ユグドラシル最終日、余所のギルド拠点で談笑中、現実世界の方で寝落ちしてしまいました   作:挫梛道

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喜劇(ファルス)/終幕 ~更なる悪手~

▼▼▼

 

パ・ン・ド・ラ~あっ!!

 

ドンッ!!

 

 

◆パンドラズ・アクターside◆ 

ぁ…どん…

ナザリックに押し寄せた賊の大軍を相手取り、予定通りに主謀の貴族1人以外は皆殺し。

その貴族も、恐怖と絶望と後悔を手土産にして帰って頂きました。

そして その直後、アインズ様から《伝言(メッセージ)》で呼び出しが。

凄く急がれている様でしたので何事かと思い、アインズ様の私室へ入ったら その直後、いきなりの壁どん。

 

「パンドラ~…お前、さっきの()()なぁ…」

え? 私、何かやっちゃいましたか?

デミウルゴス殿のシナリオ通りに命じられた役割、正しく役者(アクター)の名に違わぬ程にPrfekt(完璧)…に、果たした心算でしたが?

Warum(何故に)

 

独語(そ・れ)・だ・よっ!!」

Ja(はい)

 

「良~ぃかぁ? お前にはドイツ語は止めろって言ってたよなぁ?

しかし それは お前の個性(キャラ)だから、完全に止められないのは理解している、仕方無い。

でもな?

私に変化している時にドイツ語喋るのだけは、マジに止めろくれるか?

…確かに。ドイツ語は私の個性。

アインズ様の姿をしている時に それを話すという事は、変化しているのが相手にバレてしまう可能性が有りましたね。

失礼しました。これは反省です。

 

「…少し違うのだが、まぁ良い。

大体、デミウルゴスの書いた台本には、あんなの無かったのだろ?」

「アレはアドリブに御座います! ~んアインズ様!」

「いや!お前も役者(アクター)なら、台本には忠実に動けよ!?」

「Nein! 単に台本通りに動き話すだけなら、それは誰でも出来る事、3流の役者です。

台本以上に魅せてこそ、真の役者(アクター)!」

 

≫≫≫

「…と、いう訳です、デミウルゴス殿。」

…あの後、またアインズ様より散々と説教されてしまいました。

 

「成る程…ねぇ。私個人としては、アレは見事な演技(アドリブ)だと思ったのだが、そう言われるとアインズ様の仰有られる通りだね。

やはり私達は未だ、主の意図を汲めない不忠の未熟者だよ。」

そして今はBARにて反省会という名目で、デミウルゴス殿とグラスを交わしながら語っている訳ですが、本当にダメダメです。

途中、セバス殿も会話に加わりましたが、話せば話す程に、至らぬ点が出てくる出てくる。

 

「アドリブそれ自体が駄目だという事は無いから、ねぇ?

セバス、君は どう思う?」

「そうですね。

私も所謂、『いいぞ、もっとやれ!』派ですね。

とある役者…私めが知る処では、台本には その者が話す台詞の部分は大きな余白に『〇〇さん、よろしく お願いします(笑)』の一文だけ書き添えられていた。

つまりは脚本家も演じ手に丸投げ…尤も、それだけの力量と信頼が有ればこその話ですがね。

…その様な人物も居たそうです。」

まるで他人事では無いかの様に、具体的に話すセバス殿。

その後も時折、少しばかり主題が脱線しながらも、反省会は続くのでした。

 

 

◆パンドラside・了◆

 

▼▼▼

 

◆ジルクニフside◆

王国から…ランポッサⅢ世から手紙が届いた。

内容は先に控えた戦争の延期要求。

そして、王国領に突如出現した遺跡、それに潜む邪悪なモンスターの討伐の協力要請だ。

 

「…下らぬ。」

既にアインズから、王国兵が攻めてきた話は聞いている。

邪悪なモンスター?

笑わせる。私が知っている異界の ぷれいやーは、見た目こそ確かに人外だが、下手な人間より余程 人間らしいぞ? 従属神殿は確かに怖いが

邪悪なのは、お前達の物欲だろう?

 

「一応 返事は、書かねばな。」

これは眼鏡の悪魔殿…デミウルゴス氏に頼まれていた話でもある。

 

 

◆ジルクニフside・了◆

 

 

 

▼▼▼

 

~~~~

 

結論から先に述べるが、我が帝国は、戦争の延期も貴国の言う処の邪悪なモンスター討伐協力も、応じる心算は無い。

既にバハルス帝国は、アインズ・ウール・ゴウン魔導国と同盟関係を結んでおり、魔導国と王国間で何が有ったかも聞き及んでいる。

 

 

 …中略…

 

 

アインズ・ウール・ゴウン魔導国は、遥か昔…そう、バハルス帝国とリ・エステーゼ王国が まだ1つの国だった時代よりも以前に、確かに存在していた。

よって、魔導王アインズ・ウール・ゴウン氏が統治していた領地の一部、現在の王国領…魔導王の居城であるナザリック地下大墳墓が位置するトブの大森林周辺地域の返還要請は正当な主張であると、バハルス帝国は この皇帝、ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスの名の元に、宣言させて頂く物とする。

…と言っても、既に遅い話。

貴国は最初に魔導国に対して、件の地の割譲を認めるべきだった。

貴国の無礼な振る舞いに、魔導王の憤りが尋常で無いのは想像に難しくは無いだろう。

それ故か?

次の戦には、魔導王は自国兵を我が帝国側にて参戦させると言っている事を、伝えておく。

 

 

バハルス帝国 皇帝

ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクス

 

~~~~

 

 

▼▼▼

「何と言う事だ…」

「あの若僧、アンデッドと手を結んだと言うのか?」

「臆したか?!

