ユグドラシル最終日、余所のギルド拠点で談笑中、現実世界の方で寝落ちしてしまいました   作:挫梛道

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サブタイトルが前回の【次回予告】と異なるのは、よく有る事です。
 


式典の異変

▼▼▼

リ・エスティーゼ王国とバハルス帝国の戦争。

毎年、少しばかりの小競り合いで終わっていた それだが、今年は違う終わりとなった。

モモンガが魔導国魔導王アインズを名乗り、バハルス帝国に加担。

その圧倒的な魔法で戦場を掻き乱し、更には直接、敵陣最奥に居るリ・エスティーゼ国王ランポッサⅢ世の前に赴き、直接に降伏を促す。

最終的にランポッサは それに従い、その証しとして帝国に囚われる事に。

そして その数日後、リ・エスティーゼ王城では…

 

「何を偉そうに!

貴殿等は あの戦場に居なかったから、その様に言えるのだ!」

戦場であるカッツェ平野から無事に生還出来た貴族は直ぐ、戦争に参加しなかった貴族達を呼び寄せ、これから先についての、緊急の話し合いを始める。

この時 既に…帝国から文書が届いていた。

その主な内容は、捕虜にしている国王、ランポッサの解放の条件。

 

「これは…」

「しかし…」

()()()()で、陛下が お戻りになられるのならば…」

「いや、それでも…!」

「貴様! ()()を、その程度と言うのか!?」

「いや、そういう心算では…」

それは、城塞都市エ・ランテル、並びに それより帝国方面に続く領土の割譲、そして…

 

≫≫≫

「そもそも、あの平民(ガゼフ)が無様に敗れたりするから…」

「…しかも、王国の至宝の武具を、悉く破壊されたそうだな?!」

「はん!とんだ王国最強だな!」

そして話し合いが進む中、今度は敗戦の責任を、個人に集中し始める。

 

「…黙れ。」

「「「………??!」」」

そうした雑言を一喝する一声。

声の主は、頬や腹回りを膨らませている金髪の青年。

 

「ザナック王…?」

「まだ、王では無いぞ?」

リ・エスティーゼ王国第2王子、ザナック・ヴァルレオン・イガナ・ライル・ヴァイセルフ。

貴族の1人が『王』と呼んだのは、ランポッサの返還条件の1つに、『ランポッサには王位を辞任させ、次代に後継させる事』と有ったからだ。

自国王を見捨てる事は、体面的に不可能。

継承の権利で言えば第1王子が最優先だが、その第1王子バルブロは行方不明…実は既に死亡している…の為、他にも候補者が居るには居るが、ザナックが王となるのは殆んど決定も同然だった。

 

「まあ、良い…ならば、王として問おう。

貴殿達は、どの様な答えが最適解だと言うのだ?

此の度の戦。

私は戦場に出向いておらず、レエブン候から顛末を聞いただけに過ぎないが、戦士長を一瞬にして斬り伏せた男。

それ以前、我々の常識、知識の外の強大な魔法を扱ったという人物に対して、如何な対応をすれば良かったと…どうすれば勝てたと、言うのか?」

「「「「………………。」」」」

ザナックの言葉に、先程迄は元気に発言していた貴族達は、急に黙り混んでしまう。

具体案は浮かばないからだ。

 

「結果が出た後で、それを踏まえた理想的な ()()()()を言うのは、誰にでも出来るぞ?」

「「「「…………………。」」」」

「どうした? 誰も、何も、答えられないのか?」

更に続く発言に、更に沈黙する貴族達。

 

「…それが、現実、真実なのだろう?

惨敗の末に、国王(ちちうえ)を囚われた。

遺憾だが、帝国の申し出、全て呑むしか道は無い様だな。」

「殿下!?」「ザナック様?!」

「具体的な代案が有るなら、聞くぞ?

