ユグドラシル最終日、余所のギルド拠点で談笑中、現実世界の方で寝落ちしてしまいました   作:挫梛道

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(●●)「Wie geplant!」
 


喜劇(ファルス)

◆ジルクニフside◆

いきなり『面白い物が観られる』と半ば強制的に連れ去られたが、 いきなり転移で私室に現れるのは、止めろくれないか? いやいや、喜劇(ファルス)とは よくも言った物だ。

確かに良い見世物だった。

あのアインズの何か言う度のオーバーアクションは、笑うのを堪えるのに大変だったぞ?

当人は苦笑しながら「勘弁してくれ」で済むだろうが、シモベ達は そうは往かないだろうからな。

あの若作り婆も、きっと同じ心境だっただろう。

あれ程の殺気は、初めてだった。

まろんとマサト…

アインズの友人の ぷれいやーが間に居なかったらと思うと、ぞっとする。

只でさえ爺が、また やらかしてくれたし。

そして、アインズという存在を知った後の王国の対応が如何なるか、それも見物だな。

ランポッサ…お前は、どう動く?

 

「さて、王国と言えば…ロウネ?」

「はい。王国からは、未だ…」

王国と言えば、アインズから聞かされた、開拓村の襲撃の件。

傍目には帝国騎士の仕業とされているが、ガゼフ・ストロノーフを通じて実はスレイン法国の所業と知っている筈。

それ故に、敢えて何も触れずの方針か?

また ()()()()に、話を振ってみるか?

アレは勝手に、色々と話してくれるからな。

そして法国。

彼方には『法国兵が帝国の騎士に擬装し、王国領の村で略奪行為を働いた…そう言う噂を聞いたのだが? 法国は王国に対して、帝国は蛮虐の民という印象でも与えたいのか?』…な旨の書状を送り付けたのだが、コレにも何の返答も無し。 

 

私を舐めているのか?

 

せめて、その内容を否定する文書を、届けるだろう?

この場合の沈黙は、肯定と捉えるぞ?

陽光聖典(ニグン・グリッド・ルーイン)が出向いていた等の、具体的な内容を記した手紙を、もう1度送ってやろうか?

 

 

◆ジルクニフside・了◆

 

▼▼▼

 

◆デミウルゴスside◆

先日、ナザリックに訪れた墓泥棒(未遂)との やり取り。

先の為の伏線とは云え、それ其の物は茶番劇に過ぎず。

それ故に彼等の相手は、初めはアインズ様に変化したパンドラズ・アクターを起用する予定だったのですが…まさか、アインズ様御自らが進んで協力を名乗り出てくださるとは、改めて感謝以外の何物でも有りません。

そして侵入者達はアインズ様の偉大さを直に感じ ひれ伏したか、盗掘行為等をする事も無く、無事に自分達の主の元に帰還した様ですね。

その際 彼等の影には、シャドウデーモンを潜らせていたので、その先も全て お見通しです。

アインズ様に言われたが儘、己が主である貴族に土産と共に、アインズ様の偉大さ強大さ素晴らしさを伝えた…迄は良いですが、その貴族の男が、私の見込み通りの愚物でした。

ええ。結果的に、自身より また上位の貴族を通じて国のトップである王なる者にナザリックの存在を知らしめました。

此処までは計画通り。

…でしたが、その王が愚かな貴族に誑かされたか唆されたで、ナザリックへの挙兵を決定したのです。

土産として渡した(この世界では)レア素材の鋳塊を見て、ナザリックには まだまだ財宝が残っている…それを我が物にしたいという、俗欲に囚われた訳ですね。

…尤も此方も、それを見越して用意した土産。

正に計画通りなのですが、こうも簡単に釣れるとは…もしや彼等が私の及ばぬ策でも持ち合わせているかと、逆に疑ってしまいます。

少しは もっと慎重に、悩み迷いからの決断をして貰いたかったですね。

ナザリックの戦力も僅か一端に過ぎませんが、教えられたのでしょう?

