「ま、正しく盲点でした。」

デミウルゴスの言葉に、1つの答え…今まで、考えもしなかった、或いは無意識に避けていた、まさかの答えが導き出される。

 

「気付きましたか?

そう、アインズ様、そして まろん殿も、元々は生者…即ち()()()()()()()()()()()のですよ!」

な、何ですってーーーーっ!!!!

アインズ様…ついでに まろん殿も、元は、人間?

確かに、言われてみれば…アインズ様や まろん殿の種族を鑑みれば、それは当然な事だった。

そして だとしたら、あの御方達の人間に対する情も、理解が出来る。

いえ、それ以前にアインズ様は偉大且つ慈悲深き御方。

その御方からすれば人間や異形種等は、所詮 塵芥な違いに過ぎない。

見るべきは『敵か否か』。

だからこそアインズ様や まろん殿は、敵で無くば、例え味方で無くとも威圧する事は無かったのですね。

 

≫≫≫

「さて、と…」

アインズ様はアンデッド。

まろん殿の謎掛け…それが正解かは まだ はっきりしていないが、一応の答えが出た後、次に私達は今後の事…近く此処に訪れるであろう、人間の事をメインに話を進めた。

 

「…まろん殿や真里殿も、そうなのでしょう。

あの方々は、()を重んじる御方なのですよ。

竜王女との会談でも、『必要以上に敵は作りたくない』と言われていましたよね?

しかし、それは裏を返せば、『必要最小限の敵は作る』と同意なのですよ。」

「スレイン法国…そして、この先の展開次第でリ・エスティーゼ王国ですか。」

「スレイン法国は、完全に敵認定よ。

あの国は純粋な人間以外…特に異形種、その中でもアンデッドは絶対に認めないらしいから、仮に此方に その気が無くても、向こうから勝手に敵対してくれるわ。」

しかも それ以前に、あの開拓村の行為が…殺戮その物で無く、それを他国の仕業と見せようとした事が、アインズ様、そして まろん殿からすれば不快だったみたいだから。

そして王国。

今回は『国』としてで無く、1貴族の個人的な接触となるみたいだけど…

 

「その貴族当人が このナザリックに足を運ぶか遣いの者で済ませるかは判りませんが、その時 その者の伺い方次第で、王国に対する我々のスタンスが決まりますが…」

「セバス殿やシャドウデーモン達の調べによる評判からして、荒れ事必至でしょうな。」

「そうですね。()()も、その様になるだろうと言っていました。

さあ、喜劇(ファルス)の始まりです!」

喜劇(ファルス)…ね。

ふふ…今回の観客達は、何て幸運なのかしら。

アインズ様が直々に主演を務める、盛大なエンターテインメントを目にする事が出来るのだから。

 

 

◆アルベドside・了◆

 

▼▼▼

 

◆とあるモブside◆

…だる。

遺跡の調査なんて、兵士の仕事じゃないだろ?

冒険者にでも やらせりゃ良いんだよ。

 

「どうも噂じゃ、その冒険者が誰も受けなかったらしい。」

それで俺達の出番かよ?

主様に言われる儘に、30人の私兵が、最近 新たに発見されたっていう墓に向かってる訳だが…

 

「調査とは名ばかり、墓泥棒だよな。」

それな!

団長が言うには今回の遺跡の事、ウチの主様は城…王様達には伝えてないらしい。

つまりは盗った お宝、全部獲りの1人占めか?

…当然 俺等にも、分け前貰えるだろうね?

 

「無い無い。()()は決められた報酬以外は、絶対に払わない。」

ん。知ってる。…だとしたら、決められた仕事以外は押し付けないで欲しいんだがね、あのケチ主様。

 

「…あれ、か?」

そんな風に話している中、先頭を進んでいた団長が、彼方の方に聳える、それらしい遺跡を見付けた。

此処までは大したモンスターも出てないで、殆んど消耗していない。

後は あの墓を調べて、お宝持って帰って終わりだ。

そも、俺は今回は非番だったんだ。

戻ったら きっちりと休ませて貰うからな。

 

「あれだけ巨大な墓だ。

アンデッドが わんさかかも知れないな。」

ふらぐ…って言ったか?

そんな発言は止めろ!

俺は安全に帰りたいんだよ!

んで、彼女とイチャつきたいんだよ!

 

≫≫≫

「ようこそ侵入者諸君。

私は このナザリック地下大墳墓の主、アインズ・ウール・ゴウン。

アインズ…と、呼んでくれて結構。

キミ達を客人として、歓迎しよう。」

で、で、で、出たぁーーーーっ!!?

 




アルベド、デミえもん、パンドラ…
作者の脳味噌レベルで、このナザリック3大叡智の会話は無謀過ぎた…orz
 
次回『喜劇(ファルス)②』
乞う御期待!
 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。