…無いならば、解散だ。

これから帝国への返答の書面を書かねばならないのでな。」

 

≫≫≫

「私は…弱腰な王として、歴史に残るのだろうな…」

会議室で、ザナックが自虐気味に呟く。

 

「いえ。最適解を即決だと思います。」

会議終了、貴族達が立ち去った中、唯一その場に残っていたレエブン候が、それを否定。

魔導王の強大さを、直接に目の当たりにしていた彼は、決してザナックを責める事は無かった。

 

「それに歴史と言うなら、既に此の度の戦、王国は ()()()()()います。」

両国が定めた開戦時刻前の奇襲や、人質を盾にしようとした行為等、確かに王国は不文律を破り過ぎている。

帝国と同盟を結んでいるとは云え、戦争に関しては中立の立場の竜王国の遣いも、それを見ていたのだ。

これ等は永久、歴史に刻まれるだろう。

だからこそ、ランポッサ、そしてバルブロ以上に王の資質を持っているであろうザナックに、レエブン候は今後の王国の建て直し、先の期待を寄せていた。

 

「レエブン候よ。

帝国からは、実は もう1つ、父上を帰す条件が記された書面が有ってな…」

「はい?」

そう言いながらザナックは、懐から封筒を取り出し、レエブン候に見せる。

 

「……………!!? これは…?!」

「私に『王足る覚悟を見せろ』と言っているのだろうよ、あの鮮血帝は、な。」

「しかし これは…事実ならば、私以上の()()ですな。」

「何を言うか、貴殿の蝙蝠は、あくまでも王国の為だったのだろう?」

それを見たレエブン候は最初は驚くも、直ぐに苦笑、それにザナックも含みの有る笑みを見せる。

 

「さて、帝国への返事も大切だが、先にラナーへの説得だな。

レエブン候、付き合って…いや、手伝ってくれるか?」

「承知致しました。

しかし、大丈夫ですよ。聡明な姫様ならば、理解して下さるでしょう。」

そして2人も、会議室を後にした。

 

 

▼▼▼

「~~~♪♪♪♪♪♪♪♪」

王城の一室。

その部屋の主である少女は、至福の笑みを浮かべ、回る様に踊る、踊る、踊る。

リ・エスティーゼ王国第3王女、ラナー・ティエール・シャルドロン・ライル・ヴァイセルフ。

部屋を訪れた兄のザナックから聞かされた話は、ランポッサ解放の条件の1つに、自身の関わる案件が有るとの事だった。

それは、ランポッサの代わりに人身御供となるも同然な内容。

しかし彼女は、それを王家に生まれし者の務めとして、嫌な顔1つせずに、受け入れた。

申し訳無さ、そして不安と安堵が混ざった様な顔をしたザナックとレエブン候が退室した後。

事前に御付きの侍女や護衛役の従者も席払いさせていた、誰も居ない部屋で1人…彼女は神妙な表情を一変させる。

 

「~~~〜〜♪♪♪♪♪♪♪♪♪♡」

そして長い黄金の髪を靡かせて夢見心地、狂喜を孕んだ笑みを浮かべ、少女は回る様に踊る、踊る、踊る。

 

「全てはデミウルゴス様…そして その後ろに居られると言う、偉大なる御方の計画通り、なのですね。

そして それは、私の…」

 

 

▼▼▼

 

◆とある冒険者(モブ)side◆

王国はバハルス帝国に敗れた。

それにより、此処エ・ランテル、並びに周辺の町や村は、帝国領となった…らしい。

事実、王国警備兵の代わり、帝国騎士の鎧を着込んだ連中が、街中を巡回している。

つまりは俺も、バハルス帝国民になったって訳だ?

いや、それって考えてみたら、王国国民よりも()()かも知れないぞ?

クソみたいなクソ貴族…何処かの知恵無い子みたいなクソの下よりも、余程 良い生活が出来るんじゃね?

まさか、植民地隷属支配みたいな真似は、しないよな?

…そして近日、この周辺が王国領から帝国領に変わる事による、正式な式典行事みたいのが、有るとか無いとか。

バハルスの皇帝様が出張って、挨拶でもするのかね?

 

≫≫≫

 

ざわざわざわざわ…

 

あれから2週間が経過。

今日の正午頃、街の中央通り(メイン・ストリート)にて、本当に新しい主様を迎える御披露目の式典行進(パレード)が始まるらしい。

 

 

ざわざわざわざわ…ギギィィッ!

 

 

「「「「!!!!!!」」」」

そして人集りも最高に達した時、城塞都市の正面門が開いた。

そこから現れたのは、大きな帝国旗を掲げた帝国騎士を先頭に、綺麗に整列して行進する大勢の騎士達。

その後方に、2頭の8足馬(スレイプニール)が引く、巨大且つ豪華な装飾の馬車が!