人間(ヒト)の誇りは無いのか?」

リ・エステーゼ王城。

ジルクニフからの返信に、王国貴族達は憤慨していた。

無論、自分達の要求とは、真反対の応えに対してだ。

 

「くっ…どうして この様な…」

最初にナザリック攻めを推した貴族の考え。

多少、強力なモンスターでも、数を揃えれば如何様にも出来る。

それで得た財で、国力も増大させ、対帝国戦の戦力を増大させる。

そうした計画が、一気に崩れた形である。

だから次は、帝国にナザリックを世界の敵として、一時休戦での共闘を呼び掛けるも、一蹴されてしまう。

何もかもが、予定通りに進まず。

特に、帝国が魔導国と既に繋がっていたのは想定外過ぎた。

 

「元はと言えば国王が、件の化け物の巣窟に、出兵を決めたから…では?」

「何を言うか! 貴公も それを奨めていたではないか!?」

「己の暴走を棚に上げ、それを止められなかったのが悪いと言うのか?!」

「だ、黙れ!そもそもだな…」

そして次は、その責任の擦り漬け合い。

 

「皆さん、少しは落ち着いたら どうですかな?」

「「「「…!!」」」」

そんな罵り合いを止める一声。

金髪を短く整えた、大柄な男だ。

 

「バルブロ王子…」

王国第1王子、バルブロ・アンドレアン・イエルド・ライル・ヴァイセルフ。

 

「考えてみろ。先ずは男爵の報告。

その全てが真実だという証拠が、何処にも無い。」

「ぉ…王子?!」

その発言に、今回の話し合いの発端となった男爵と呼ばれた男が、信じられない様な表情を浮かべた。

 

「アンデッド1体の魔法1つで、3000の兵が一瞬で焼き殺された。

そんな魔法が先ず、信じられない。

帝国最高魔法詠唱者とらやでも、その様な芸当、怪しい物では?」

「う、確かに…」

「言われてみれば…」

「チエネイコ男爵?」

「ま、待って下さい!私は嘘等…!」

バルブロの言葉に、その場の全員が、ナザリック侵攻の唯一の生き残りに視線を向ける。

 

「確かに義父殿は残念な事となったが、それを貴公に責めるのは、少し違うだろう。

しかし、自身の責任を和らげる為の、誇張な報告は如何な物かな?」

「そ…その様な事は…」

バルブロは この報告者の事を全く信じておらず。

少なくとも、魔導王なるアンデッド1人が兵を全滅させたという話は信じていない。

精々、モンスターの集団が、当初の予想を少しだけ越えて強かったとしか見ていない。

それ故の敗走としか考えていなかった。

それはバルブロだけで無く、その場の全員が その様に思っていた。

 

「3000の兵を以ても攻略出来なかったのは、確かに想定外だっただろう。

次は それ以上の兵を使えば良いだけの話。

その魔導王は次の戦では帝国側に就く?

ならば、その時に此方も数を揃えれば良いだけの話。

今年は徴兵の数を、倍に増やしましょう。

戦いは数ですよ!」

「待てバルブロ! その様な事をしたら、民が…」

「父上。戦に勝ち、帝国から不足した分の民を引き抜けば良いのです。

その勝利の為の徴兵。

王国の為ならば、喜んで志願するのが王国の民では?

仮に逆らう者が居たとしても、その場で数人斬り棄てれば、残りは黙って従うでしょう。」

「バルブロ!!」

その さながら暴君な発言に、思わず声を荒げる国王。

 

「甘いですな、国王(ちちうえ)

勝利の為の対価なら、民の命等、安い物では?」

しかし第1王子は、それを聞き入れる様子は無く。

 

「そうですな。あの墳墓に近い開拓村から、特に重点的に人を集めますか?

そのアンデッドが欲している土地の人間。

アンデッドが自らの民としようとしている人間を、兵として かき集める…我ながら面白い話だ!

もしや化け物が意味不明な情でも出し、此方に手心を加えるやも知れんぞ!」

「おお、それは良い考えですな、王子。

ならば兵となる男だけで無く、若い女も慰安婦として連れて行くのは どうでしょう?」

「はっはっは! 採用だ!」

「お待ち下さい王子!

それは横暴が過ぎますぞ!

それに、魔導王なる者、アインズ・ウール・ゴウンと名乗ったのでしょう!

