ユグドラシル最終日、余所のギルド拠点で談笑中、現実世界の方で寝落ちしてしまいました   作:挫梛道

62 / 129
  
 


拗らせ乙女(笑)

◆まろんside◆

暇だ。

聖王国から帰ってきて、凄く暇だ。

俺は一応、魔導国公爵の肩書きを持ってはいるが、特に領地運営している訳でも無くな、"なんちゃって貴族様"だ。

一応の仕事…国内にて魔導王(モモンガさん)に楯突く者の粛清という役割が有るが、今の魔導国には その様な輩は居ない。

王国時代の統治が酷過ぎる、そして それに代わるのが、AOG(DQNギルド)のマスター、或いはユグドラシル非公式・裏ボス大魔王様の其れとは思えない様な善政。

アルベドやデミウルゴスが、モモンガさんの『恐怖(チカラ)だけによる支配なら、どんな無能でも出来る』という考えの元、厳し過ぎず甘過ぎずな絶妙なバランスの政策を執っている。

中には自分達が原因で、エ・ランテルの英雄モモン(BLACK)()マカロン(GOLD)の手を…血で汚す訳には往かないと考える者も居ると思われるが、それを含めて現在の魔導国に於けるモモンガさんの支持は高いのだ。

勿論、事件・犯罪が全く無い訳でも無いが、それも盗みやら酔っ払いの乱闘やら。

それ等の対処は、俺やパンドラ(モモン)で無く、一般の警備兵の仕事。

本来の拠点、竜王国の白い匣(ホワイト・ホーム)の方でも、ヴァーリ・トゥードのギルメンとしての絶対な役割(しごと)等は無いから、凄く暇なのだ。

 

「…そんな訳でアインザックさん、何か仕事って無いですか?

今なら格安で請け負いますよ?」

「マカロン様、貴方はアホか?!…ですか?」

 

≫≫≫

そんな、ある日。

モモンガさんから大至急、ナザリック地下大墳墓に来て欲しいと《伝言(メッセージ)》が届いた。

いよいよ以て、スレイン法国に対して何らかの行動(アクション)を…宣戦布告でもするのか?と思ったら、それも違うらしい。

何でも、デミウルゴスから重大な報告案件が出来たとかで、それに俺も聞いて欲しいとか。

 

「此方です、まろん様。」

俺がナザリックに行く場合、エ・ランテルの屋敷から、転移の鏡(ミラー・オブ・ゲート)を通って、ナザリック内のユリたん♡の私室へ。

これが今の最短最速ルート。

 

「この度は態々すみません、まろん殿。」

「いや、どうせ暇していたから、気にする必要は無いさ。」

其処から、ユリたん♡と一緒に第9階層の会議室に行ってると、其処には既に、モモンガさんにアルベドとデミウルゴス、パンドラが。

そして、もう1人。

 

「こうして お会いするのは、初めてですね、まろん様。」

「確かに。初めまして…だな。」

元・リ・エスティーゼ王国第3王女、ラナー・ティェ…

 

 えーと…

 

…改め、今は只の『ラナー』だ。

今は影から(…と言うか地下から)、魔導国の施政の一端を担っている彼女。

実は王国と帝国の戦争が始まるよりも前から、デミウルゴスが有能人物としてマークしていたらしい。

そして戦争前に、正式にスカウト。

この時 既に、腐敗しきった国には見切りを付けていた彼女は、デミウルゴスの その誘いに()()()()()()()()()()の快諾。

世間一般の表向きは、バハルス帝国に囚われたランポッサの身代わり…人身御供という形で帝国入りしたと思わせての、ナザリック入りだ。

 

≫≫≫

「…さて、皆様。今回は多忙な中 集まって頂き、有り難う御座います。

…と、前置きは この位で、早速 本題に入ろうかと。

この画像をご覧下さい。」

 

ウォン…

 

そう言って、デミウルゴスが円卓に置かれた やや大きめの水晶玉に手を翳すと、それに映像が映し出された。

シャドウデーモンによる記録映像。

何処かの室内。上等な家具等から察するに、何処ぞの貴族様の お部屋の様だが…って、

「「うぁおぇいっ?!!」」

思わずモモンガさんとハモってしまう。

ガチャリと扉が開いて入ってきた、この部屋の主。

それはリ・エスティーゼ王国のアダマンタイト級冒険者チーム【蒼の薔薇】のリーダー、ラキュースさんでした、有り難う御座います。 

 

「おま、これは流石にアウトだろ?!」

「この前の聖王女達も そうだったが、マジにプライバシーも何も無いな!?」

年頃の娘さんの部屋に、盗撮魔(シャドウデーモン)を送り込んだ件で、俺とモモンガさんが非難轟々。

当然な話だが、カメラには気付いていないラキュース嬢。

冒険者の仕事から帰ってきたばかりなのか、如何にも「疲れてます」な顔をして、鎧を脱ぎ始めt…って?