仮にオールドガーダーやデス·ナイトが最高戦力だとしても、其れ等を只の人間如きが対応出来ると思ったのですか?

欲の前に文字通りに目が眩み、それすら判断出来なくなりましたか?

それとも やはり、単にアンデッド…異形の存在は認めない故の行動ですか?

 

『あの墳墓、まだまだ宝が残っている筈ですぞ!

あの様な場所に眠らせた儘なんて、とんでもない!』

 

『強力なモンスターと云え、此方が兵の数を揃えれば、如何様にも対応出来るでしょう。』

 

『アンデッドの巣窟を、放置する訳にも往くまい。』

 

『国王、御決断を!』

 

『………………………………。』

 

 

…その、全てですよね?

アナタ達の会話は、全て筒抜けですよ?

何れにしても、短絡過ぎます。

バハルスの皇帝もリ・エスティーゼの王は無能と吐き捨てていましたが、本当に事実の様です。

欲望に塗れる…それは然程、罪では有りません。

しかしナザリックに、アインズ様に矛を向ける…それは絶対に赦されざる罪です。

アインズ様まろん殿が偶々に例外だっただけで、人間の多くは弱く汚く醜い存在だと、改めて認識せざるを得ません。

やはり例外であろう()()も あの様な者が父親とは、同情してやるべきでしょうか?

『家族がバカで、申し訳ありません』と、本気で謝っていましたし。

当然、オ・モ・テ・ナ・シ…の準備は万端に整えていますよ。

…尚、現在 先日の兵の一団が一足先、此方に…すぐ側まで近付いている様ですね。

ええ、先頭の者が、大きな白旗を掲げて。

これは計画、予想の外ですね。

 

≫≫≫

顔を上げ、立ち上がりたまえ!

「「「「「…!???」」」」」

アインズ様の命で、彼等の応対は、私とコキュートスが受け持つ事になりました。

ナザリックの表門を潜り、私達の姿を見た彼等は即座、「此度は申し訳無い!」の台詞と同時の平伏…土下座ですね。

心情は理解出来ますが、今更 謝罪を受ける心算は有りません。

話が進まなさそうなので、()()()()()()()()()、何用かを窺うとしましょう。

…まあ、凡そは、見当が付きますけどね。

 

≫≫≫

アインズ様ノ誠意ヲ、ソノ様ナ応エデ返ストハ、万死ッ!!

「「「「ひぃぇっ?!!」」」」

その後の彼等の説明(いいわけ)

彼等はナザリックの…アインズ様の恐ろしさを直に見た訳ですから、その辺りも含めて、自分達の主の貴族の反応…そして その後の展開の全てを報告。

そして自分達は主に思い止まる様にと進言したが、全く受け入れられなかった…と。

ええ。その辺りはシャドウデーモンを通じて、全て承知しております。

それを聞いたコキュートスは激怒。

因みに この件を知っていたのは、アインズ様、アルベド、パンドラズ·アクター、そして私のみ。

初耳だったコキュートスの この反応は、台本・演技等では無く、素…本気の怒りです。

冷たい息を荒げ、それにより周囲の温度が一気に冷め、その迫力、怒気・殺気に この来訪者達は恐れ戦きます。

 

「コキュートス、落ち着きたまえ。」

「シカシ、デミウルゴス!」

そんなコキュートスを宥める私。

 

「良いのですよ。

アインズ様は この成り行きも、可能性の1つとしていました。」

「ナ…ニ…?」

「アナタ達も報告、御苦労様です。

この件はアインズ様に、確と報せます。…アナタ達の事も含めてね。

だから、安心しなさい。

…《獅子の如き心(ライオンズ・ハート)》!」

「「「?!!!!」」」

憤怒するコキュートスを鎮め、恐慌状態な客人も、魔法で無理矢理に冷静にさせた後に退場して頂いた。

アインズ様が言われるには、あの者達は約束通り、自分の上に位置する者に、全てを報せた。

それ故に咎める様な事は何も無い。

…という裁量を示されております。

何より、逃げ出したりせず…それこそ殺される可能性すら有ったのに、今回の件を其れを伝えに来たという責任感と覚悟は…例え そうする事で、自分達だけでも助かろうとした打算を差し引いても、称賛に値するとの事なので。

私としては特に何も感じませんでしたが、アインズ様…死の支配者(オーバーロード)と成られる前の元・生者(ニンゲン)として、何か琴線に触れたのやもしれませんね。

アインズ様は私達を、自分を凌駕する完璧な知恵者と讃えて下さりますが、とんでもない!