屋根の無い、解放型の座席の中央に座っている若い男。

黒い鎧の4人の騎士に護られている人物こそが、噂のバハルス皇帝…鮮血帝なのだろう。

道に並ぶ市民(オレタチ)に、にこやかな顔を向けて手を振っている。

…って、この人達、もしかして時間まで街の外で ずっと、待機し(スタンバっ)ていたのですか?

 

≫≫≫

「初めましてだな、リ・エステーゼ市民の諸君。

バハルス帝国皇帝、ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスである。」

声を広範囲に拡げるマジックアイテムを使って、市民に挨拶するバハルス皇帝。

 

「…先ず、最初に言っておくが、私は この街、そして近隣地域を治める事は無い。」

 

ざわ…ざわざわざわざわ…?!

 

はい?何を言ってんの、この人?

この街、戦争で勝って、奪ったんですよね?

ほら、周りの人達も、どう反応すれば良いか、分からない状態になってますよ?

 

「無論、リ・エスティーゼから割譲されるだけで、放置する事も無い。

この地を、本来の持ち主に譲渡…いや、還すだけだ。」

本来の持ち主…ですか?

 

「…遥か昔。帝国と王国が2つに別れる前、まだ1つの国だった時代より遥か以前に、その強大な力で此の地を治めていた者が居た。」

…それ、何だか少し前に、聞いた気がするんですけど?

 

「私はバハルス皇帝の名の下、その者に此の地を返還する!

そして彼には、その権利が有る!

何しろ此の度の戦争、彼と彼の配下だけで終わらせたも同然だからな!」

ちょっと? ちょっとちょっとちょっとおっ??!

それって、ましゃか…?

 

「今から その彼を紹介するが…先に言っておく。

彼は、我々の常識からすれば、かなり()()()()姿()をしている。

しかし、それを見ても決して、驚いたり怖がったりしないで欲しい。」

はい、もう誰だか分かりました。確定です。

 

「君達の主となる者…アインズ・ウール・ゴウン魔導国が王、魔導王アインズ・ウール・ゴウン!」

でっすよねーっ!

皇帝の呼び出しに応えるかの様に、正面門方向(むこうがわ)から歩いてきたのは、見覚えの有る、金色装備の骸骨兵(スケルトン)…&、真っ黒装備の巨大アンデッド騎士の集団!

帝国に倣ってか、先頭のスケルトンは魔導国の?旗を掲げての登場だ。

 

「「「「「「「「「!!!???????」」」」」」」」」

初見の一般市民の皆さんは、ドン引き&黙り。

いや、それは、仕方無い。

2度目の俺も、固まっているんだから。

叫ばないので無く、余りの未知の体験に、叫ぶ事も出来ないのだろう。

そのアンデッド達が、先程の帝国騎士同様、乱れぬ隊列で行進。

その後列には、前回にも お逢いした、赤橙のスーツを着た眼鏡の悪魔の姿が。

その隣にはエロっぽい白ドレスの、巨乳美女な…アレも悪魔…か?

 

「「「「「「「「「?????????!!!」」」」」」」」」

更に後ろ。

 

ざわ…ざわざわざわざわ…

 

男女の悪魔の後ろを歩く2人の人物を確認して、市民は再び ざわめき出す。

 

「何だ?」

「何故、あの2人がアンデッド達と?」

「嘘でしょ?」

それも、当然な反応。

エ・ランテルが誇るアダマンタイト級冒険者【ブラック&ゴールド】の、漆黒のモモンと金色のマカロンが、この異形の集団と共に歩いているのだ!

驚くなと言うのが、無理な話だ。

…因みに、ナーベさん♡の姿は見えない。

 

「「「…ひっ!?」」」

そして最後尾、その姿を見て、初めて小さくだが、悲鳴を上げる者も出始めた。

それは4体の漆黒の死の騎士が担いだ玉座台に座る、黒いローブ…で無く、金と赤…派手な色彩のローブを身に纏った骸骨様…魔導王だった!

 

≫≫≫

「「「「「…………………。」」」」」

魔導王率いる軍勢が、帝国騎士団の元に到着。

 

ふゎ…

 

そして魔導王は座台から ふわりと飛び降り、皇帝の傍まで歩み寄ると、

 

ガシッ!

 

「…ふっ」

「くくっ…!」

互いに笑みを浮かべ、ガッシリと握手した!?

 




モモンガさんの衣装は、4期1話のメイドさんチョイスのヤツです。
 
次回『建国宣言! アインズ・ウール・ゴウン魔導国!!(今度こそ)』
乞う御期待!感想も宜しくです。
 
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