 

「は~い、まろん様? まさか、あの女性の着替えを見たいとか、その様な考えをお持ちじゃあ無いですよね?」

そう言って、背後から目隠ししてくるユリたん、凄く可愛い♡

心配しなくても、俺はユリたん♡以外の女の裸には、興味無いから大丈夫だよ。

 

おいデミウルゴス。あの貧相な身体の小娘の着替えに、何か意味が有るのか?

「失礼。しかし編集する間が有るなら、先にアインズ様達に報せるべきと思ったのでね。」

そして(多分)モモンガさんの目を塞いでいるアルベドが、デミウルゴスに凄んだ声を。

 

「あら♪ とても可愛らしいクマさんですね♡

私は あの様なのは持っていませんから、少し羨ましいですわ。」 

「「………………………。」」

どうやら、クマさんらしいです。

 

≫≫≫

「…見て下さい。これが、問題の場面です。」

目隠しタイムが終わり、デミウルゴスが改めて、水晶玉(スクリーン)への注目を求める。

 

「「………………………………。」」

それを見て、俺は目が点。

モモンガさんも顎が外れた様に大きく口を開き、お馴染みの緑色の発光だ。

何事かと言えば…見た儘、有りの侭を話すと、 

 

 

『お…おのれ…この身体…貴様の好きな様にはさせぬぞ…!

 

『くっ…こ、この程度で!』

 

『わ、私は絶対に、お前…に屈したりは、しない…!!』

 

『私の中から、出ていけ!』

 

『…失せろ!闇!!』 

 

 

ラキュースが両膝を床に着いて剣を杖代わり、その剣に向かって鬼気迫る、息を荒げた苦しそうな表情で、何やら語り掛けているのだ。

 

「モモンガさん…アレ…って…?」

「言うな…言わないでくれ、まろんサン…」

俺とモモンガさん、ドン引き。

ラキュースって確か、19か20歳だったよな?

多少 大人びてるけど、実は14歳でした…なんて事は無いよな?

てゆうか彼女、こんなの俺達に見られてると知ったら、悶絶恥ずか死必至だな。

 

「どうでしょう? 御覧の通り、彼女の手にしている あの剣には、何かが憑いている模様。

一応、シャドウデーモンに探らせてみましたが、どうやら所有者以外には認識の出来ない、()()()の様なのです。」

「成る程…あの小娘如きを取り込めない程度の存在。

しかし、確かに それが()()()()は、知っておく必要が有るわね。」

「いいえ、アルベド様。

我々が知り得る事の出来ない存在…それ自体が脅威と言って、過言では無いのでは?」

「あの魔剣…ラキュースは、自分だからギリギリで抑えられていると言っていました。

でも、あんなに苦しそうだったなんて…

どうして あの剣を手放さないのでしょうか?」

「「……………………………。」」

違う!そんなんじゃないから!

ナザリックの知恵者が揃い踏みでも、彼女が厨●だという真実(オチ)には至らないみたいだ。

そもそも、この世界もだけど、ユグドラシルには(ある意味、それが標準(ふつう)だから、)●弐なんて概念が無いからか?

 

「ん?んんん~~?

~んアインズ様と まろん様、何やら難しい顔を浮かべておりますが、もしや()()について、何か御心当たりでも?」

「「え゙?!」」

 

   

◆まろんside・了◆

 

≫≫≫

 

◆モモンガside◆

「と、兎に角だ!だ、大丈夫だ!」

パンドラの振りに、今の俺には これしか言える言葉が浮かばない。

まろんサンをチラと見ると、このヒトも何と説明すべきか、考えている感じだ。

 

「すまない。私には()()を、お前達に どの様に説明したら良いかが思い浮かばない。

言葉足らずな私を許してくれ。」

「それは、俺も同じくだ。しかし、モモンガさんも言っている通り、大丈夫だ。

()()は、脅威でも何でもない。

深く、考えない事だ。()()は考えたら…気にすれば気にするほど、深みに嵌まるヤバイヤツなんだ。

良いか、もう1回言うぞ。

()()は放置しても大丈夫だから、深く考えるな。触れてやるな。…な?