もしや その者はカルn

「黙れガゼフ! 如何に国王の護衛と云えど、平民風情が この場で口を挟む権利等無いぞ!」

「…!」

 

 

 

≫≫≫ 

 

 

「…全部、聞いているぞ?」

同刻、王城から遥か遠い地。

その地に在る墳墓の地下深い一室。

其処に置かれてある鏡に映る、この王族貴族の一連の会話・やり取りを見ていた…その話の中心となっていた人物が、静かに呟いた。

 

「不愉快だな。

経緯は どう在れ、カルネ村は私と まろんサンが態々出向き、助けた村だ。

その村に手を出すだと?

それは、私達の行動を無駄にするという風に解釈して良いのだな?

…ふん、まあ良い。

既に この国は、敵認定している。

戦に関係の無い民ならば兎も角、それに携わる者なら事前に始末しても構わんだろう。」

 

 

▼▼▼

数日後。

バルブロは1000の王国兵を率いて、カルネ村に向かっていた。

先の話し合いの中で出た、追加の徴兵を獲る為である。

王族たる自身が出向く事が、件のアンデッド(アインズ・ウール・ゴウン)にとっての嫌がらせとなるとの思考からだ。

因みに徴兵追加の際に出た、慰安婦云々の件はランポッサから認められず、厳重に止められている。

しかしバルブロが それに素直に応じるかは、別の話。

目に止まる女が居れば、自分が懇意にしている娼館にでも秘密裏に受け渡す心算でいた。

…しかし、カルネ村まで約10㌔の地点で、この一団は急襲を受ける。

 

「な…」

「何だ、一体?!」

バルブロ、そして同行していたチエネイコの両隣の兵士の首が、突如 撥ね跳んだのだ。

 

プシュッ…!

 

「ひぇっ!?」

斬り落とされた首の付け根から、血が噴水の様に噴き出し、それを全身に浴びたチエネイコが、顔を引き攣らせる。

 

「はいは~い♪ 此処(こっ)から先は、通行止めっスよ~?♪」

「な…」

「何なのだ、お前…達は?!」

そして現れたのは、赤髪褐色肌のメイド服の女。

更には その彼女に付き従う、武装したゴブリンの集団。

1000の軍勢には数で劣るが、それを逃がさぬかの様に、完全包囲していた。

 

「女! 貴様一体、何者だ!?」

平静を取り戻したバルブロが、メイドに問い掛ける。

 

「私スか? 私はアインズ様の遣いで来た、ルプスレギナ・ベータっスよ。」

それに答えるメイド…ルプスレギナ。

 

「お前達はアインズ様に『殺れ』と言われたから、殺りに来たっス。」

「「はぁあっ?!」」

 

≫≫≫

「ば…馬鹿な…そんな事…」

「だ、だから私は言ったじゃないですか、バルブロ王子!

あの墳墓は、正しく化け物の巣窟だと!」 

…その後は一方的な蹂躙劇だった。

 

「あちゃ~…

分かってはいたっスけど、本当に弱過ぎるっスよ。」

ルプスレギナが率いるゴブリンの戦闘力は、バルブロの兵とは比べ物とならず…特に大鎌を肩に担ぎ、赤い帽子を被っているゴブリンの それは、圧倒し過ぎていた。

瞬く間、1000の兵士は1000の屍となる。

意図的に残されたのか、その場に生きているのは、バルブロとチエネイコだけとなっていた。

その戦力差に初めて、愕然とするバルブロに、自分の報告が正しかったと詰め寄るチエネイコ。

しかし今は、そんな主張をしている場合ではない。 

尤も彼等も、この場での襲撃は予想外、完全なイレギュラーだったろうが。

 

「…至高の御方が1人、ぷにっと萌え様は、こう言われていたっス。

 

【戦いは、始まる前に終わっている】 

 

…と。」

しかし それは、王国側の都合。

先に侵攻を受けた側からすれば知った話では無く、寧ろ報復…何時何時(いつなんどき)攻撃を受ける準備を怠っていた方に問題が有ると言うだろう。

 

「ねぇ、今、どんな気持ちっスか?

『俺様THUEEEE!EREEEE!』なプライドを美少女に潰されて、嬲り殺される…

今、どんな気持ちっスか?www」

「ひっ?!」

そして煽るかの様な口調で、ルプスレギナはバルブロに近付き、

 

バギィッ!

 

「ぐわっ?!」

「きゃはははははは!

ウケるっス!鼻血ぶーっス!!」

明るい笑みを浮かべての巨大聖杖のフルスイングを、バルブロの顔面に直撃させる。

しかし一応は手加減しているのか、頭部が爆散する事は無く。

死ぬる程の痛みに、夥しく流血する潰された鼻を押さえながら、悶え苦しむ程度で済んでいた。

ルプスレギナは それを見て、涙を流しながらの大爆笑。

 

…今更 言うのもアレっスけど、命乞いなんて通用しないっスよ~?♪

「「………っ?!!」」

そして その笑みが豹変。

普段から場を明るく取り持つ元気系キャラの面影は消え、冷酷残酷な微笑と変わるのだった。 

 




次回『カッツエ平野にて(予定)』
乞う御期待! 感想よろしくです。
 
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