主の心根を理解、擦る事も出来ぬ、至らぬ不忠な未熟者に御座います。

いえ、勿論、精進する心算では有りますが。

…兎に角その様な訳なので、彼等への それ以上の追及は無しとします。

えぇ…()()は、ね。

 

「…しかし、」

予想通りとは云え、ある意味、儘なりませんね。

王国として、ナザリックの存在…自治を認めてさえいれば、全てが終わっていたのですが。

予想と云うか予定通り、喜劇(ファルス)第2幕の始まりです。

ジルクニフ皇帝にも、()()()()をしないといけませんね。

 

 

◆デミウルゴスside・了◆

 

▼▼▼

 

◆ジルクニフside◆

「やはり…そうなったか…」

『うむ。そういう訳だ、ジル。』

「分かっている、そういう約束だ。

その代わり、改めてだが…期待しているぞ?アインズ?」

『ふ…そういう約束だからな。』

アインズから連絡が届いた。

一番最初の邂逅の時に渡された、掌サイズの表面にガラスの様な加工が為された薄い板状のマジックアイテム。

この【すまほ】なる連絡系アイテムでアインズから聞かされたのは、王国がナザリックに進軍の準備をしているという内容だった。

ん、知ってた。

あの王国の馬鹿貴族に、あの様なレアな金属を見せたりしたら、その様な展開になるのは明らかだ。

そも、あの眼鏡の悪魔殿は それを見越して、あれだけの品を土産として持たせたのだろ?

王国貴族は殆んどが馬鹿ばかりだからな。

一部の常識派では、ストッパーの意味を成さないだろう。

王族も然り。

国王は決断力皆無…特に冷徹な判断は お人好しなのか優柔不断なのか或いは臆病なのか、決して下す事が出来ない無能。

第1王子は脳筋(バカ)

まともなのは第3王女くら…いーや、アレも決して まともじゃない!

…話が反れた。

問題は、王国が その進軍とやらを何時の時期に行うかだが…

帝国(ウチ)との合戦も、目前に控えているのだぞ?

 

 

◆ジルクニフside・了◆

 

≫≫≫

 

▼▼▼

「な…?!ば、馬鹿な…!?」

「ひぃぃえっ?!」

 

…その貴族2人。

1人は目の前の光景に唖然とし、また1人は、恐怖に顔を引き攣された。

 

≪≪≪

時は少しだけ、巻き戻る。

彼等がリ・エスティーゼ国王から借り受けた兵士、総勢3000。

其を率いてナザリック地下大墳墓に押し寄せた時、彼等を出迎えたのは黒いローブを纏った骸骨だった。

 

死者の大魔法使い(エルダー・リッチ)か?」

「黒いローブのアンデッド。報告通りだな!」

彼等は分かっていない。

自分達の目の前に現れたのは、決して死者の大魔法使い(エルダー・リッチ)等では無い。

彼等は知らない。

不死属(アンデッド)の最高種の1つ、死の支配者(オーバーロード)という存在を。

 

「ふん!部下から聞いているぞ、死者の大魔法使い(エルダー・リッチ)

アンデッドの分際で魔導王…『王』等と、大層な名乗りをしているそうじゃないか!」

「我々はリ・エスティーゼ国王、ランポッサⅢ世より命を受け、この地に潜む醜悪なアンデッド…即ち貴様を討伐に来た!