「「「「は…はい…」」」」

彼女が●弐を患っているのを、如何に誤魔化し、且つ如何に このナザリック叡智四天王に納得して貰うか…

結局 最後は、俺の台詞に被せる様な、まろんサンの半ば無理矢理な説明?で黙ってもらった。

但し、まろんサンは間違った事を言ってないのも、また事実。

アレは本当に、触れる事無く、暖かい目で見てやって下さい。

それから…俺や まろんサンが敢えて濁した表現をしていた『アレ』という言葉。

これについてもデミウルゴス達と俺達では認識の違いが有るのには気付いているが、敢えてスルーだ。

 

()()

デミウルゴス達…彼女が持つ魔剣の事だと思っている。

俺と まろんサン…彼女が拗らせている()()の事を言っている。

 

「…成る程、そういう事でしたか。

流石はアインズ様と まろん殿。

私共には完全、発想の外に御座いました。」

何かを察し、納得したかの様なデミウルゴス。

…だが、絶対に俺達の心の訴えとは明後日の方向を見ていると思う。

 

「……?

何か解ったの?デミウルゴス?」

「ああ。君達にも後で説明するよ。

情報の共有は大事だからね。

それより先、今は…」

いや、この場で話しても良いんだよ?

情報の共有は大事なんだろ?

水晶玉に映る画像を早送り操作しているデミウルゴスに そう思っていると、

「…最初にアインズ様と まろん殿は、この部屋からシャドウデーモンを撤退させろと仰有りましたが、実は既にさせているのです。

その理由が、コレです。」

「「??????」」

デミウルゴスの台詞に、何事かと水晶玉(モニター)を覗いてみた。

 

 

…アナタ、誰なの? 其処に居るのは分かっているのよ! 

 

 

「「…………………。」」

シャドウデーモンは、床の影に潜んでカメラを回している。

彼女は それに背を向けて、天井隅をビシッと指差しての、この発言だ。

まろんサン目が点。俺も精神安定再び。

 

「御覧の通り。正確な位置は解らずも、シャドウデーモンの気配だけは感じたのでしょう。

それ故に、完全に その存在を悟られる前に撤収させました。」

「「………………………。」」

だから、違います。

決して、シャドウデーモンに気付いた訳では無いのです。

それも彼女の"病気"なのです。

 

 

◆モモンガside・了◆

 

▼▼▼

「いやはや、正しく『さすアイ!』『さすまろ!』と讃えるべきなのだろうね。

あの御2人の未来を視る眼は、本当に計り知れないよ。」

 

カラン…

 

第9階層のBARナザリック。

そのカウンター席で、デミウルゴスはグラスの中の氷を揺らしていた。

 

「ん!んん! それで、デミウルゴス様?」

「ええ。アインズ様と まろん殿が何故、あの小娘の持つ剣…いいえ、あの、朧気ながらもシャドウデーモンに気付けた小娘を放置させて構わないと結論着けた その理由、聞かせて頂戴。」

その隣には、パンドラズ・アクターとアルベドも。

 

「……………………………。(この『すくりうどらいばー』という お酒、初めて飲んだけど凄く美味しいです。マスターが言うには、コレは凄く強くて お酒が苦手な人は、直ぐに酔い潰れてしまうらしいけど…。それなら今度はクライムを連れて来て…)」

更に その隣には、ラナーも席に着いている。

 

「ああ、勿論さ。

語らせて貰うよ。あの御2人が、如何に素晴らしい考えを御持ちかを…」

…恐らくだが それは また、大いなる勘違い。

 




「あの、まろん様…『盗撮魔』と書いて『シャドウデーモン』とルビを振るのは止めて頂けますでしょうか?
私共、別にニンゲン雌の裸体を見ても、発情したりしませんよ?
まろん様は我等の雌に発情されますか?」
「…すまない。」
 
次回『日常?②(予定)』
乞う御期待!感想よろしくです。
  
 
【補足説明】
デミウルゴスは王国・帝国の戦争前から、要注意人物と定めた貴族等の屋敷の応接間や私室に、シャドウデーモンを忍ばせていました。
ラキュースも王国屈指の冒険者チームのリーダーとして、マークされていたのです。
モモンガさんも その辺りの報告は受けていましたが、まさか若い女性の私室にも忍ばせていたのは想定外。
そして そのシャドウデーモンの前で、例の病気を拗らせたラキュース。
それを見て、慌ててデミウルゴスに報告したシャドウデーモン。
デミえもんも、それが彼女の『病気』だとは気付かず。
ガチと思い、緊急の報告説明会に至ったのでした。
後に、モモンガさんの指示で王国に散っていた隠密系のシモベは()()()()()、撤収されています。
 
 
「あの後、アインズ様から『女性の部屋に忍ばせるのはアウトだろ!』と、厳しく御叱りを受けました。」
 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。