ついでに この遺跡に眠る、莫大な財宝も回収してやろう。」

そして、彼等は知らない。

自身の無知を。

 

「……………………………。」

その貴族達に対して、黒ローブのアンデッドは無言で右掌を彼等の前に翳す。

 

ボォォォオッ!!

 

「「「「「ぎゃぁああ~っ!!?」」」」」

「「?!」」

その次の瞬間、地面から巨大な爆炎の壁が噴き上がり、貴族の後ろに控えていた兵士達全てを呑み込んだ。

 

「「あ…な…なな…??」」

結果、死屍累々。

このアンデッドが無詠唱での魔法1つで、この2人を除く…この貴族に率いられていた兵士達が皆、命を落としてしまったのだ。

 

≫≫≫

「な…?! ば、馬鹿な…!?」

「ひぃぃえっ?!」

そして、時は再び現在(いま)に。

3000人の兵士を葬ったアンデッドに対し、それが一瞬の出来事だった故か、混乱、或いは恐怖により、平静を保てない貴族2人。

 

「お前達は私を殺すとか言ったな?

陳腐な台詞だが…他者を殺して良いのは、自分も他者に殺される覚悟が有る者だけだ。

貴様達には それが有るのか?…私には、有る。」 

 

カッ…!

 

「「ひえっ!?」」

眼窩に瞳の如く紅い光が灯り、そんな生き残った侵入者2人を睨むかの様に見据えるアンデッド。

それを見た2人は更なる恐怖に狩られ、

「な、貴様!儂より前に出るか!?」

「言ってる場合じゃないですぞ!」

先に斃れた兵の屍を踏みつけながら、我先と逃げ出した。

  

ガシィッ…

 

「「???!」」

しかし それは赦さぬ…逃さぬと、何者かが この貴族達の足を掴む。

 

「う…うわあぉあゎあっ?!」

「ひ…ひぃぃえぇぬぇっ!?」

それは、死んだ筈の兵達。

這いつくばった儘に、上げた顔。

その業火で焼けただれた顔は表情が読めないが、それが逆に怨念を感じさせている。

 

ムク…ムクムク…

 

そんな兵達が無言で ゆっくりと、次々に起き上がり、そして()()は絶対に逃がさぬとばかりに、貴族の周りを取り囲んだ。

 

ズん…!

 

そして その屍の兵士(ゾンビ)の1体が手にしていた槍で、貴族の1人の胸元を正面から貫く。

 

ドスン…

 

「ひ…ぇぇええ~っ?!」

その悲鳴は刺された者で無く、残された もう1人の方の物。

 

「あ…ぁぁ…」

断末魔も無く、呆けた表情の儘に倒れた自分の上役を見て、細身小柄、一番最初に私兵をナザリックに向けた貴族が またも戦慄く。

 

「ま、待って下さい!魔導王…様!」

剣先矛先を向けるゾンビ兵に囲まれ、鎧の中、又の間を汚物で汚す矮小な男が目の前のアンデッドに話し掛ける。

 

「わ、私は この侵攻は必死に止めたのです!

しかし、この男や国王が…」

「下らぬ。止めたのは、貴様の配下の兵。

寧ろ貴様が、一番最初に我がナザリックに攻め入る様に進言したのでは、なかったか?」

「…!」

そして必死に取り繕うと(でまかせ)を並べるが、それは無駄な足掻きだった。

 

「ふん。安心しろ。貴様は まだ殺さぬよ。

その代わり、お前の言う国王とやらに伝えて貰おう。

この度の愚行、我がアインズ・ウール・ゴウン魔導国は、リ・エスティーゼ王国を正式に敵と認定した!

この報いは必ずや、受けて貰う…とな。」

「そ、そんな…」

喜劇(ファルス)は最終幕に入る。

しかし それも、悲劇惨劇へと繋がる序章に過ぎない。

 

「目障りだ!もう、貴様と この場で話す事は何1つ無い!

Geh weg schnell(早々に消え去れぃ)!!

 




( ゚▽゚)つ【辞書(独)】
 
次回『開戦(予定)』
乞う御期待!
 
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